僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood 作:マーベルチョコ
雄英で期末試験が執り行われている頃、ヴィラン連合のアジトであるとあるバーでは、保須での一件で新たにヴィラン連合に参加したい者達が闇ブローカーである義蘭を伝手に死柄木達と接触していた。
新たに参加したいと言ってきた者達は連続失血死事件の容疑者として追われているトガ ヒミコ。
そして目立った事件は起こしていないが継ぎ接ぎの皮膚が不気味な荼毘。
2人ともステイン本人な彼の思想に傾倒している。
しかし、癖が強い者達でUSJ、ステインの一件以来苛立ちが治らない死柄木と一触即発の雰囲気を醸し出していた。
「良くないな……気分が、良くない」
「いけない、死柄木!」
そして等々我慢の限界が来た死柄木は始末しようと動き出す。
「駄目だ、お前ら」
五指で触れたものを崩壊させる個性を持つ死柄木は殺そうと2人に向かって手を伸ばす。
殺気を感じ取った2人も殺そうと武器や個性を発動する。
3人がぶつかりそうになった瞬間、3人の体は不自然な形で止まった。
「なんだ……?」
「これは……」
「動けないです!」
死柄木の世話役でも黒霧は何もしていない。
義欄もタバコを吸ったままで動いていない。
「すまない。危ない雰囲気だったから手を出してしまった」
バーの扉から入って来たのは、ヨーロッパの刑務所『コキュートス』を壊滅して脱獄した男だった。
「誰だお前……?」
死柄木は動けない体で男を睨み付ける。
「私の名前はサージュ。君が先生としたうAFOとは友人なんだ」
「知らん、聞いたこともない。さっさと自由にしろ」
死柄木は睨み付ける力を強め、何とか動こうとするがピクリとも動けない。
「オイオイ、嘘だろ……アンタが何でここにいるんだ?」
闇ブローカーである義欄はサージュを見て、冷や汗を流しながら驚いた表情になる。
サージュのことを知っているらしい義欄に荼毘は質問する。
「義欄。誰だそいつは?」
「『サージュ』。かつて世界中で名を轟かせた伝説のヴィランだ。日本では目立った活動していなかったが昔から闇世界で生きていた奴らなら絶対に知っている。死んだと思っていたが生きていたとはな……」
「そんなのいいから早く動けるようにしてくださいよ!」
サージュはトガの要求を聞くと首を少し傾けて、死柄木達の体を自由にする。
「死柄木君。僕も君に協力しよう。必要ならば資金、場所、兵士を用意する」
「………」
サージュが死柄木に手を伸ばすと死柄木はサージュの手を弾き、勢いよく首を掴む。
「いらん、死ね……!」
「死柄木!?」
死柄木の突然の凶行に黒霧は慌てる。
自分たちのボスであるAFOの友人に手をかけてしまったことに慌てるが、サージュは余裕の笑みを浮かべたままだ。
崩壊が始まり、血肉の屑になる筈だがサージュには何も起こらない。
「……はぁ?」
「死柄木君、確かに君は失敗を繰り返したがそんなの当たり前だ。最初から上手くやれる者なんていない。これからさ、君のその苛立ちを世界にぶつけ、破壊し尽くすのは」
サージュは死柄木の手をしっかりと
立ち上がって死柄木、黒霧、荼毘、トガを見て話す。
「手始めに雄英から始めるのがいいな。ヒーロー達の信頼を奪う。……そうだなぁ、雄英生がヴィラン連合に参加したら面白くなると思わないかい?」
「知るか……!」
「死柄木!!」
死柄木はサージュにコケにされたと思い、バーから出て行ってしまう。
黒霧は止めるが死柄木は無視して出て行ってしまった。
「まだ自分の目標を理解しきれていないか」
サージュは出て行った死柄木に向かってそう呟き、荼毘とトガに振り向く。
「すまなかったね。突然止めてしまって」
「「………」」
荼毘とトガはサージュに不気味な雰囲気を感じ取っていた。
いや、感じ取っているし目の前にいるのはわかるが何故か
「何だお前は?」
「気持ち悪いです」
「ハハハ、酷いなぁ」
サージュは気にした様子もなく、次に黒霧の方を向く。
「黒霧君、AFOと会いたいんだ。案内してくれないかな?」
「は?いや、いきなりは……」
戸惑いを見せる黒霧に後ろのモニターが勝手に起動し、声が響く。
『やぁ、サージュ。久しぶりだね』
「久しぶりだ、AFO。手紙ありがとう。あの手紙で脱獄しようと決めたんだ」
『積もる話は会ってからにしよう。黒霧、彼を案内してくれ』
「はい」
黒霧はワープを展開してAFOがいる場所にサージュを案内した。
サージュが消え、義欄はホッと一息つく。
「生きた心地がしなかったぜ……あんな大物がヴィラン連合と協力するとはな」
「返答はまた後日でよろしいでしょうか?少しごたついてしまって……」
「別にいいさ。サージュに会えただけでも儲けもんだ。黒霧さんよぉ、絶対にサージュとは手を組んだ方がいいぜ。それだけで世界中に隠れている巨悪達が動き出して、手を貸してくれるはずだ。こりゃ、俺も忙しくなるかもねぇ」
義欄は面白くなりそうだとほくそ笑み、それを聞いた黒霧はそれ程の影響を持つサージュに驚きを隠しきれなかった。
○
試験が終わり、明日には短い夏休みと林間合宿が始まるため、その説明をホームルームで行われる。
皆、それぞれの表情を思い浮かべており、やり遂げた者、課題を見つけた者、林間合宿を楽しみにしている者、皆様々だがその中でも4名が深い悲しみの底にいた。
「み"ん"な"ぁ〜!!林間合宿楽しんでねぇぇ……!!」
泣き叫ぶ芦戸とまるで人生の終わりのような表情を浮かべる上鳴、切島、砂藤。
彼らは実技試験でクリアできなかった。
よって林間合宿にも行くことが出来ず落ち込んでしまっている。
「そう気落ちすんなよ。林間合宿行けなくても何か別にあるかもしれないんだからよ」
「そうそう、俺なんて峰田のおかげ合格できたんだ。お前たちと大差ねえって」
辛うじて合格できた血界とミッドナイトの個性でほぼ寝ていた瀬呂が4人を慰める。
「お前らは合格できたから良かっただろうが!!慰めになるかぁ!!」
「やさぐれてやがる……」
「やめときな血界。今は何言っても無駄」
上鳴の叫びに血界は戸惑いの表情を浮かべてどうするべきか悩むが耳郎が無駄だと止めた。
爆豪を除く他の者達は1-A全員で林間合宿に臨めないのを残念に思っていると、相澤が教室に入ってきて皆即座に席に着く。
「皆さん、試験お疲れ様。まぁ、中には合格できなかった奴もいるが……」
相澤の言葉に4名は俯いてしまう。
「そこで林間合宿だが…………全員で行きます!」
『大どんでん返しだぁっ!!!』
まさかの大どんでん返しに芦戸達は叫び出す。
「君たちのやる気を出させる合理的虚偽ってやつだ」
『ゴウリテキキョギー!!』
「またかよ……相澤先生が何しでかすかわからなくなってきた……」
「まぁ、ウチらのことを思ってやってるんじゃない?」
相澤の合理的主義に振り回されて慣れてきてしまっている1-Aだが、やはり心臓に悪い。
「だが、不合格者にはペナルティを受けて貰う。芦戸、上鳴、切島、砂糖、瀬呂は林間合宿中に補習を行なう。相当キツイから覚悟しておくように」
「ゔっ…!そりゃ何かしらあるよな……」
「やるしかないよな」
「全然いいよ!みんなと林間合宿にいけるならさぁ!」
「カレー!キャンプ!肝試しー!」
「俺もか!?そりゃそうだよな……俺、特に何もしてないし」
5人はそれぞれ補習に思うことはあるそうだが、皆と林間合宿行けることに嬉しそうだ。
ホームルームが終わり、皆で林間合宿のことで話が盛り上がろうとした時だった。
「ラインヘルツ、少し話がある。一緒に来い」
相澤に呼び出され、共に小会議室に入ると席に座るように言われて相澤と向き合うように座った。
「ラインヘルツ、今回の試験はどうだった?」
「どうだったって、言われても……まぁ、色々と課題が見つかりました。俺は力押しは強いかもしれないけど格上相手だと手玉に取られやすい。力だけじゃなくてもっと器用に戦えるようにしないと」
「それも大事なことだが……はぁ、合理的に行こう。単刀直入に聞く。お前は死にたがりか?」
「は?」
相澤が何を言っているか分からず、目が点になってしまう。
「USJ、体育祭、保須事件、そして今回の期末試験。お前はそれらのどこでも自分の命より、他者の命を優先した」
「そんな……そんなのヒーローを目指す者としてとして当たり前じゃないですか」
「あぁ、当たり前のことだろうな。だがな、自分の命を守れないような奴が他人の命を助けられると思うか?それで助けられた人間、残された人間の気持ちを考えたことはあるか?」
「………」
相澤の言葉に自分のヒーロー観が否定されたような気持ちになるが相澤の言葉に納得できる血界は黙ってしまう。
「お前がこのままの状態でヒーローを目指すというなら、俺はお前に
「はぁっ!?」
まさかの言葉に血界は立ち上がって驚く。
「お前の行動は立派だと思うが、今後ヒーローを目指すなら駄目だ。自己犠牲の先にあるのは破滅のみ。お前だけではなく周りにも悲しみを与える。それはお前が目指したいヒーローか?」
相澤はそう言いながら過去のことを思い出し、悲しそうに目を伏せるがすぐに血界の目を見る。
「何がお前をそうさせる?」
相澤は血界の行動は異常だと思っていた。
憧れや理想なんかではなくもっと負の感情からだと勘付いており、遠回りに探ろうとしていたが最近ではその傾向が強く、このままでは破滅してしまうと思い。
思い切って質問することにしたのだ。
血界は相澤の言葉に動揺しながらも一体自分の何がそうさせるているのか考える。
「何がって……」
血界はこれまでの事件のこと思い出し、守ろうとして傷ついた時は確かだが、その時に別の感情も湧いていた。
(俺は……怖かったのか?)
大切な人達が傷つく、何も罪がない人が傷つく。
血界はその時に必ず恐怖と怒りを感じていたことに気づく。
「俺は何で……?」
頭を抱えて悩む血界を見て、相澤は違和感を覚える。
(こいつ……自分でも気づいていないのか?)
「俺…わっ……!?」
何かを思い出そうとした瞬間、頭に凄まじい痛みが走り、苦しみだしてしまう。
それと同時に血界の体から血のように紅い雷が迸る。
「どうした!?」
血界の突然の急変に相澤は驚いたがすぐ様冷静になり、個性が原因だと判断し抹消する。
個性が抹消される瞬間、血界の脳裏にある光景が浮かんだ。
炎が辺りを覆うよつに立ち込める場所で倒れている子供の側に座り込む大人がいる光景だ。
そんな光景を血界は見たことがない。
相澤のお陰で暴走が止まった。
「はぁっ……!はぁっ……!」
「ラインヘルツ、大丈夫か?」
激しく動揺している血界の肩に手を置いて安否を確かめる。
頭が痛むようだが無事なようだ。
「(これ以上は無理か……)悪かったラインヘルツ。今日は帰っていいぞ」
「え?いや、俺の除籍の話とかは?」
「取り敢えず今は無しだ。だが、今後は自分を大切にすることを頭に入れておけ」
血界は釈然としないが会議室から出て行き、相澤はさっきの様子の急変に悩む。
(ラインヘルツの過去に何かあったのか?あの様子は異常だ……調べてみるか)
相澤はそう決心して会議室を出た。
○
薄暗いどこかの一室でサージュとAFOはコーヒーを片手に談笑していた。
2人とも楽しそうなのだが、2人から溢れ出る不気味な何かが恐怖心を駆り立てる。
「あの死柄木とかいう子。いい子を見つけたね、AFO。アレは
笑みを浮かべるサージュにAFOはサージュに向かって忠告する。
「おいおい、あの子には手を出さないでくれよ?あの子は次の
「わかっているさ」
コーヒーを啜るサージュにAFOは気になっていたことを質問する。
「何故日本に来たんだ?君は世界とやり合っていただろう?」
「いきなりだな。まぁ…そうだね。今まで世界とやり合っていて手広くやり過ぎた。はっきり言って手が回ってなかったんだ。だから今回は的を絞って一つ一つやっていこうと思ってね」
「………」
相変わらず軽薄な笑みを浮かべるサージュにAFOは黙り込み、真意を図ろうとする。
「私の邪魔をするのか?」
「まさか!友人である君の邪魔をするなんてとんでもない!」
驚いた様子を見せるサージュにAFOは無言の威圧感をぶつけて聞き出そうとする。
常人ならば死んだと錯覚してしまうほどの威圧感だがサージュは気にした様子もない。
するとサージュはだが、と付け加える。
「君たちの協力はしよう。その方が僕の目的に近づく」
サージュはそう言って立ち上がり、出口に向かう。
「何処に行くんだ?」
「ちょっと昔馴染みに会いにね」
そう言ってサージュの姿は消えてしまい、AFOは自分以上の化け物かもしれないサージュに警戒心を強めた。