僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood   作:マーベルチョコ

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File.6 勝利への自信

轟たちは核が置いてある部屋で冷えた体を温めたようとしている時にふと、瀬呂が気づいた。

 

「なあ……訓練が終わればオールマイトが知らせてくれるんだよな?」

 

「……まだ終わっていない?」

 

「っ!耳郎、奴らがどうなったか教えてくれ」

 

瀬呂と耳郎の呟きに轟は慌てて耳郎に指示を出し、耳郎はイヤホンジャックを地面に刺すが苦い表情になり、瀬呂が聞き出す。

 

「どした?」

 

「ごめん!氷で反響してうまく聞き取れない……」

 

「いや、こっちのミスだ」

 

轟も苦い表情になり、地面に手を着くと一気に気温が上がり、ビルを覆っていた氷が溶けていく。

 

「熱も使えんのかよ!どんだけ強ーんだ」

 

「これでどうだ?」

 

「うん……1人だけ動いてる!ここを探しているみたい」

 

「てことは1人動けない状態ってことでいいんだよな?」

 

「うん。このビルには外付けの非常階段なんてないし、上に行くなら絶対に下の階を登ってこないといけないからウチがわかるし、上も調べたけど誰もいなかった」

 

「じゃあ来るのは耳郎が言っていた奴か、もう1人ってことか」

 

「とりあえず轟がもう一度凍らせてくれれば」

 

「一回防がれたんだ。何回やっても変わらない」

 

轟はそう言いながら苦虫を潰された表情になる。

 

「じゃあとりあえず今からでも守りを固めようよ」

 

耳郎の提案で瀬呂が核を中心に自身の個性である『セロテープ』で守りを固め、轟が核に触れれないように氷で包む。

 

 

その頃、寒くて血界のコスチュームを借りていた芦戸は1人でビルを探索していた。

するとインカムから血界の声が聞こえてくる。

 

『芦戸!聞こえているかどうかわからないけど返事しないで聞いてくれ!』

 

血界の声と共に風の吹く音が激しく混ざって聞こえてくる。

 

『核の部屋にヴィランチームは固まっているはずだ!轟の全体攻撃を防がれたから警戒して迎撃してこない!あと、部屋がわかったら教えてくれ!』

 

それにうなづいた芦戸は探索を続ける。

そしてその様子をモニターで見ていた他の生徒達は血界はどこに行ったのかと不思議に思う。

オールマイトはモニターを操作し、ビルの外壁を写すとそこにはビルの壁を紅い針のようなもので登っている消火ホースを担いだ血界の姿があった。

 

「あんな所で何してんだ?」

 

「屋上に行く気ですわね」

 

屋上に到着した血界は一息つき、消火ホースを下ろした。

 

「芦戸こっちは登りきった。あとは頼む」

 

そして屋内の芦戸はとうとう核が置いてある部屋がある階に着いた。

それは耳郎にも聞こえている。

 

「来た!もうこの階に来てる」

 

耳郎の言葉に轟と瀬呂も構える。

耳郎、轟、瀬呂は核を守るように部屋の中心に固まって守りを固めている。

芦戸が廊下の隅から部屋を眺めて、核があることを確認する。

 

(あった!)

 

「もうそこにいるのはわかってるよ!!出てきたら!?」

 

(バレてたー!)

 

芦戸は隠れてても意味がないと思い、入口に立って姿を現わす。

 

「見つけたよ!やっぱり上からも下から距離のある3階の一番奥の部屋だったね!」

 

「もう1人はどうした?」

 

「氷で固まって来れなくなっちゃったから、アタシ1人で来たよ」

 

轟は素直に教えてくれるとは思わないが、耳郎の索敵のおかげで芦戸だけが来たと信じ、芦戸が部屋を見渡し、部屋の至る所に瀬呂のセロハンテープが張り巡らされ、核は氷に覆われて直接タッチができない。

 

「あっちこっちにセロテープあるし、核爆弾は氷に覆われてるけどアタシの酸で全部溶かしちゃうから関係ないね!」

 

そう言って芦戸が腕を振るうと彼女の個性である『酸』が出され、一部のテープを溶かす。

 

「だから抜け出れたのか。だったら何回も氷漬けにしちまえばいい」

 

そう言った轟はすぐさま氷を芦戸に向けて放つ。

咄嗟に芦戸は避けようとするが立っていたの部屋の入口で前にはテープの檻、後ろに避けても氷は迫ってくる。

結局氷は避けれず、芦戸は氷漬けにされてしまった。

 

「あとはこいつと下にいるやつに確保テープを巻けば終わりだ」

 

(もうこれ以上は無理だよ〜)

 

確保テープを持ってゆっくり近づいてくる轟に芦戸は心の声で焦りの言葉を出す。

その時、耳郎が芦戸の着ている上着に気づいた。

 

「ねえ、そのパーカーって血界のじゃん。なんで着てんの?」

 

「へ?これ?……………これさ。血界が寒いだろうからって着させてくれたんだよね〜」

 

少し機嫌が悪そうに聞く耳郎に少し考えた芦戸は嬉しそうに血界が服を着させてくれたことを話す。

それを聞いた耳郎はこめかみがヒクついていた。

 

「へ、へぇ〜そうなんだ」

 

「優しいよね〜彼って」

 

「か、彼!?ちょっとそれってどういう……!」

 

「おい、話は後にして、先に捕まえようぜ」

 

若干嫌な雰囲気が漂う2人に轟はどうするかわからず、巻き込まれるのも面倒くさいため静観し、瀬呂が注意した瞬間、彼らの背後の窓を割って血界が飛び入ってきた。

 

 

芦戸がヴィランチームの三人の前に姿を現した瞬間、血界は屋上で待機して、インカムの声に集中していた。

 

『見つけたよ!やっぱり上からも下から距離のある3階の一番奥の部屋だったね』

 

「やっぱりか……あー3階ね。オーケー、オーケー」

 

血界は屋上の手すりから身を乗り出し、その場所を確認するとこれからする事に顔が引き攣ってしまう。

 

「なんでこんな作戦言っちゃったかなぁ……普通考えないだろ」

 

そう言いながら手すりに消火ホースを巻いて結ぶ。

 

『あっちこっちにセロテープあるし、核爆弾は氷に覆われてるけどアタシの酸で全部溶かしちゃうから関係ないね!』

 

「頼むぞ……少し時間を稼いでくれ」

 

しっかり手すりに巻きつけ解けないか確認し、自分の体に巻きつけ、巻きつけた手すりから離れ助走できるようにし、深呼吸してこれからすることの緊張を和らげる。

 

「ふー……行ける、俺なら行ける。ブレングリード流血闘術、推して参る……!」

 

そう言って血界は勢いよく走り出し、手すりに足をかけてビルから身を投げ出した。

そして巻きつけたホースが手すりに引っ掛かりその反動で核が置いてある部屋の窓を割って飛び入る。

アクション映画のように登場の仕方で突然現れた血界にヴィランチームの三人は驚く。

その隙に血界はナックルガードを装着した右拳を床に殴りつける。

 

「ブレングリード流血闘術……!」

 

 

39式 血楔防壁陣

 

 

床から複数の血の十字架を出現させテープ、氷を破壊し尽くす。

 

「これで形勢逆転だ」

 

ホースを解いた血界は笑みを浮かべながら、ヴィランチームを見る。

 

「まずっ……!」

 

「まずあっちを止めろ!」

 

轟たちが慌てて血界に向かおうとするが血の十字架が邪魔でたどり着けない。

 

「チッ!」

 

歯痒くなった轟が血界に向かって氷を放つが、血界は十字架に隠れて氷を防ぐ。

 

「このやろっ!」

 

瀬呂がテープを放つがそれも十字架に隠れてやり過ごす。

その隙に核に近づこうとすると目の先に轟が現れ、氷を放つ。

迫る氷に血界は向かって走り、直前で体を横に避けて氷を避ける。

 

(っ!!十字架が邪魔で氷に幅ができねぇ!)

 

轟が驚いている間に血界は目の前に来ており、拳を体目掛けて振るう。

轟も負けじ、腕をクロスして防ぐがまるで車に轢かれたかのような衝撃が体を襲い、十字架に叩きつけられる。

 

「ぐ……!!」(なんつう力だ……!)

 

「轟!」

 

瀬呂が轟を助けようとテープを血界に目掛けて伸ばすが、血界はそれを横目で見て自分に張り付く前に掴む。

 

「よし掴んだ!っ!?」

 

瀬呂がセロテープを引っ張りテープと絡めようとするが引っ張っても微動だにしない。

 

「ふっ!」

 

隙ができた血界に轟はもう一度氷を放つ。

今度は一段と早くなっていた。

 

「フン!」

 

それを見た血界はテープを思いっきり引っ張り瀬呂を逆にこちら側に引っ張ってきて、迫ってくる氷に向かって投げる。

 

「おわぁっ!?」

 

「チッ!!」

 

瀬呂を巻き込むわけにもいかず、氷を途中で止まるがそれでも瀬呂は半身が氷に包まれてしまった。

 

「大丈夫か!?」

 

「轟!上!」

 

瀬呂がそう叫んだ瞬間、血界は轟の頭上に飛び出していた。

 

(間に合わ……!)

 

轟が気づいき氷を放とうとしようとするが、それより早く血界に捕まり、地面に押し倒され、左手で首を掴まれ、右拳を構える。

 

「これで2人目だな」

 

「くっ……!」

 

得意気に笑う血界だが、突然大音量の音波が背後から血界に向かって放たれ苦しそうにする。

 

「こっちもやっと捕まえた!」

 

「耳郎……!」

 

血界が音波で痛む頭に耐えながら耳郎の方を見る。

 

「血界には近接戦じゃ絶対に勝てないのはわかっていたから、隙をずっと待ってた」

 

得意気に笑う耳郎に血界は苦い表情になるがすぐに苦しそうにしながらも笑みを浮かべる。

 

「いいのか……?俺ばっかに構ってて……?」

 

「え?」

 

血界のその言葉に一瞬何を言っているかわからなかった耳郎だが、その瞬間インカムからオールマイトの声が響く。

 

『核爆弾を確保!!勝者ヒーローチーム』

 

「はぁ!?」

 

オールマイトの突然の放送に耳郎は驚き核爆弾の方を見ると、いつのまにか轟の氷から抜け出した芦戸が核爆弾を覆っていた氷を溶かして、核にタッチしていた。

 

「イエーイッ!!作戦成功だね!!」

 

「おう!やったぜ!」

 

血界と芦戸がハイタッチを交わし、勝利を喜ぶ。

 

「作戦って……」

 

「最初から俺が囮だったんだ。絶対に俺を警戒してくるって思ったからさ。まっ、今回は俺の作戦勝ちってことだ」

 

耳郎はいつものクール顔を少し悔しそうに歪めた。

 

「あ、あとゴメン!パーカー溶かしちゃった!」

 

「えっ!マジでか!?ま、まあ新しく作ってもらえればいいさ」

 

そう言って芦戸が出したパーカーはボロボロになって着られたものではなかった。

緑谷に続き、血界も初日から戦闘服を壊した。

 

 

訓練を終えた血界たちは地下のモニター室に行き、講評を聞くことになった。

 

「はい、講評の時間だ!って言っても今戦のベストは皆が思うようにラインヘルツ少年だ!!!状況の判断!作戦の立案!パートナーの個性の有用!そして個人の行動力!それらがどれも今回はピカイチだった!だが、まだダメなところもある!わかる人!?」

 

「はい!オールマイト先生」

 

手を挙げたのは先ほど緑谷たちの講評でほぼ全部言ってしまった優等生の八百万だ。

 

「血界さんは最後単騎で轟さんたちと戦っていましたが、最後は耳郎さんに背後をとられてしまいました。ヒーローになるということは人を守るということ。まずは自分を守れるようにならないといけませんわ。いくら単騎で強いと言っても個性の相性もありますから形勢逆転など容易に考えられますわ」

 

痛いところを突かれたと血界は思った。

 

「(またほとんど言われちゃった……)ま、まぁそうだよね!ヒーローになってヴィランと対峙するとき個性の相性は重要だ!そのことを頭に常に入れておくように!」

 

『はい!』

 

そして、他のチームとの戦闘訓練を行い、この日のヒーロー基礎学は終わった。

 

 

男子更衣室で今回の訓練の感想を話し合ってる男子たちは血界を中心に集まっていた。

 

「しっかしお前ビルから飛び降りるなんて度胸あるよな!俺、切島鋭児郎。よろしくな!」

 

「俺は尾白。体力テストの時にも少し話したよな?ラインヘルツの使ってる武術って何なんだ?」

 

「オイラは峰田!どうしてお前は何であんなに女を囲ってるんだよォッ!!」

 

皆から話しかけられ、驚く血界。

中学の時は目つきが怖いと避けられ、終いには不良に喧嘩を売られたのだ。

それを思い出すと少し泣けてきた。

 

「どうして涙目になるんだ?」

 

「いや、なんでも無い……」

 

カラスのような頭の男子、常闇が不思議そうに聞いてくるが血界はなんでも無いと言う。

するとそこに先ほど戦った轟が血界のそばにやってきた。

 

「ラインヘルツ……」

 

「血界でいい。今日はありがとな」

 

血界が今日の戦闘訓練での戦ってくれたことを礼をいい、握手をしようと手を差し出すが轟は手を取らず、相変わらずの冷たい目で血界を見据える。

 

「次は負けねえ」

 

それだけ言って轟は更衣室を出た。

突然のことに周りはどうしたものかと固まり、血界は引き攣った笑みを浮かべるしか無かった。

 

 

その頃女子更衣室では人数が少ない女子同士が仲良くしていたが、耳郎は会話の輪に入らず、1人で着替えていた。

するとそこに戦闘相手だった芦戸が話しかけてきた。

 

「耳郎さん!ちょっといいかな?」

 

「なに?」

 

戦闘中の会話のこともあり、耳郎は少し冷たい態度をとってしまう。

 

「訓練中の話なんだけどアレって嘘なんだよね。本当はアタシがパーカーを貸してって言ったんだ」

 

「え?そうなの?」

 

「うん!そっちの方が耳郎さんの気を引けるかなって思ってさ」

 

「そ、そうなんだ……」

 

耳郎はどこか安心した表情になった。

それを見た芦戸はニヤニヤと笑みを浮かべる。

 

「いや〜耳郎さんって血界に愛されてるよねぇ」

 

「な、なんのこと!?」

 

「だって訓練中の時だって……」

 

 

轟の全体攻撃を防いだ血界は近くにあった消火ホースを取り外しながら芦戸に作戦を伝えていた。

 

「俺がビルの外壁を登って屋上から飛び降りて奇襲をかける。そうしたら耳郎たちは俺を真っ先に狙ってくるはずだ。だから芦戸は俺を囮にして核にタッチしてくれ」

 

「でも耳郎さんが血界のことを警戒してなかったらどうするの?」

 

「それは無いな。耳郎は絶対に俺のことを伝えて、警戒するように伝えてる」

 

「何でそう思うの?」

 

ホースを担いだ血界は笑顔で自信を持って答えた。

 

「耳郎のことを信じてるからな」

 

そう言って血界は窓から外に出た。

 

 

芦戸から伝えられた血界の言葉に自分の顔が赤くなってることに気づき、敵だったのにそんなことを言われて嬉しくなる自分に単純だなと少し自己嫌悪しながらも嬉しさのほうが上だった。

 

「顔が赤くなってる!やっぱり血界と耳郎さんってそういう関係!?」

 

「はぁ!?な、なんでそうなんの!?」

 

「何々?何の話?」

 

そこに透明で姿が見えない個性の葉隠が参加してくる。

 

「耳郎さんと血界が恋人なんじゃないかって話!」

 

「やっぱり!?2人とも仲がいいもんね!」

 

「恋バナや!」

 

そこに緑谷とペアを組んでいた麗日も参加してくる。

 

「皆さん、響香さんも困っていますわ」

 

「ケロ、そうね。でも今日は私も芦戸ちゃんの方に参加しようかしら♪」

 

「梅雨ちゃんまで!?」

 

まさかの蛙水の裏切りに驚く耳郎だが、八百万も少し言いにくそうにしていた。

 

「で、では私もそちらに……ずっと気になっていましたので」

 

「ヤオモモまで!?」

 

結局女子更衣室では訓練の話ではなく、恋バナという耳郎への質問責めの時間が過ぎていった。

 

 

下校の時間、血界と耳郎はいつも通り一緒に帰っているが会話はなかった。

と、言うのも血界はまだ耳郎が機嫌が悪いと思っており、耳郎はさっきの質問責めから少し血界のことを意識してしまい話しかけることができなくなっているだけだった。

 

「いやーそのさ……えーっと……」

 

血界が少し先回りして耳郎の前に立って、申し訳なさそうにしている。

 

「ごめん!耳郎が何で機嫌が悪くなったのかわからないけど俺のせいなのはわかってるんだ。だからとりあえず、ごめん!」

 

謝る血界を見て、耳郎は少し固まるが少し笑みを浮かべる。

 

「だからバカゴリラとか言われてるんだよ。もう少し女心を学んだほうがいいよ」

 

そう言って笑ういつもの感じに戻った耳郎を見て、安心する血界の隣を通り過ぎていく耳郎に血界も横に並んで、今日の訓練について話し合いながら帰る。

いつも通りの光景だった。

 

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