僕のヒーローアカデミア:Battlefront of Blood 作:マーベルチョコ
File.8 悪意の胎動
朝いつものように耳郎と登校していると校門前に人だかりができていた。
どうやらマスコミのようだ。
「マスコミみたいだね。オールマイトの取材かな」
「マスコミは嫌いだ」
血界がマスコミの群れを軽く睨みながらそう呟く。
2人は真っ直ぐに校門まで進んでいくと、マスコミが気づき2人に詰め寄る。
「オールマイトの授業はどんな感じなんですか!?」
「“平和の象徴”が教壇に立っているということで様子など聞かせて!」
血眼になって詰め寄ってくるマスコミに耳郎は驚く。
「えっ、あのちょっと……!」
突然押し寄せるマスコミに耳郎は慌て、四方八方から詰め寄られる。
困り果ててると突然血界が耳郎の肩を抱き寄せ、自分の体に密着させる。
「きゃっ!」
「行くぞ」
可愛らしい声を上げて驚く耳郎を他所に血界はマスコミをかき分けて進んでいく。
それでもマスコミは諦めずに血界たちにインタビューをしようとする。
「少しだけでもいいからオールマイトの授業風景を……」
「どけ」
血界は明らかに敵意を込めた目でマスコミたちを睨む。
睨まれたマスコミたちはその眼光に後ずさりしてしまう。
マスコミが開けた道を進み、校門を通ると血界は耳郎の肩を放した。
「悪い。突然肩を抱いてしまった。あそこを抜けるのに一緒に行ったほうがよかったから」
血界が謝るが今の耳郎の耳には届いておらず、あんなに密着して乙女の耳郎が平気なわけなかった。
「おい!耳郎!」
「ひゃっ!えっ、何!?」
「どうしたんだ?もう行くぞ」
「う、うん」
耳郎はしばらく顔が赤くなったのと熱が取れなくて、それに気づいた芦戸たちに何かあったのかしつこく聞かれ、誤魔化すのに大変だった。
○
朝のホームルームに相澤は神妙な顔で話し始める。
「さて今日のホームルームの本題だが、急で悪いが今日は君らに……」
相澤の突然の重苦しい雰囲気に全員がまた臨時テストかと身構える。
「学級委員長を決めてもらう」
「「「「「学校っぽいの来たー!!!」」」」」
突然の学校の恒例行事である委員長決めに全員がホッとしながらもツッコミのように叫ぶ。
「委員長!!俺やりたいです!!」
「あたしもー!!」
皆が一斉に手を挙げ、委員長に立候補していく。
一般的に学級委員長は厄介ごとを任せられる嫌な仕事だが雄英ではリーダーシップを培われるとして誰もがやりたがる役職なのだ。
しかし皆が手を挙げる中血界は手を挙げずにいた。
「血界さん?手を挙げないのですか?」
「ん?まぁな」
手を挙げない血界に気づいた前の席の八百万は不思議にしていた。
そして結果は皆が自分に入れる中、緑谷と八百万が3票ずつの同票だった。
「僕に3票!?」
「当然ですわ。ですが同票だとすると委員長はどう決めましょう?」
「ジャンケンでいいんじゃね?」
上鳴の言葉で2人はジャンケンし、結果委員長は緑谷になった。
「ぼ、僕が委員長!?」
「自分から立候補したのでしょう?それにしても悔しいですわ……」
委員長は緑谷、副委員長は八百万に決まった。
○
昼休みに血界たちはクックヒーロー:ランチラッシュが営む食堂で昼食を取ろうとして、席を探していると緑谷、麗日、飯田が一緒に食事をとっており、その横の席が空いていた。
「緑谷!隣いいか?」
「うん!どうぞ」
「耳郎ちゃんも横に座りなよ」
「ありがと」
2人は座り、食事を取るが緑谷たちは血界の食事の量を見て驚く。
プレートに所狭しと置かれた料理の品々は明らかに一人で食えるものじゃなかった。
「す、すごい量だね」
「俺の個性上どうしても血が必要なんだよ。使いすぎると貧血になるし。お陰で食費がかかる」
そう言いながらモリモリと食べる血界に緑谷は乾いた笑いを出す。
「大変そうだな」
「もう慣れたよ。そういやこうやって飯田と麗日と話すのは初めてだな。俺は血界・V・ラインヘルツ」
「ウチは耳郎 響香。よろしく」
「麗日 お茶子です!よろしくね血界君!」
「俺は飯田 天哉。よろしく頼む」
それぞれが挨拶を済ますとホームルームでの委員長決めの話になった。
「そういや飯田は自分に票入れなかったな」
「俺より緑谷君が相応しいと思ったからだ。そういう血界君も自分に入れてなかったじゃないか」
「俺は委員長に向いてないんだよ。俺より絶対に向いてる八百万に入れた」
血界がかっこつけて言うが耳郎が割って入る。
「中学の時、委員長になろうとして暴動が起きたからトラウマでなろうとしなかったんじゃん」
「ちょっ、おま…!それは言うなよ」
結局カッコつけても、オチがついてしまいカッコつかない。
その時、突然けたたましいサイレンが鳴り響く。
「何だ!?」
「どうしたん?」
突然のことに驚く血界たち。
それと同時にセキュリティレベル3という放送も流れる。
飯田がすぐ横を通った上級生にセキュリティレベル3とは何か聞くと学校の敷地内に侵入した者がいるとのことだった。
皆が一様に逃げようとして出入口に向かうが人数が多すぎて、すし詰めのような状態になってしまう。
それは咄嗟に立ってしまった血界たちもだった。
人に流され、バラバラに逸れてしまう。
(いった……人多すぎでしょ!?)
耳郎は流されてしまい、小柄なせいか人に押しつぶされそうになる。
なんとか抜け出すと誰かにぶつかってしまう。
「あ!ごめん……って血界」
「耳郎か。離れると危ないから離れるなよ」
「うん」
2人は近寄ってどうするか考えていると、さらに人混みが増して、2人は互いに押されてしまい、耳郎が血界に抱きつくような態勢になってしまう。
「ご、ごめん!」
「気にすんな。俺は平気だから」
(ウチが平気じゃない!)
耳郎は心の中でそう叫ぶが血界は気にした様子がなく、どうしようかと考えていた。
耳郎は下から血界の顔を見上げて、恥ずかしくなり、顔を俯かせるがそれでも血界の胸に顔を埋める形になってしまい、血界の匂いが一気に広がる。
恥ずかしさと幸福感で頭の中がおかしくなりそうになる。
その時、飯田の声が食堂中に響き渡る。
「皆さん!!大丈ーー夫!!!」
飯田からマスコミが雄英バリアを超えて敷地内に侵入してきたことを伝えて、皆が安心して人混みが緩和された。
「もう大丈夫か……」
「あっ……」
「どうした?」
「う、ううん。なんでもない」
血界から離れる時、少し残念そうな声を出してしまった耳郎は慌てて誤魔化した。
○
どこか薄暗いバーで顔が黒い霧で包まれている男と、顔と体に手をくっつけた男が座っていた。
その目には言いようのない悪意が見えている。
「先生……こっちの準備はできた。そっちはどうだ?せっかく証拠を残したのに準備ができてなきゃ意味がない」
今回のマスコミの侵入はこの手だらけ男が手引きしたのだ。
『こっちの準備もできたよ』
手だらけ男が話しかけてテレビから男の声が聞こえてくる。
しかし、その声を聞くだけで背筋が凍るほどの恐怖感が出てくる。
『協力者からいい素材を手に入れてね。予定より良いものができたよ』
静かに悪意が動き出していた。
ラブコメってムズ