響達が会話をしていると、兵士が夕飯の時間だということを伝えに来た。
当然、響は同伴できないので部屋で食べることにした。
すると、来輝達が響が行けないなら自分達も行かないと言い始めた。
それはさすがによくないと思った響は、せめて誰かは行ってほしいと言った。
すると、女子二人がすかさず「じゃあ、来輝が王女様と一緒に行ってきて」と言った。
(来輝、なんか、ごめん……)
来輝に向かって悪態をつく女子二人を見た響は、原因が自分であることを心の中で来輝に詫びた。
当の来輝は、「クソッ、なんで俺だけなんだよ……!」という文句をボソッと言っていた。
それを聞き逃さなかった神奈と香純は、来輝に向かってこう言った。
「訓練の時ならともかく、それ以外の時に響兄と離れるなんて無理! 絶対!」
「私も、響くんから離れるのはちょっと無理かな。日本に居たときと違って常に一緒に居られるんだし」
「くっ……! 響、お前、もうハーレムを作り上げるなんて……羨ましいぞ!」
「いや、内一人は妹だから、ハーレムじゃないと思うんだけど……」
そう言いながら、(来輝がハーレム作ったら周りの女の子全員ロリっ子だらけになりそう……)と思う響だった。
◆◇◆◇◆
その後、来輝と王女様だけ食べに行き、残る響達は部屋で他に誰も入れず3人のみで夕食を食べることとなった。
テーブルに並べられた今まで食べたことの無いような豪華な夕食に、響が目をキラキラと輝かせていると、フォークが視界に入ってきて響の夕食の一つに刺さると、それが口の前に来た。
驚いてパッとフォークの持ち主を確認すると、そこには物凄く嬉しそうな香純が居た。
「えっ、白石さん? 何やってるの?」
「何って、あーんだけど?」
「だったら、自分で食べられるからいいよ」
「違うっ! 違うよ、響兄! もうっ、なんでわかんないかな!?」
「……そっか、私のあーんは受け入れられないんだ……。響くん、私のこと、嫌いなの?」
あざとく上目遣いで聞いてくる香純。それが鈍感な響だとしても決して心に響かない訳ではない。
「嫌いなわけないよ。ただ、これを、恋人同士じゃない僕達がやるのはどうかと思うだけで……」
「じゃあ、恋人になったらやってもいいの?」
「そういう訳じゃないけど、僕なんかにしなくてもいいかなって」
「だから、響兄! 香純が響兄が好きなことわかってるでしょ!? さっきのやり取りで!」
「まぁ……」
「だったらわかるよね、スキンシップだって」
「あぁ!」
「なんで今納得してるの!? ……本当、響兄って鈍感」
「ごめん……」
しょぼくれる響の傍らで、香純がボソッと「まぁ、そういうところも含めて好きになったんだけどね」と微笑みながら呟いていた。
「それはともかく、せっかくそうやってくれてるんだから、食べてあげなよ」
「わ、わかった」
仕方ないかぁといった軽い溜め息をついてから、響は差し出されたフォークに刺さったものを食べた。
それを嬉しそうに見詰めてくる香純と神奈に、響はなんとなく居心地が悪くなった。
その後も何度もあーんをしてくる香純に対し、遠慮がちしても女子二人からの圧力で結局食べることになる響は、将来が不安になってきていた。
というより、香純と結婚したら尻に敷かれるかもしれないという危機感を覚えていた。
そんなこともありながら食事を終えしばらくすると、ドアをノックする音がして「カンナ様、カスミ様、お部屋の用意ができましたのでお越しください」という声がした。
すると、香純と神奈は嫌そうな顔をしながら渋々といった感じで響の部屋を出ていった。
二人が出ていった後、響はベッドに行き寝ることにした。
ベッドに横になった響は、天井を見つめながらこう呟いた。
「はぁ……明日からどうなるんだろう」
そう不安げな顔をして呟いた後、響は眠りについた。
その不安は、香純との接し方云々から来るものだろう。
しかし、そんな響にこれから起こる出来事は、そんな不安を吹き飛ばす程のものであるのだが、この時の響は知る由もない。