ラブライブ!元総長の新たな人生   作:かいゆー

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どうも、みなさん。こんにちは、かいゆーです。

今回は暴力ありの話で、少しだけ社会的な問題に関するものを述べています。本当はこういうことを書く予定はありませんでしたが、三南先生の性格を考えると、こういう風に言うじゃないかなと思いました。

それではどうぞお楽しみください!


16話:予想もしない事態に出会った二人

<放課後、三南先生>

 

 高坂君たちの勉強会を終えた後、彼女たちに特訓教材を渡した。特訓教材と言っても、教科書に載ってる章末問題を印刷して、ホッチキスで留めたプリント集である。1学期の初めごろに習った内容ばかりで、基本的な問題しか含まれていない。ページ数は5ページしかなく、問題数は50問ぐらいある。つまり、1ページに10問ずつ構成されている。

 

 そんな簡単な特訓教材を彼女たちにあげた瞬間、すぐに不満を漏らした。

 

 「「「ええー!課題量が増えています(にゃ)!三南先生!」」」

 

 3人ともの声が合わせて、私に抵抗してきた。数ページしかないプリント集をやろうとしないその態度を見た私は、怒りの感情に任せず冷静に叱ってあげた。

 

 

『確かに、この問題の量は貴女たちにとって多いかもしれない。でも、私は3人ともが赤点を取らないようにサポートしているから、今日の勉強会に発揮していない”頑張り”を見たいの。赤点を取ってきた貴女たちを見下げたり、いじめたりしようとはしていませんよ。私は貴女たちの努力を何よりも褒めたいの。全部できなくてもいいから、出来るところまでやればいい。だから、一緒に頑張ろうね』

 

 

 と彼女たちの心を響かせるように叱ると、彼女たちは私の瞳をまっすぐ見つめながらゆっくりと縦にうなずいた。彼女たちの瞳からは小さな炎が燃えるのを感じて、少しだけ勉強のやる気が高まっていくのを読み取れる。

 

「ああ。夕陽がさしている」

 

 南君は窓の向こうへ見ると、沈んでいる太陽の光はすっかり赤くなっている。

 

「綺麗…!」

 

「そうだね、花陽」

 

 西木野君は小泉君の意見に同意すると、二人は夕陽をじみじみと眺めている。

 

「それでは、帰る際に気をつけて帰りましょう。明日の昼休みに昼食を食べた後に、この部室で集合しましょうね。勉強会の続きをします」

 

 と明日の予定を彼女たちに伝えると、皆の口は揃えて「はーい!」と答えてくれた。

 

 

 <自宅へ帰る道のり>

 

 自宅までの帰路に就く私は、明日の勉強会の準備について思いにふけている。

 

「さてと。自宅に帰ってから、午前授業の準備をしましょうか。でも、高坂君たちの勉強会への準備を疎かにしてはいけないから、同時進行でやらないと」

 

 と明日の午前授業の準備に加えて、高坂君たちの勉強を捗る教材を用意しないと考えると、期末試験までに色々と忙しくなってきたなと思い始める。自宅までの道のりが後数メートルぐらい短くなったその時ーー

 

 

「やめてください!」

 

 左の方から女性が嫌がる声を聞こえてくる。

 

(んん?一体何が起きているんだ?)

 

 疑問に思った私は自宅に帰るのをやめて、そのまま声がしてくる現場へ行ってみた。慎重に聞こうとゆっくり近づくと、女性の声に加えて柄の悪そうな男性の声を聞こえる。

 

「ほ、ほんとうにやめてください!警察を呼びますよ!」

 

「ええ〜?いいんじゃないの〜?俺たちと”イイこと”をしようよ〜。そんな堅い表情をしたら、美人な顔が台無しだよ〜」

 

「い、いやです!」

 

 叫んでいる女性たちは、男性たちからのしつこいナンパを受けているようで、その人達から離れようとしているらしい。第三者である私がいる事を男たちに知られないように、住宅地の周りを囲む壁のようなもので身を潜めながら覗いてみると、そこにはーー

 

(あれは…音ノ木坂学院に通ってる生徒ではないか!それに、その生徒の後ろにいる中学生はおそらく彼女の妹ようだな…!)

 

 とナンパを受けている女性は音ノ木坂学院の生徒である事を判明した。

 

「お、お姉ちゃん…。亜里沙、怖いよ…」

 

「おお〜?あんたの妹が亜里沙って言うんだ〜。いや〜、名前の響きを聞くだけでめちゃクチャ興奮する〜」

 

 ”亜里沙”という女子中学生が嫌がる様子を見せたら、彼女たちを絡んでいる柄の悪い男性たちは”変な意味”で喜んでいる。自分の妹が嫌がっているのを見たその生徒は、男性たちに対して睨むような表情でやめさせようとしている。

 

「あなた達はいい加減にしてください!女の人が嫌がっている様子を見るのを何にも思っていないですか?!」

 

「何にも思っていない?それは違うね〜。俺たちは機械みたいな無感情な人間ではないし〜」

 

 一人の男性がそう答えると

 

「なら、やめてください!」

 

 生徒は彼らにそう願ってみた。だが、

 

「ええ〜?無理だよ〜。だってーー」

 

 

『もう収まらんよ、身体的な興奮が〜!』

 

 

 男達は彼女達が嫌がる様子を見ることで、身体的な欲情が高まってしまい、”倫理的にやってはいけないもの”をやろうと企む表情を浮かべている。唇をいやらしく舐め始めると、彼女達に少しずつ近づいて、その場で”やろう”としている。

 

 彼女達を助けようとする人々はいなく、男性達が行おうとしている様子に対して、見て見ぬふりをしている。

 

 平和な時代になった今もこういった常識外れの行動が行われているのに加えて、困っている人々を助けようとしない人々がいるのを見ると、とても許せない気持ちが高まる。2度に渡る大きな戦争を終えた後、明治政府の役人たちが築き上げた倫理的な観念や武士としての考え方が過去の物として衰退してしまい、西欧諸国から輸入してきた観念や文化が根強く日本社会の中に溶け込んでしまった。私は西欧諸国からもたらした観念や文化が全て悪いと言っていない。悪いのは、人としてあるべき姿を論じる「武士道」が重視されていないことだ。特に「武士道」の「仁」。

 

「仁」の信条はーー

 

『人としての思いやり、他者への憐れみの心のこと。武士の情けには、仁の精神が内在している。弱き者や負けた者を見捨てない心、高潔で厳格な義と勇を男性的な徳とするならば、仁は女性的なやさしさ、母のような徳』

 

 つまり、弱き物を見捨てないで自らの持つ”仁義”で手を差し伸べることだ。新撰組の総長として就任した時にこの考え方で生きてきた。

 

 急速な時代の流れによって、「武士道」の考え方が通用しない時はあるのを理解している。けれども、個人主義で社会の中に生きようとすると、他人からの手助けを必要とする瞬間が多くなるはず。私はこの世に転生してから、多くの人々に自覚してほしい。

 

 

『人間は一人で生きていけない孤独な生き物だである。だから共存していくことでより強く、よりたくましく生きることができる』

 

 

「さあ〜、こっちこいよ〜」

 

 男性たちは生徒の腕と妹の腕を掴んで、その場で彼女たちの制服を脱ごうとした時にーー

 

 ガシッ

 

「ああ〜?なんー」

 

 自分の肩が強く掴まれた男性は、後ろにいる人への視線を振り向くと

 

 ゴンッ!

 

「ーーぐあっ!」

 

「な、何だ?!」

 

 生徒の腕を掴んでいる男性達が後ろに振り返ったら、自分たちの仲間が地面に崩れ落ちる。その瞬間に…。

 

「そこまでにしなさい君たち」

 

 男性の背後から私の姿を現して、押し殺した声で言う。

 

「お、おい!大丈夫か?!」

 

「は、鼻の骨が折れている!いってぇーよ!」

 

 地面に倒れている男性は自分の鼻を覆う仕草で、不意打ちから来る痛みにもがいている。彼らが行動に移す前に、私は咄嗟に彼らの元へ移動して、その中にいる一人の男性の顔面に思いっきり殴った。

 

「て、てめぇー!何者だ?!」

 

 男性達の問いに対して私は冷静に答えた。

 

「私は、彼女たちの教師です。あなた達がやろうとしている行動を阻止するために来ました」

 

「ああ〜?先公だと?」

 

「おいおいw。それはイタいな〜w!特撮を見過ぎで今どきの正義を語ろうとしているのか〜?はははは!めっちゃ、おもしれーな!」

 

 一人の男性が腹を抱えて大声で笑うと、彼の態度に対して眉をしかめる。

 

「私が彼女達の教師であることを恐れないですが?警察を呼ぶ可能性はありますけども?」

 

「ふん!そんなもの恐れるものか?!教師全員、臆病者だから怖がることはねーよ!」

 

「そうそう!警察に頼る人たちは、根っから弱虫だからな!人間って本当に無力だ!」

 

 私を罵るかのようの口調で笑い始めると、周りの人々は私に同情的な視線で言葉を語りかけくる。

 

「た、確かに…。警察を呼ばないと事態を収まらないよね…」

 

「あの先生はかわいそう…」

 

「彼を助ける人は来ないかな…」

 

 と一人や二人、そして多くの人々が同じ気持ちで口にしている。

 

 静観者たちの言葉を受けた私は何も思っていないのは悪いことではあるが、今さら何を言ってるのだと少々怒りをこみ上げる。

 

(本当に情けない人たちですね…。私がいる現代の日本社会はこんなに弱々しくなりましたのかね?)

 

 と心の中に残念そうに思うと、一人の男性が私の方へ歩いてきた。

 

「だから、先公よ〜。貴様は少し引っ込んでろな?さもないと…」

 

 私の左肩をポンと叩かれた後に、私の耳に

 

 

『この場で首の骨を折るよ…!』

 

 

 と脅迫気味で呟いてきた。彼は私がその場で恐れをなして逃げてほしい。そう不気味な笑いを浮かべた彼にーー

 

 

『上等じゃないですか、貴方』

 

 

 と腹の底からドスの効いた声で答えた。

 

「ああっ?!やろっー」

 

 答える暇を与えない私はその場で、自分の肩に叩いてくれた彼の左手を掴みながら腕の膝関節を右手で上で押し曲げた!

 

 バキッ!

 

 凄まじい骨の折る音を鳴り響くと、彼は喘ぐ感じで背中から転んだ。

 

「ああああああ!!!腕が…腕が…折れてる!!!」

 

 彼が転んだ後に生徒達の方にいる男性達へ近づいた。男性達だけでなく女生徒と傍観者たちが私がやった行動に対して腰を抜かすような感じで驚く。まさか、高校の教師が脅迫してくる男性に対して攻撃するなんて、今までいなかった。この人は…暴力に怯える平凡な教師ではないようだ。

 

「て、てめェ…!やりやがったな!お前ら、あの先公をやってしまえ!」

 

 柄の悪い男性たちのリーダー格らしい人が子分のような人たちに命令を下すと、一斉に走ってくる。人数は3人。1対3で戦うことは、不逞浪士たちと戦っている雰囲気が出されているように感じた。私は新撰組の総長として戦いに参加しときの思い出を浮かべると、思わず武者震いする。

 

「くらえー!」

 

 一人目の男性が大きく振りかぶった殴りを見せると、私は下に小さく身を屈めながら彼が殴ろうとしている右手と服の襟を掴んで、勢いよく背負い投げを決めた。彼が立ち上がらないようにそのまま顔面に数発くらい喰らわせて、無意識にさせた。

 

「とりゃー!」

 

 後ろに振り向くと、二人目の男性は自分の横腹に右足で蹴りを入れようとしてくる。だが、彼の蹴りの食う前に、一人目の男性の身体を離した瞬間に彼の右足を掴んで、不安定な左足を内側から足払いした。彼が地面に倒れると一人目の男性と同じく顔面を殴った。

 

 その後、前へ見ると三人目の男性が闘牛のように体を構えて突進してくる。おそらく私の身体を掴んで、地面に強く叩こうとしているだろう。それを見抜いた私は前転して、両足でハサミのような感じで掴んで躓かせた。男性は地面の方に顔を強く叩いてしまったため、無意識になった。

 

 彼らとの戦いを終えて、地面から立ち上がると最後に残っている男性へ歩いた。

 

「く、来るな!」

 

 一人になってしまった男は後ろのポケットから何を持ち出そうとしたときに、私は助走して彼の身体に飛び付きながら、腕十字固めをした技”飛び付き腕十字”を喰らわせた。この技はよくアクション映画に使うブラジリアン柔術の最も難しい技である。

 

 大学時代にブラジリアン柔術に出会って、私が仙台藩士の時に習った柔術とどう異なるのかは興味心で習いに行った。ブラジリアン柔術は主に寝技を特化する格闘技で、投げ技は少なかった。日本人たちの柔術(後に柔道)をベースにして、ブラジル人たちの考え出した寝技を和洋折衷することは趣のある格闘技だなと思い知った。

 

「があああ!腕が!腕の骨が!」

 

「なら降参してください。さもないと先ほどの人のように腕を折りますよ!」

 

 ときつく彼の腕を固めると

 

「わ、わかった!ぎ、ギブ!ギブアップします!」

 

「よろしい」

 

 彼の必死な訴えを聞き入れて、腕十字固めを止めた。ゆっくり立ち上がろうとする前に、彼をうつ伏せにして裏のポケットから取ろうとする”あるもの”を没収した。

 

「私に刃物で刺すなんて、あなたは良くない人ですね」

 

 と没収したされたポケットナイフを見せたら、相手は悔しそうに舌打ちにした。彼らとの戦いを終えた私は、周りの人から歓声を受ける。

 

「すげぇーな、あの教師!」

 

「あんなに派手に戦うなんて、ただものではないな!」

 

「かっこいいー!」

 

 先ほど不安そうに見てきた人たちから、人が変わったかのように喝采をしてくると、彼らの言葉を無視することにして、その人たちの顔を見ないようにした。

 

「あ、あの…」

 

 女子生徒から語りかけてくると、彼女の方に視線を向いた。

 

「大丈夫でしたか、貴女たち?」

 

「は、はい大丈夫でした。助けてくれて、本当にありがとうございます!」

 

「いえいえ、貴女の教師として当然のことをやっているだけなのです」

 

 彼女の礼に制して、頭を上げさせた。

 

「教師ってことは、あなたは音ノ木坂学院の教師ですか?」

 

 その問いに対して、私は頷いた。

 

「ええ。私は三南三郎。理科の教師として教えている」

 

 私の答えを聞いた彼女の顔は不安から軽蔑の表情に変わった。

 

「あなたが、三南先生ですね…」

 

「ええ、そうですよ?何かありましたか?」

 

 私の問いに、彼女は首を横に振った。

 

「いいえ。ただ…生徒会の中でよく希が挙げている教師の名前で、知っていました、まさか本人に助けてくれるなんて知りませんでした…」

 

「希?まさか、東條君ですか?では、あなたが…」

 

「ええ…」

 

 

 彼女は深呼吸して、

 

 

『私は絢瀬絵里。生徒会の会長です』

 

 

 と私の瞳を見つめながら自己紹介してくれた。

 

 




いかがでしょうか?

三南先生が繰り広げた戦いはかっこいいですね!実をいうと、山南敬助は剣術だけでなく柔術の名手であるのをwikiに書かれました。そこで、柔道の技とブラジリアン柔術の技の名前と特徴を入れて、戦いのシーンを入れました。腕の骨折するシーンは護身術においてやる技らしく(たぶん)、膝を上へ強く押すと折れる可能性はあります。

でも、みなさん。絶対真似しないでください。お願いします。

それでは、次回! またな!

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