初めての高評価を頂き、本当にありがとうございます!
今回は、1年生たちが登場します!彼女たちが、顧問の先生が出来たのをどう思ってくれるでしょうか?
それでは、どうぞ!
「スクールアイドルの顧問ですか?」
三南先生がゆっくりと彼女たちの言葉を繰り返した。
「実は、私たちはまだ部活として認められていなく、同好会として活動しています」
「でも、部員の数が増えていて、今後の活動の量が多くなるかもしれません」
「そのため、私たちの活動を管理できる顧問の先生が必要です。今まで3人だけで活動の計画を立てたけど、このままの状態だと手に負えません…」
「ふーん…」
彼女たちの事情を聞いた彼は目を閉じて、顎に手を当てながら椅子の背にもたれた。
後は、彼の返事を待つだけだ。三南先生が許諾してくれるのを願うしかない。この待ち時間は、まるで小さな懐中時計が穂乃果たちの正面に左右に振っているように見えた。短い針が厳かに動いていて、長い針とのかする音だけが聞こえてくる。現実にはそんなことが起きてはいないが、そのくらい……彼女たちの”不安”が募っている。そのくらい……彼女たちには”時間”がない。
「……分かりました」
「「「……っ!」」」
「あなたたちの顧問に就いてもらってもいいですよ」
「ほ、本当ですか?!」
「でも、スクールアイドルについての知識は持っていません。あなた達を困らせてしまうことがあるかもしれませんけども……それでもよろしいですか?」
少しだけ不安げに問われると、彼女たちは横に振った。
「ううん!全然いいですよ!私たちもスクールアイドルのことについて先生に教えます!互いにサポートし合って、一緒に活動を頑張りましょう!」
穂乃果の明るく元気な声に、三南先生は少しだけ微笑みを浮かんだ。
「ふふっ。元気ですね、あなたは。それではよろしくお願いします」
「「「よろしくお願いします!」」」
互いに深くお辞儀した。
「そうしたら、放課後にあなたたちの練習を見学しに行ってもよろしいですかね?」
「はい。屋上で練習するので、午後6時30から練習を開始します」
「6時30分ですね。分かりました」
彼はうんと頷き、彼女たちの練習の見学を約束した。
顧問の件が承諾してくれた後、彼女たちは後ろに振り返って職員室から出て行った。外から穂乃果の「やったー!」が響いて、どうやら彼女にとって……いや、彼女たちにとってはこの上ない喜びだったかもしれない。そう確信できたのは、3回も鳴らしたハイタッチだった。
「うーん。三南先生がスクールアイドル活動の顧問になるのか…あまり想像できないな」
「どういうことですか、山田先生?」
「言葉悪いかもしれないけども……どちらかというと、あんたは文化系の顧問に似合いそうだもん。運動音痴でガリ勉!のような感じで」
先生とは思えない失礼すぎる言葉遣いで、彼に山田先生の印象を教えた。他の先生からだと癪に障るかもしれないが、彼はあまりそう感じていなかった。ただ、微笑みで応えて、くすっと小さく笑った。
「ふふっ、そうですか…。私はそんなイメージを持たれているとは思っていません」
「ええっ?違うの?」
「そうですね…。半分違っていて、半分合っていますよ。ガリ勉ではありましたけども、運動はできる方ですよ」
意外な真実を知った山田先生は、あっと口を開けたまま驚く。
「そ、そうなの?じゃあ、何のスポーツをやっていたの?」
それを聞いてみると……。
「秘密ですよ、山田先生」
彼女の質問に答えないで、そっと席から外した。彼にいじられているような感じで、少しだけムッとする。
「もおー。教えてよ!」
他の先生の視点から見ると、青春生活を過ごしている高校生のカップルのようだ。そのくらい、二人は職員室の中でとても仲良しなのだ。
<放課後>
「ええー?!顧問の先生が来るの?!」
「そうだよ、真姫ちゃん。私たちの練習を見学しにくるの!」
「そんな急に!私たちはまだ加入したばかりだよ!」
穂乃果に反発した彼女は、一年生の西木野真姫。お医者さんの一人娘で、学校の成績表はすべて優秀。冷たい人だと思われる彼女は、裏腹に寂しがり屋で自分の表情をうまく表せない人物である。
「しかも、顧問の先生って、何で私たちは顧問が必要なの?自分たちだけで活動できないの?」
「実はね、真姫ちゃん。まだ、部活として正式に認められていないから、限られた場所にしか活動できないの」
ことりは真姫の質問に答えた。
「それに、2年生だけで活動の管理をしたら、練習時間や練習できる場所などを確保できなくなるよ」
「そ、それは理解できるけど…」
ことりの言葉に理解した真姫は、少しだけ腑に落ちていない。今さら、顧問の先生が出来ても、時間の無駄になるだけ。他の部活・同好会には、顧問の先生がいるところといないところの二つに分かれている。それを知っている彼女は、顧問の先生がいらない。先輩たちと一緒に6人で活動してきたから、自分達だけやっていけると思っている。
「真姫。あなたの言いたいことは分かりますけども、私たちはそれぞれやるべきことがありますよ。私は弓道部に所属していて、ここだけの活動を優先したらあまりにも勝手すぎる。それに、穂乃果は実家の店の手番をしていて、ことりは衣装作りをしているから、私たちは少しだけ忙しくなるの。その理由で、顧問の先生が必要です。先生が私たちの代わりに練習計画と練習場所を立てたら、あなた達が練習できますよ」
「……そうなんだ。ごめんなさい」
後輩のために顧問の先生を出来てくれた事に、真姫は自分のわがままな意見を言わなければ良かった。自分に罰を与えるような感じで、下に俯く。
「いいですよ。そこまで自分のことを責めなくても」
海未は彼女を慰めた。
「そ、それでは今早くダンスの練習をしないと!先生が私たちのダンスを見るなら、披露できる踊りを見せましょう!」
「そうだよね、かよちん!今まで習ったステップで、楽しくやろうにゃ!」
この二人は真姫と同じく一年生の小泉花陽と星空凛。二人は幼稚園の時からの幼馴染で、穂乃果達と同様にいつでも二人と一緒。
小泉花陽は小さい頃からアイドルが好きで、スクールアイドルをやれて夢が叶った。極度のあがり症でおっとりした性格を持っている、前では、アイドルに向いていないと思って自信はなかったが、親友の凜とクラスメートの真姫に後押してくれてμ'sに入った。それに伴って、凛と真姫が加入した。
星空凛は穂乃果と同じく明るくて元気で、スポーツ好きな少女。猫が大好きで、その影響で語尾によく「〜にゃ」と付ける。昔は中性的な容姿をからかわれた経験から、スカートなどの女の子らしい服に抵抗を持っている。だけど、女の子らしい格好に憧れており、今は複雑な気持ちに悩まされている。
「よーし!今から練習やろう!なあ、真姫ちゃん!」
そう言われた彼女は、穂乃果にうんと頷いた。
「そうだね。私たちの顧問の先生になるなら、しっかりと目に焼き付いてやるわ!」
海未の慰めによって、すっかりと活力が戻ってきた彼女の目は、やる気に満ちている。
「では、ダンスの練習!開始!」
「「「「「おおーー!」」」」」
<数十分後>
「まいったな。彼女達の練習に遅れるとは……いけない先生ですね私は」
自虐的な微笑みを浮かびながら、階段を上っている三南先生は、彼女たちとの約束を破ってしまった。先生の会議が長く延ばしてしまい、6時30分過ぎていた。会議の時間を延ばすことは仕方ないと思われるが、彼にとってはそう思っていない。約束を簡単に破るものではない。人と人の間に信頼し合って作られた一種の証である。
だから、彼女たちにどういった顔を見せればいいだろうか?そのことに少しだけ悩む。
「うーん。どうしましょう…」
階段を上りきった後は、屋上のドアの目の前にいる。ドアを開ける前に、どう謝ればいい?それに、彼女たちは自分のことを許してくれるのだろうか?嫌な予感をしたくない彼は、一旦心を落ち着かせて深呼吸をする。
「そうですね……。彼女たちからのクレームを受けて、謝りますか。もうそろそろ、生徒の帰る時間ですからね」
そう決心した彼は、ドアをゆっくりと前に開いた。そこには……。
いかがでしたか?
穂乃果たちは先のことを考えて、行動していらっしゃいましたね。
遅れてきた三南先生は、ドアを開けた瞬間に何を見ただろう?
それでは、次回!またな!