ダンスの練習を教えることに受け入れたことで、どういった展開になっていくのだろうか? 引き続き、絵里の気持ちをメインにフォーカスしていきたいと思います。
そして、お気に入り20件に到達することができ、本当にありがとうございます! この作品の行く末をぜひ見守ってください。
それでは、本編へどうぞ!
「私にダンスを?」
彼女たちにそう問いかけると、真ん中に立っている穂乃果という人物は頷いた。
「はい!教えていただけないでしょうか?私たち、うまくなりたいんです!!」
その言葉に、私は何も言わずに聞いた。彼女の瞳から、やる気の炎が出ている。その炎は今、大きく燃え上がっており、長年成長し続けていた広大な森林を燃やそうとするぐらいの勢いが増しているように感じた。
そのように受け取った私は、左奥に立っていた海未の方に向いた。彼女も穂乃果と同じく、やる気の炎が出ている。彼女の顔を見つめた私は、先日公園で言われた言葉を脳裏に浮かんだ。
『あなたに私たちの事をそんな風に言われたくありません!』
「……」
彼女は、私にスクールアイドル活動はいかに自分の身を捧げているのかを見せようとしているのか。そう思った私は、三南先生が彼女たちの活動を守ろうとする理由を、頭の中に浮かび上がった。
『私は彼女たちのスクールアイドル活動と関わっていくうちに、この活動に自分の身を全て賭けようとする彼女たちの気持ちに惹かれました。その輝かしい姿勢に、私も彼女たちの行く末を見守っていきたいという気持ちを持つようになりました』
彼女たちの本音と南先生の本音が重なりあっているか、私は……彼女たちがこのやっている活動に対する目的を、眩しく感じた。その眩しさに、私の気持ちの中に揺らぎが起こっているのを感じてくる。まさか、私は彼女たちの活動に共感しようとしているのだろうか。それをしたら、私の今までやってきた活動には、意味がなくなる。私の気持ちは……絶対に折らない!
私にもなすべきものがあり、中途半端な形で止めるのは格好が悪い。私は……もっと自分自身を信じ、自分のやり方で学校の廃校を止めなければならない!そう……。私もだって、この生徒会長の活動に自分の身を捧げている!
自分自身にそう言い聞かせると、心の中にあった迷いは何とか消え失せることができた。
「……」
私の返事を待っている彼女たちに対して、私はーー。
「わかったわ」
「本当ですか!?」
彼女たちの頼みを引き受けることにした。穂乃果はそう無邪気に喜ぶと、私はなぜ願いを引き受けたことについて、厳しく説明した。
「あなた達の活動は理解できないけど、人気があるのは間違いないようだし、引き受けましょう。でも、やるからには私が許せる水準になるまで頑張ってもらうわよ!いい?」
「はい! ありがとうございます!!」
と穂乃果は期待のまなざしで返事してくれた。スクールアイドル活動に対する理解を示さないと言ったにも関わらず、彼女たちはそれについてあまり気にしていなかった。ダンスを教えることに何よりも嬉しがっている姿を見るとーー。
(なんて、考え方が甘い子たちだ……)
と小さく軽蔑した。彼女たちには直接言ってなかったけども、願いを引き受けた理由には、もう一つあった。それは、”彼女たちのスクールアイドル活動に対する思い”は、どれほどのものかを確認することだ。
自分の目で見ることができるならば、ダンスに対する思いは本物であると知ることができる。そのためには、私が幼少期にやってきたバレエの練習をやってみせる。もし、彼女たちは音を上げずに、練習をこなせば……。
もしかすると、彼女たちに対して、好意的に捉えることができるかもしれない。
<ダンスの練習、屋上にて>
そうと決めた私は、まず彼女たちの通常通りのダンス練習を見せてもらう。今までどういった練習をしてきたかを把握したいからだ。数分間くらい観察した私は、彼女たちの踊りはーー
「どわわわ~!!いった~い!」
あまりにも酷すぎるものだった。彼女たちは、今まで見よう見まねでダンスの練習をやってきたらしく、ぎこちなさのある動きをしていてる。そのゆえ、踊りの順番を間違えた1年生の凛は、尻餅をついた。
(なんて有り様だ…)
そう思った私は、彼女たちのダンス練習を批評しはじめた。
「全然だめじゃない!よくこれでここまで来られたわね!」
私の批評に穂乃果は申し訳なさそうに謝ってきた。
「す、すみません…」
すると、尻餅をついていた凛はこんな言い訳をしてきた。
「昨日はばっちりだったの〜!」
その言い訳に対して、私は彼女が尻餅をつく要因を説明した。
「基礎ができていなから、無駄が出るのよ」
そう説明すると、彼女にあることを試してみた。
「足を開いて」
「ええっ? こう…?』
彼女が両足を開いた後、私はーー
グッ
「い、イッタイにゃ〜〜〜!!!」
彼女の背を押して、お腹が床に着くかを確かめた。しかし、私の予想通り、彼女のお腹は着くことができなかった。体の柔らかさを重視する練習を何にもしないで、いざダンスの練習をするなんて……無謀すぎる。これだから、彼女たちのダンス練習には欠点がありすぎる。
「これで?少なくとも足を開いた状態でお腹が床に着くようにならないと」
「えええ〜っ?!」
私のアドバイスに対して、彼女が悲鳴を上げると、ダンスの基本としてそれは当然のことだ、と心の中に思った。
「柔軟性を上げることは全てに繋がるわ!まずは、これを全員出来るようにして。このままだと本番は一か八かの勝負になるわよ!」
私はそう注意した後に、彼女たちにお腹を床に着く柔軟運動をさせた。一部にはできる者はおったが、ほとんど全滅。そんな状況に目の当たりにした私は、ますます怒りが込め上げるように次々と、新たな練習をさせてあげた。
まずは、バランス。決まったポーズで15分ぐらい保つ。これを3セット。
次は腕立て伏せ。30回で3セットで行う。
そして、最後は腹筋。これも同じく30回で3セット。
これらの練習を通して、彼女たちが音を上げないかを監視した。するとーー
「あ、うわ、わああ!」
「か、かよちん?!」
花陽という子は苦痛に耐えきれず、バランスを失い倒れた。それを見た彼女たちは一旦練習を止めた。
「かよちん、大丈夫?」
その質問に花陽は
「だ、大丈夫だよ」
と答えた。だが、彼女がこの練習を再開すると、さらに疲労が溜まり、大きな怪我をしやすくなるだろう。それに加え、もう十分見せてもらった……。
彼女たちはダンスに対して、甘く見ていたと。
私はそうと判断し、今日の練習を終わらせた。
「もういい。今日はここまで」
そう告げると、私の厳しい口調のせいか反論するものが現れた。
「ちょっ、何それ?!」
「そんな言い方ないじゃない?!」
違うクラスのにこと後輩に当たる真姫の苦言に対し、私は
「私は冷静に判断しただけよ。自分たちの実力が少しわかったでしょ?」
と答えた。さらに、彼女たちのダンスは、オープンキャンパスで絶対失敗することに警告した。
「今度のオープンキャンパスには学校の存続がかかってるのよ。もし出来ないって言うなら早めに言って。時間がもったいないから」
私はそう冷たく答えると、屋上のドアの方に振り向いた。今日の練習で、彼女たちは諦めるだろう。私の水準に達することができないと思い知り、その場でスクールアイドル活動を辞めるだろう。
(三南先生。彼女たちのダンスを見せてもらいました。貴方の”武士道”は……命知らずですよ…)
するとーー
「待ってください!」
「……?」
その声にふりかえた私は、彼女たちは私に向かって整列した。
「ありがとうございました!明日もよろしくお願いします!!」
『よろしくお願いします!!』
穂乃果の言葉の後に、みんなは私に向かって、一礼をした。
「……っ?!」
それを見た私は…驚きを隠すことができず、唖然とした。先ほど行った練習を、彼女たちは明日にもやりたいとは、予想にもしなかった。そこで、諦めると思っていた裏腹に、なぜか皆やる気が満ち溢れているように見えた。いや、むしろ練習する前のやる気よりもやった後の方が、大きく感じた。
疲れているのに、まだやりたいという矛盾をしている彼女の様子に対して、見続けることができなく、そそくさと屋上から出ていった。
「……な、なんなの…彼女たち?」
私はそう呟くと、すぐ横にはーー
「練習はどうでしたか?」
三南先生が立っていた。
「さ、三南先生?! い、いつから…?」
「ずっといましたよ。まあ、正確に言いますと、10分前でしたね」
「……見てたのですか、練習の様子を?」
彼にそう尋ねると、先生は
「ええ」
と答えてくれた。
「なら、答えは分かっていると思いますけども、あのままだと、恥をかきます」
「……そうですか」
「はい。彼女たちの活動を支援しようとする貴方の”武士道”は……残念なものですよ」
そう述べた私は三南先生の脇を横切ろうとするとーー
「まだ、結論が早いと思います。絢瀬君」
「っ?!」
彼の言葉に思わず振り向いた私は
「結論が早い……?」
と質問した。
「貴方は、彼女たちの一部しか見ていないのです。彼女たちに指導した練習は、確かに苦しいものではある。ただし、その場で、スクールアイドル活動を放棄しようとするなんて、愚か者ではない。彼女たちは……何度も失敗を重ね、成功に近づけるまでに努力し続けます。そういった子ばかりです」
「……くっ」
「私の言葉には納得していないのは、承知しています。でも、いつか必ず、彼女たちの本来の姿に……目の当たりにすることができますよ」
「彼女たちの…本来の姿?」
三南先生はそうですよと頷き、屋上のドアノブに手をかけ、彼女たちへの部活指導に入った。
<お家にて>
『彼女たちの本来の姿に……目の当たりにすることができますよ』
その言葉に印象的に残った私は、モヤモヤとする。私が見てきた苦しい姿は、彼女たちの一部にすぎない。なぜ、三南先生はそう言い切れるだろう。彼女たちを庇おうとしていて、私に対してその都合の良い言い方をしていただろう。そう思っていた。
しかし、なぜか納得できそうな感じもした。あの最後の礼。私に向かって、「明日もよろしくお願いします」と言ってきた。あの元気の良い礼では、練習に疲れてきって言うことができないと思う。そう推測すると、彼女たちにはまだ練習を続ける気合が残っていた。
「……」
部屋の天井を見つめた私は、小さくため息をつき、ベッドから身を起こした。
(彼女たちの本来の姿……それを確認する前に、亜里沙に聞いてみよう)
そう思った矢先に、亜里沙の部屋へと向かった。
「♪♫〜」
「亜里沙」
「あ、お姉ちゃん。」
私が部屋を入ったことに反応し、イヤホンを外した。
「貸して」
亜里沙の側に歩み、空いているイヤホンを耳に着けて曲を聞いた。
「私ね、μ'sのライブを見てると胸がかあって熱くなるの。一生懸命で、めいっぱい楽しそうで!」
そう説明してくれた亜里沙に、私は複雑な表情で否定した。
「全然なってないわ、踊り」
彼女たちの踊りは人を魅了できるほどのレベルになっていなく、曲自体は……あまり感動することができない。オープンキャンパスでダンスするには、まだまだ道のりが遠い。そう思っていた。
すると、亜里沙は
「お姉ちゃんに比べればそうだけど・・・。でもすごく元気がもらえるんだ!」
その答えに対して、私は何だか……悔しさと憎たらしさの入り混じった気持ちが込み上げてきた。私のバレエよりも彼女たちの踊りの方が元気を与えてくれるなんて……。
何かの間違いだ。
<翌日の朝、屋上にて>
「おはよー!」
「おはよう」
「おはようございます!」
真っ先に屋上に集まっていたのは、穂乃果たち二年生組だった。私が来るのを待っているらしく、一番早めに入ってきた。
「……」
私は屋上のドアに近くに立っていて、まだ入ろうとしなかった。彼女たちのやる気さに圧倒され、この場で離れて行った方がいいのではないかとよぎった。
(ここから……離れよう。今日の練習は……無しにする)
そうと決めた矢先にーー
「あら? のぞき見ですか?」
そう聞かれた私は横に振り向くと、昨日私に向かって反対した真姫が立っていた。
「あっ。い、いえ…」
そう答えた私は彼女の脇を横切ろうとした。すると、私がダンスの練習を教えるために早く来たと思った凛は、屋上の方へと私の体を押した。
「おはようございます!」
穂乃果は私に挨拶すると、
「まずは柔軟ですよね?」
理事長の娘であることりは今日やる練習のメニューを確認してきた。
そういった前向きな姿勢に対して、私はーー
「辛くないの?」
「「「「「「「え?」」」」」」」
と聞いた。
「昨日あんなにやって、今日も同じことをするのよ?第一、上手くなるかもわからないのに……」
そう告げると、穂乃果は
「やりたいからです!」
と答えた。
「……っ!」
「確かに練習は凄くきついです。体中すごく痛いです!でも、廃校を何とかしたいと思う気持ちは生徒会長にも負けません!」
(負けないと……?)
彼女の言葉に意表を突かれたまま、穂乃果はさらに堂々と言い続けた。
「だから今日もよろしくお願いします!」
「「「「「「「「お願いします!!」」」」」」」」
彼女たちがそう言って頭を下げると、私はーー。
「くっ!」
悔しさの気持ちが昂り、屋上から出て行くことにした。
(このまま、居続けるのはバカバカしい)
そう思った矢先にーー
「おや、絢瀬君?」
「?!」
目の前に、私は今会いたくない人物である三南先生が立っていた。
「貴方は、どちらの方に行こうとしているのですか?」
その問いに、私は
「……フンっ!」
反抗したい気持ちが強いためか、彼に聞こえないよう小さく鼻を鳴らした。
(先生の質問に答える気分ではない……)
と彼の横を通り過ぎ、その場から離れようと走り去った。
いかがでしょうか?
今回はですね、自分なりのオリジナル展開を入れつつ、絵里の葛藤する気持ちをより奥深くすることに心掛けました。
さて、いよいよ次回!μ'sが9人になるあの印象的な場面になります!その次回ではですね、みなさんにキュンとさせるようなシーンがあります。
なので、乞うご期待を!
それでは、またな!
※ご評価やご感想をお待ちしています! よろしくお願いします