かいゆーです。
いよいよ、平助君を主役とする話をここで終わりますが、彼にはまだ次回も登場させていただきますので、ご心配なく。
さて、今回の話はどういった形で展開されていくのだろうか。
それでは、どうぞ!
<小泉平助の視点、音ノ木坂学院にて>
アキバでの気晴らしが終えてから数日後、俺の出した提案によって、ことり先輩の作詞活動は好転していった。彼女の作詞活動が終えると、作曲の担当である真姫先輩は、それらの歌詞に基づいてアキバの雰囲気が出る曲作りに手がけはじめた。それもすぐに終えることができ、衣装作りだけが残っている。路上ライブ向けの準備がますます完了していくことに、もう何も心配することがないと安心できた。
そんな中、路上ライブの前日に、俺はスクールアイドル部室に来るよう呼ばれた。
「こんな朝早く、部室に集合するなんて……。何があったんだろう」
そう疑問に思っている中、スクールアイドル部室に向かった。スクールアイドル部室の玄関の前に立つと、俺はトントンと扉を叩いた。
「来たよ」
そう答えると、中から返事の声が無い。
「んん? 返事がない?」
ドアノブに手をかけ、右に回してみた。するとーー。
カチャッ
ドアが開いている。
「開いている?」
ゆっくりとドアを押し開き、中の様子を探るように見てみると、誰にもいなかった。
「誰にもいない…?」
部室の全体を見渡した俺は、テーブルの上にあるメモ書きを見つけた。
「うんん? これは?」
それを手に取って、声を出して読んでみた。
『平助君。私たちは屋上の方にいるから、そこで待ってるよ』
「これはお姉ちゃんの字だ。しかも、屋上? なんで、わざわざ俺を部室の方に?」
もしかして、来てほしい場所が間違えただろうか。そう予想すると、メモ書きに書かれている通りに屋上の方へと向かった。
数分ぐらい屋上の方に着いた俺は、屋上のドアをゆっくりと開いた。すると、そこにはーー。
「ああ! 平助君!」
メイド服を身につけている高坂先輩たちが集まっていた。
「うわっ?! ほ、穂乃果先輩?! これは一体……?!」
驚いているまま高坂先輩に聞いてみると、
「これはね平助君、アキバの路上ライブでメイド服を着ることにしたの!」
彼女はスカートの裾を掴みながらそう答えてくれた。
「メイド服を? 何で?」
「ことりちゃんがこのライブのために作詞をしてくれたから、彼女と共にあることを表現しようとメイド服を着ることになったんだよ」
「ほおー。そうなんだ。それはいいアイデアだな」
道理で、みんなはことり先輩とほぼ同じメイド服を着ているのか。なるほどな。
「だけど、どうやって全員分のメイド服を用意できたんだ?」
「あ、それはね。店長にお願いをしてみたら、オッケーを出してくれたの♪」
そう答えてくれたことり先輩はくるっと自分の体を回転すると、メイド服のスカートがフワッとはためく。その可憐な姿を再び目の当たりにした俺はーー。
「すごく綺麗……///」
と不意に本音を漏らした。その言葉を聞いたことり先輩は
「ええっ…?///」
顔から火が出た。
「あっ……///」
自分の口から出た言葉が彼女を恥ずかしくさせたことに、気まずく感じた。その理由で、お互いの顔を見合わせることができなく、横の方に逸らしてしまう。無意識に、俺の言い放った言葉で自分の心臓が高く鳴り響くのを感じる。
(こ、この心臓の高鳴りは……やはり……あれかな…///?)
そう考えると少しだけ息が苦しくなる。
その様子を一部始終で見てた他の人たちは、何やら俺たちの間に起きたことに関して興味を持ち始めた。そういった興味津々な姿勢で最初に聞いてきたのは……。
凛お姉ちゃんだ。
「あれ〜?2人とも顔が赤いよ〜?もしかして〜もうデキているかにゃ〜?」
彼女によるからかいを受けた俺たちは、さらに顔が赤くなり、これ以上恥を晒さないよう一向反論しはじめた。
「な、なんでそんなことを言うんだ凛お姉ちゃん?!?!」
「だって〜。平助君が言った言葉、”すごく綺麗……”って、あんなに本心を込めて言うなんて〜。何かあったのかな〜と思ってね〜?」
すると、彼女の言葉に便乗するような形で、南先輩以外の人たち次々と述べていく。
「確かに…。あの日、平助君がことりちゃんの手首を掴んで、一緒に部室から出ていったよね」
「そ、それにことり先輩は、あまり嫌がる素振りをしていなかった…」
穂乃果先輩とお姉ちゃんがそう述べると、彼女たちの言った言葉の付け加えとして希先輩が言いはじめた。
「そうやね。普通は強く拒否するはずなのにな」
「そうなの、希?平助君はことりさんに対して悪いことをしないと思うけど…」
希先輩の言ったことに絵里先輩はそう疑問を投げかけると、にこ先輩は希先輩の代弁として答えた。
「絵里。男の人に急に手首を掴まれたらすぐに払いのけるはずよ。よく知っている男にもね。だって、何するかは分からないし」
その言葉を聞いた俺は、すぐに反対した。
「おい! 俺が変なことをすると決めつけないで!このちんちくりん!」
俺の言った”ちんちくりん”に反応したにこ先輩は、俺に向かって怒りの表情をぶつけた。
「はあああーーー?!誰がちんちくりんだ?!この小僧?!」
「小僧だと?!俺はお前よりも背が高いから、小僧じゃないし!」
「んだとーーー?!」
にこ先輩との口論が激しくなっていくことに察知したか、真姫先輩は俺たちの口論を止めてくれた
「2人とも!いい加減にして!これ以上喧嘩すると、色々とややこしくなるわよ」
俺たちの口論を遮ろうと介入し、少々呆れたかのようにため息をつく。
「それに、絵里先輩。本題の方に入らないと、平助君をここに来させた目的が分からなくなるわ」
真姫先輩はこの話題に参加しようとせず、ずっとそばで傍観していた。おそらく、いつこの茶番が終わるのだろうかと心の中に思っていただろう。
「あ、そうだった。ありがとう西木野さん」
彼女の言葉に気づいた絵里先輩は、俺をここに来させた理由を話し始める。
「俺をここに来させた理由?」
そう問いだすと、
「ええ、平助君に渡したいものがある」
絵里先輩は俺に向かって歩き始め、あるものを渡してきた。それはーー。
一式の洋服だ。
「これは……なに?」
「これは執事服。平助君に着てもらいたいの」
「し、執事服?! 何で?!」
俺の出した問いに対して、絵里先輩はさらに詳しく説明しはじめた。
「みんなはメイド服で踊るから、平助君だけ学校の制服のまま私たちのライブを手伝えることに、あまりそうさせたくないの。だから、メイドの一種である執事として着れば、μ'sの一員になっていることに一体感が生めるかなと思って」
(要するに俺を仲間外れさせたなく、この服を着てほしいな)
そう思った俺は、執事服を着ることに受け入れた。すると、海未先輩は俺と同じ執事服を両手で持っていることに気づいた。しかし、俺の着る服のサイズとは違ってた。その服はもしや……。
「園田先輩。それは、山南さんの?」
「うん。三南先生の用にも準備していましたけども……。これを着てくれる機会はありませんかね…?」
彼女の言った言葉に、お姉ちゃんたちはしんみりとした表情を見せはじめた。山南さんは、1週間以上ぐらい彼女たちの練習に来ていない。彼が長く来ていないことに、少しだけ寂しく感じているだろう。
(μ'sにとっての山南さんは、欠けても欠かせない大きな存在になっているだな。その気持ち……俺にも分かるぜ)
新撰組にとっての山南さんの存在は、μ'sと同じであることに彼女たちの気持ちに寄り添った。
すると、後ろから聞き覚えのある優しい声がしてきた。
「私のために服を準備してくれましたか、みなさん?」
俺を含め彼女たちと一緒に後ろを振り向くとーー。
優しい笑顔で微笑む山南さんが立っていた。
『さ、三南先生?!?!』
「うわ、山南さん?!」
彼がその場で立っていたことに驚く俺たちは、思わず声を上げてしまった。
「い、いつの間にいたんですか?!」
そう訊ねた穂乃果先輩に対して、山南さんは
「先ほど着いたばかりですよ、高坂君」
と答え、ここに来るまでのいきさつを説明する。
「最初は部室の方に顔を見せましたが、みなさんが屋上の方にいるとテーブルの上に置いてあったメモ書きを読んでね。急いで来ましたよ」
「そうなんですか…!」
「ええ」
「顔を見せよう……と。てことは、訴訟の問題についてはもう解決されているのか?」
俺の問いに、山南さんは微笑みで頷いてくれた。
「私の立場を弁護してくださった弁護士は、相手側の行った行為がそもそも重大な犯罪であり、私からの慰謝料を求めようとするなんて論外だと反論したのです。18歳未満の未成年者をその場で服を脱がそうとする行為は児童淫行罪にあたり、10年以下の懲役または300万円以下の罰金を科することになると仰いました。弁護士からの正論を受けた相手側の肩身は狭くなり、抗議できないほど意気消沈し、結果として私は慰謝料を払わなくていいと話をつくことができました」
その吉報を聞いた俺たちは、フッと胸を撫で下ろすことができた。特に、絵里先輩。彼女はそれを聞いてとても安心した。
「本当によかった……三南先生。私のしたことが、先生をこんなに困らせるなんて…」
と絵里先輩は申し訳なさそうな表情を見せると、
「絢瀬君。そう重く受け止めなくてもいいですよ。あなたを守るためなら、こういった厄介なごとに巻き込まれるのは存じ上げています」
そう告げた山南さんは、絵里先輩の後めたさを和らげた。
「あなたたちのスクールアイドル活動を守ることは私の役割なので、悩みやトラブルなどを抱えているときに私に頼ってください。すぐに駆けつけます」
と彼女たちにそう安心させると、海未先輩の前に歩いた。
「園田君。その服は、私に渡してもらえますか? どういった格好になるのかを試しに平助君と一緒に披露したいと思います」
その言葉を発すると、俺を含め彼女たちと一緒に驚きの声を上げる。
『ええーーー?!?!』
「さ、山南さん?! 披露って、今から?!」
「ええ。なにせ、彼女たちは私たちの執事の姿にご興味を持っているので、その期待に応えないとね。平助君」
お姉ちゃんたちが俺たちの執事の姿を見てみたいのを知ると、俺は真っ先にことり先輩の方を見た。するとーー。
「……///」
俺が執事服を着ることにどんな格好になるのかを意識し、そっぽを向いたまま彼女の耳は赤くなっている。その行為を見とった俺は……。
(……やっべー。少し恥ずかしくなったよ///)
とごクリと唾を飲み込み、緊張感が高まってきた。
「わ、分かった。山南さん。着てみようか…」
〜〜〜〜〜
数十分後
〜〜〜〜〜
<南ことりの視点>
私の作った執事服を受け取った三南先生と平助君は、それらの服に着替えようとすぐに屋上から出ていった。彼らの着替えが終えるまでに、私たちは2人の執事の姿について話し合いはじめる。
「三南先生の執事の姿……どんな感じだろう…?///」
顔が少し赤くなっている穂乃果ちゃんに対して、
「そ、それは似合っていると思いますよ穂乃果……。”うん”…」
海未ちゃんはそう答えた。冷静さを保っている海未ちゃんは、穂乃果ちゃんのように赤面していない。しかし、幼なじみである私から見ると、三南先生の執事服を見ることに心の底からドキドキしている。そう言えるのは、彼女の言い放った『うん』は少しだけ上ずっているからだ。
「そうだよ、穂乃果ちゃん。海未ちゃんの意見と同じくきっと似合う」
そう言った私は、無意識に私の口からーー
「そ、それに……平助君も…///」
と発言してしまった。この言葉を凛ちゃんは聞き逃さなかった。
「あら〜ことり先輩? やはり、平助君とデキているんだね〜?」
「そ、そんなことがないよ凛ちゃん!ただ、気になっているだけ……///」
そう慌てて訂正したが、
「そうかにゃ〜?」
私の答えに対してまだ半信半疑である。より詳しく知ろうと探ろうとした矢先に、花陽ちゃんは私を助太刀してくれた。
「り、凛ちゃん。あまりことり先輩を困らせないほうがいいと思うよ……」
花陽ちゃんはそう注意すると、凛ちゃんは『は〜い』と言って身を引いた。
「そういえば、白衣以外の三南先生の姿を見るのは新鮮に感じるね。これ初めてじゃない?」
「確かに。にこも見たことないよね、三南先生の他の姿」
真姫ちゃんの意見に同意したにこ先輩は、白衣以外の三南先生の姿について述べ続けた。
「廊下で会うたびに、先生はずっと白衣を来ているから、それしかないのかな? 学校で着ていくのを」
「それはどうかな? 理科の先生やから、薬品の使った実験をすることが多いから、汚れ防止として着とるとちゃうん?」
「でも、希。私たちが三南先生の授業を受けるときに、実験のない日でも白衣を着ているから、汚れ防止として着ているとしたらよほど潔癖症だと思うよ」
「にこの言ったとおり。汚れ防止として毎日着ているのは、異常だね。もしかして、白衣を着ること自体が彼のチャームポイントかな?」
絵里先輩はそう言うと、自分の耳の中に入った言葉に対して不思議に思え、にこ先輩の注目は絵里先輩の方に向いた。
「チャームポイント?」
「うん。毎日着ているならば、おそらく三南先生は、自分の白衣姿に気に入っていると思う。これって、みんなにはよくあるものじゃない?出かけるたびに、毎回好きなワンピースを着て行くとか」
「ああ。確かにね」
矢澤先輩はそう納得するとーー。
ガチャっ!
屋上のドアが開いた。
「もう着替えてきましたよ、みなさん」
三南先生はそう答え、彼の姿が少しずつ明るみに出てくると、私たちはーー
『っ?!?!?!///』
言葉を失ったほどの衝撃が走った。
「どうですか? 私の執事の姿」
三南先生は執事らしく胸の辺りに手を当てて礼をし、私たちにそう問いかけた。彼の執事としての姿は、まるでおとぎ話の世界から飛び出してきたような姿になっており、あまりのにあわしさに心が大きく弾けた。
「さ、さささ三南先生の!!!し、ししし執事姿……!!!///」
「こ、ここここんなに印象が変わるなんて……!!!し、ししし信じられません!!!///」
穂乃果ちゃんと海未ちゃんがそう驚くと、
「す、すすすごく似合ってます!!!///」
「せ、せせせ先生の執事姿!!!ず、ずずずずっと見とれてしまうにゃ!!!///」
「な、ななななかなかな……っ!!!す、すすす姿だわ!!!///」
1年生たちは穂乃果ちゃんたちと同じくどもる。
「こ、これこれは……かなりの破壊力やな……///」
「やベーっ……。これは心臓に悪いよ。マジで、失神するかと思ったわ…///。なあ、絵里」
東條先輩と矢澤先輩がそう言い終えると、絢瀬先輩はーー。
「……ハ…」
「んん? どうしたん、エリチ?」
「…ハ…ハ…ハ…」
「は…?」
「ハラショー!!!///」
「「…っ?!」」
ライオンのような雄叫びを上げ、顔は真っ赤に染まった。
「や、ややややややばいやばいやばいやばいーーー!!!///」
「ちょ、ちょっと絵里?! どうしたの?! なんで、急に声を上げて?!」
「だ、だだだってにこ?! 三南先生の執事姿は……と、とととても!!! か、かかか格好良いよ?!?!///」
「そ、それは分かるけど!!! で、でも動揺しすぎ!!!」
矢澤先輩は慌てふためく絢瀬先輩を落ち着かせようとしたとき、三南先生は彼女たちの方に歩いた。
「絢瀬君」
「は、はい…?!」
またも驚きの声を上げてしまった彼は、三南先生の方に視線を移すと、山南先生はーー。
「私の執事の姿が格好良いと大声におっしゃるなんて……少しだけ照れますね……」
と頬がちょっとだけ赤くなり、顔が微笑む。その照れる表情を見た綾瀬先輩は……。
「っ?!?!///」
ぐらっ
「ああっ?!絵里?!」
「え、エリチ?! しっかりして!!!」
後ろの方に体が倒れ、地面の方に落ちないよう矢澤先輩と東條先輩は彼女の体をタイミングよくキャッチした。
「ハ、ハラショ〜……///」
顔から蒸気が出てるかのように顔は赤くなっており、気絶している。
みんなが三南先生の執事姿にうっとり見とれているのに対して、私はあまり……
彼女たちと同じ気持ちになれなかった。
なぜだろうか。
先生の執事姿はよく似合っているとそう強く思う。本当に、冗談なしで彼はおとぎ話に出てくるような見た目をしていて、一瞬私の心はドキッとした。
けれども、そのドキッとした心は……あまり大きくはなかった。
やはり、私は平助君の執事姿に期待して、そっちの方を早く見たい気持ちは強いだろう。
そう考えると、平助君の執事姿をいち早く見てみたい
そんな気持ちが焦りはじめると、屋上ドアは再び開く音がした。おそらく、平助君は着替えを終えているだろう。そう思った私は、急いで平助君の方に駆け寄った。するとーー。
「どうかな? 俺の執事姿……?」
初めてとは思えない執事の服装をきちんと着こなしている。平助君の執事姿は、三南先生みたいにスマートな格好をしていない。どちらかというと、明るさがより引き立てさせるフレンドリーな雰囲気を出していると思わせる。
そんな雰囲気を出している平助君に対して、マジマジと見つめてしまう。
「す、すごく似合ってるよ平助君……!!!」
「そ、そうか?」
「うん! 平助君の執事姿……カッコいい///」
私の発した言葉に少しだけ驚きの顔を見せた平助君は、すぐに微笑んでくれた。
「ありがとう、ことり先輩。これに着替えるのは恥ずかしいけど……そう言ってくれると、着替えた甲斐があったな///」
そう恥ずかしげに言うと、お互いの顔は赤く染まっていき、クスッと小さく笑いあった。
<南ことりの視点、アキバの路上ライブにて>
ライブ当日を迎えた私たちは、アキバのとある路上の方で準備をしている。穂乃果ちゃんたちは私たちのライブについてのビラ配りをしている間、私は作った曲の歌詞を覚えているか1人で確認している。
「Wonder Zone~♪キミに〜♪ 呼ばれたよ〜走ってきたよ〜♪」
「おお、ことり先輩」
後ろの方から平助君の声をし、振り返った。
「ああ、平助君」
「1人で歌の練習をしているのか?」
そう聞かれた私は、
「そうだよ」
と答えた。
「そうか。まあ、今日はことり先輩にとって、初めてセンターで歌うからな。そりゃ、緊張するのは分かるよ」
「うん。だから、緊張によって歌詞が飛ばないようにきちんと対策しないとね。大丈夫かな、本番……」
「まあ、そう心配するな。きっとうまくいくのを信じてるぜ!」
天真爛漫な笑顔で私の不安を和らげた。そのおかげで、高まっていった緊張感が解けていった。
それと裏腹に……。
とある気持ちが芽生えていくのを感ずる。
この気持ちは、彼と一緒にアキバで遊びに行った時に、幾度もなくその気持ちが表れた。だけど、当時その気持ちは何なのか、家に帰るまでに見当がつかなった。
〜〜〜〜〜
『彼と一緒にいると胸が高鳴りをするの、ママ。この気持ちは……何なの?』
ママにそう尋ねると、ママは私に向かって微笑んだ。
『ことり。彼と一緒に胸が高鳴りをするのというのは、彼のことが気になっているという証だよ。でも、”気になっている”という意味はね、ただ単友達として気にかけているじゃないよ』
『そ、そうなの?』
『ええ。ことり。彼のこと、頭から離れていないよね?』
その問いに対して、私はうんと頷いた。
『だとしたら、その気持ちはーー』
〜〜〜〜〜
「じゃあ、俺は山南さんの方に行くから、またな」
平助君は私の下から離れようとした瞬間、私はーー
「へ、平助君!」
咄嗟に彼を呼び止めてしまった。呼び止めた平助君は私の方に振り向く。
「んんっ? どうかしたのか、ことり先輩?」
まっすぐ見つめてくる彼の顔を見つめることができそうにない私は、目を閉じながら口を開く。
「わ、私…!。私はね!その…。へ、平助君のー」
とその時、神様によるイタズラによってか、穂乃果ちゃんが現れた。
「ああ、ことりちゃん!ビラ配りは終わったから、もうそろそろ出ないと!」
そう言われた私は、穂乃果ちゃんの方に
「う、うん! すぐに行くよ!」
そう答えると、
「じゃあ、待っているよ!」
穂乃果ちゃんは私たちの下から去って行った。
「そ、それじゃあ私そろそろ行かないと! また、後で!」
「お、おう…。頑張って! ことり先輩」
結局、彼に言おうとしたことに言えないまま、穂乃果ちゃんたちの方に向かった。
穂乃果ちゃんたちのビラ配りのおかげで、観客は大勢に集まってきた。集まってきた人の数は、たぶん100人以上も及ぶだろう。そう考えた私は、少しだけ息が苦しくなる。
(うう……。緊張してきた…。センターで初めてこんなに多い人たちの前に、歌うなんて…。大丈夫かな)
不安げに思う中、頭の中に平助君の言葉がよぎる。
『まあ、そう心配するな。きっとうまくいくのを信じてるぜ!』
彼の後押しを受けた私は、もう一回自分自身を奮い立たせた。
(そうだ。平助君は私のことを信じている。だから、穂乃果ちゃんたちと平助君のためにも……このライブを成功させてみせる!)
自分に自信を持たせることができた私は、観客たちの方に見渡した。そして、深呼吸してからこの街のために思ったことを綴った歌を……歌いはじめた。
〜〜〜〜〜
【Wonder Zone】
〜〜〜〜〜
曲が終わった後、観客たちは大拍手を送りながら歓声が響き渡っていた。ライブは大成功だ! そう感じとった私は穂乃果ちゃんと海未ちゃんの方に向くと、お互いの顔が笑った。その後、ステージの横に立っていた平助君の方に向くと、平助君はーー。
「いいぞー!ことり先輩!とても良かったぞー!」
と大声で発した。
彼の喜ぶ姿を見た私は、またも心が弾けた。その弾けた音によって、私は……
彼ことしか考えることができなく、彼の笑顔を見れたことにとても嬉しくなる。
そう思った私は、今度こそ伝える!
平助君に対する私の想いを!///
(平助君…。私は平助君のことがー!)
いかがでしょうか?
平助君とことりちゃんの関係はどうなっていくのかを気になりますね!それに、山三南先生の執事姿……。
ゾクっとしますね〜!
さて、次回はあの名場面の夏休み編に入ります!
どういった話になっていくのかを乞うご期待を!
それでは、またな!
※ご評価やご感想をお待ちしています! よろしくお願いします