夢幻の魔女がゆく!   作:風里

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書きたいところだけ書いてく所存。
合間合間は想像力で補完宜しくお願いします。


幕間的な何か

「ごめんモモンガさん!!」

 

少女―――名はセレスティア・オルドローズ。

幻の42人目と謳われたアインズ・ウール・ゴウンのギルドメンバーその人である。

 

幻の、と言われ続けた実在しており、更にはかなりの出不精である上にかなりのドジっ子であった。

ゲーム内だと言うのに廊下を歩いて移動すればなぜか転び。

リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを使用してナザリック内を転移で移動すれば、なぜか見当違いな場所に飛び。

他にも「お前……わざとか?!それとも別の人間が操作してんのか?!」と怒られるような逸話がいくつもあるが、それらドジっ子属性(一部ギルメンからは「ドジっ子萌え」との評価有り)はナザリックの外に一歩出ればピタリと治まった。

故に何人かのギルメンは彼女を外に出そうと奮闘するのだが、結果だけ述べるとその努力は実を結ぶことはなかったとだけ言っておこう。

 

そして、そんな彼女がナザリック内で慌てた状態で転移を行えば……。

 

 

「あっるぇ?!」

 

確かに玉座の間を選択したはずなのに?!!!

 

――――彼女は現在、宝物庫に転移していた。

 

「なんで?!」

 

泣き声交じりに声を上げて、セレスティアはその場に座り込む。

 

「うぅ……もう1回……」

 

ちらりと視界の片隅に表示されている時刻を見つつ慎重に転移先の【玉座の間】を選ぶ。

そして、視界が切り替わり、ギルドメンバーの旗が飾られた玉座の間の最奥に置かれた正しく魔王に相応しく作られた玉座に腰掛けるギルド長、モモンガへと頭を下げた。

 

「モモンガさん、ごめんなさい!」

 

「構いませんよ、セレスティアさん。で、今度はどこに間違って転移してたんですか?」

 

「宝物庫に行っちゃいました……。でも相変わらずパンドラは格好良かったです!!」

 

「グハッ!(吐血)」

 

「モモンガさん!?大丈夫!?」

 

FF(フレンドリィ・ファイア)は禁止されてるはずなのに……。ハッ!これがリアル精神攻撃?!」

 

「モモンガさん?」

 

「あ、いえちょっと(精神的な)ダメージが」

 

「えー!ドイツ語とか軍服格好いいと思うんだけどなぁ」

 

「ゴホン、セレスティアさん、そういえば最後の最後になにやらやたらと買い込んでましたけど、良かったんですか?」

 

「だって大切な場所だからね!最後になるだろうけど良い物を持っておきたかったし、それにぶっちゃけると私、現実世界(リアル)だともう死ぬ寸前だったんだよね。よくある気管支系の病気」

 

「え、……そんな、」

 

「だから最後に必要な分だけ残して、持ってた個人資産全部ユグドラシルにぶっこんじゃった!」

 

「…………確かセレスティアさんの個人資産って」

 

「うん、3億くらいあったかな多分?モモンガさん。私、モモンガさんがいてくれて良かった。最後までナザリックに、アインズ・ウール・ゴウンにいれて良かった。ありがとう、悟くん(・・・)

 

「……」

 

静寂が支配する。明るく振る舞うセレスティア……否、鈴奈に悟は何も言えなかった。

 

「さて、暗い話は終わり!そんなことより、ぎりぎりで手に入れた世界級(ワールド)アイテムがやばいの!!」

 

セレスティアは嬉しそうにモモンガに手に入れたアイテムたちを一個ずつアイテムボックスから取り出して見せている。

 

なんで、とモモンガは心の中で呟く。

幼い頃に死んだ両親、友人と言える存在はユグドラシルだけだった自分にとって唯一と言って良いほど近しい関係だったセレスティア(かのじょ)さえ、失うことになってしまうのか。

 

すぐに次のゲームとは思ってはいなかった。けれどいつかまた、と考えていたのに。

セレスティア(かのじょ)とはもう遊べない?よくある気管支系の病気だといった。確かに、外に出る時はガスマスクが必要なこの世界で気管支系の病気なんてそれこそ吐いて棄てるほどある。でも、彼女はユグドラシルの中でもかなりの重課金者といえるほどの金を持っていた。その気になれば治療だって受けられた。それなのに、死ぬ、なんて。

なんでそんなに笑っていられるんだ。なんで、なんで、なんで。

 

「モモンガさん。大丈夫、最後じゃないから!」

 

「それってどういう」

 

 

――――その瞬間、世界が変わった。

 

 

 

 


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