夢幻の魔女がゆく!   作:風里

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魔女は思考する

守護者たちとの邂逅は無事に終わり、最後に「我らをどう思っているか」という質問に対する各守護者の答えが好評か過ぎてモモンガが無いはずの胃を痛めていると。

 

「カッカッカッ、随分な評価じゃな」

 

「ティアさん、勘弁してくださいよ……。端倪すべからざるとか初めて聞きましたよ」

 

「良いではないか。坊にぴったりの評価じゃて」

 

「まったく……。あ、そうだ、これから遠隔視の鏡(ミラー・オブ・リモート・ビューイング)で周辺に人がいないか見ようと思うんですがティアさんもどうですか?」

 

「いや、己は他にやりたいことがあるからのぅ。緊急時ではあるがこのナザリックが現実のものとなった今!あそこに行かぬ道理は無い」

 

「あそこ?…………あ、」

 

「うむ。スパ ナザリック!Barナザリック!!そして……タブラ特製ホラーギミック、アルベドの姉であるニグレド!!」

 

「あー……ティアさん、かなりのホラーマニアでしたもんね。スパとBarは俺も気になるけど……」

 

モモンガは言葉を切ると自身を見下ろすと骨の体に肩を落とした。

 

「こうなるって分かってたら生身の体にしたのになぁ……」

 

「……ふむ。坊よ、これをやろう」

 

セレスティアはインベントリからなにやら取り出すと、ぽいとモモンガへ投げる。

受け取ったモモンガはそれを首を傾げる。

 

「指輪?」

 

「人化の指輪じゃ。人化するとレベル的には50くらいに抑えられてしまうが、異形種が唯一人間種へと変化できるアイテム。だが、しばらくはそれの存在は隠しておいた方が良かろう」

 

「確実に、ここが安全だと言い切れるまで、ですね」

 

「うむ。食事はそうじゃな、己の部屋に来ると良い。さきほどメイドの一人に茶の用意を頼んだしの」

 

「本当ですか!さすがティアさん!!ありがとうございます!!必ず行きます!!それではのちほど!」

 

骨が嬉しそうに声を弾ませてルンルン気分で部屋へ入っていく。

それを見送ると、廊下の向こうからセバスがやって来た。

 

「セバスか」

 

「セレスティア様。こちらにおられましたか。モモンガ様とご一緒かと思ったのですが」

 

「ああ、坊からばこの先におる。なにやらお前たちに任せた範囲外で人間を探すようじゃ」

 

「然様でございましたか。ですが、セレスティア様、側付きのロストとナイトメア連れずにお一人で出歩くのは」

 

「あー、良い良い。己はこのあと部屋に戻るからの。セバスは坊についておれ。あれも一人で黙々と作業するのは嫌いではないだろうが。あぁ、それから二時間後、坊を己の部屋に来るように伝えてもらえるかの。坊にも言ってあるが、夢中になって忘れそうじゃ」

 

「承知致しました。二時間後、モモンガ様にその旨お伝えいたします」

 

「セバス。主に一つ聞きたいのじゃが」

 

「何なりと」

 

「階層守護者並びに領域守護者、守護者統括らが叛意を持つ可能性は?」

 

その瞬間、セバスはセレスティアの足元に跪き、頭を垂れた。

その様子は現実世界(リアル)においてセレスティア、否鈴奈が会社でよく見た、解雇通告(リアルにおいて解雇通告は死刑宣告に等しい)を受けた社員のような。

 

「!! セレスティア様、そのような可能性は万に一つ、億に一つもございません!この地に残られた慈悲深いモモンガ様とセレスティア様にそのような、叛意など……!」

 

「……そうか。良い、頭を上げよ」

 

「セレスティア様……どうか、どうか」

 

「セバス。主の気持ちは良く分かった。お前たちシモベはそうではないかも知れんが、今このナザリックは未曾有の危機に晒されている。モモンガとてそれを理解し動いている。だが、だがな。その未曾有の危機故にお前たちが叛意を抱かない可能性が皆無ではないのだ」

 

「確かに、そうではございますが……」

 

「たとえば……そうじゃな。洗脳などのスキルやアイテムがあればどうじゃ?ただのスキルであれば対策の立てようもあろう。モモンガやシャルティアのようにアンデッドであれば洗脳は効かないかもしれんが、それがワールドアイテムであれば?主もたっち・みーに連れられていたならば理解できるじゃろう。ワールドアイテムの効果はワールドアイテムでしかキャンセルできぬ」

 

「セレスティア様はこの世界にもワールドアイテムが存在するとお考えなのでしょうか」

 

「可能性の話じゃ。ナザリックが転移した以上、ありとあらゆる可能性を考慮せねば生き残れぬ。セバス、ナザリックいる総てのシモベに伝えろ―――“思考せよ。己が主が何を求め、何を成したいのか、良く考えよ。我らの命令だけを聞き、ただ付き従うだけの木偶はいらぬ”」

 

「御意!」

 

(わたし)は部屋に戻る。セバス、モモンガを一人にするなよ」

 

セレスティアはセバスの返事を待たずにリングを使って転移をした。

部屋には咲きに戻っていたロストと待機をさせていたナイトメアが待っていた。

 

「待たせたのう」

 

「……さっき、シクスス、来た。時間、変わりない?」

 

「うむ。二時間後、モモンガも来るから追加を用意してもらわねば」

 

「……了解」

 

「お嬢、モモンガ様は骨だろ?」

 

食えんの?と聞きたいのだろう。

セレスティアは事も無げに応える。

 

「人化の指輪を渡しておいた」

 

「さっすが~」

 

「それにしてもシモベたちの忠誠心はどうにかならんもんかのう。あれではモモンガの精神が擦り切れかねん」

 

「そうあれ、と創られてっからなぁ。多分無理だと思う」

 

「そう言う主らはどうなんじゃ」

 

「多分、ナザリック所属か個人所属かの違いだと思うぜ?」

 

「そういうことか……めんどうじゃな」

 

「ま、我慢するしかないだろ」

 

「めんどうじゃのう……」

 

セレスティアはそっとため息をついた。

 

 

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