戦術人形は提督に奢られたい   作:山の漁り火

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プロローグ

 ――バキバキバキッッ!!

 

 何かが破砕される嫌な音と共に、私のダミー人形(ドール)との通信(リンク)が途絶えた。

 

 連絡が取れなくなったのは、船の後方で警戒していた最後の“4体目”。これはつまり私の“分隊”が、私を除いて全滅した事を意味している。

 

「あーあ……こんな所で全滅かあ……」

 

 ボロボロになった哨戒艇の甲板の上で、私は空を見上げながら呟いた。あいにく見上げた空は青空でなく、白い霧に覆われていたけど。

 

 今回の“作戦”の為に、急遽整備された大戦前の骨董品。そんな小さな船の甲板にいるのは、もはや私一人しかいない。

 一緒に船に乗っていた人間の船員さんたちは、既に全滅。霧の中で突如襲ってきた謎の敵――“赤く光る眼を持つ黒い生物らしき群れ”に襲撃され、あっという間だった。

 決死の迎撃も虚しく、敵の砲撃と体当たりで舵をやられ……そこからは惨劇だ。

 大口を開けた化け物たちによって、船員は一人ずつ海へと引きずりこまれ、姿を消していった。

 

 私のダミー人形たちも、恐らく今頃は彼らの(ごはん)だろう。まあいくら生体部品が使われているとは言え、人形(ドール)である私を食べても美味しくないと思うけど。

 

「――お腹すいた」

 

 私のお腹が小さくぐうと鳴り、ふと朝食べた携帯食糧(レーション)の味を思い出す。取り立てて美味しいわけでは無かったけれど、いつもすぐにお腹がすいてしまう私にとっては貴重な食べ物だ。もっと味わって食べておけば良かったと後悔したけれど、今となってはもう遅い。

 

 ――とそんな事を考えていると、妖しく眼を光らせた化け物たちが再び海面へと姿を現した。

 

 最後に残った私と船にトドメを刺すべく、船を周囲を泳ぎ始めた彼らに、私はなけなしの銃弾を浴びせる……でも、それが効いているのかいないのか、化け物たちはお構いなしとばかりに悠々と海面を進む。

 

「……ここまで、なのかな」

 

 最後の弾倉を撃ち終えた時点で、私は諦めの境地に達していた。

 彼らの体当たりの衝撃を受けて、既にボロボロだった哨戒艇が傾き海中へと沈んでいく。

 

「こんな事になるなら、もーっとお菓子持って来ればよかったなあ……」

 

 がくんと船が揺れた衝撃で海へと投げ出された私――“FF FNC”が最後に考えていたのは、冷蔵庫の奥にこっそりしまってある私のお菓子(へそくり)の行く末の事だった――

 

 

 

 

 ――ビスケット、クッキー、ラムネにガム。

 

 ドーナツとキャンディ、チョコレート――

 

 

 

 

 ……あ。一度でいいから、()()()のお菓子も食べてみたかったなあ……。

 

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