――8月20日
「――おーい、五十鈴のねーちゃーん! こっちこっちーっ!!」
「もう、佐渡っ! 任務中なんだからちゃんと隊長って呼びなさい!」
「……ふふ、お待ちしてました、隊長」
「まったくもう……対馬からもちゃんと言ってあげてよね? ……で、どうやらここが“沈没地点”みたいね」
*
「残骸から見るに、船員の生存は絶望的ね。……残念だけど」
「襲われたのはクルーザークラス……襲ったのは深海棲艦の駆逐級でしょうか」
「一体どこの船なのかしら……磯波、確か鎮守府周辺の港の出港記録は」
「はい。どの港にもこの数日に掛けて、同クラスの出港記録はありません」
「じゃあ、“大陸”からの漂流船かしら。もう、鎮守府は
「うへー、血がついてる。食われちゃったのかな……うひゃあ!!」
「!? どうしたの、佐渡?」
「あ、あし……
*
「……よく出来てるけど、これは“人間の”脚ではないわね」
「えっ!? ……ほんとだ、ちぎれたところからコードが飛び出てる」
「“機械の脚”って事ですね。それにしてもすごく精巧に出来てる……義足でしょうか?」
「うーん……。義足だとしたら、これってどう見ても“女の子”の為の脚よね。肌の質感もまるで本物の人間みたい。何なのかしら、これ?」
「――五十鈴隊長! 今度は“腕”が見つかりました。しかも“銃”を持っています」
「ふーん……これは突撃銃……『アサルトライフル』ね」
「とつげきー!? 突撃銃って名前、カッコいいなっ!」
「ふふ、佐渡ねえさんったら。ところで、それも大陸製の銃器ですか?」
「うーん、ちょっと待ってね……『
「えっと……たぶん『FNC』だと思います」
「えふ、えぬ、しー?」
「はい。ベルギーで開発されたアサルトライフルです。軍への正式採用は少なかった銃なので、メジャーな銃ではありませんが……」
*
「う、うーん……」
私が目を覚ますと、そこは白い砂浜の上だった。
損傷した体を起こして周囲を見渡せば、誰もいない静かな光景が広がっている。
もしかしたら、偶然にも今回の作戦目標であった島に流れ着いたのだろうか。
……いや、違う。
そもそも今回の緊急作戦――『無人島に潜む鉄血製戦術人形と、施設の調査』において、ヘリコプターを使わずにわざわざ船を使ったのは、島にヘリコプターが着陸できる平地が見当たらなかったから。
この島の砂浜は広い。作戦前に見た地図とは明らかに違う。
「……どこなんだろう、ここ」
途方に暮れる私に答えるように、私のお腹が『ぐう』と鳴った。