結局のところ、私は当分の間“
「第一も第三も……総司令部も今は『
と語るのは、第二鎮守府の提督である夜凪大佐。ナマヤツハシ美味しかったです。
ちなみに夜凪大佐が言う『
話は数週間前にさかのぼる。艦娘の活躍で深海棲艦はニホンの近海からほとんど駆逐され、戦況がだいぶ落ち着いていたらしい。それでも
ところが、数週間前に突如深海棲艦の艦隊による大攻勢が開始され、取り返していたはずの海域を再び奪われてしまった。敵の攻勢は凄まじく、総司令部はまず一度撤退し態勢を立て直す事に決めた。
おかげで勢力図は逆戻り。各海域における要の基地や泊地はなんとか死守したため、そこを橋頭堡として深海棲艦を蹴散らし、再び海域を取り返す――それが作戦の概要とのことだ。
「まあ、そんなわけで何処の鎮守府も忙しいんでね……まあうちもそんなに暇ってわけじゃないはずなんだけど、はは」
そう言って、提督はすまなそうに頭を掻いたけど……。
私としては別にその決定に問題はない。
私は『
司令部への連絡が出来ない以上、私はその規則に従い帰還しなければならない。
とはいえ現状は、司令部への帰還の手段なんて見当も付かない。
しかもこの世界に来て船員さんもダミー
協力者がいなければ……つまり鎮守府に保護されなければ私は
当面はここのお世話になり、帰還の手立てを探す――それが現在取れる最も有効な手段だろう。
というわけで、私に選択肢なんて無いのだ。
*
――パリポリ。パリポリ。
「もぐもぐもぐ……」
大佐との話を終えて主計科に寄った私は、そこでお菓子を食べていた。
うん、単にオニギリのお礼を言いに来ただけなんだけど……ほんとだよ?
お礼を言った後、事務員さんが食べている物が気になって、じっと見てたら「……食べるかい?」ってお菓子の袋を渡してくれただけ……どう見ても催促ですね、ごめんなさい。
「この
「だろ! クラッカーじゃなくてお煎餅だけどなー」
隣に座ってぱりぽりオセンベイを食べるのは佐渡ちゃんである。そっか、これが“オセンベイ”なんだ。
表面は香ばしくてしょっぱい。佐渡ちゃん曰わく、ショウユが塗られているんだって、あのサザエのツボヤキにもショウユがあればなあ。
――ショウユの香りと味。パリポリと小気味良く音を立てる食感。
サザエを食べた時に気付いた事……この世界で新しい食べ物を食べる時、
やがてその経験値は私のAIの発達へと繋がる。戦術人形に限らず自律人形のAIはまだまだ発達途上。“新鮮な経験”に飢えているのだ。
もし帰還できた時は、その経験値を共有して、他の戦術人形のAIの発展に使う事もあるかもしれない。
帰還の方法を探す以外に、私にはもう一つの目標が出来ていた。
いつか帰った時の為に、このニホンにある食べ物――特に気になるのはお菓子だけど――をたくさん食べようって。
そう私は決意して、事務員さんが持ってきてくれた沢山のオセンベイを頬張った。