剣と杖と先生   作:雨期

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連続更新が停止してしまった。なんたる未熟。恥ずかしい限りです


第13話『若き天才達』

 今日はもう春休み。俺の仕事は休みという訳にはいかないけれど、それでも仕事量は……普段より多いかもな。何せ長期の休みは部活動が盛んになる。器具やらなんやらの修理が押し寄せてくる。

 そんな中の暇な時間、茶々丸が会わせたい人がいるからとロボット工学研究会ってところに連れてきてもらった。何でもここに茶々丸を作った人。つまりは生みの親がいるそうだ。

 

「ハカセ、超さん、こちらが衛宮士郎さんです」

 

「初めまして、衛宮士郎だ。随分と若いんだな」

 

「葉加瀬聡美です。みんなからはハカセって呼ばれています。茶々丸からは話を聞いていますよ」

 

「超鈴音ネ。超でいいヨ。中学生だから若くて当然ネ。茶々丸もハカセもそして私も同じクラスネ」

 

 は? 中学生!? 確かに見た目はそのくらいだが、その歳で茶々丸を造ったのか? 刹那や楓、クーみたいな運動系の天才から彼女らのような頭脳系の天才までいるのか。ネギ君は彼女らのクラスの担任だったな。天才の寄せ集めか?

 

「茶々丸がここ最近かなり変わったのは衛宮さんのおかげなんですね」

 

「俺のおかげ?」

 

「はい! 茶々丸の人工知能が人の感情のようなものを表し始めました。これは今までなかった変化です。特に衛宮さんといる時にはこれが顕著ですね。一番大きく変化したのは期末テストの前日なんですが、何かありましたか?」

 

 ノートパソコンを弄りながら質問してくるハカセ。あそこの画面に茶々丸の変化が映し出されているんだろう。

 えっと、期末テストの前日といえば図書館島から脱出した日か。あの時には茶々丸とエヴァに抱き付かれたな。俺も顔が赤かったそうだけれどエヴァも相当だった。あれは人をからかおうとして自滅した遠坂と同じ感じだ。

 

「あの日は「士郎さん」どうした茶々丸?」

 

「秘密にして下さい」

 

「あ、ああ」

 

「おやおや、これは聞くのは無粋みたいネ」

 

「うーん、気になりますね」

 

「茶々丸はまだ稼働して2年ヨ。色々な事に刺激を受けて変化するのは良い事ネ」

 

 待て、稼働して2年? いや冷静に考えればガイノイドだから見た目通りの年齢の筈がない。そうか、つまり茶々丸は2歳……違和感が凄いな。

 

「さあ茶々丸。改造の時間ヨ」

 

「よろしくお願い致します」

 

「改造? 何をするんだ?」

 

「茶々丸たっての要望で食べ物を食べられるようにするんですよ。食べると言っても味とかは分からないですし、エネルギーの変換効率は悪いですし、色々と機能を削る必要もあるんです」

 

 デメリットがかなりあるんだな。そんな改造をわざわざやるなんて、茶々丸は俺に気遣ってくれているんだ。

 

「なあ茶々丸、気持ちは嬉しいんだが無理してそんな改造をしなくてもいいんだぞ」

 

「? これは私の我が儘です。マスターと士郎さんと共に食事を取りたくなったのです」

 

「俺が無理して食卓に誘うからじゃないのか?」

 

「確かに最初はそうだったかもしれませんが、今は楽しみにさせて頂いています」

 

「……そうか。ならこれからはもっと楽しみだな」

 

「士郎さん、改造には時間が掛かるヨ。少しお話ししないカナ?」

 

 

ーーーーーー

 

 

 超からお茶を出され、口をつける士郎。

 

「旨いな」

 

「これでもお店の店長ヨ。さて士郎さん、単刀直入に聞くが、何者ネ」

 

「魔法使い、じゃあ納得しないよな」 

 

 エヴァンジェリンや茶々丸の関係者だ。魔法くらいは知っているだろう。士郎が魔法使いというのもあながち嘘ではないが、彼女の求める答えは別物と直感していた。

 

「衛宮士郎。その名を調べても貴方は出てこなかった。偽名だとしても、貴方ほどの強さなら名前以外でも知れ渡っていてもおかしくはない。でも全く情報はなかった」

 

「閉鎖的なところで過ごしてきたからな」

 

「それは嘘、とは言い切れないネ。私の予想は異世界、もっと限定すると平行世界が貴方のいた場所。違うカナ?」

 

 一瞬目を見開いた士郎の反応を超は見過ごさなかった。つまりは正解。推理が当たっていた事にクスクスと笑う。士郎も士郎で呆れたように苦笑した。

 

「参ったな。当たりだよ。何故そう思ったのか教えてもらえないか?」

 

「いくらか茶々丸や他の生徒から情報を貰ったり、刹那さんとゴーレムとの戦いを覗かせてもらったのもあるけど……」

 

「あの戦いを? 監視カメラでもあったのか?」

 

「小型のドローンタイプがネ。衛宮さんの情報を知る以上、これくらいは教えるヨ。さて、衛宮さんの戦い方は戦士タイプ。しかし使用する魔法は全く未知のものだったヨ。この情報社会であんな特異な魔法を完全に隠すのは不可能。強化魔法の形態すら違いすぎたからネ」

 

「うん。しかし完全に隠しきった魔法使いがいる可能性もゼロじゃない。科学者がそこまで言い切る以上、あらゆる可能性を潰しきったからだろう?」

 

「その通り。衛宮さん、貴方が転移してきた場所にはかなり濃い残留魔力が残っていたネ。その魔力からやってきた場所の逆探知が出来るのではと思ったけれど、不可能だった。逆探知出来なかった最大の理由は魔法が全く未知のものだったからヨ」

 

「まだ隠しきった魔法使いの可能性は潰せていない訳だが、この後それを潰せるんだな」

 

「理解が早くて助かるヨ。残留魔力を調べたら適合者がいてネ。生後1年未満の赤ちゃんだった。両親が魔法使いで麻帆良在住のネ。そこで浮かぶのが未来人という可能性。でもこれも容易に否定出来たネ。赤ちゃんと近しい関係の魔法使いでありながら魔法について無知すぎる。麻帆良生まれの赤ちゃんの傍にいたのが想定されるのに、麻帆良についての知識もない」

 

「……そうして可能性を潰していったら残ったのが平行世界か」

 

「そう。もっと理由を挙げるのも出来るけれど、時間の無駄ネ」

 

「それでそれを知ってどうしたいんだ?」

 

「? どうもしないヨ。交渉材料にもならないものだからネ。単なる知的好奇心を満たしたかっただけ。あわよくば平行世界の魔法について知りたいけれど、こっちの魔法の方が使い勝手良さそうネ」

 

「そうだな。それは同意する」

 

 士郎が異世界から来た人間と言いふらしたところでそれは弱味でもないし、逆に言っている超が不審がられるだけだ。

 

「でもこれを見破ったご褒美に、何かあったら手伝ってもらいたいネ」

 

「何かあったら……悪い事じゃないなら手伝うよ」

 

「約束ヨ」

 

 茶々丸の改造が終わるまでまだ時間はある。2人は何でもないありきたりな会話を続けた。




前回エヴァが抱き付いたのは好意によるものというよりも、作中で士郎が言ったように士郎をおちょくろうとした結果です。
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