エヴァンジェリンさんに勝てた。カモ君が言うにはお父さんに匹敵するかもしれない人。そんな人に勝ったんだと僕は浮かれていた。でもあれはエヴァンジェリンさんにとって遊びに過ぎなかった。士郎さんとエヴァンジェリンさんの戦いはとてもではないけれど、僕が入り込む隙なんてなかった。しかもそれをエヴァンジェリンさんは運動と言い切った。
「最後は危なかったな。あのアーティファクトを使われたら確実に負けていた。全く、引き分けが限界とは我ながら情けない」
「力を取り戻してから久し振りに動き回ったんだ。仕方ない。それに俺に合わせて接近戦に持ち込んでくれただろ。色々とハンデあっての引き分けなんだから気にするなよ。しかし最後のは合気道か。そんなもの覚えていたんだな」
「相手の力を利用するなんて華麗だろ。それに接近戦に持ち込んだのは敢えてだ。貴様の弓矢相手に遠距離戦をするにはまだまだリハビリが足りん」
軽口を叩き合う2人はとても仲良さげで、美男美女だからとっても絵になっていた。そして会話から感じられるのはどちらも力を出して切っていないという事。あの人達はどれだけ遠い存在なのだろう。
「エヴァちゃんは吸血鬼なのは知っているけど、士郎さんって本当に人?」
「失礼だな明日菜。まだ人間だよ」
「まだって、いずれ吸血鬼にでもなるんですかい旦那?」
「オコジョ妖精か。旦那なんて恥ずかしいから士郎でいい。それと吸血鬼になるつもりはないぞ」
「了解っす、士郎の旦那」
「何を了解したんだお前は」
「あ、あの、エヴァンジェリンさん」
「なんだ坊や」
「さっきの士郎さんのナイフで、登校地獄は解けたんですよね」
今なお膨大な魔力を感じる以上、間違いなく呪いは解けている筈だけれど、念のため確認はしておく。
「ああ、そうだ。それがどうした?」
「もう、無理して学校に来る必要はないんですよね……授業に参加する事も」
「ふっ、確かにその通りだが、あの時敗北したのも事実。私は悪だが信念ある悪だ。約束を破るなどみみっちい事はしない」
「よ、良かった……」
「本音を言えばナギの亡骸でも探しに向かいたいが……」
「お父さんの? お父さんは生きていますよ」
僕の言葉にエヴァンジェリンさんは目を丸くする。あれ? 僕、変な事言ったかな?
「馬鹿な……あいつは死んだと……」
「僕が小さな時に悪魔に村を襲われて、その時に助けてくれたんです! 杖だってその時に貰いました!」
「あの杖は誰かから遺品として受け取ったのではなく直接貰ったというのか!? そうか、そうかぁ。簡単にくたばるような奴ではないと思っていたが、やはり生きていたか!」
「良かったじゃないかエヴァ」
「いいや良くはないぞ士郎。生きているのに呪いを解きに来なかったのだ。見つけ次第ぼっこぼこのけっちょんけっちょんにしてやる」
あわわ、お父さんがいないところでお父さんが大変な目に遭うのが決まってしまった。士郎さんは苦笑いして止めようとしないし……あっ、士郎さんといえばさっきの剣は何だったんだろう。アーティファクトなのかな?
「ねぇ士郎さんも魔法使いなの? さっきずっと剣とか弓で戦ってたけど」
「広義的に言えば魔法使いだな。空を飛んだり、魔法の射手を使ったりはしないが、独自のものは使える」
「あの剣も魔法で出したものなんですか? フルンディングやカリバーンって言っていましたけれど、どっちも本物って事はないですよね」
「流石に模造品だよ。フルンディングが矢じゃないのは知ってるだろうし、カリバーンだって失われている」
「ねぇカモ。フルなんとかやカリバーンって何?」
「姐さんが知ってるわけないっすよね。どっちも伝説上の武器っす。模造品とはいえ実在するのは驚きっすけどね」
きっと最後に空に浮かんでいた数々の剣も伝説の剣の模造品なんだろうな。模造品とは言うけれど、どれも感じた魔力はとてつもないものだった。本物が実在するならあれ以上なのかな。
「さあ士郎、茶々丸、帰るぞ」
「ああ、ネギ君、明日菜、お休み」
「お休みなさいませ」
「明日からちゃんと来て下さいねー。明日菜さん、僕達も帰りましょう」
「そうね。流石に疲れたわ」
ーーーーーー
エヴァとネギ君の決闘の翌日、俺とエヴァは学園長から呼び出しを受けた。理由はまず間違いなくエヴァの呪いを解いた件だ。
「来てやったぞジジイ」
「うむ。ま、そこに座ってくれ。本当に解けておるようじゃな」
「当たり前だ。宝具の力はそれだけ強力だというのは士郎の記憶で知っているだろう」
「そうじゃな。ではエヴァよ。これからどうするつもりじゃ?」
「少なくとも卒業までは此処に居てやる。その後は自由気ままに生きるさ」
「ふむ、それならば良い。ワシやタカミチ君もお主がいつまでも学生をやっておるのが正直心苦しかったしのぉ……衛宮君、今晩空いておるかな?」
今晩? 何やら随分と唐突だな。どうせ今晩も夕食を作って自己鍛練をするくらいなものだから空いていると言えば空いているか。
「実はエヴァの傍にお主がおる事を気にする魔法先生や魔法生徒が出てきてのぉ。今晩、お主をエヴァの監視役という名目での紹介をしておきたいのじゃ」
「成る程。いいですよ」
「士郎、見せるのは干将莫耶と弓矢くらいにしておけよ。それと警備員など断れ。無駄に貴様の力を見せる必要はないからな」
分かっているとも。俺はエヴァの従者だ。この学園の人々と敵対するつもりはないが、エヴァが敵視されている以上は万が一を考えなくてはならない。その時の為にも手札は秘めておく。その万が一が起こらないように努力するのが一番だけどな。
ネギま×Fateのテンプレイベントの1つ!
魔法使い達との顔合わせ始まります!!