剣と杖と先生   作:雨期

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うちの茶々丸は乙女回路搭載。キャラ崩壊甚だしいですが、書いていて楽しいです


第36話『エヴァの難題』

 士郎さんが我が家にやってきてから殆ど毎日、私は士郎さんと台所に立っています。最初は何も感じなかったのですが、いつからかそれがとても楽しくなり、幸福な時間となっていました。しかし! 今! その時間が侵されようとしています!!

 

「士郎さーん、これ味見してくれへん?」

 

「どれ……いいな。やっぱり京風の味付けは木乃香が一枚上手かな」

 

「そんな事あらへんよー」

 

 木乃香さんがマスターの弟子になってからというもの、時間があればマスターに魔法を習うと同時に士郎さんから料理を習っています。明日菜さんやネギ先生の食事は大丈夫かと聞きましたところ、しっかり作りおきをしてきているそうです。

 マスターもマスターで木乃香さんの味付けは気に入っているようで、私が強く言う事も出来ません。京風の味付け、私も覚えなくてはなりませんね。

 

「士郎さん、鯖が焼き上がりました」

 

「ありがとう、盛り付けを頼む。エヴァのは」

 

「大根おろしを多めですね」

 

「ハハ、言うまでもなかったか」

 

 ふふ、我が家の食卓事情を木乃香はまだ知りません。常に一歩先のサポートをする事で士郎さんへのアピールとします。

 

「おい、士郎を借りるぞ」

 

「あっ、マスター……」

 

 士郎さんが連れていかれてしまいました。マスターはいつも強引です。この強引さが羨ましくもあるのですが……しかし何の為に連れていったのでしょう。気になるので見に行ってみましょう。

 

「どうだ! 貴様の為に作ってやったぞ」

 

「凄いな。わざわざ手作りでこれを?」

 

「流石に同様の素材は用意出来んかったが、見た目は完璧だろう。やはり貴様の戦闘服はこれがいい」

 

 黒いボディアーマーに赤い外套。士郎さんの為の服のようです。

 

「ありがとうエヴァ。嬉しいよ」

 

「貴様の働きに対する対価だ。これからも期待しているぞ」

 

「ああ」

 

 士郎さんの顔は本当に嬉しそうで、マスターもその反応に大変満足しているようでした。

 

「……お似合いやなぁ」

 

「その通りですね……料理を続けましょう」

 

「せやね」

 

 

ーーーーーー

 

 

 最近刹那との手合わせに明日菜も参加するようになっていた。身体能力の高さが目立つが、剣の成長っぷりも凄まじい。使っているのはハリセンだけどな。しかし見た目はハリセンだが分類は剣だ。また時間がある時にでもしっかり解析してみよう。

 

「とりゃあぁぁぁぁっ!!!」

 

「おっと、足下への意識が疎かになっているぞ」

 

「ふぎゃっ!?」

 

 踏み込んできたところに足を引っ掻けて転ばせる。ちゃんと受け身は取れているな。偉い偉い。

 

「あいたた、やっぱり士郎さんって強いわね」

 

「明日菜も大したもんだよ。刹那から基礎を教わってまだ数日だろ。刹那から見て明日菜はどうだ?」

 

「吸収の早さが尋常ではありません。ですが、何と言いますか、私が教える前から基礎を体が覚えているような感じがありました」

 

 前世の記憶を魂が覚えている、というのはこの世界でもあるのだろうか。もしそうだとすると明日菜の前世は……野武士?

 

「あっ、士郎さんすごく失礼な事考えたでしょ」

 

「身に覚えがないな」

 

「冷や汗出てますよ」

 

 女性ってのはどうしてこうも直感が優れているんだ。遠坂もそうだったよな。

 

「やはりここに居たか。神楽坂明日菜や桜咲刹那がいるのも都合がいい」

 

「何か用かエヴァ」

 

 俺達の手合わせにエヴァが顔を出すなんて事は滅多にない。大抵は俺に夕飯のリクエストをしにやってくるくらいだが、今日は雰囲気が違う。何か怒っているな。

 

「坊やが中国拳法を習っているそうだが、知っていたか?」

 

「俺は初耳だ」

 

「あー、エヴァちゃんに伝えていなかったんだあいつ」

 

「ふん、人に師事を仰いでおきながらとんだ浮気者だな。神楽坂明日菜、もう試験はしないと坊やに伝えておけ」

 

「エヴァンジェリンさん、流石にそれは可哀想では?」

 

「そうよ。あいつだって頑張っているんだし試験くらいいいじゃない」

 

「貴様ら坊やに惚れでもしたか?」

 

「そ、そんな訳ないでしょ!!」

 

 エヴァの言わんとする事も分からなくはない。師匠となるかもしれないのに、他の人の技を使われるのはつまらないのだろう。俺も過去、セイバーの前でアーチャーやライダーの真似をした時には…………止めよう。思い出してはいけない。

 

「士郎、貴様はどう考える?」

 

「ネギ君の気持ちもエヴァの気持ちも分かる。でも魔法使いには魔法戦士って分類があるんだろ。ネギ君がその道を進むなら間違った選択ではないと思う」

 

「ふむ、確かにな。だが魔法戦士を選ぶなら相応の実力が……」

 

 なんかエヴァが悪い笑みを浮かべた。絶対ろくでもない事を考えた顔だ。

 

「やはり試験はしよう。内容は次の日曜日の早朝、坊やのカンフーモドキで私の従者に一撃を入れる事。さっさと坊やに伝えてこい」

 

 茶々丸に一撃って、付け焼き刃じゃ無理だぞ。弟子入りさせるつもりないんだろうな。

 

 

ーーーーーー

 

 

「ネギ・スプリングフィールド、弟子入り試験を受けに来ました!!」

 

「よく来たな坊や。内容は聞いているな?」

 

「はい、茶々丸さんに一撃を入れる。それでいいんですね」

 

 ニヤリと笑うネギ。何やら策があるらしい。

 

「しかしこのギャラリーはなんだ」

 

 ネギの後ろには多くの生徒がいた。魔法を知っている物はいいとしても、全く無関係な者もいた。エヴァンジェリンは溜め息を吐きながらも一先ず試験を行う場所へ案内した。そこは普段士郎と刹那が手合わせをしている場所だ。

 そこには茶々丸、そしてエヴァンジェリンに作ってもらった装備に身を包んだ士郎がいた。

 

「似合っているぞ士郎。動いた感想はどうだ?」

 

「全く違和感がないよ。前使っていたものと同じくらい使いやすい。でもなんでネギ君の試験の前にこれを着なきゃいけないんだ? 茶々丸のウォーミングアップの付き合いついでか?」

 

「馬鹿か。ウォーミングアップをするのは貴様。坊やの相手をするのも貴様だ」




ネギの試験相手は士郎にやってもらいます。どうしよう。こんなの書いてあれですが、勝てる気がしない。
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