謎の少女に質問を投げ掛けられてしまった。なんか下手な事を言えば斬るって雰囲気を漂わせているけれど、正直に話せば分かってくれる、と思いたい。
「何者か、だけれど。名前は衛宮士郎。明日から女子中等部の用務員としてお世話になる事になっている」
「むっ、確かにそのような名前の人が用務員になるとプリントで配布が……ではその頭の人形はなんだ!? 明らかに普通のものではあるまい!!」
「それを答える為に聞きたいけれど、君も魔法関係者で間違いないよね?」
「当然だ」
「なら教えて大丈夫かな。こいつはチャチャゼロと言って、エヴァンジェリンの人形だ」
「エ、エヴァンジェリンさん、の?」
あ、なんか顔が青ざめた。エヴァの名前って効果あるんだ。
「エヴァンジェリンさんとはどういう関係で?」
「一応従者だな。それで木乃香との関係は知り合い、もしくは友人ってところだ」
「主婦仲間デモイインジャネーノ?」
「否定はしない。日曜日に木乃香が学園長にお見合いをさせられそうになっているのを助けたんだ。タカミチも学園長もこの事は知っているぞ」
少女がどんどん縮こまっていく。変に誤解されて争いって形にはなりそうにない。良かった良かった。
「あの、大変申し訳ありません。私の勘違いでこのような……お見合いが中止になった話は聞いていましたが、まさか貴方が関係していたとは……」
「何もないならいいんだ。でもどうしてこんな勘違いを?」
「あの、失礼な発言にはなりますが、こんな女子校付近のエリアで、お嬢様が魔力を感じる人形を頭に乗せた見た事ない黒人の男性と歩いているのが、不審でならなくて……」
「ケケケ、シカモ1人デ買イ物シテンダモンナ。ケケケケケケッ!!」
ぐっ、確かにそれは不審者だ。俺でも怪しくて目で追ってしまう。木乃香をお嬢様と呼んでいるから彼女は木乃香の護衛か何かだろうが、そんな人から見れば俺はお嬢様に近付く不届き者にしか見えないだろう。てかチャチャゼロ笑いすぎだ。
「誤解されるような俺が悪かった。まあ明日から顔も知れるだろうから大丈夫だと思う……」
「いえ! 勝手に勘違いした私に問題がありました! 衛宮さんは悪くありません!」
「いいや、士郎に問題があるね」
「! 誰です!?」
「あれ、エヴァ。迎えに来てくれたのか?」
「それなら茶々丸を寄越すわ。妙な気配がしたのでな。成る程、桜咲刹那だったか」
「すみませんエヴァンジェリンさん。すぐに帰ります」
「待て。折角来たんだ。暇潰しに付き合え」
あー、これは悪い事を考えている顔だ。刹那だっけ? 彼女も可哀想に。
「何を関係ない顔をしている士郎。貴様も手伝ってもらうぞ。いや正確には貴様がいないと始まらん」
「はぁ、何をすればいいんだ? あんまりこの子にも迷惑を掛けるなよ?」
「単純な話だ。桜咲刹那、士郎と試合しろ」
ーーーーーー
何故、こうなってしまったのでしょう。私の勘違いで衛宮さんを問い詰めてしまって、それを衛宮さんは快く許してくれた。それで終わりだった筈なのに、何故真剣での試合になっているのでしょう。
衛宮さんは苦笑いしながらも黒白の双剣を構えている。エヴァンジェリンさんからは逃げられないと諦めているような顔にも見えます。しかし双剣とはなかなか相対する事がない。これを貴重な経験とさせて頂きます。
「ごめんな刹那。エヴァの我が儘に付き合ってもらって」
「こちらこそ申し訳ありません。私がここまで着いてこなければこうはならなかったでしょうに。ですがやるからには真剣に参ります」
我が愛刀、野太刀の夕凪を構える。合図はないが試合は始まっている。衛宮さんには隙らしい隙が見当たらない。二刀流は攻防一体とは聞くが、ここまでくると最早城壁。衛宮さんはかなりの手練れだ。まずは少しでも切り崩さなければ!
「斬空閃!!」
気を剣先から斬撃として飛ばす。衛宮さんは少し驚いたような表情をしたが、容易にそれを叩き落とした。しかし僅かな隙が生まれる。
「はあぁぁぁっ!! 斬岩剣!!」
岩をも両断する斬撃を身を捩って回避する衛宮さん。でも先程の僅かな隙がそれで更に大きなものとなる。そこへの連撃。守りは固いが、突き崩す!!
ーーキィンッ
「そこっ!!!」
黒の剣を弾き飛ばし、夕凪を突き付けようとした瞬間、腹部に衝撃が走った。蹴り飛ばされ数m下がらされた。気で肉体を強化していたのでダメージは少ないが、隙を狙った瞬間に逆にこちらの隙を狙われるとは不覚。顔を上げると前方から飛んでくる白い剣。凄まじい速さだが私には通用しない!
「神鳴流に飛び道具は効きません!」
白い剣を弾き飛ばす。そして気が付いた。衛宮さんの姿がない。どこへ消え
「俺の勝ち、でいいかな?」
首に感じる冷たい感覚。刃物がそこにあるのは明確だった。
「いつ、そこに?」
「こいつを投げたと同時に前方にジャンプして回り込ませてもらったよ」
「無様だな桜咲刹那。手を抜いた士郎に手も足も出ないとは」
「少なくとも戦いにはなりました」
手も足も出ないという言葉にカチンときて反論してしまう。負けには違いないが、終始私が攻め込んでいた。
「ハッ、あれが戦い? 士郎にいいように踊らされていたのにも気が付かんとは。いいか、士郎は初撃でわざと隙を作り、その後も作った隙に打ち込ませまくった。疑問に感じなかったか? 何故こうも迷わず打ち込めるのかと」
「それは……」
今考えれば不自然だ。まるで打ち込み稽古のように、作られた隙へ打ち込ませてもらったかのように悩まず攻撃が出来た。
「衛宮さん、今のは本当ですか?」
「まあ、事実だ。作った隙を狙わせたよ」
手練れだ、等と考えていた自分が恥ずかしい。この方は私とは比べ物にならない格上の存在だった。
戦闘かなり単調でごめんなさい。もっとうまく描写できたら良かったんですが、もっと精進します。