まだ中学生くらいの子がここまでの実力があるなんてかなり驚かされた。斬撃が飛ぶなんて初めて見たよ。完全に不可視じゃなかったのが幸いしたな。他の斬撃も高い威力だったし、蹴りにも容易に耐えられてしまった。魔力は感じなかったから、何かしらの方法で肉体を強化していたのだろう。
「どうだ桜咲刹那、私の従者の実力は?」
「大変素晴らしかったです。自分のペースで進んでいたと思っていた戦いが、まさか最初から相手のペースだったなんて、衛宮さんはお強いですね」
「そうでもないさ。単純に経験差と戦う相手の違いがあったからこの結果になっただけだよ。その野太刀と大振りで力強い戦い方は人間大の敵との戦い方じゃないよな?」
「その通りです。魔との戦いが主でした」
魔、ってどんなのだ? 俺の知識にある悪魔とかとは別物だろうか。そこのところエヴァに教えてもらおう。
「もう少し士郎が戦う様子を眺めたかったのだがな」
「我が儘言うなよエヴァ。第一、俺の戦う様子なんて記憶でたっぷり見ただろ?」
「記憶で見るのと生で見るのは別物だ。もう帰るぞ。茶々丸が待っている。今日は貴様が飯を作るのだろう?」
「あの!! お待ち下さい!!」
「騒がしいぞ桜咲刹那」
「申し訳ありませんエヴァンジェリンさん。ただ、衛宮さんにどうしてもお願いしたいのです。どうか私にご指導して頂けませんか?」
へっ? 俺が指導? そもそも刹那の剣と俺の剣は別物だ。刹那は正道、俺は邪道。武器だって俺にとって剣は1つの手札のようなもので、常に剣中心の戦いをするわけではない。だから俺が指導したって彼女には悪影響になる可能性すらある。
「悪いけど指導なんて「面白いではないか。やれ士郎」エヴァ!?」
「気の扱いが上手い京都神鳴流は知っておいて損はないぞ」
気は確かによく知らない。俺の世界にもそういうのはあったが、こっちほど技術形態として発達はしていなかった。戦いにおける実用性に関しては魔法や気はこっちの世界が上だな。
「はっきり言って、俺の指導なんて大した事はできないぞ」
「お手合わせ願えるだけでも十分です」
「分かった。暇な時があったら教えてくれ。こっちもなるべく相手をするよ」
「ありがとうございます!」
まさか戦いで人の指導をする事になるとは人生何があるか分からないな。これって弟子になるのかな? なんだか恥ずかしいや。
「士郎、今日は何を作るんだ?」
「今日はグラタンだよ」
「俺様ニハワインヲ用意シロヨ」
ーーーーーー
ふぅ、食後のケーキと紅茶も旨かった。士郎は本当に何でもやれるな。明日からはその士郎も同じ場所で過ごすのか。ふふ、いい休憩場所が出来るな。
「マスター、何やら嬉しそうですね」
「うん? そう見えるか。そうだな、明日から少し楽しみだ。お前はどうなんだ?」
「はい、士郎さんと共に過ごせるのは楽しみです」
「そうだ茶々丸、弁当はいらん。食材なんかを持っていけ。あの用務員室なら色々と料理も作れるだろう」
学校でも暖かい料理が食えるのはちょっとした贅沢だな。
「俺の仕事場を休憩室にしないでくれよ?」
「なんだ不満か?」
「不満はないよ。でもあんまり入り浸るなよ?」
「邪魔はせん。安心しろ」
私とて仕事をしている者の邪魔をするような真似はするつもりはない。特に従者である士郎なら尚更の事だ。もしも昼時に仕事をしているようなら茶々丸に飯を作らせればいい。
「明日からは丸一日よろしく頼むぞ」
「ああ、よろしくエヴァ、茶々丸」
刹那弟子入り。そして次回から原作に介入していきます