BLEACH〜十一番隊に草鹿やちるではない副隊長がいたら〜   作:ジーザス

11 / 30
まあまあ間が空きましたがよろしくどうぞ。


11

「隊長!雷蔵さん!」

 

〈中央四十六室〉へ向かっている最中、乱菊が十番隊隊舎から〈瞬歩〉でやってきた。顔色が悪くないということは、4日酔いから復活したということなのだろう。

 

若干足取りがおぼつかない。もうすぐに治るだろうということで、何も言わないでおくことにした。

 

到着したところで、3人一緒に〈中央四十六室〉へと入っていく。

 

〈中央四十六室〉は、〈尸魂界〉全土から集められた40人の賢者と6人の裁判官で構成される。つまりは〈尸魂界〉における最高司法機関だ。

 

〈尸魂界〉・〈現世〉を問わず死神の犯した罪人は、全てここで裁かれることになる。その裁定の執行に武力が必要と判断されれば、〈隠密機動衆・鬼道衆・護廷十三隊〉などの各実行部隊に指令が下される。

 

そして一度下った裁定には、例え隊長格といえども異を唱えることは許されない。それは〈一番隊〉隊長及び総隊長である山本元柳斎重國でさえも…。

 

「なっ!〈中央四十六室〉が全滅だと!?」

「そんな!一体誰がこんなことを…」

 

2人が驚いている間、一番近い座席で事切れている賢者の流した血に触れる。

 

「…乾いているな。黒く変色してひび割れるくらいに」

「…殺されたのは昨日今日の話じゃねぇってことか?」

「それしかないだろうな」

 

阿散井が倒され、戦時特例が発令されて以降、ここは完全隔離状態に入った。それ故に誰も立ち入ることは許されなかったはずだ。

 

ついさっき3人がここを強行突破するまで、侵入された形跡はなかった。なのに〈中央四十六室〉は全滅している…それもかなり前に。

 

つまりあれ以降の〈四十六室〉の決定は全て贋物だったというわけだ。

 

「待て吉良!追うぞ松本!」

「はい!」

 

思案に暮れていると、2人がイヅルを追い掛ける。出遅れた雷蔵はその場に取り残されてしまう。

 

「あれれ?可笑しいなぁ~なんでこないなとこに雷蔵はんがおんのやろ」

 

少ししてからイヅルが出ていった扉とは、違う入口から現れたギンに声をかけられた。

 

「ギンやないか。これ聞いてないんやけど」

「…ボクのしゃべり方移ってません?」

「ん?ほんまやいつの間に?」

「ボクに聞かれてもわかりませんよ。それにそのしゃべり方似合ってないなァ」

 

自覚してから真似てみたが、似合ってないと言われてしまった。それはそれでいいのだが、このこと(・・・・)についての問いに答えてもらっていない。

 

「質問の続きだが」

「あ、それは仕方ないですわ。だってボクが教えられたのもまあまあ最近ですから」

「困るわ~。ちゃんと伝えるべきことは伝えてもらわないと」

「いいやないですか。それより後ろに隠れとる副隊長さん放っといていいんですか?」

「ダメだろうな。雛森、出てきなさい」

 

後ろの入口の陰に隠れていた雛森が狼狽しながら姿を見せる。雷蔵たちについてきていたのはずっと気付いていた。

 

冬獅郎と乱菊が気付いていたのかは知らないが、霊圧を可能な限り消し、気付かれないように追随するのは並大抵の腕では不可能。藍染の元で築いた腕は確実に実を結んでいたようだ。それを裏切られたとは露知らずに…。

 

「これは一体?日番谷くんがやったんじゃないの?日番谷くんじゃなかったら藍染隊長は?」

 

〈中央四十六室〉の全滅に、眼を見開いて混乱しているのは仕方ない。血を見ても眼を背けないのは、無残さより驚きの方が大きいからだろうか。

 

任務をしていれば必ずと言っていいほど目にするのは血と死体だ。〈護廷十三隊〉に所属しているとはいえ、席を持たない平隊員の任務中における死亡率は四割。

 

これはあまりにも高すぎる被害だ。

 

だがそれは致し方ないことでもあり、隊長・副隊長がすべての戦線を渡り歩くなど不可能である。虚との戦闘は常に死と隣り合わせだ。

 

 

 

 

「雛森ちゃんに逢わせたい人おるんやけどついてきてくれへん?」

 

という言葉に雛森は困惑しながらついていき、俺もその後に続いていく。

 

第一会議室を出てあらゆる廊下を歩く。階段を上り下り、また扉を抜けて階段を上り下る。よく道順を覚えているなと関心する。複雑な入り組んだ道を歩いて行くと、見覚えのない大きな空間に出た。

 

〈清浄塔居林〉

 

四十六室のための居住区域は、完全禁踏区域に指定されている。本人以外入ることは許されない。そのような場所を知っていて尚且つ気にせず入っていくギンに、俺は言い様のない不信感を覚える。

 

「〈清浄塔居林〉ってここにあったんだ…」

「雛森は知っていたのか?」

「はい、名前だけですけど。〈真央霊術院〉の頃に習いました」

 

卒業してから100年以上経てば忘れるだろう。実際、その頃の記憶はほぼ抜け落ちている。かつての友人や家族のこともうっすらとしか覚えていない。

 

「そういや習ったような習っていないような…あれ?やったっけな?」

「ふふ。そんな風に小首を傾げていると、なんだか幼く見えますよ雷蔵隊長」

「うぐ…それはそれでなんか傷つくな」

「なんでですか!?褒めているんですよ?」

「今の褒められてたんだ」

 

そんな話をしているとギンが立ち止まった。

 

「後ろ見てみ」

 

それを聞いて雛森は振り返って眼を見開いた。

 

枯れきっていた心に水が注がれ、満たされていく感覚にさいなまれる。そのまま後ろに立っていた憧れの人の胸に飛び込んでいく。

 

その様子を俺はギンと並んで見ていた。

 

「よっぽど会いたかったんだろうな」

「そやろね。なんせずっと死んでたと思てた人が目の前に現れて、触れることできるんやから」

 

優しく雛森の頭を撫でている藍染に対して、俺は憎悪が湧いてくるのを自覚する。別に嫉妬とかそういうくだらない理由でではない。もっと単純に殺す(・・)という気持ちによるものだ。

 

次の瞬間、俺は斬魄刀を抜刀して藍染に斬り掛かった。

 

「藍染んんんん!」

 

怒りにまかせて振りかぶった斬魄刀が当たるはずもなく、藍染は雛森から離れて床を滑るようにしてギンの横に移動した。

 

いきなり俺が抜刀し、藍染に斬り掛かったことに三度驚愕している雛森くんを抱きかかえる。〈瞬歩〉を用いて2人から大きく距離をとる。

 

「なんで…」

「君はもう少しで死ぬところだったからだよ。見てみな自分の死覇装とあいつの斬魄刀の切っ先を」

 

言葉通り自分の死覇装と藍染が持つ斬魄刀を交互に見て、雛森がさらに驚愕する。

 

「何故…藍染隊長?」

「ギン、お前本気でそちら側(・・・・)につくつもりか?」

「当たり前ですやん。やないとこっち(・・・)に立ってるはずがないやないですか」

「…墜ちたなギン」

「どうとでも言って下さってええですよ。ボクのやることは変わらへんから」

 

俺とギンが互いを威圧する霊圧によって、周囲の壁が震え出す。どちらも本気ではないが臨戦態勢なことに違いない。実際、雛森は俺の腕の中で震えだしている。

 

どう攻撃をしようか考えていると新たな参戦者が介入してきた。

 

「…何故、藍染が、いる?死んでいないのか?」

「本物だ冬獅郎。気をつけろギンもそっち側だ」

 

俺の声を聞いた冬獅郎は、俺の腕の中で震えている雛森くんの腹部辺りの死覇装にある血痕。そして藍染が持つ斬魄刀の切っ先に、僅かばかり付着している血液を見て真実を悟った。

 

「てめぇが雛森に血ぃ流させたのか藍染!?」

「聞くまでもないはずだよ日番谷隊長」

「藍染んんんん!」

 

ギンと対峙したときとは比べものにならないほどの霊圧が辺りに吹き出し、周囲の壁を崩壊させていく。

 

「ちょっと待て冬獅郎!ここで《卍解》するつもりか!?」

「《卍解【大紅蓮氷輪丸】》!…「聞いてねぇ!」藍染、俺はお前を…殺す!」

 

氷が全てを覆う前に、俺は〈瞬歩〉で緊急離脱した。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

雛森を五番隊隊舎の牢にもう一度入れて、監視を強化するよう〈五番隊〉隊士たちに要請した。本当は幽閉したくはなかった。暴れられて面倒ごとが増えるよりはマシだと、自分を無理矢理納得させた。

 

《天挺空羅》によって藍染がどこに行ったのかを知ったのは、それから約1時間後だった。

 

「一角・弓親、お前らはゆっくりでいいぞ。俺は今すぐ向かう」

「え、ちょ隊長待って…ええええ?速すぎィィィィ!」

「…何あの速度。〈瞬歩〉なのにありえないんだけど」

 

雷蔵は自分に出せる可能な限りの速度で、十一番隊隊舎から〈瞬歩〉で〈双殛〉へと向かって行った。

 

織姫たちを一護がいる場所まで送りつけて休憩していた一角と弓親に断りを入れて、消える速度に2人は呆然とするしかなかった。

 

それでも次の瞬間には、同じように〈瞬歩〉で向かうのだった。

 

 

 

「僕はすぐに〈四十六室〉を…「藍染んんんん!!」またか…」

 

藍染が話しかけている隙をついて、上空からすでに《始解》した《雷天》を振り下ろした。それは一護と白哉によって致命的なダメージを与えられていた〈双殛の丘〉に、さらなる大きなダメージを与えた。

 

「この霊圧は雷蔵隊長じゃねぇか…一体なんでこんな重さになってんだ?」

「あの時と比べものになれねぇぐらい濃い。そして何より重い…」

 

ルキアを守るために傷ついた恋次と一護は、その霊圧の異質さに驚きの声を上げる。そして辛うじて動ける恋次に、雷蔵は懐から取り出した小瓶を投げ渡す。

 

「雷蔵隊長?」

「それを黒崎一護の傷口に塗ってやれ。卯ノ花隊長から渡されていたものだ。緊急用治療霊圧を液体にした霊薬だが、ないよりはマシだろう。藍染、俺はお前に殺意が沸き上がってきている。理解しているよな?」

 

雷蔵の口から発せられたいつもの本人とは大きくかけ離れた声音に、ルキア・恋次・一護は唾を無意識のうちに飲み込む。大量の冷や汗をかいていることに気付かなかった。

 

「怖いくらいに感じているよ。友人を追放されたことに対する恨みか。全てを騙して回った僕に対する哀れみからかはわからないけどね」

「哀れみだと?貴様にそんな甘い感情を抱くと思うか?」

「どちらでも構わないよ。ギン、早く終わらせたいから時間稼ぎを頼むよ」

「しゃあないなぁ。悪いですけどそういうことなんで許してや《射殺せ【神鎗】》」

「くっ!」

 

ギンの《始解》を《雷天》の刀身で受けたはいいが、衝撃を抑えることはできず遙か彼方へと吹き飛ばされてしまった。

 

 

 

ズドーン!

 

雷蔵は〈双殛の丘〉から遠く離れた林の中に墜落した。かなりの衝撃音にもかかわらず、住民が来ないのはそれほど遠く離れているからか。もともと誰も住んでいないのか。

 

どちらでも雷蔵には問題ないので、そのようなくだらない思考をすぐにやめる。

 

「はあ、思った以上に飛ばされたな」

 

その言葉通り落ちた林の草木は、手入れなどされておらず自由気ままに生えている。手入れされているのは、死神が暮らしている地域一帯のみなので仕方ないかもしれないが。

 

たが自由気ままに生えていることで草木がクッションになり、大怪我はせず枝によるかすり傷が数える程度あるだけである。

 

「なんでここまで吹き飛ばされなきゃなんねぇんだ?理解に苦しむよ。しかし、そこまでして藍染側につく理由がわからないなあの言葉(・・・・)と関係しているのか?」

 

雷蔵の頭の中には、100年以上も前にギンが自分に告げた言葉が浮かんでいる。

 

『ボクは死神になる。乱菊を守れるくらい強い死神になるんや。もう二度と乱菊を護れないのは嫌や』

 

それは真冬の雪が降り積もった中で、少年らしかったギンの最後の言葉だった。その声音と表情は同年代の少年たちより悲壮だった。

 

言葉通りギンは、翌年に〈真央霊術院〉に入学してきた。

 

その才能は凄まじく、わずか1年で院を卒業して〈護廷十三隊〉に配属された。喜助が藍染(・・)の陰謀によって〈現世〉へと永久追放された頃から、2人でこの先訪れるであろう事件を未然に防ぐために動き始めた。

 

藍染からの信頼を得るために、ギンと2人で指示通りに動き回り要望に応えていった。

 

だが完全な信頼を得ることはできなかった。

 

それは夜一に真実(・・)を教えてもらうまでの疑問だったが、真実(・・)を知ったことでその意味がわかった。

 

何故藍染が俺を信用しなかったのかを。

 

雷蔵は喜助を追放した何者か(・・・)を、夜一に知らされるまで藍染だとは知らず、ギンも知らせていなかった。

 

夜一からすれば伝える方法がなかったのもあるが、ギンの場合は計画が潰れてしまうことを恐れてのことだった。雷蔵にとっては辛いことかもしれないが、彼を守るためにわだかまりができることを覚悟して2人は黙っていた。

 

「止めてやるよ藍染・ギンそして東仙。お前らの企みは今ここで潰えさせる」

 

〈瞬歩〉でその場を去った雷蔵は、〈双殛の丘〉へと全力で向かっていった。

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

「《破道の九十【黒棺】》」

 

俺が到着したのは〈七番隊〉隊長の狛村が、詠唱破棄した九十番台の破道にやられた姿だった。

 

「九十番台詠唱破棄、怖いわァ。いつからそないなことできるようになりはったんですか?」

「いや、失敗だ。本来の破壊力の三分の一も出せていない。やはり九十番台は扱いが難しいよ」

「余裕だな藍染」

「…思っていた以上にお早いお帰りだ。ギン、時間稼ぎと言ったはずだが?」

「時間稼ぎとは言いましたけど、具体的な時間までは言うてませんよ」

 

ギンの言葉にさすがの藍染もげんなりとするが、それを気にしている暇はない。自身の安全を少なからず脅かすかもしれない相手がいるのだから。

 

「手加減はしない。今ここで俺はお前を殺す!」

「あまり強い言葉を遣うなよ。弱く見えるぞ」

「言ってやがれ。今すぐその薄ら笑いを、恐怖に歪んだ顔に変えてやるよ。《卍解》…」

 

そう言って雷蔵は右手に持った《雷天》を空に向かって掲げる。まるで「天」を指し、「従属」させるかのように。掲げたことで天候は悪化し、雷雲が音を立てて集まり始めた。

 

霊圧が高まり《雷天》の切っ先から電光が弾け飛ぶ。それは霊圧が高まるにつれて数は多くなり音も大きくなる。

 

静電気が弾ける程度に見えていた電光は、いつの間にか簡単に視認できるほどになり、地面を抉り始める。削られた地面は大きく波打ち、周囲へと被害を拡大させる。

 

そしてこれまで以上の「雷鳴」が轟き、《雷天》の切っ先から放たれた蒼と白が混ざったような光が雷雲を貫くように放たれ、それより太く色の濃い光が雷蔵を直撃し閃光が弾ける。

 

その閃光は辺りを真っ白に染めるほど。

 

あまりの明るさに、さすがの藍染とギンも眼をかばうように腕で顔を隠している。

 

唯一、目の見えない東仙はかばってはいない。だがあまりの霊圧の大きさと圧力に、後退りしそうになる足を懸命にその場へと留めていた。

 

「《帝破明神雷天(ていはみょううじんらいてん)》。解放するのは久々だ。簡単に壊れてくれるなよ?藍染」

 

光の中から出てきた雷蔵の姿に、ルキア・一護・恋次は眼を見開く。東仙は数歩後退る。ギンは普段閉じている眼を薄く開いて、藍染は少しばかり真面目な表情をしている。

 

雷蔵の手にある《帝破明神雷天》からは、途絶えることなく雷が迸り、地面を抉り続けている。チリチリと刀身が鳴く度に電光が弾ける。

 

「さあ、始めようか友の復讐を」

 

雷蔵が《帝破明神雷天》を構えた瞬間には、藍染の懐に入り込んでいた。

 

「壱足!」

 

雷蔵の口から死へのカウントダウンが通告された。




ようやく卍解の登場です。名前はダサいかもしれませんがご容赦下さいどうしても原作のように格好良いネーミングが考えつきませんでした。


※追記 え~、オリ主の卍解が雀部さんと似ているという指摘を受けました。書いてから気付きましたこれパクリじゃねと?しかし書いてしまった以上直すことは読んでいただいた方々に失礼だと思いますのでこのまま行こうかと思います。

技は可能な限り似せないように努めて参ります。ちなみに作者はユーハバッハなどはまったく知りません。もしかしたらまたパクリになるかもしれませんのでその時はご指摘お願いします。



出身・・?
解号・・蹂躙しろ『雷天』
始解・・雷天
卍解・・帝破明神雷天(はていみょうじんらいてん)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。