BLEACH〜十一番隊に草鹿やちるではない副隊長がいたら〜 作:ジーザス
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『な、なんだよ…これ!』
俺の目の前には血溜まりができている。そしてその中には切り刻まれた2人の遺体が…。
『なんでだよ…。父上!これは一体どういうことですか!?』
血溜まりの奥に立つ父へ、声を荒げて問いかける。しかし何も言わずに返事は、行動で返ってきた。
『父上!っ!』
父が俺に肉薄し、上段に振りかぶった真剣を振り下ろした。
鮮血が俺の視界を紅く染め上げた。
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冷や汗を沢山かいて肌に張り付く寝巻きに、不快感を感じながら布団から出る。窓を開けて空を見上げると、朝日が染める少し前ぐらいだった。
横では規則正しい寝息を立てて、夢の世界へと旅立っている雛森がいた。
ここは藍染の反乱以後に新設された、三番隊・五番隊共同部隊の隊長室。隊長には隊長室以外にも自室が造られており、隊長から第五席までは隊舎内に自室を与えられている。
それ以下の席官及び隊士は、4人部屋などに振り分けられている。といっても隊舎に留まる隊士は全体の4割ほどだ。残りの6割は隊舎外の自宅または実家に帰宅する。
隊舎内で宿泊できるのは緊急事態に備えてのものであり、常駐するように設計されているわけではない。
もちろん日常生活するには不便なく利用できるぐらいには、問題なく設備が整っている。さらには掃除も行き届いているので、不満を漏らすような隊士は1人もいない。
おそらくそのように総隊長が指示を出していたのだろう。まったく用意周到であり脱帽するしかない。
そんなことを思いながら汗を流そうと、シャワー室に向かうと先客がいた。そこにいたのは副隊長の1人だった。
「イヅルか」
「あ、隊長おはようございます」
湯をかぶっていたイヅルが、湯を止めて挨拶してくるので続けろという感じで手を振る。
「早くに起きたんだな」
「隊長こそ早いですよ。まだ日も出ていないのにここに来るなんて物好きですね」
「人のこと言えた義理か。なんか目が覚めてな。おそらく夢の内容が悪かったせいだろう」
「…隊長の過去と何か関係があるんですか?」
「…何故そう思う?」
湯を頭からかぶりながらそう聞き返す。
大きな浴槽などは、〈護廷十三隊〉共用の場所がある。そこはここからいささか遠いので、軽く汗を流す程度にはここで十分である。共用風呂に行くと多くの隊士がいるのもあるが、何より人が多いところに行ってまで汗を流そうと思わなかったのが主な理由である。
「隊長があの
「…確かに俺は〈
「気分を害したのであれば申し訳ありません」
「気にするな。強者ほど誰にも知られたくない忘れたい過去が、一つや二つあっても不思議はないさ。それを忘れがたいがために己を鍛え上げ、それを繰り返さないために己を鍛え上げる。そんなのは世の常と言っても過言じゃない。白哉も似たようなことがあったからな」
かぶりを振りながらイヅルの目を見て話す。ルキアのことが明るみになったのは1ヶ月前のこと。
ルキアが〈殛刑〉になると聞いても眉一つ、表情を一切変えなかった白哉。ルキアをギンから身を挺して庇ったのを見た雷蔵は、正直言ってかなり驚いた。
どんな心境の変化なのか。何があればああしてまで助けようと思うのだろうか。疑問に思った雷蔵は、安静にしていた白哉に聞いてみた。
すると穏やかな表情で「再び護るべきものを見つけた」と話した。「黒崎一護がその身を通して気付かせてくれた」のだと。
他の死神から憧れて敬われる存在であるべき存在が、すでに二つの掟を破っているのを知っている。そして二度も誓いを立てたことも知っている。時にはその誇りや掟を捨てなければならない事態が、時折起こるのだと理解したと話した。
「朽木隊長は変わられました」
「あの白哉坊と呼ばれていたあいつが二度も変化するなんてな」
白哉坊とは夜一が付けたあだ名で、時には2人でからかったこともある。反応が楽しくて前当主の前で遊んでは、なんとも言えない表情をされたこともあったが。
「まあ、俺が言いたいのは過去にどんなしがらみがあろうと、それから抜け出すことは出来るということだ」
「勉強になります。それとは関係ないのですが、最近雛森くんが副隊長室にいないんです。どこにいるかご存じですか?」
「…本当に関係ない話だな。雛森くんなら俺の部屋に入り込んで寝ているが?」
「隊長室に?」
「なんで俺の所にいるのだろうか。不思議だな」
「…」
人の感情に気付かない僕の隊長はアホなのだろうか。
僕は失礼ながらも、鈍感な隊長に対してそんな感情を抱いてしまった。
誰よりも強くあり続けようとする。誰をも守れるように強くなる。それだけが今の隊長を動かす原動力だと、日番谷隊長と松本副隊長が仰っていた。
100年前、まだ僕は〈真央霊術院〉に入学したばかりだったから憶えてないけど。隊長の親友であった浦原喜助という人物が、隊長格及び副隊長の合わせて8名に対して禁術なる〈虚化計画〉を行った。
そしてそれがバレて、〈現世〉への永久追放となった。それが藍染
隊長がそれを知ったのは、四楓院家22代目の夜一さんから。それまでに藍染
しかし、それもまた市丸
隊長は本当に苦しい100年間を過ごしてきたのだと思う。友人をもう二度と失わないために。仲間を傷つけさせないために剣を磨き続け。そして腕を上げてきた。
若干間違えてるような気がするが今はいい。隊長の機嫌を良くするのも副隊長の役目。
「隊長、これからお暇ですか?」
「悪い、朝から隊首会があってその後に総隊長との個人的な話がある」
「いえ、気にしないで下さい」
どちらもこれからの戦いのために大切な話し合いだ。水を差して空気が悪くなったら意味ないからね。
…もともと僕たちはそこまで関係が良くなかった。どうしてもぎすぎすした空気になってしまう。でも努力するのは必要だからね。そういう気持ちで行かなきゃやってられないよ。
「すまないな。何か用事があったか?」
「いえ、急ぎではないのでお気になさらず」
タオルで体の水気をとった隊長は、鍛えられた背中を見せながら隊長室に戻っていった。
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隊首会の後、俺は総隊長と1対1で話し合いをしていた。戦闘するわけではないが空気が重い。
霊圧ではない存在感によるものだと理解はしている。だが何しろその圧力が尋常ではないので、僅かながら気後れしてしまう。
「お主が市丸と連携していたのは誰もが熟知しておる。その行動は友のためにしていたということもじゃ。そのことについて間違いあるまいな?」
「総隊長の仰る通りです」
「うむ。春水・浮竹・卯ノ花・朽木・狛村の以上5名から、反乱の危険性がないという助言もある。こちのことは不問とする」
「感謝いたします」
本来であれば、投獄されても可笑しくはないほどの問題である。〈護廷十三隊〉発足以来。いや、〈尸魂界〉始まって以来、初の裏切り者である藍染と関わっていたのだから。
どうやら隊長格以外にも、副隊長や席官などから投獄に対する異論があったらしい。とは言うものの不起訴になったようだが。砕蜂やマユリは我関せずなのかどちらでも構わないという立ち位置なのか。これといった発言はなかったようだ。
2人が賛成していたとしても、他の隊長格があれだけ反対していたのだから投獄はなかっただろう。
「新しい共同部隊はどうじゃ?」
「雛森副隊長や吉良副隊長が頑張ってくれていますから今は順調です」
「〈二代副隊長制度〉を導入すると聞いたときは耳を疑ったものじゃ。しかし今思えば、それで正解だったのじゃろうな」
2人がいるおかげで〈三番隊〉と〈五番隊〉の隊士をまとめることが出来ている。二部隊分の人数がいるのだから、いつも通りの制度では不可能だと判断したのだ。
「さて、本題に入ろうかの。話は2つあるのじゃが。…まずはお主についてじゃ。お主は本当に〈葛城家元次期当主〉で間違いないないのじゃな?」
「その通りです総隊長」
「〈葛城家〉…かつて〈五大貴族〉と呼ばれたときの一角。今になって思い出すとは、随分と長いこと忘れておったわ」
「自分も隠しておきたかったので口にしませんでした」
そんなことを知られれば、どのような仕打ちを受けるのか雷蔵にもわからなかった。蔑まれ罵倒されるのではないかという勝手な思いでいたため、今まで誰にも話さなかった。
数人を除いて。
「このことを知っているのは誰じゃ?」
「藍染が言いふらしましたので多くは知っているでしょう。事実として知っているのは5人だけです」
「その5人とは?」
「浦原喜助・四楓院夜一・吉良イヅル・藍染・市丸です」
「敵にも味方にも真実を知る者がいるということじゃな?その程度でどうこうなるとは思わんのじゃが。それが知られている上で、お主はどう考えておる?」
どうと言われてもそれが戦況を左右することにならないと思う。「五大貴族の元次期当主?だから何?」なもんだし、もともと汚名だと思って生きてきた。
だから今どう言われても感情が揺れ動くことはないと思う。
「気にする必要は無いかと思われます。自分が元貴族だったとしてもそんなこと関係ありませんので」
「そう言うのであれば問題なさそうじゃな。では2つ目について話そう。内容は…」
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雷蔵は廊下を歩いている。〈尸魂界〉にある〈真央霊術院〉のではなく〈現世〉のである。後ろには知った顔が4人続いて歩く。
「こんなところにいやがんのか、面倒くせぇ」
「その言い方はヤバいっすよ。なんせ総隊長の命令なんすから」
「そんなこと関係ないじゃない。ねえ~隊長?」
「五月蝿ぇ」
「苛ついてるな」
「これだけ五月蝿かったら機嫌も悪くなる」
軽く会話しながら歩くが約1名はご機嫌斜めである。それに対して苦笑しながら目的地へと歩を進めた。
「お、いたいた」
「え、どうしてここに?」
教室の扉を開けて声を出すと、気付いたのか驚きを露わにして、目を見開いていた。
「どうしたもこうもあるかよ。後ろ見てみろよ」
恋次の言葉に一護は窓側を見る。
「え?…まさか」
「久しぶりだな一護」
勝ち気な少女が窓から入り、窓枠で仁王立ちしている。
「どうやって上がってきたんだ?」「ここ三階だぞ」
という声がちらほらと聞こえてくるが、誰もがそれを無視する。
「ちょっと来い!」
「おわ!」
一護から死神を取り出して、その人物は何処かへ連れ去っていった。魂を抜かれた一護の抜け殻は恋次が預かっており、どうすればいいのか悩んでいた。
「赤髪だ」「ヤンキーか?」という声が聞こえて、恋次がイライラしている。
「マジで斬っていいですかね?こいつら」
「人間の戯言だ。気にしてたら負けだぞ」
「一角さん…」
一角が恋次をなだめるので放っておいて良いかと思った。
「ハゲ」
「反則だろあの体型」
「ハゲ」
「茶髪だけどなんか爽やか」
「…おい、今ハゲって言った奴順に前出ろや」
腰に入れた木刀を抜き出しながらキレかけの一角がそう言う。
「人間の戯言なんすから斬ったらダメなんすよね?」
「誰が強いかってこと教えなきゃダメだろうが」
「一角さんが壊れた…」
「…誰かこの立ち位置変わってくれ」
言い合う一角と恋次に挟まれた背の低い冬獅郎は切実に。そして額に青筋を浮かべから呟く。可哀想なので助け船を出すことにした。
「気にしたら負けだぞ冬獅郎」
「雷蔵がいるからまだ助かってる。これがお前じゃなくて弓親が来ていたらどうなっていたか」
「一角を煽っていただろうな」
一角と恋次の言い合いをBGMに2人は、遠くに見える死神状態の一護を連行したルキアを優しく見ていた。
アンケートにお答えいただきありがとうございます!
総投票数140
1位 夜一 34
2位 砕蜂 20
3位 雛森 ルキア 13
5位 ネム 12
という結果でした!
意外と乱菊が少ないのが予想外です。何ででしょうね作者からすれば面白いので嫌ではないですよ。
では募集も終わりましたのでヒロインが決まったらタグ追加させていただきますのでお楽しみに~