BLEACH〜十一番隊に草鹿やちるではない副隊長がいたら〜   作:ジーザス

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まさかおわらないとは…残念な限りです。




『どうして、どうして俺が、俺が死ななきゃ、ならないんだ…』

 

右肩から大きく斬り裂かれ、大量に出血している男が涙を流しながらこちらを見てくる。

 

『《氷輪丸》の所有者は、日番谷冬獅郎と決定した。これは〈中央四十六室〉による最終決定である。故に貴殿にはここで死んでもらう(・・・・・・)

『『やめろぉぉぉ!』』

 

黒装束の服を着た男たちが、絶望を浮かべている青年に刃を突き刺した。

 

『草冠ぁぁぁぁ!』

 

 

 

 

 

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最終話 終焉前編

 

 

 

 

 

 

/空座町 鎮守の森/

 

 

社の中で冬獅郎を寝かせたあと、自分も僅かな平穏な時間を消費して仮眠を取っていた。

 

睡眠不足は集中力を格段に低下させ、戦闘においてもっとも影響が出る。睡眠は僅かでも取っておく方が良いのである。特に冬獅郎は血を少なからず失っているため、身体を休ませておくべきだ。

 

「ん?…もう見つかったのか。いくら何でも早すぎるな」

「…どうする?」

 

ひときわ強い風が吹いたと思うと、多くの霊圧が現れている。霊圧を封じていたにもかかわらず、居場所を特定された。微弱な霊圧から、位置を特定できる特殊能力を持った隊士が参加しているからだろう。

 

「囲まれたな。強行突破するしかないだろうが動けるか?」

「ああ、ここで全てを終わらせるつもりはない」

「日番谷隊長・雷蔵隊長、至急〈尸魂界〉へお戻り下さい!」

 

修兵に呼びかけられ2人は、素直に引き戸を開けて外へ出た。周囲は囲まれており、上空にも隊士たちが待ち構えている。簡単には抜け出すことは出来ないだろう。

 

「お二方ともお戻り下さい。そうすりゃあ今回のことお咎めも少なくなるかもしりゃせん」

「悪いな射場、俺たちは戻るつもりはない」

「何故ですか!?」

 

射場の言葉に拒絶した雷蔵に修兵が詰め寄る。

 

「話す義理はない」

 

その言葉通り、冬獅郎は《氷輪丸》を抜刀して臨戦態勢を取る。雷蔵も臨戦態勢を取ると、修兵や射場が同じように斬魄刀を手にするが、他の隊士たちは後退っている。

 

それもそのはず。2人は彼等からすれば雲の上のような存在であり、どう転がっても勝機が見えないからだ。

 

雷蔵と冬獅郎が同時に修兵と射場に斬り掛かった。受け止めるがその威力は抑えきれず、勢いは留まることを知らないかのように、2人を後方へと吹き飛ばしていく。

 

修兵と射場はどうにか勢いを止めようとするが、どうすることもできずに為す術なく慣性の勢いに従う。

 

「おやめ下さい!謀反の意図ありと見なしますよ!?」

「おやめ下せぇ!このままじゃぁお二方が藍染と同じようになってしまいやす!それだけはダメなんすよ!」

「黙れ。今の俺たち(・・・・・)は〈尸魂界〉のではなく、俺たちの意思で動く」

「下がれ、射場。…死ぬぞ」

 

冬獅郎と雷蔵の本気の殺気に、2人は生唾を飲み込んだ。その隙を突かれて大きく吹き飛ばされた修兵と射場は、後ろに控えていた隊士に起こされて、もう一度対峙する。

 

「日番谷隊長・雷蔵隊長、あなた方を拘束します。かかれ!」

 

修兵の命令で周囲を囲んでいた隊士たちが、一斉に2人へと飛び掛かる。

 

その数およそ50人。

 

これだけであれば多少の隙が出来ると思った修兵だったが、その予想は甘かった。

 

「「「「「ぐあぁぁぁぁぁぁ!」」」」」

「…神速の剣」

 

全員を吹き飛ばしたのは雷蔵だった。他者から尊敬され、畏れられたが故に与えられた2つ名を、脩兵は無意識に呟く。怪我をした冬獅郎を庇いながら、50人もの死神を返り討ちにしたことで、修兵は自分の認識の甘さを理解した。このままでは任務遂行さえ困難だと認識させられた。

 

「檜佐木ぃ、こりゃそう簡単にいかんわけやが。どやろか。わしが雷蔵隊長を止めるけん、日番谷隊長を拘束できんか?」

「どれくらい保ちますか?」

「よくて5秒といったところじゃ」

「…4秒いえ、3秒で拘束してみます!」

「頼むけんのぉ!」

 

なんの策もなく、ただがむしゃらに突っ込んでくる射場を雷蔵は哀れに感じながら迎え撃った。右上段から繰り出してくる斬擊を右斬り上げで斬魄刀を弾く。その衝撃で僅かに浮いた体へ刀身の腹で薙ぎ払う。

 

「うがあぁぁぁぁぁ!檜佐木ぃ今じゃぁ!」

「《縛道の六十二【百歩欄干】》!」

「しまった!冬獅郎!」

 

檜佐木が投げた光の棒は空中で分裂し、数多の光の雨となって降り注ぐ。何本かを《氷輪丸》で防いだ冬獅郎だったが、怪我をしたままの身体では全てを防ぐのは不可能だった。

 

「く、くそ!」

「冬獅郎!」

 

光の牢獄に囚われた冬獅郎を救うべく、吹き飛んだ射場の場所から離れて向かう。途中、こちらを止めるために数人の隊士たちが現れるが、全てを威圧だけで吹き飛ばす。

 

「どけえぇぇぇ!」

 

辿り着いて全てを抜こうとした瞬間、新たなる指令が檜佐木の口から放たれた。

 

「今だ!全員で捉えろ!」

「「「「「《縛道の六十二【百歩欄干】》!」」」」」

 

六十番台の《縛道》を多くの隊士が使えることに驚いたが、それよりも光の棒を弾くことが先決だ。

 

「おおおおおぉぉぉぉ!」

 

気合いを迸らせながら弾くが、全方位から放たれては全てを弾くことは出来ない。

 

「くそ!」

 

一本の棒が裾を貫き地面に縫い付けると、瞬く間に10本以上の光の棒によって囚われの身になった。

 

「日番谷隊長・雷蔵隊長、これよりあなた方を〈尸魂界〉へ連行します」

 

檜佐木の声は遠くにしか聞こえない。冬獅郎は地面に対して俯せに。対して雷蔵は仰向けという状態。だが辛うじて首だけは動く。互いの眼を見て、何を考えているのかを瞬きで交換し合う。

 

「…《霜天に坐せ》」

「…《蹂躙しろ》」

 

周囲の空気が一瞬にして凍り付いていく。さらには空気が静電気を発し始める。

 

「檜佐木ぃ、離れるんじゃ!」

 

射場の言葉に修兵はその場を飛び退く。

 

「《氷輪丸》!」

「《雷天》!」

 

光の棒が消し飛び、氷の竜と雷の獣が互いに逆回転の竜巻を起こして小型の竜巻を複数発生させる。麻痺を起こさせる竜巻と凍傷を引き起こす竜巻が辺りを舐め回す。

 

一帯が雪原と荒野と化した場所には、二つの影だけが動きを見せて、夜の町へと消えていった。

 

 

 

 

檜佐木と射場が負傷したのとほぼ同時刻、〈尸魂界〉で〈八番隊〉隊長 京楽春水が襲撃を受けた。残存霊圧から襲撃者は、〈十番隊〉隊長 日番谷冬獅郎と確認された。

 

 

 

 

 

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/一番隊隊舎 隊首会議/

 

 

「事態は一刻を争うまでとなった。日番谷冬獅郎及び雷蔵を謀反の疑いにより、《緊急特令》を《護廷大命》へ変更する」

 

威厳に満ちた元柳斎の声音によって、緊張していた空気がさらに張り詰める。

 

「総隊長、それはいささか拙速ではありませんか?」

「〈護廷十三隊〉の隊長1人が復帰未定の重傷を負ったのじゃ。ここで手をこまねいていれば、事態を悪化させる原因になりかねぬ」

「失礼ではあると思うが卯ノ花隊長・総隊長、私からも意見を述べたいのだがよろしいか?」

「認めよう」

「未だ疑問が残るのです。京楽隊長を襲った犯人が日番谷隊長であるということに。襲撃された時刻と〈現世〉にて、檜佐木・射場両副隊長を負傷させた時刻があまりにも近すぎる」

 

白哉の説明に全員が耳を澄ませる。

 

「〈穿界門〉を抜けるにもそれなりの時間が必要となります。仮に日番谷隊長が両副隊長を負傷させてこちらへやってきたとしましょう。しかしそれでは京楽隊長を負傷させるには、時間的にも物理的にも不可能かと。それに雷蔵隊長の霊圧移動が確認されていないのも不自然です」

「では何故、襲撃現場で日番谷隊長の霊圧が発見されたのだ」

「それについては涅隊長が捜査されている」

「如何なる理由があろうと、〈尸魂界〉に反旗を翻すことは許されぬ。〈王印〉の所在は引き続き捜索せよ。謀反の疑いがある両名の捕縛を最優先とし、抵抗するのであれば処刑も許可する」

 

元柳斎の瞳には迷いがなかった。

 

 

 

 

「ふふふふふ、それで隠れたつもりかネ?何処にいようとワタシから逃げることなどできないヨ。地の果てまで追い掛けてやろうじゃないか。ホーホホホホホホホホ!」

 

技術開発局のプライベートスペースにて、猛然とキーを叩いている涅マユリは、大霊書回廊の深淵にまでハッキングして潜り込んでいる。

 

白哉と浮竹に頼まれたこともあったが、どちらかというと自分の疑問を解き明かしたいという思いが強かった。

 

その背後で男物の上着を普段の死覇装の上から着て悶えているネムは、そんなマユリを気にしていない。

 

「草冠宗次郎とやらの死因は不明。場所も正確な日時も同様かネ。…これはこれは深い闇がここにはあるようだネ。ふふふふふ、またまたワタシの脳細胞が煮えたぎっているヨ!…これは!」

 

マユリはとんでもない記録を見つけてしまった。

 

「…どうやらワタシは見てはいけない闇を見てしまったようだネ。これは黙って見過ごすことはできない闇だヨ…」

 

そこに記されていた記録は、マユリの言う通り無視できない代物だった。

 

それは誰もが知ってはならぬ〈尸魂界〉の闇そのものだった。

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