BLEACH〜十一番隊に草鹿やちるではない副隊長がいたら〜   作:ジーザス

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4ヶ月後…。

 

 

 

 

『え、それ本当か?夜一(・・)

 

半年前から関わりを持つようになった四大貴族の一角 四楓院家22代目当主の言葉に、高級茶を口にしていた俺は素で問いかけてしまった。

 

褐色の肌を惜しげも無く晒し、椅子に寄りかかるように座っている現当主は、悪戯を成功させて喜んでいる。浮かべているのは、腕白坊主のような悪い笑みだ。

 

『そうじゃ。奴にはそれなりの腕と知識がある。それを〈尸魂界〉のために役立てて貰えれば発展間違い無しじゃ。いつの間にか置いていかれたの』

『今までは横一線だったってか?まあいきなり置いていかれるのは癪だけど、友人がそれだけ名誉ある地位に就いてくれるのは嬉しい限りだ』

『お主は《卍解》を会得、喜助は隊長昇進。儂にとっては最高のクリスマスプレゼントじゃな」

 

言葉通り俺はつい先日に《卍解》を会得した。その名を〈尸魂界〉に名を刻んで貰い、喜びを喜助と夜一と共に分かち合ったばかりだ。喜助はその僅かな間に三席から隊長に昇進していたようだが。

 

7日前、十二番隊隊長 曳舟桐生が昇進のため退位が言い渡された。これは王族特務《零番隊》に昇進するための名誉ある退位である。

 

翌日、〈二番隊第三席〉浦原喜助を、〈二番隊隊長 四楓院夜一〉の推薦により隊首試験において隊長資格を検分。その能力・人格に申し分無しと判断され、晴れて〈新十二番隊隊長〉に任命された。

 

〈現世〉では12/25にクリスマスプレゼントを渡すという恒例行事があるらしく、夜一はそれを取り入れているらしい。何故そんな行事が〈現世〉にあるのかが不思議だが、〈尸魂界〉と〈現世〉では理解できぬ壁があるのだからそれの一部分なのかもしれない。

 

『儂は今から【新任の儀】に行ってくる。お主は帰るも良しこの場に留まって過ごすも良し。好きなようにせぇ」

 

そう言い残し、〈瞬歩〉でその場を去った夜一の立っていた場所を見ながらお茶を一口すする。

 

『喜助に先を越されたな。まあいいか、俺が追いつけば良いだけだし』

 

俺は湯飲みを元の位置に戻して、十一番隊隊舎に向かって歩き出した。

 

 

 

 

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91年前…。

 

 

 

『『『ぎゃああああああああああああ!!!!!!』』』

 

悲鳴と苦痛に苦しむ声が混ざったような声が喉から絞り出され、口から白い何か(・・)が出てきたと思えば、身体ははじけ飛ぶ。そしてそれらは空気に消えていった。

 

『成程、一般魂魄では原形を留めないか…』

『如何なさいますか?実験を中止されますか?』

『いや、もうしばらくこれを続けよう』

 

流魂街の端に位置する場所で、ある実験(・・・・)が行われていた。当事者は、大人の男が2人青年が1人の合計3人。

 

1人の言葉を咎めるようなことをその男の周りに立つ2人は言わず、むしろ後押ししているように思える。

 

3人とも死覇装を着て斬魄刀を腰に携えていた。

 

 

 

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『そうだ浦原隊長、雷蔵三席 耳にしていますか?』

『何をっス(です)か?』

『流魂街での変死事件についてです』

『『変死事件?』』

 

雷蔵は〈瀞霊廷〉を、喜助・ひよ里・涅マユリの3人で歩いていた。すると角から〈五番隊隊長〉 平子真子と副隊長 藍染惣右助が現れた。

 

そしてひよ里と平子が(一方的な)喧嘩している間、雷蔵・喜助・藍染は3人で会話を続けていた。

 

『ここ一月程で流魂街の住人が消える事件が続発しているんです。それも原因不明で』

『普通ではないと言いたいんですね』

 

雷蔵の質問に藍染は然りとばかりに頷く。

 

その間も2人の喧嘩は継続中である。

 

『何処かへいなくなっちゃうってことッスか?』

『それが違うんです。蒸発であれば彼ら自身の勝手ですが。消える(・・・)んですよ。服だけ残して跡形もなく。死んでから霊子化するのであれば、着ていた服も同時に消えます。しかし、帯を結んだまま服を脱ぐことも、ましてや草履を履いたまま足袋を脱ぐなどできません。それらを踏まえると、人のまま形を保てなくなって消えてしまう(・・・・・・・・・)という考えしか浮かばないんです』

 

説明に心をひんやりした何かが撫でるのを感じたが、それは恐怖故の錯覚であると理解していたため表情には表さない。

 

『面白い、実に面白いネ。次の研究対象に決定だヨ』

『涅副開発局長落ち着いて下さい。さすがにそれは不謹慎です』

『ぐぬぅ、雷蔵がそう言うのであれば今回は見逃そうかネ…』

 

涅マユリは雷蔵の言葉を比較的素直に聞く。それは彼がたまに珍しい虚を研究素材として寄付しているからなのだ。

 

人のまま形を保てなくなって消えてしまう(・・・・・・・・・)ですか…』

『卯ノ花隊長に言われたことそのまま言うてるだけやから、詳しいことは俺たちにもわからん。ともかくその原因解明のために、〈九番隊〉が調査に出とるんや』

『〈九番隊〉というと六車拳西隊長ですねェ。あの人なら何かしらのデータを手に入れてくれるかもしれませんヨ」

 

復活した平子の説明に、喜助は「あっぱれ」と書かれた扇子を扇ぎながら納得する。

 

『言うことは言ったからこれで終わり。お勤め頑張りや~』

 

手をひらひらと振りながら反対方向に向かう2人を見送った雷蔵たちは、微妙な表情を浮かべていた。

 

喜助・マユリ・ひよ里はともかく。雷蔵までがそんな表情をするのは、ちょくちょく喜助が創設した〈技術開発局〉に出入りして、最新の情報を吸収しているからである。

 

『大丈夫かな六車隊長。あの人の実力は知ってるけど、相手の素性が未確認な上さらに危険とみた。援軍に行くべきだろうけど、俺じゃ足手纏いだ。〈九番隊〉の面子を潰すことになる上に、総隊長の命に逆らうことになる。それだけは簡便だな』

『まあ、〈九番隊〉を信頼して待ちましょう。さあ今日も研究張り切っていくっスよ!』

『五月蠅い男だね、こいつは』

『うちの近くで叫ぶなボケぇ!』

 

いつも通りの様子に少し沈んだ表情をしていた雷蔵は、苦笑を浮かべて3人を追い掛けた。

 

 

 

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数週間後、緊急の各隊隊長の招集が真夜中に知らされた。

 

〈十一番隊第三席〉である俺の出番でないが、嫌な予感がしてならなかった。だが隊長しか呼ばれていないのであれば動いてはならない。

 

大人しく命令が出るまで耐えるしかなかった。

 

 

 

数時間後、何やら隊舎内が騒がしくなっていたので、先輩隊士に聞いてみることにした。

 

「一体何があったんですか?」

「雷蔵三席。実は…」

 

聞かされた内容は、到底黙っていられるものではなかった。即座に窓から抜け出し、〈九番隊〉の霊圧が消失したと思われる場所に向かって走る。

 

何故、何故〈九番隊〉全て(・・)の霊圧が消失したのか。まさか、六車隊長たちが、流魂街の住民消失事件の関係者にやられたのか!?

 

いや、そんなことはありえない!

 

あの人は部下思いで強くて、男として尊敬できて何より強い。そんな人が簡単にやられるわけがない!霊圧消失は何かの間違いだ!

 

〈瞬歩〉で現場に急行していると、知った霊圧を感じて足を止める。

 

『…夜一』

『雷蔵、お主あの現場に行くつもりか?』

『当たり前だ!』

『行く必要は無い』

『何?』

 

この女性(ひと)は行くなと言っている。確かに今の俺では、隊長格でも適わない相手に向かっても命を無駄にするだけだ。だがここで止まっている間にみんなが死んでしまったらどうする?それでは意味がないではないか!

 

『何故止める?』

『〈三番隊〉・〈五番隊〉・〈七番隊〉それぞれの隊長が現場に急行している。お主が行く必要は無い。不安になっている隊士たちを落ち着かせほしいのじゃ。それが今お前に託された使命じゃ。わしも別命あるまで待機と言われている。行きたいのは山々じゃが命令は無視できぬ』

『…わかった』

 

俺は必死な様子でお願いをする夜一の気持ちを優先して、来た道を引き返す。霊圧認識可能範囲の端で、夜一も同じように来た道を引き返していくのを確認するのだった。

 

 

 

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翌日、事態は最悪という言葉以外に表すこと以外にはできなかった。

 

『喜助が〈現世〉に永久追放!?喜助が何をしたと言うんですか!?』

 

雷蔵は一番隊隊舎の中で、椅子に腰かける元柳斎に詰め寄るのだった。

 

『口を慎め雷蔵三席。これは《中央四十六室》の最終決定である。異議は認めぬ』

『喜助がそのような危険な実験を、8人の隊長格に行ったというんですか!?証拠はあるのですか!?』

『十二番隊隊舎の研究棟から、《虚化》の研究と思しき痕跡が多数発見されておる。それはつまり実験をしたという意味に他ならぬ』

『彼は自分に教えてくれました!あれ(・・)は危険だと、そしてそれを作ってしまった自分は、破壊する術を必ず見つけると。〈四十六室〉は一体何を考えているのですか!?」

『雷蔵三席、貴殿に無期限の謹慎処分を言い渡す!以後このような〈中央四十六室〉に対する異議をしないよう命ずる』

 

元柳斎の声音に雷蔵は俯き、拳をふるわせながら隊首会から退いた。

 

〈中央四十六室〉の決定は絶対である。〈尸魂界〉の最高司法機関であり、これの決定は隊長各でさえ異議は認められない。だが雷蔵は前日に、喜助と大鬼道長 握菱鉄砕を審議中の議事堂から救出した夜一から話を聞いていた。

 

今回の実験は喜助本人の意思ではなく、何者か(・・・)による陰謀。罪をなすりつけられた喜助と鉄砕は、〈現世〉で隠れて生活をする。

 

万が一、自分に〈現世〉への任務を言い渡されても接触は禁止。

 

〈虚化〉の実験台にされた8人の世話は、喜助に任せて自分は4人と接触したことを隠す。

 

これが初対面の鉄砕を除く2人と交した最後の約束となった。

 

 

 

 

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そして雷蔵の意識は現実に帰還する。

 

「喜助と鉄砕さん元気にやってるかな?まあ、あいつと一緒にいると面倒ごとに巻き込まれるけど、大鬼道長だったあの人なら喜ぶかも。おっと、物思いにふけりすぎたかな全員に報告しないと」

 

雷蔵は一番隊隊舎から〈瞬歩〉で、十一番隊隊舎へと急いで戻るのであった。

 

 

 

戻った頃は既に沈み、夕日が鮮やかに〈尸魂界〉を照らし始めていた。道場からは稽古終わりなのだろうか。楽しげな会話が聞こえてくる。

 

「オーッス、てめぇら話すべきことが2つあるからそのままで聞いてくれ」

 

上半身の汗をぬぐっている隊士たちに縁側を背に話をする。

 

「まずは総隊長からの雷だ。『これ以上物を壊すようであれば、〈十一番隊〉の取りつぶしがあり得る。今後は行動には気をつけること』だそうだ」

「「「「「「「「…えええええええええええ!!!!!!!!」」」」」」」」

 

かなり尾ひれを付けた話だが、直接聞いていない隊士たちはかなりのショックを受けていた。まあ、あながち有り得なくはない話なので、脅していても問題は無いだろう。

 

「驚くのは後にしてくれ。それから剣八が旅に出るらしく、俺が隊長を任されることになった。配慮できないこともあるだろうが大目に見てほしい。剣八の旅がどれだけの期間になるかはわからない。あいつが帰ってくるまでの間、全員の腕を上げる予定だから覚悟するように」

 

言い終えると息を大きく吐き呼吸を整える。

 

「ということで今から稽古な。全員木刀持って俺と勝負といこうじゃないか。全員が終わるまで稽古は終わらないのでよろしく」

「「「「「「「「…えええええええええええ!!!!!!!!」」」」」」」」

「よっしゃあ、その言葉待ってましたぜ隊長(・・)。俺から行きますよぉ、だりゃあぁぁぁぁ!」

 

意気揚々と自分に接近する一角に、雷蔵は嬉しそうな笑み浮かべる。

 

「最初は一角か。相手に不遜なし。本気でかかってこい!」

 

一角と雷蔵の稽古は10分間にわたって続き、体力の尽きた一角の負けで終わった。

 

「さあ来い!」

 

息を荒げて大の字に沈んでいる一角の前で、息も乱さず汗1つかいていない雷蔵の身体能力に怯えながらも、果敢に攻める隊士たちは悉く返り討ちに遭い白目をむくのだった。

 

稽古は2時間にわたって続き、またしても道場が全壊し通算543回となった。

 

 

 

その報告を聞いた春水・雀部・元柳斎は3人それぞれの反応をしたらしい。苦笑・苦笑い・ため息だったそうだ。




原作では夜一は喜助に声をかけてくれれば付いていったと言っていますが今回はその話が無かったことにしておいて下さい。独自設定でごめんなさい。

さて次からは尸魂界潜入編に入る予定ですよろしくお願いします。


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