BLEACH〜十一番隊に草鹿やちるではない副隊長がいたら〜 作:ジーザス
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〈護廷十三隊〉各隊長の招集があったのは昼過ぎの頃だった。
俺は日課の日の出前修行を終えて、書類整理を終了させたあとの僅かな時間で、束の間の休息をとっていた。
書類整理が終わると、その書類を分野ごとにわけてまとめる。
それが終われば持って行かなければならないのだが。普段の倍の数であれば、気を休めてから持って行っても良いだろうという自己判断を下した。
「隊長、緊急招集であります。至急一番隊隊舎へ来いとの連絡です」
「緊急?朽木ルキアと関係があるのか?」
隊士からの連絡を聞いて、右手に持っていた湯飲みを作業机の上に置く。朽木ルキアとは〈十三番隊〉に所属している女性死神で、〈現世〉の空座町を担当していた。
数日前から突如として消息不明となっていたのだが、技術開発局の腕前で発見されたということだろう。
「それはわかりませんが一刻も早く一番隊隊舎へ。総隊長がお待ちです」
「総隊長まで来るのか。よほどの案件なようだな」
背中に〈十一番隊〉と刺繍された袖無しの羽織を翻し、〈瞬歩〉で一番隊隊舎へ急行する。
招集されたのが数分前であるためか。着いたのはいいが、〈一番隊〉隊長兼総隊長である山本元柳斎重國と〈八番隊隊長〉 京楽春水だけが立っていた。
2人は俺が現れても話しかけず、全員が揃ってからとばかりにだんまりを決め込んでいる。俺も一度説明してもらい全員が揃ってからもう一度聞くのは嫌だったので、話しかけず全員の到着を待つのだった。
10分後、1人を除いて全隊長が揃ったところで元柳斎が火ぶたを切った。
「全隊長を招集したのは他でもない。重罪人朽木ルキアを、本日未明〈現世〉にて発見したからである。これにおいて〈十三番隊〉隊長 朽木白哉及び副隊長 阿散井恋次を派遣した。発見次第捕縛。逃亡を図るようであれば、その場での処断も許可しておる。捕縛後は〈尸魂界〉に帰還予定な為、パニックを起こさぬように隊士たちには知らせずに頼みたい。以上で隊首会を終える」
その言葉を最後に各隊長は隊舎に戻っていったが、俺は〈三番隊〉隊長 市丸ギンととある部屋で密会を行っていた。
「予定通りやね。これでボクたちの目的が叶えばええんやけど」
「気が早いなギン。それにここまでが順調でも予定外な横やりが入れば元も子もない。慎重に頼む。でないと露見する可能性がある」
「任せてな。ボクが失敗するとでも?」
「さあな、今まで失敗したことなくとも次に失敗しないという保証はない。また干し柿送るよ」
「おおきになァ」
ギンとの密会は、ギンが張った《鬼道》で誰にも聞かれることはなかった。
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朽木ルキアの【殛刑】になるまでの期間は長いと思われたが、それはあまりにも予想外な展開で崩されることになる。
雷蔵は四大瀞霊門西門通称「白道門」にギンと来ていたが、門が落とされた今では手を出すことはそうそうできない。
「これじゃあ手の出しようもないな」
「ええねん来ないなら来ないで。他の方法を考えればええから」
「楽観的だなギンは」
「そないなこと言うてるけど雷蔵はんも結構やで」
「そんなことはない…と思うけどな」
門の向こう側では、予想も付かない戦闘が行われているんだろう。地面を揺らす振動。空気を伝わる波動はかなりのものだ。
兕丹坊と渡り合えるとは、余程の腕前を持っているという証拠でもある。なにしろ彼がこの任に就いてから300年もの間、負けたことは一度もないのだから。
「ぐふはははははははは!!!」
「…なんか笑い声が聞こえてきたんだが。俺の耳が可笑しくなったか?」
「気にせんでええで。ボクも聞こえてるから」
門のせいでどのようなことが起こっているか見えない。彼が笑っているということは、それなりに面白い何かが起こったのだろう。
しばらくして、兕丹坊の必殺技「万歳兕丹坊祭」が繰り出された。その後、門が上がり始めたのでギンと共に近くによる。
「ああ…あああああああああ…」
「…誰だ?」
「さ、〈三番隊〉隊長 市丸ギンに〈十一番隊〉隊長代理 雷蔵…」
兕丹坊はあまりの恐怖故に震え始める。
「あァ、こらあかんわ」
ギンは右手を一閃した。
「…あかんなァ。門番は門開けるためにいとるんとちゃうやろ?」
「があああああ!!!」
兕丹坊の左腕が簡単に肩から切り落とされ、血が間欠泉のように噴き出し、辺りを赤色に染め変える。
片腕を失っても門を支えるのは、さすが〈尸魂界〉一の豪傑と呼ばれるだけあるが、負けては「番人」として失格である。
{〈三番隊〉隊長 市丸ギンと〈十一番隊〉隊長代理 雷蔵がいるとは迂闊じゃった!雷蔵の場合、話をすれば理解してくれるじゃろうがこの姿では無理じゃろうな}
だがそれは大きな代償を払うということと同義。今自分の姿をさらす場面ではないと無理矢理自分を納得させる。
{こいつらが強くなったとはいえ、隊長クラスの力量は兕丹坊とは別格じゃ。戦わせるわけにはいかぬ}
「負げた門番が門を開げるのは…当だり前のことだべ!」
「わかってへんねんな?門番が『負ける』ゆうのは『死ぬ』ゆう意味やぞ」
ギンが殺気を放つと、3人は怖じ気づいたが1人はギンに切り掛かった。
「なんてことしやがんだこの野郎!」
「ボクが怖ないんか。勇気のある子やな」
「もういい一護、ここは引くぞ!」
「「一護?」」
猫が声を上げて止めに入り、その名前にギンと雷蔵が首を傾げる。
「萱草色の髪に身の丈ほどもある大刀…そうか君が黒崎一護か」
「知ってんのか?俺のことを?」
「…ほうか、それじゃあ尚更ここを通すわけにはいかんなァ」
ギンは大きく距離をとり、一護という名の少年から離れている。
「そんなに距離とってどうするんだ?その脇差しでも投げるのか?」
確かにギンが持っている剣は脇差しと捉えてもいい長さだが、それを見抜けないようではまだまだである。
「脇差しやない、これがボクの斬魄刀や。《射殺せ【神鎗】》」
右手を引き、名を叫びながら突き出す。《神鎗》は視認できるかどうかという速度で伸びて、一護と呼ばれた少年に向かう。少年は大刀で防ぐが勢いは殺せず、兕丹坊と共に門の奥へと押し戻された。
「バイバーイ 」
ギンはいつも浮かべている謎の笑みで別れを告げる。
「お疲れギン…と言いたいところだが。兕丹坊にたいしては少しやり過ぎじゃないか?」
「あれぐらいせぇへんと後々支障が出るからしゃあなかってん。許してぇな」
「俺が許しても一護と呼ばれた奴は許さんだろうな」
「それならそれでええねん。戻りましょ。どうせみんなから言われるやろうから言い訳考えようや」
ギンのいつも通りの状態に苦笑する。懐から取り出した干し柿を投げ渡し、2人して食べながら〈瀞霊廷〉中心部へ向かって歩みを進めた。
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〈旅禍〉。死神の導きなしに〈尸魂界〉へ来た魂魄をそう呼び、〈尸魂界〉ではあらゆる災厄の元凶とされている。
「この前の〈旅禍〉はどうやって戻ってくると思う?」
翌日、雷蔵とギンは偶然道で会った。何気ない会話を誰にも聞こえないようにしながら話していた。
「門がダメなら門以外から入ってくると思てるよ」
「何故そう思う?」
「あの門を通ることできへんから他の門へと向かうかもしれんけどなァ。遠回りしたら最低でも10日かかる。彼女取り戻すんやったらそないな時間かけてせぇへんと思うんや」
そう、2週間後には朽木ルキアの処刑が始まるのだ。
10日かけて次の門へと行って中に入れたとしても、道を知らない一護たちに、処刑が行われる〈双殛の丘〉まで残り4日間で到着できるはずがない。
そもそも〈双殛の丘〉という名前自体を隊長及び副隊長、席官クラスでなければ知らない。処刑が行われる「場所」の「名前」を知ったとしても、流魂街の住民または〈瀞霊廷〉に住んでいる死神を脅しても無駄な労力に終わる。
つまり「名前」を知っても「場所」がわからなければ、救出は不可能である。
「さすがは〈三番隊〉隊長だ。よく頭が切れる」
「あんさんほどじゃないけどねェ」
「じゃあ俺は行くところあるから」
「ほなまた」
雷蔵はギンと別れた後、会うべき人物を探して走り回り昼前に見つけた。
「あ、いたいた。お~い阿散井、話があるんだけど少し良いかな?」
「…雷蔵隊長?」
予想外の人物からのコンタクトに恋次は戸惑いを隠せず、ぬけた顔をしていた。
「誰にも聞かれたくないから率直に問うよ。君の眼から見て朽木ルキアは死ぬべきか?」
「…え?…質問の意味がわからないんですが」
「君が朽木ルキアと流魂街の頃から親しかったのは、白哉から聞いている。そこでなんだが今回のことについて妙だと思わないか?彼女の罪状は、『霊力の無断譲渡及び喪失・滞外超過』だ。この程度の罪状で『殛刑』など、俺は一度も聞いたことがない。それに加えて『義骸の即時返却・破棄命令』・『35日から25日への猶予期間の短縮』・『隊長格以外への【双殛】の使用』。どれも異例づくめだ。もはや誰かが裏で操っているとしか思えない」
「まさか…」
恋次の質問は突然の音にかき消された。
『隊長各位に通達!隊長各位に通達!只今より緊急隊首会を招集!』
予想通りの呼び出しに内心にやけるが、表面はどういうことか理解できていない風をよそう。
「…こんなときに隊首会か」
「あの雷蔵隊長…「すまない阿散井、話はまた後だ」…はい」
雷蔵は〈瞬歩〉でその場を去る。
残されて貴重な休憩時間を無駄にされた恋次は、しばらくの間眼を点にさせて立ち尽くしていたらしい…。
急ぎ足になってしまっていますよねこれ!?「尸魂界救出編」5話も続かずに終わってしまう気がしますぅぅぅ!マズいマズいぞこれは!どこかで回収しなければ話数がぁぁぁ~!
追記 約1名は準ヒロインとして作者の中にあります。