BLEACH〜十一番隊に草鹿やちるではない副隊長がいたら〜   作:ジーザス

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敢えて1人では中には入らずギンと共に中へと入る。

 

「予想通りだな」

「ほんまやねェ。ボクはそれほど緊張してないけど。雷蔵はんは若干してらっしゃるみたいやけど大丈夫?」

「微妙…」

「気張りや。たぶん面倒くさいこと起こるから」

 

ギンに言われるまでもなくそれは予想している。だがさらに気を引き締める機会をくれたのだ。自分とギンを除く10人の隊長から放たれる威圧に耐えなければ申し訳ない。

 

「じゃあ、怒られに行こうか」

 

一番隊隊舎の扉を押し開ける。

 

「…来たか。さあ、今回の行動についての弁明を聞かせてもらおうか〈三番隊〉隊長 市丸ギン及び〈十一番隊〉隊長代理 雷蔵!」

 

元柳斎の怒りが2人を包む。

 

それに臆することなくギンは、いつもの内心を疑わせない笑みを浮かべている。雷蔵は毅然とした様子で、左右に立つ元柳斎を除いた10人の隊長格を見渡している。

 

「〈十三番隊〉の隊長がいらっしゃいませんなァ」

「おそらく病欠だろうさ」

「そんな話をしに来たんじゃないんだヨ。まったく2人とも、〈旅禍〉と勝手に交戦してきたとは誠に遺憾だネ」

 

普段は白い肌に面妖な黒い化粧をした異相の男が、不愉快とばかりに刺々しい言葉を投げつけてくる。

 

「その言い方には語弊がある」

「何?何が言いたいのかネ?」

「交戦したのは自分ではなく市丸隊長だ。自分が交戦したとは一言も申していないが?」

「貴様ぁ!…君は『私に殺されるべきリスト』に掲載する必要があるようだ」

「ご自由に」

 

雷蔵は興味なしというより、勝手にしておけとばかりに無関心を決め込んだ。

 

「君たちのような隊長であれば、見逃すことはなかったと思うんだが違うかネ?市丸隊長」

「あら?死んでへんかったんや。てっきり死んだと思ってたんやけど、ボクの勘もニブったかな?」

「しらばっくれるのもいい加減にしろ!我々のような隊長が、相手の〈魄動〉が消えたかどうかが察知できないわけがないだろう!」

「あれまぁ。その言い方だと、ボクがわざと逃がしたみたいですやん」

「砕蜂隊長はそう言っているんだヨ」

 

ギンと各隊長の雰囲気は険悪だ。元から折り合いの悪い〈護廷十三隊〉は、何かあれば互いに啀み合う。

 

「ぺいっ!」

「「「!」」」

 

元柳斎の一言で、言い争っていた隊長各は声のした方を一斉に見る。

 

「それぞれやめんかいみっともない。…今の話を聞いて大体呼び出された理由はわかったかの?今回のお主たちの許可なしの行動。さらには、標的を取り逃がすという隊長としてあるまじき失態!それについて、お主たちからの理由を聞こうかと思っての。何か弁明することはあるか?」

「「ありません」」

「ぬ?」

 

2人の予想外の言葉に、元柳斎は意外とでもとれる反応を示した。それもそのはず。このような場を作り隊長各から言いたい放題に言われたにもかかわらず、反論する気がないのが不思議だった。

 

「言い訳も出来ないほどの失態ですやん。どうしようもありませんわ」

「市丸隊長と同意見です。自分も気付けなかったのですから言い訳できません」

「ちょっと待て2人とも。それで…『緊急警報!緊急警報!〈瀞霊廷〉内に侵入者有り!各隊守護配置について下さい!』…」

 

藍染が2人に声をかけようとした瞬間、非常事態を告げる鐘が〈瀞霊廷〉に響き渡った。

 

「来たか…」

「まさか例の〈旅禍〉が!?」

「致し方ないの。隊首会は解散じゃ。2人の処置は以後決定するとして全員廷内配置に着くのじゃ!」

 

元柳斎の命を受けて、11人の隊長たちが持ち場に急いで向かう最中、藍染がギンに何かを話しかける。それを不思議そうに見つめる日番谷がいた。

 

だがその声は非常事態を知らせる鐘の音で聞こえない。

 

そして日番谷の視線も僅かな時間の間だったので、自分の見間違いかもしれないと自分を納得させる。そのまま部下へ指示を出すため隊舎へと向かった。

 

よもやこの勘違いが大きな溝を生むことになるとは、その時は思いもしなかった。

 

 

 

 

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雷蔵が十一番隊舎に到着した頃には全員の帯刀が終わり、あとは命令を待つだけとなっていた。良く言えば準備の早い。悪く言えば喧嘩腰の部下に苦笑いを浮かべてしまう。

 

「準備が早いのはいいがそこまで威圧を発するな。これは喧嘩じゃない。戦争だ」

 

少し肩の力を抜いた隊士ににっこりと笑いかけた後、部下を鼓舞するかのように言う。

 

「〈旅禍〉は全部で死神が1人と人間が3人、そして人の言葉を話す猫が1匹の一団だ。気を抜くなよ?いつ敵が来るかわからないかな。一角と弓親は〈瀞霊廷〈〉の外周部を頼む。何処から入ってくるかわからない以上、広範囲を探れるお前たちにしか任せられない」

「「はい!」」

 

2人は〈瞬歩〉でその場を離れ、指示通りに外周部へと跳んだ。

 

「隊長、我々はどうしますか?」

「しばらくは様子見だ。それから十席以上の隊士に隊舎周りを警備させろ。交代制で順に仮眠をとるように伝えてくれ」

「御意」

 

1人の隊士に伝言を頼み夜空を仰ぎ見る。星々が煌めき幻想的な美しさを醸しだし、本当に〈旅禍〉の侵入があったのかと疑うほど穏やかな輝きである。

 

雷蔵はしばらくの間、無表情に空を見上げ続けていた。

 

 

 

 

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翌日の朝、結局〈旅禍〈〉は現れず日が昇ってしまった。

 

「現れませんでしたね」

「そうだな。もしかしたら諦めたのかも…」

 

そう言っていると何かしらの音がどこからともなく響いてきた。

 

ゴオォォォォォォォ!

 

「ん?」

 

音に気付き空を見上げると、何かしらの物体がとてつもない速度でこちらに向かって飛んできている。いや、落下してくるではないか。

 

「「は?」」

 

雷蔵ともう1人の隊士は見上げながら素の反応を示した。

 

「いかん!呆気にとられている場合ではない!離れろここから離れるんだ!落ちてくるぞ!」

 

部下に命令し自分も下がろうとした。が何かしらの物体は勢いを増し、地面に落下すると思いきや空中の膜らしきものに衝突し落下は起きなかった。

 

「〈遮魂膜〉に衝突しても消滅しないのか?中々の霊子密度じゃないか」

 

感想を口にしていると、その部分が渦を巻き始めて破裂した。東西南北に向かって4つに分離する。

 

「さあ黒崎一護はどれだ?北か南か西か東か」

 

雷蔵はギンの攻撃を受けて無事だった一護を探し始める。あの斬魄刀を初見で防ぐほどの腕前を、この身で確かめたくなったのだ。

 

雷蔵は一護が何処にいるのかまで敢えて掴かまず、大きな建物の上から探すことにした。〈瀞霊廷〉で最も高い建造物が建ち並ぶエリアに向かって歩を進めた。

 

 

 

 

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「ゲホゲホ!どうやら助かったみてぇだな…」

 

岩鷲の謎の力で地面への激突を回避した一護は、〈瀞霊廷〉の風景を見渡して流魂街との差に驚いている。地面は土でなく住居も木材で作られていない。生活基準の違いが顕著に表れている。

 

「これが〈瀞霊廷〉かよ…」

「いよっホォ!ツいてるゥ!」

 

一護が愚痴を漏らした瞬間、背後の壁の上から楽しげな声が聞こえ振り返る。

 

「隊長の命令とはいえ外周部の見回りをさぼって適当に歩いてたら、いきなり目の前に手柄が落ちてきやがった!」

「ボクは持ち場に戻ろうって言ったけどね」

 

スキンヘッドで三白眼の強面の男で、目元に赤い化粧を入れた男として一護は見ているのだろう。眼に宿る光が強まった。

 

 

 

「僕は後ろの醜い顔を相手にするから彼は一角にあげる」

「さすが弓親わかってるじゃねえか!」

 

おかっぱ頭で死覇装に飾りを付けた弓親にターゲットにされた岩鷲はその場から離脱を決定し、なかなかの速度で逃げ出した。

 

それを追い掛ける弓親に一護は手を出さなかった。

 

「なんで弓親を止めなかった?あいつ死ぬぜ?」

「…あいつは掴み所がわからなくてうざくて嫌いだ。でも『仲間』としては信頼してるし腕は確かだ。俺は『仲間』の腕を疑いたくもないし、絶対に負けねぇって知ってる」

「心意気だけは立派じゃねぇか。だがなぁ、世の中はそれだけじゃ揺るぎはしねぇんだよぉ!」

 

一角は斬魄刀を鞘から抜刀し跳躍から振り下ろした。

 

キィン!

 

一護も背中から斬魄刀を抜刀し一角の攻撃を防ぐ。

 

「今に吠え面かかせてやるよ」

「青二才が生意気言ってるんじゃねぇ!男なら剣で語らなきゃ話にならねぇぞ!」

 

鍔迫り合いしていた腕にさらに力を込めると、引力によって一角の攻撃は地面で斬り掛かるより数倍の重さを作り上げている。このままでは斬られると即座に判断した一護は、拮抗部分から体を左に移動しながら縦にずらし、鍔迫り合いを解除した。

 

{賢い体捌きだ}

 

自分の攻撃が避けられた一角は恐れず、真剣に一護の動きを分析している。避けた瞬間から一護はかなりの速度で一角に接近し、空中から一角を斬り付けた。

 

「…一応、名前を聞いておこうか」

「…黒崎一護だ」

「一護かいい名前だ。名前に一が付く奴ァ、才能溢れる男前だと相場が決まっている。俺は〈十一番隊〉第三席副官補佐 斑目一角だ。一の字同士仲良く戦ろうぜ」

「やだね」

 

2人とも似たような人の悪い笑みを浮かべ対峙している。そしてお互いに額に切り傷があり流血し、一護が額の傷から流れる血を左手で拭った。

 

「…解せねぇな。これだけの距離があるとはいえ、対峙中に刀から手を離すのは素人のすることだ」

「仕方ねぇだろ眼に血が入りそうなんだからよ!」

「額の傷は浅くても派手に血が出る。だから早めに血止めしなきゃ戦闘に支障がでるぜ」

 

一角は柄部分を開いて、中から血止め薬を取り出し額の傷口に塗った。

 

「てめぇ、そこに仕込んでやがったのか…」

「バーカ、知恵だよ知恵。数え切れねぇぐらいの場数踏んできたからな。それなりにヤバい怪我をしたことがある。まったくてめぇって奴はつくづく妙な野郎だぜ。振る舞いは素人、戦士と呼べるほどの腕前じゃねぇ。だが反応は上等、打ち込みは激烈、体捌きは俺に近いと言ってもいい」

「あ?」

 

一護はカチンときたらしく顔がひくついている。

 

「そんな怖ぇ顔すんなよ。褒めてんだぜ素人にしては動きが良すぎてるってな。刀を使い始めたのは最近だと予想するが、それにしては動きが長年死の淵の近くを歩んできたように思える。師は誰だ一護」

「10日間ほど教えてもらっただけだから、師と呼べるかはわかんねえ。だけど戦いを教えてくれた人はいる」

「誰だ」

「浦原喜助」

 

その名前を聞いた瞬間一角の殺気が一段と増した。

 

「そうか。あの人が師なら手ぇ抜いて殺すのは失礼ってもんだ」

「待てよ!あんた浦原さんのこと知ってんのか!?」

「さあなァ!俺に勝ったら教えてやる!《延びろ【鬼灯丸】》!」

 

一角が叫んだ瞬間、斬魄刀の柄と鞘が繋がり形状が変化した。さらに一角の霊圧が上昇し一護は眼を見開く。

 

「見誤んなよ一護ォ!」

「誰が!」

「オラァオラァオラァ!」

「ぐ!」

 

一角の鋭い突き込みに、一護は斬魄刀で紙一重の動きで避けるしかない。一角は心底楽しそうだが、一護はそれが気にくわないらしい。必死な表情とは違い、眼の光は落ち着いている。

 

「槍の間合いはわかってんだよ!」

「違うな《裂けろ【鬼灯丸】》!」

「何!?」

 

一角がもう一度叫ぶと「槍」が3つに分離し、先端の刃が一護の右腕を大きく斬り付けた。

 

 

「だから見誤るなってのはこういうことだ、【鬼灯丸】は『槍』じゃねえ『三節棍』なんだよ。その腕じゃまともに剣は振れねぇはずだ。たとえ痛みに身体が慣れているといっても限度ってもんがある」

 

一護の右腕からは血が大量に流れ出し、地面に血溜まりを作り始めている。これだけの血を失えば、貧血を起こしても可笑しくはないだろう。しかし一護には、少し息を乱した以外にこれといった症状は見受けられない。

 

「これでよしっと、ふん!」

 

ゴガ!

 

「なっ!」

 

茎の後端から伸びた晒を傷ついた右腕に巻きつけ、《斬月》を一角に振り下ろす。一角は間一髪のところで避けるが、背後にあった塀が大きく削り取られ、その一撃の強さに一角は眼を見開いて驚いている。

 

「勝手に終わったことにしてんじゃねぇよ。次に剣を握れなくなるのはあんただ一角」

「…餓鬼がいっちょ前の言葉言うじゃねぇか。おもしれぇ!」

 

一護と一角は互いに飛び出し、一護は大きく振りかぶり振り下ろす。だが一角は「三節棍」を不規則に操って、動きを悟られないようにしている。

 

「そんなもんかよ」

「っ!?」

 

{野郎、素手で《鬼灯丸》を破壊しやがった…}

 

しかし、攻撃の僅かな隙を突かれ《鬼灯丸》の一部を壊されたことに驚いた瞬間、一護は大きく跳躍した。

 

「もう一度言うぜ一角。次に剣を握れなくなるのはあんただ」

 

振り下ろされた剣を《鬼灯丸》で防ぐ。だがあまりの威力に分断され、身体の左胸から腹部にかけてを大きく削がれる。傷は浅くはなく、出血量がかなりのものとなっている。

 

出血多量で気が遠くなり始めている一角の脳裏に、ある人との会話が浮かび上がる。

 

 

 

{いいか一角、命を粗末にするな。たとえ戦うことが好きでも命を投げ打ってまで戦うな。危険なら逃げろ。命を捨てるのは大事な何かを護るときだけだ}

{そう言う隊長は護るものがあるんですか?}

 

稽古で俺を負かした隊長は薄く笑って答えた。

 

{いつかわかるよ}

 

 

 

俺にはその言葉の真意がわからなかった。戦いを第一にする〈十一番隊〉からすれば、あの人の考えはずれている。だが、あの人が口にすると自然に聞こえるのが不思議だった。

 

更木隊長がいないこの10年。喧嘩っ早い〈十一番隊〉を苦労しながらもまとめ上げ、全員の腕を今の高みまで磨いた。

 

10年経った今でも隊長の言いたいことは理解できない。でも気持ちはわかる。

 

「自分にとって大切なものを護るときだけに命を捨てる」

 

ああ、そうか。俺は隊長のために命を捨てるんだ。そのためだけに腕を磨いてきたんだ。

 

「…残念だった、な。…俺はまだ、剣を握れる…ぜ。俺を止めるには…この、腕を落とす以外には、ねぇよ…」

「剣を退けよ。もうあんたは負けたんだ!」

「何、寝言言って…やがる。…俺が死ぬ…のは、戦闘の中、だけ…だ。それが隊長の言葉を聞いて自分なりに出した答えだ!」

 

一角は話し終えたかどうかというところで、全力で一護に肉薄する。

 

が重傷を負った一角の動きは、全快時と比べて明らかに遅い。一護はそれを少し悲しげに見つめていた。

 

「遅ぇっ!」

 

振り抜いた剣が、一角の持つ《鬼灯丸》を粉砕する。

 

「マジ強ぇなお前。…すんません隊長」

 

一角は一護の強さを改めて褒めた後、自分にも聞き取れるかどうかという声量で自分の憧れる人に謝罪する。そこで一角の意識は途切れた。




過去の回想から現実復帰するとすごい技繰り出して相手を驚かして自分も驚くって展開ありません?作者は漫画やアニメでそういうのが多いと思うんです。だから今回も一角の記憶を呼び起こし覚悟を決めさせたという状態にしました。

まあ結局は原作通り負けたんですけどね。作者自身一角の高音ボイスは結構好きです。

マユリさんはちょいとふざけてみましたあのセリフ使いたかったので…。



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