フェイト / グランド なりきり オーダー   作:影鴉

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日刊ランキングに入ってしまったのは…何かの間違いでは無いでしょうか?
まぁ、一瞬だったけどね(ハーメルンあるある)

兎に角、一瞬でもランキングに載った事とUA10000越え且つお気に入り300突破及び高評価を入れて下さった読者の皆々様に感謝、感謝。

今回より幕間開始。


幕間 其の壱
カルデアでの召喚、麻婆豆腐を添えて


 オルガマリーに依る“冠位指定(グランドオーダー)”発令後、優作はロマニからカルデアの詳しい被害情報を聞いていた。

 

 優作の手によって爆破された中央管制室は元の姿へと戻っていたが、同じく爆破された中央発電所はカルデアを維持及び最低限の機能を行使する程度の発電しか出来ない状況になっているらしい。

 また、大きな爆発が起きた場所は管制室及び発電所であったが、他の場所でも小規模ながらも爆弾が仕掛けられていたらしく、備品倉庫や警備員や厨房職員の詰所を爆破されたらしい。

 結果、生活必需品の予備や食料、保存していた聖晶石といった魔術素材等の多くが灰になってしまった。また、生き残っている職員が魔術系統の技術士のみな上に誰も料理を作る事が出来ないとの事。ロマニ、ダヴィンチは同じ技術・研究者である為に論外。オルガマリーは良いとこのお嬢様なので経験無し、マシュも料理は興味があったが、今迄厨房を借りる事が出来なかったらしい。

 

 爆破された個所は優作が直せば済むだけなので他、カルデアで解決すべき問題は…

 

1、食料や生活必需品等の資材確保

 

2、料理人の確保

 

3、カルデア職員の仕事補助及び効率改善

 

4、裏切者のレフや黒幕等によるカルデア侵攻の際の防衛機構構築

 

5、特異点攻略の為の戦力補充

 

 簡単に纏めると以上の5項目が挙がる。

 

 

 1に関してはあそこ(・・・)から自分が持って来れば良い。

 2についてはコックになりきらせる手もあるが、暫くは自分がやれば良いだけの事。メディアは料理が出来るらしいし、クーフーリンも野外料理が得意との事なのでサーヴァント達にも手伝って貰える。あと料理に興味があるマシュも参加してくれるとの事。

 3については手伝える人員確保及び働いてる職員が休憩に入る際、如何にリラックスして休息を取って貰えるかが大事だろう。

 4に関しては神代の魔術師であるメディアや戦闘のプロであるクーフーリンと相談しながら3におけるリラクゼーション施設を設営する事を加えてカルデアを大改造する必要がある。黒幕を倒しても今後、別の勢力が攻めて来る可能性も捨てきれないのだから。

 最後となる5については英霊召喚で事済むので一番先に行う事にした。戦力として呼ぶのは当然であるが、料理と言った他技能を持った英霊が現れてくれるかもしれないし、自身が抱いている野望も叶ってしまうと一石三鳥になる訳だ。

 

 以上の事から他の爆破された個所を直した後、英霊召喚を行う事に決めた。

 

 

:::::

 

 

「倉庫で無事だった聖晶石は2個だけだったよ。本来ならまだ沢山有ったんだけどね…」

「バーサーカーとアーチャーでそれぞれ3個、セイバーで4個、そして倉庫の2個で合計12個。なら4回召喚出来るやん! モーマンタイ、モーマンタイ」

 

 

 英霊召喚システム『システム・フェイト』、その施設がある部屋にて優作はロマニからカルデアに残っていた聖晶石を受け取る。現在、この場にはこの2人の他、マシュとオルガマリー、クーフーリンとメディア、そしてダ・ヴィンチがいた。

 

 ここでもう一度英霊召喚について説明しよう、

 

 特異点『F』にてオルガマリーが説明した様に、カルデアでの英霊召喚には電力と聖晶石と呼ばれる石で魔力を精製するだけで良い。

 本来の聖杯戦争での召喚は聖杯からの魔力供給がある為、魔法陣を描き令呪が刻まれたマスターが決まった召喚の詠唱をする事で召喚される。この時マスターは召喚の為に自身の魔力を消費する必要が無いが、召喚したサーヴァントを維持させる魔力を供給する為にパスを作るので、それなりの魔力消費が発生する事からマスターには一応の負担が発生する。

 だが此処カルデアでは、マスター自身は一切の魔力消費が発生しない。

 召喚は勿論の事、サーヴァントを現界維持やサーヴァントの真骨頂とも言える宝具を発動する時に必要とする魔力すらカルデアの電力によって賄う事が出来るのだ。

 流石に聖杯のような無限供給みたく、宝具の連続開放は負担が大きい為に令呪を切らない限り無理だが、それでもマスター自身の資質に関係なくサーヴァントを運用する事を可能にしている。

 一般人である優作がカルデアに呼ばれたのも、魔術師で無くともマスター適性者としてレイシフトが可能であれば誰でも良かった、と言う召喚システムの優秀さも理由として入っていた。

 

 また、本来の英霊召喚では召喚した英霊の全盛期の姿で召喚されるのだが、前当主のマリスビリー・アムニスフィアは召喚に応じた英霊の反逆を恐れ、安全対策としてサーヴァントの霊基をある程度弱体化させて召喚するシステムを採用し製作した為、呼び出しただけの英霊は本来の実力を引き出す事が出来ない。但し召喚後、霊基を強化する事で本来の力を取り戻す事が出来らしいのだが、種火といった素材が無いといけないらしい。英霊の育成に関しては考えが有るので優作は特に気にしていなかった。

 

 

「そんじゃあ、始めますかね」

「礼装が現れる可能性も考えると何人呼べるか不安だけど…」

「見ているだけですが、緊張します…」

「なぁに、気楽にいきましょうや。そ~れ!」

 

 

 媒体さえあれば狙った英霊を召喚する事が出来るのだが、人理焼却された現状では用意する事が出来ない。結果的にマスターとなる優作との相性や縁といったモノから繋がりがある英霊を呼び出す事になる。

 心配そうなオルガマリーと緊張しながらも目を輝かせながら英霊召喚の様子を見ているマシュに言葉を掛けながら優作は3個の聖晶石を召喚サークルに設置した。

 置いた聖晶石が召喚サークルの中心で輝き出し、やがて光の柱が現れる。さらに同じ様に光の輪が現れて光の柱を包み込み徐々にヒトガタへと変わっていく。

 

 

「おぉ、一発目から当たりじゃないか!」

「やりましたね、先輩!」

 

 

 優作とマシュの歓喜の声と共に光が消え、現れたのは紅い外套に黒い軽鎧を身に着けた、鍛え抜かれた長身の青年だった。銀髪に鉄灰色の瞳、そして褐色の肌。年齢は20代半ば程と思われるが、人種を特定しかねる容貌だった。

 

 

「サーヴァント・アーチャー。召喚に応じ参上した」

「おや、この声は冬木で会ったアーチャーやん」

「うげっ、テメェが呼ばれたのかよ…」

 

 

 声と気配から冬木にて戦ったアーチャーであると優作は気付き、クーフーリンは嫌そうな声を上げる。余程犬猿の仲なのだろう。

 

 

「ふむ、まさかこうも早く呼ばれるとは…取り敢えず簡単に自己紹介させて貰う。私はアーチャーのサーヴァントのエミヤだ、アーチャーともエミヤとも呼んでくれて構わない」

 

 

 召喚されたアーチャーことエミヤはクーフーリンの方を見て一瞬顔を顰めた後、優作に対し丁寧な挨拶をする。

 

 

「エミヤ? 日系の人なん?」

「こんな見た目でも日本人だ。しかし、そこの青タイツ男は先に呼んだのかね? 今はあの時の服を着ているようだが…」

「おい、青タイツ呼び止めろや」

「クー兄はあの冬木でそのままゲットしまんた。ところで青タイツって?」

「この男がランサーで呼び出されて時の姿だ」

 

 

 エミヤの青タイツ男呼びに歯を剥き出して槍を構えようとするクーフーリン。傍にいたマシュに止められて、構えを解いたが、相変わらずエミヤを睨んでいた。

 

 

「(青タイツって…ケルトらしさ0なんだけど…)宜しく、エミヤん。ところでエミヤんの趣味って何なの?」

「(エミヤん…)趣味か…料理は得意だぞ」

「やったぜ、マリー。また趣味が合った英霊を呼べたゾイ」

「えぇと…料理できる人員が増えた事を喜ぶべきなのよね?」

「まぁ、現状優作君とサーヴァント達しか料理出来ないからね」

 

 

 エミヤの趣味を確認した優作は料理仲間が増えた事を喜ぶ。

 

 

「これから宜しくエミヤん。人類の歴史奪還の為に料理含めたその力、貸してくださいな」

「ふっ、君は中々面白そうだな。まぁ、任せたまえ。戦いでも厨房でも、な」

 

 

 そう言って2人はしっかりと握手を交わした。

 

 

「そんじゃ、次いっきま~す」

 

 

 改めて3個の聖晶石を設置し、召喚を開始する。

 エミヤはマシュ達と同じく後ろに控えている…クーフーリンから離れてはいたが…

 新たに召喚サークルから光が溢れ、ヒトガタを形成していく。

 

 

「物好きな方々ですね。生け贄がお望みですか?」

 

 

 召喚されたのは長身で女性美の極致のような肢体の持つ美女だった。白く陶磁器の様な美しい肌に豊満な胸、細くくびれた腰に手足も細くそして滑らかな肉付きだった。

 髪の毛も美しい。膝どころか踵近くまで伸びるストレートの長髪は紫水晶の様に室内の光で輝いて見える。

 正に理想的なモデル体型であり、男性は魅了され、女性は羨望の眼差しで見つめる事だろう。優作にとってもクリティカルヒットなモデル候補だった。

 

 着ている衣装について目を瞑ればだが…

 

 

「うわぁ…」

 

 

 彼女が着ているのはボディラインがくっきりと分かる黒と紫を基調としたベアトップのワンピースであり、上下とも実に際どい位置迄しか布地が無かった。そして腿迄のブーツと、上腕迄あるレザーグローブを身に着けている。色はいずれも黒で、双方に紫のベルトがあしらわれている。首にも紫のチョーカーを着けており、更にウロコ模様の顔面を覆う眼帯が着けられていた。

 正直、キャバクラかR-18指定待った無しな怪しい夜のお店の店員さんな衣装である。

 そんな恰好を前にして後ろでロマニが思わず呻き声を零していた。

 

 

「…キャバクラの英霊ですかね?」

「きゃば…くらですか? 何を……ヒィッ!?」

 

 

 優作のあんまりな問いに首を傾げる女性だったが、マシュの姿を見た途端怯えの声を上げて後退った。

 

 

「いきなり怯えだしたわよ!?」

「マシュに顔を向けた途端怯えだしたけど、アレで見えるのかい?」

「わ、私ですか?」

「嬢ちゃんを見て怯える……あ」

 

 

 突然怯えだした女性に困惑の声が出る中、クーフーリンが気付いた様に声を上げた。

 

 

「何か分かったん、クー兄?」

「コイツあそこ(冬木)でライダーで出ていた奴だ。嬢ちゃんが星にしたんだろ?」

「あ…あぁ~、だからね」

 

 

 彼女は特異点『F』にて最初に襲って来て、マシュに依って星にされたシャドウ・サーヴァントらしい。

 納得する優作に彼女は怒った様子で大声を上げた。

 

 

「そんなアッサリと納得しないでもらえますかっ!!?」

「あ、キレた」

「貴方に分かりますか!? 摩擦熱で全身を焼かれる痛みを味わいながら徐々に消滅していく様を!!?」

「うんわ…知りたくなかった真実…まぁ、よくよく考えたらそうなると分かるんけど…」

 

 

 事実、大気圏離脱して星になってしまう速度で蹴っ飛ばされたら摩擦熱で焼き尽くされるだろう。それ以前に本来なら蹴られた直後に木っ端微塵になるだろうが…

 

 

「まぁ、その件に関しては“嫌な事件だったね?” としか言えんべ」

「そ、そんな…」

「事実、シャドウ化してモーショボーやおいちゃん達に襲って来たんやから、しゃあなしやろ?」

「それは…そうですが…」

「こうして呼んだ以上、仲間なんだから星にする事は無いよ。但し、裏切らない限りはって条件が付くけど…」

「…あんな思いをまたするのはもう御免です。裏切ろうなんて思いませんよ…」

 

 

 げんなりとした様子の女性に優作は苦笑しながら手を差し伸べた。

 

 

「兎に角、宜しく。名前は?」

「メデューサです、宜しく。クラスはライダー」

「へ? メデューサ? その姿でって事はアテナの呪いで魔物に変えられる前なん?」

 

 

 クラスをライダーと名乗った女性、メデューサの自己紹介に優作は目を丸くする。

 『メデューサ』と聞いてイメージするのは髪の毛が蛇へと転じ、その姿を見ただけで石になってしまう醜い怪物であろう。しかし、彼女は眼帯やら怪しい衣装ではあるが、見た目は絶世の美女である。作品によっては彼女が見つめたモノが石になったりするので眼帯をしているのは納得出来るが、それでも髪の毛が蛇で無い事に疑問が浮かんだ。

 

 

「確かにこの姿はアテナに因って魔物に変えられる前の姿です。唯、魔物に変えられた後に得た力が混ざっていますが」

「混ぜ込ぜのごっちゃになってる訳か、大変やな?」

「いえ、慣れましたので」

「何か不便な事があったら、おいちゃんに言うんやで? 可能な限り叶えるさかい。ところで趣味は?」

「…有難う御座います。私の趣味ですか…?」

 

 

 優作の問いに対し、メデューサは優作の後ろに立つマシュとオルガマリーをチラリと見やった。眼帯をしていて見えているのかは分からないが…

 

 

「…可愛らしい()と戯れる事でしょうか?」

「…メーちゃん、レズなん?」

「め、メーちゃん!?」

「メデューサだから“メーちゃん”さね。嫌やった?」

「い、いえ…可愛い呼び方だから構いませんけど…後、レズではありません。可愛い娘が好きなだけです(真顔)」

「そっか~、兎に角宜しく」

「はい、宜しくお願いします。ここは働き甲斐がありそうですし、頑張らせて頂きます」

 

 

 優作はメデューサと握手を交わし、彼女はマシュ達のいる場所へと向かう。マシュとオルガマリー両者の間に陣取ったのが少し気になるが…

 

 

「3回目いくど~」

「次も英霊が出ますかね?」

「流石に連続は無いんじゃないかしら…」

 

 

 3度目の召喚を開始し、光が溢れていく。輝きは徐々に収まっていくが、ヒトガタは現れなかった。

 

 

「礼装か、残念」

「まぁ、連続で英霊を引き当てた方が凄い事だからね。さて、どんな概念礼装が出るのかな?」

 

 

 残念がるロマニと笑いながら答えるダ・ヴィンチ。

 光が収まり、召喚サークルの中にあったのは麻婆豆腐であった。

 

 

「………ナニコレ?」

「げ、アレって…」

「まさか……アレか!?」

 

 

 目が点になりながら、召喚サークルに入り麻婆豆腐が入った皿を持ち上げる優作。親切にも皿にはレンゲも置かれていた。

 一方で後ろのクーフーリンとエミヤがナニカ焦った様子である。

 レンゲを手に取り、一口麻婆豆腐を掬ってみる。香料の良い香りが鼻腔を擽った。

 

 

「ヤベェ!? 坊主、食うな!!」

「止めたまえマスター! それは最早食べ物では無いっ!!」

 

 

 慌てていた2人が優作に食べる事を止めるよう声を挙げるが、時すでに遅し。レンゲで掬った麻婆豆腐は彼の口の中に入っていた。

 

 

「「ああああぁぁ―――っ!?」」

 

 

 モグモグと咀嚼する優作に悲鳴染みた声を挙げる2人。メディアとメデューサも何故か気の毒そうな表情をしていたが、他の面々は何が変なのか解からないでいた。

 

 

「…………辛い」

「「なん……だ、と?」」

「アレを食べてそれだけですかっ!?」

「味覚すら規格外だというの!?」

 

 

 顔を顰めながら呟く優作の様子にサーヴァント4名が驚愕する。顔を顰めたまま優作は麻婆豆腐が入った皿を置き、道具袋を呼び出して中からヨーグルトドリンクを取り出し一気飲みした。

 

 

「風味良し、味も良しなのになんだコレ? くっそ辛い…寧ろ痛い」

「大丈夫なのか、坊主?」

「口の中がヤバい。山椒でビリビリ痺れてるし唐辛子でめっちゃ熱痛い。何だコレ、罰ゲーム用に作られたヤツ?」

「それはとある頭のおかしい神父が好んで食べていたモノだ」

「その神父、マゾか何か? おいちゃん、辛党だけどコレは無いわ。あ~、舌が痛い…」

 

 

 新たにアイスキャンデーを取り出して舐めながら舌を冷やす優作。この麻婆豆腐の二口目以降はとてもではないが食べれたもんじゃない。かといって、廃棄するのは勿体無い、さてどうしたものか…

 

 

「……ティン、ときた」

 

 

 ふと良い案を思い付き、優作は麻婆豆腐を取り出したタッパーに入れて道具袋の中へ入れる。

 

 

「この麻婆豆腐は後で再利用させて貰うとして、ラストいってみよう」

「何事も無かった様に始めるのね…(再利用?)」

「あの外道麻婆豆腐を食べて冷静でいられるとは…」

 

 

 メディアとメデューサの呆れと驚く声を聴きながら優作は最後の聖晶石を召喚サークルに置いた。

 召喚サークルから溢れる光は一つに纏まってゆき、ヒトガタを形成した。

 

 

「よっしゃぁ、ラストは英霊だぜぃ!」

「こうもポンポンと呼び出すなんて…」

「アーチャー、ライダーと続いて次は何のクラスかな?」

 

 

 光が収まった召喚サークルには藍色を基調とした羽織と着物を纏い、刀身が非常に長い刀を手にした美丈夫が立っていた。

 

 

「アサシンのサーヴァント、佐々木小次郎。ここに参上つかまつった」

 

 

 後ろで束ねた衣装と同じ藍色の髪を揺らしながら、アサシンこと佐々木 小次郎はうっすらと笑みを浮かべる。

 

 

「ふむ、2人程衣装が異なるが見た事がある顔が多々いるな。して、其方が私のマスターか?」

「ん、どうも宜しくっす、小次郎さん。しかし、宮本 武蔵と同じく本当にいたんだ?」

「何、剣を只管に振っていた農民の亡霊に過ぎんよ」

「ほむ。ところで、いきなりになるけどご趣味は?」

「趣味か? ふぅむ…剣を振う事しか能が無い故な。何、私の事は一振りの刀と思ってくれれば良い」

「剣一筋ってな訳な? そんじゃあ改めて…マスターになる十 優作っす、宜しく」

「優作か、宜しく頼むよ主殿。しかし…」

 

 

 優作と握手を交わした小次郎はメディアをチラリと見やる。

 

 

「まさか、また女狐めに会う事になるとはな。しかし、その派手な衣装は如何したのだ?」

「マスターから与えられた服よ。しかし、聖杯戦争での顔見知りが良くもまぁ揃ったわね…」

「これでセイバーとバーサーカーが揃えば完璧ですね…」

 

 

 小次郎の若干驚いた様子の言葉にメディアは肩を竦める中、メデューサは集まった英霊の面々を見て顔見知りの揃いっぷりに驚いた様子であった。

 

 

「これで召喚は終わりやね」

「まさか、4回の内に3体も英霊を召喚するなんて…」

「あはは、やっぱり君には主人公力が有るよ♪」

 

 

 4回の召喚の内、3人の英霊を召喚し、1回だけ礼装が出る結果となった。しかし、それでも現状でシールダー、ランサー、キャスター、アーチャー、ライダー、アサシンとバランスの取れた面々が揃う事が出来た。状況に応じての不足分は優作が補える事もあり、戦力的には問題無いであろう。

 今回の召喚の結果にオルガマリーは驚き、ダ・ヴィンチは笑った。

 

 

:::::

 

それからどうした

 

 

「マシュ、そっちの大皿持って来てくれい!」

「はい!」

 

 

 厨房にて忙しく動き回りながら優作はマシュに的確な指示を出していく。

 現在、これから冠位指定(グランドオーダー)に挑むという決起及び召喚した英霊たちの歓迎を兼ねた食事会を提案した優作と料理が出来るサーヴァント達及びお手伝いでマシュが厨房で料理を行っていた。

 

 

「マスター、良い海老があるからペスカトーレを作りたいのだが、他の材料は有るかね?」

「あいよ、イカとアサリに『ふゆトマト』、色々持ってけ!!」

「…どれも新鮮なままか、凄いなこのケースは…」

「なはは、道具袋と『グルメケース』様様さね」

 

 

 優作と同じ様に忙しく動きながら料理を作ってエミヤは時折、優作に必要とする食材を要求し、優作は調理しているその場から離れる事無く、指を振って求められた食材が入ったケースを呼び出していく。

 厨房の中央には様々な食材が入ったケースが山と並んでいた。どれもが高品質、且つ新鮮そのままであり、まさに料理するに相応しい状態であった。

 

 

「メディ姉、オーブンのピザはどんな様子?」

「えぇっと…上のチーズが沸々としているわね」

「なら後5、6分で焼き上がりだから設定どおりやね。そんじゃあ、ゆで卵が出来たらパウンド型にミンチタネと一緒に詰めて別のオーブンで30分程焼いて頂戴な」

「分かったわ」

「クー兄、食材は切り終えた?」

「おう、一口大に切れば良いんだよな?」

「せやで。それをコンロの土鍋に入れて煮て頂戴。但し、火が通り難い根菜を先に入れてな?」

「あいよ」

 

 

 メディアとクーフーリンもそれぞれ頼まれた料理を調理している。レシピは優作が手渡している為、時々確認の声が掛けられた。

 

 

「マスター、盛り付けはこれで良いかね?」

「おほっ、すっごい綺麗やん! 花丸モノっすよ!!」

「優作、チーズとドライフルーツを混ぜ終えました」

「有難う、メーちゃん。それじゃあ、そこのラップで包んでから棒状に丸めて冷蔵庫で冷やしといて?」

「分かりました」

 

 

 新たに加わった小次郎とメデューサもただ待つだけは忍びないと優作達の手伝いを申し出てくれた。両人共料理はそれなりに出来るとの事だったので、小次郎に船盛、メデューサにフルーツチーズを作ってもらうべくレシピと材料を渡して調理を頼んだ。

 因みに英霊の面々は他の面々は厨房で料理するに相応しい衣装で無い為に厨房にあった、司厨服を着て貰っている。

 各々が料理を作っていく中、優作は大きな中華鍋で麻婆豆腐を炒めながら横の寸動鍋で小さく切った野菜だけが入ったカレーを煮込んでいた。

 暫く炒めていた麻婆豆腐をなんとカレー鍋へ入れ混ぜると道具袋を出してタッパーを取り出した。

 

 

「この鍋に例のアレを入れて、と」

「な!?」

 

 

 優作の様子をチラリと見ていたエミヤがギョッとした様子で驚いていた。優作が鍋へ入れたのは召喚の際に出た概念礼装の超々激辛麻婆豆腐だったからだ。

 

 

「ま、マスター…今入れたのはアレではないのかね?」

「せやで? あぁ、心配しなさんな。おいちゃんが作った麻婆豆腐は辛さをとことん控えてるし、カレーの方も風味程度で辛味のスパイスはそこまで入れていないさかい」

「……大丈夫なのかね?」

「おいちゃんの舌を信じるならこれくらい延ばせば程好い辛味になるよ。何なら味見してみぃ?」

 

 

 そう言って優作は鍋から掬ったルーを小皿に入れてエミヤに手渡す。手渡されたエミヤは暫く小皿と睨めっこしていたが、意を決して味見した……どれだけヤバい代物扱いだったのだろうか…?

 

 

「…た、食べれるだと!!?」

「…うん、その表情でどんな扱いだったか良く解かったわ」

「辛さが丁度良くなっている…それにカレーのスパイスと喧嘩する事無く見事調和していて実に美味い」

「気に入って貰えて何より」

 

 

 調理の手際の良さからエミヤが如何に料理が旨いか理解した優作は彼から褒めて貰えた事に素直に喜ぶ。彼が問題無いならだれでも食べれるだろう。

 

 

「おいちゃん特性のマーボーカレーを楽しみにしとき♪」

 

 

:::::

 

 

 カルデアにある食堂にて、カルデアの住人達が集まっていた。

 

 

「それじゃあ、マリー。音頭を宜しく」

「んんっ、長く話して折角の料理を冷ましてしまうのもなんだから短く終わらせます。…これから私達は約1年間苦しい戦いをしていくでしょうけど、今はそれも忘れて飲んで、食べて騒ぎましょう。では、乾杯っ!」

 

《乾杯っ!!》

 

 

 オルガマリーの音頭と共にカルデアの住人達がグラスを掲げる。

 

 

 食堂のテーブルには優作達が作った料理が所狭しと並べられていた。和洋中様々な料理は、各々が好きに取って食べるバイキング方式になっており、また壁際にはお酒を含むドリンクバーが設けられていた。

 

 

「先輩! マーボーカレー、とっても美味しいです♪」

「麻婆豆腐とカレーなんて意外な組み合わせだけど、こんなに美味しいのね?」

「そう言って貰えると嬉しいさね。今後、食堂のメニューにでも入れようかな?」

キュウッキュ(うまうま)

 

 

 優作特性マーボーカレーの感想を述べるマシュとオルガマリーに優作は笑顔で喜ぶ。

 

 

「あぁ~、甘味があれもこれも選り取り見取り…スイーツパラダイスは此処にあったんだ!」

 

 

 食事は程々に済ませた幾つものスイーツが並んだデザートコーナーにて皿に盛ったデザートを堪能するロマニ。

 

 

「っかぁ~、美味い料理に美味い酒。テイル・ナ・ノーグの馳走を超えてるな、こりゃ」

「私の時代にもあった料理もあるけど、ここまで味が変わるなんてね…美味しい意味で」

 

 

 ジョッキのビールを豪快に呷るクーフーリンとサラダやパスタを食べながらその味に驚くメディア。

 

 

「ふむ、マスターに貰ったふゆトマトを使うとここまで違うとは…」

 

 

 それぞれの料理を味わいながらその材料等を確認しているエミヤ。

 

 

「ふむ、この“みいとろおふ”とやらは酒に実に合う」

「美味しいです」

 

 

 小次郎とメデューサも各々料理に舌鼓を打ち、皆が皆料理を楽しんでいた。

 

 

「坊主、何か一曲歌えや!」

「また唐突やね、だが宴を盛り上げるのに歌は一番! っつー事で…」

 

 

 宴もたけなわとなる中、酔いが回り上機嫌なクーフーリンからのリクエストに優作が指をパチンとスナップすると、食堂の隅にカラオケマシーンが現れた。

 

 

「では歌う前に一言」

 

 

 優作はマイクを片手にカラオケマシーンへと向かった。

 

 

「自分達は今人類の存亡に立たされています」

 

 

 選曲しながら優作が放つ言葉に一同はどよめく。

 取り敢えずは現状を忘れて楽しむ事にした食事会であった中、突如現状について話し始めたからだ。

 

 

「残された人類は此処、カルデアにいる住人のみ。勝たなければ人類の滅亡は必至…謂うならば地獄なのかも知れない………だが、それがどうした!」

 

 

 地獄とも例えれる現状を優作は“それがどうした”と切り捨てる。

 

 

「どんなに辛くても、おいちゃんは前に進みます。進んだ先に明日があるのだから!」

 

 

 優作の言葉と共にスピーカーから賑やかなイントロが流れだし、優作はマイクを構えなおす。

 

 

「これから歌うのはある病気で倒れ、3分の1しか助からない状況で助かり、更にその3分の1しか社会復帰出来ないと云う可能性を超え、人々に感動を届けた方が歌った歌ですっ! それでは聞いてくださいっ、『地獄でなぜ悪い』!!」

 

 

 声高らかに優作は歌い始め、こうして決起兼歓迎会は進んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、そうだ(唐突) エミヤん、『バレンタイン・キッス』か『魔法使いサリー』歌って?」

「ファッ!!?」

フォウフォーウ、キューウ(『魔女っ子諏訪部』ですね、分かります)




元ネタ(料理関連は一部除いて省略)
>ふゆトマト(出典:テイルズオブエターニア)
『テイルズオブエターニア』に登場する野菜。
寒い地方で育つと言われている幻のトマトだが、氷晶霊セルシウスが雪山の山頂にて育てていたりする。
料理イベント用のキーアイテムだが、回復アイテムとしても利用出来、使用するとTPが20%回復する。

>グルメケース(出典:トリコ)
島袋 光年作、週刊少年ジャンプの漫画『トリコ』に登場する保存道具。
保温・保冷はもちろん真空パックなど、最大数万種類のグルメ食材の最良保存データが入ったケースで、食材を入れるだけで最も適した保存状態を保ってくれる。

>マーボーカレー(出典:テイルズオブシリーズ)
『テイルズオブシリーズ』に登場する料理。
麻婆豆腐とカレーが合わさった料理であり、そのまま混ぜ合わせたものを食べても美味いが、カレーの野菜は小さめに切った方が作者的には美味しいと思った。
効果はシリーズによって様々。


Q、召喚した英霊のチョイスは?
A、“第5次聖杯戦争3点セット”…的な

Q、外道麻婆豆腐食った優作はよく無事でしたね…?
A、優作はけっこうな辛党……と云うのが1割の理由で、残りは常時効果付与している耐性バフのお陰だったりする。

Q、星野源の歌を歌っとるやん!
A、作者が辛い時に良く聴いている歌。MVがアニメであったり、この歌を主題歌にした同タイトルの映画が有ったりと歌以外も面白いので興味が有ったら是非聴いてみて欲しい。

Q、『魔女っ子諏訪部』って何ぞ?
A、検索してみ、そして目を閉じてエミヤが歌っている姿を想像しながら聴くのです。


一身上の都合で次回は11月11日投稿でカルデア魔改造回になります。
感想コメント、意見・質問お待ちしております。
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