フェイト / グランド なりきり オーダー   作:影鴉

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ライダー助けて! 仕事に殺されちゃ~う(マジ話)
休み無しで連続航海とか殺す気満々やろ…

先週は投稿出来ずに申し訳ない、待っていてくれた読者様にはひたすら感謝。


優作の楽しいカルデア大改造

 決起兼歓迎会の宴を終えた、翌日。

 人理が焼却された現状で朝昼夜といった時間の概念が有るのか不明であるが、早朝に目を覚ました優作は顔を洗い、素早く寝間着から私服へと着替えて身嗜みを整えると朝食を作るべく食堂へと向かった。

 尚、ベッドにはフォウが寝ていたが起こすのも忍びなかったのでそのまま寝かせる事にした。

 

 

「おはようマスター、もう起きたのかね?」

「うん、おはよう。しかしエミヤん、早いっすね…」

「なに、昔の習慣は英霊になった今でも抜け切れないという事だよ」

「ふ~ん(執事か家政夫さんだったのかな?)」

 

 

 厨房に着いた優作だったが、既にエミヤがおり、朝食の下拵えを行っていた。

 

 

「しかし、マスターは大丈夫なのかね? 昨夜は大分飲んでいたが…」

「おいちゃん、お酒は強い方だからモーマンタイ」

「そうか…だが、余り飲み過ぎない様にな?」

「ん、有難」

 

 

 エミヤの気遣いに感謝しつつ、優作も朝食の準備を始めた。

 

 

:::::

 

 

カルデア 食堂

 

 

「~♪」

「マリー、カルデアの見取り図とカルデアスの磁場の有効範囲が書かれたデータを貸してくれる?」

 

 

 朝食時、職員達が集まり食堂内が賑やかになる中、鼻歌を歌いながらサンドイッチセットを持って席に着いたオルガマリーに優作が頼み込む。

 

 

「構わないけど、何に使うの?」

「劇的ビフォーアフターを行うのです」

「ビフォーアフター?」

 

 

 優作の言葉に首を傾げるオルガマリー、流石に日本のリフォーム番組を知っている筈が無いので当然の反応だろう。

 

 

「これから約1年という期間だけど、カルデアを運営する職員さん達にゃ、心身共に常に万全でいて欲しいさね。でも現状のカルデアは住む事に関しては最低限の設備しか揃ってないじゃん?」

 

 

 優作の指摘は的を得ていた。カルデアの生活スペースにおける設備は寝られれば、休めれば良いと云った必要最低限のモノしか揃っていなかった。まぁ、カルデアスやらシバといった魔科学設備がカルデア建築における経費の大半を占めているからであろうが…

 しかし、最低限の職員だけしか居なく、人類滅亡のリミットが約1年となった現状、この様な環境ではストレスが溜まり続ける一方であろう。これでは何時か倒れる処か過労死が起きてもおかしくない。

 

 

「それはそうだけど…」

「やぁやぁ、お早う。優作君」

「先輩、お早う御座います」

 

 

 そんな中、優作達の座る席にダ・ヴィンチとマシュが同じく朝食が載ったプレートを持って現れる。ダ・ヴィンチは焼き魚定食でマシュはチーズ小倉トーストとサラダのセットだった。

 

 

「お早う。マシュ、ダヴィちゃん」

「設備云々の話をしていた様だけど、今日何かするのかい?」

「せやで。カルデア内の生活スペースをグレードアップしようと思ってさ?」

「グレードアップですか?」

 

 

 優作とオルガマリーの会話を聞いていたらしいダ・ヴィンチの問いに答える中、彼の言葉にマシュが興味を持つ。

 

 

「現在のカルデアの居住スペースをもっと住み心地の良い場所に改築しようと思ってさ? プラスで色々増やす予定だけど…それは出来てからのお楽しみってとこかな?」

「そうですか…楽しみにしてますね?」

「ほうほう、改築かぁ。君がどんなリフォームをするか実に興味深いし、同行しても良いかい?」

 

 

 未だ底を知る事が出来ない優作が何をするのか気になるダ・ヴィンチは彼の増改築が気になる様で、動向を求めた。

 

 

「構わんよ。ところでマリー、その歌ハマったん?」

「え? えぇ、気に入ったからかつい口ずさんでしまうわね。でもそうでしょ? “唯、地獄を進む者が悲しい記憶に勝つ”なんて今のカルデアにピッタリでしょう?」

 

 

 昨夜に優作が歌った『地獄でなぜ悪い』が気に入ったオルガマリーだった。

 

 

:::::

 

 

「そんじゃあ、始めましょ。なりきりインストール、メイン『クラフター:スティーブ』、サブ『艦隊指揮官:提督』、『偉大なる魔法使い:アルバス・ダンブルドア』」

 

 

 優作の言葉と共に私服が水色のシャツと紺色のジーンズへと変わる。そして片手に杖を取り出して一振りすると、幾つものチェストボックスが現れて優作の周りにフワフワと浮き出す。

 

 

「そして…来て頂戴、妖精さん達!」

「お、うおおぉ!? これは小人? 幻想種かい!? 」

 

 

 優作の呼び声と共に彼と一緒にいたダ・ヴィンチの周りに小人達がズラリと現れる。少女を2頭身にデフォルメした姿の妖精さん達は皆が皆作業服を着ており、各々の手に工具を持っていた。

 

 

「この子達は『妖精さん』。提督の服を着た際に呼べる頼もしい助っ人達さね」

「助っ人かい? う~む…妖精って事はレプラコーンの仲間なのかな…?」

「では是より、“カルデア大改造:生活スペースの部”を開始する!! これが終わった暁にはスイーツバイキングを皆に進呈する故、頑張ってくれい!!」

 

 

 宣言する優作に対し、妖精さん達は工具を上に掲げてやる気満々の様子を見せる。

 斯くして、優作は妖精さん達を引き連れ、カルデア大改造は開始された。

 

 

:::::

 

12時頃 カルデア 食堂

 

 

「むぅ…」

 

 

 昼時、食堂のテーブルにてマシュは悩んだ声を零していた。彼女の横に置かれているマーボーカレーは殆ど手を付けられて無く、現在彼女はその手に持ったプリント用紙と睨めっこしていた。

 

 

「おう、どうした嬢ちゃん? そんなに唸って」

 

 

 そんなマシュの元に昼食の1ポンドビフテキセット(青ワイン付き)をプレートに載せたクーフーリンが現れる。

 

 

「クーフーリンさん…」

「なんだ、まだそれ(・・)に悩んでいたのかよ?」

 

 

 マシュの向かい側の席にドカリと座り、ステーキを頬張りながら彼女へ問い掛ける。

 

 

「はい。自分の好きな様にリクエストを書けとは書かれているのですが、今迄こういった事をした事が無かったので如何書けば良いか分からないんです…」

 

 

 現在、マシュを悩ませているプリント用紙は朝方、カルデアの職員達及びサーヴァント達に優作から配られたアンケート用紙であった。

 内容に関しては至極簡単であり、カルデアをリフォームする際、マイルームで各々が希望する部屋の壁紙の色やら寝具の種類、好みのインテリアを記入しておく様にとの事らしい。

 書き終えたアンケート用紙は食堂の隅に置かれている回収ボックスに入れ、後日希望したモノに部屋をリフォームしてくれるらしい。

 尚、クーフーリンは真っ先に書き上げて回収ボックスに入れており、内容は単純に部屋を故郷のケルト風にするだけで良いとの事だった。

 

 

「そこ迄悩む程の事か? 坊主の事だからよ、余程無茶な願いでも無い限り用意してくれるだろ?」

「それはそうですが…」

「やぁ、マシュ。アンケートにまだ悩んでいるのかい?」

 

 

 クーフーリンの言葉に頷きながらも未だに頭を悩ませるマシュ。そんな彼女の元にロマニが現れた。彼の持っているプレートにはプリンカレーと巨大なパフェが載せられていた。

 

 

「ドクタ……何ですか…それ?」

 

 

 ロマニの声に本人の方を向くマシュだったが、彼が持るプレートに上に鎮座するプリンカレーと巨大なパフェの姿に目を丸くする。

 

 

「あ、これかい? 優作君が用意したスペシャルメニューらしくってね。本来の名前は長いらしいから『通称:おいしおいし』と呼んでいるらしいよ?」

「い、いえ…その巨大なパフェでは無く…そのプリンらしき物体が乗っているカレーライスについて聞いているのですが…」

「あ、これかい?」

 

 

 嬉しそうにパフェについて説明するロマニであったが、違うとのマシュの言葉に彼は改めて説明する。

 

 

「これは優作君曰く、カレーの隠しメニューらしくってね。気になって頼んだんだよ」

「その…カレーに甘いプリンは合うんですか?」

「日本の国民食である美味しいカレーとあの美味しいプリンだよ? 合うに決まっているじゃあないか!! それにこの2つを組み合わせると海の高級食材であるウニに近い触感を楽しめるらしいんだよ? 試してみなきゃ!!」

 

 

 そう言ってクーフーリンが座る席の横に座りながらプリンカレーを頬張るロマニ。笑顔で咀嚼し続けている事から味云々は問題無いのであろう……彼にとっては(・・・・・・)だが…

 

 

「う~ん、美味しい♪ これぞ、エキゾチックジャパンだね!!」

「そ、そうですか…」

「しかし、優作君は凄いね。廊下を歩いていた時にマイルームを改築している様子を覗いたんだけど、質素だった部屋が高級ホテルの一室になっていたもの」

 

 

 プリンカレーの味を絶賛したロマニに若干引いた様子のマシュであったが、現在行っている優作の作業状況に興味を抱く。

 

 

「そんなに凄いんですか?」

「そりゃあ、もう嘗てのヤツと比べたら天と地の差になってしまうさ。基本の部屋で先ずベッドが羊毛で出来たフカフカでありながら体に負担が掛からない特別仕様。床は靴音が響かない様にカーペットで、テレビとオーディオどころか大きな冷蔵庫やドレッサールームすらも完備。しかもシャワー室がバスルームになってるんだよ?」

「そ、そんなに変わっているんですか!? でもシャワーだけだった所をバスルームに変えるどころかドレッサールームすら用意するなんて、あの部屋の広さじゃ足りないのでは?」

「なんでもハリポタ魔法で空間を弄って広げてるんだってさ。まぁ、2人用テントなのに中が10人規模のコテージレベルの部屋を用意出来るモノを作れる作品なんだから出来ておかしくないよね?」

「そ、そうですか…」

 

 

 ロマニの言葉に自身のマイルームに戻った後、部屋の様子に驚いてしまう事を覚悟しないといけないかもしれないと思ったマシュであった。

 

 

「あら、居たのね貴方達」

「相席宜しいでしょうか?」

 

 

 そこへ新たにオルガマリーとメデューサが現れる。持っているプレートにはオルガマリーがバゲットと地上最強オムレツ、そしてヘルシーサラダが載ったオムレツセット、メデューサが月草(ソーマ)バーガーセットを載せていた。

 

 

「所長…」

「あ、所長もお昼ですか?」

「えぇ、仕事が丁度良い位に終わったから休憩を兼ねてね」

「私は途中で彼女と会ったので一緒に来ました」

 

 

 マシュとロマニの言葉に答えながらオルガマリーがマシュの横に、メデューサが更にその横に座る。

 

 

「いやぁ、優作君がカルデア内を改築している事で色々話をしていた処ですよ」

「あぁ、まだ作業しているのでしょう? 朝食を食べた後、休憩無しでずっとやっている様だけど…」

「へ? そうなんですか!!?」

 

 

 オルガマリーの心配そうな言葉に驚きの声を挙げるマシュ。カルデア内に置かれている時計で6時頃に朝食が始まっていたが、優作はその時間前からエミヤと共に朝食の準備をしていた。職員達の朝食が終わり一通り落ち着いてから彼は自身の朝食を取り、片づけや昼食の準備はエミヤに任せていたが、朝食の準備時に昼食の下拵え等は一緒に済ませていたらしい。となると、此処ずっと作業を続けている事になる。

 

 

「その、先輩は大丈夫でしょうか?」

「なんでも“コミケ締め切り前の追い込み作業と比べたら楽”だって事よ?(コミケが何の事かさっぱり判らないけど…)」

「“皆の喜ぶ顔が何よりの御褒美だ”とも言ってました。優しいヒトですね、マスターは」

「先輩…」

 

 

 現状も絶賛作業中であろう優作にマシュは心配の声を零す。今回のカルデア改築に関しては自身は全くの無力だ。優作に頼めば建築や改造関連の服を貸してはくれそうであるが…現在彼は他のサーヴァントに手伝って貰う事無く自身で作業を続けている事から例えそういった技能を持っていても足手纏いになってしまうのであろう…

 唯、そんな事実が情けなく感じた。

 

 

「ちぃ~す。お疲れさん」

「ふむ、皆まだ昼餉を食べ終えていなかったか」

 

 

 そんなマシュ達の元に沢山の妖精さん達と小次郎を引き連れた優作が現れた。2人が持っているプレートには其々、スタミナ定食と月草(ソーマ)ラーメンを載せてられたいた。

 

 

「せ、先輩! 作業をずっと続けていて大丈夫なんですか!?」

「あり? 心配してくれてたん?」

「休憩無しでは流石に心配すると思うぞ、主殿?」

「…んあ~、コミケの締め切りに慣れたおいちゃんと一般ピーポーだと感覚が違うか…。心配かけて済まんね」

 

 

 小次郎の言葉にマシュへ謝りながら優作は彼女の横に座り、小次郎はクーフーリンの横に座った。

 

 

「心配無用やで、マシュ? コミケ前の修羅場と比べたら今回の作業は余裕のよっっちゃんさかい」

「でも休憩無しなんて無茶は止めて下さい」

「…これ位問題無いと思ったんだけどなぁ…。まぁ、今後は2時間に1回は休憩入れるから許して亭ゆるして?」

 

 

 心配げな表情を止めないマシュに更に謝罪の言葉を述べながら優作達も席に着く。

 

 

「改築は終わったのですか?」

「うんにゃ。地下の追加施設がまだ終わっていないさね」

「追加施設?」

 

 

 メデューサの言葉を返す優作から出た単語に疑問を浮かべるマシュ。カルデアに地下施設は無かったと記憶していたのだが…

 

 

「おいちゃんが増設した区画になるからマシュも知らないさね。衣食住と仕事をする基本スペースが此処、1階層なら地下は疲れを癒したり自由時間を楽しむ為のスペースになるんべ」

「どんな施設を造ってんだ?」

 

 

 マシュの疑問の言葉に優作が答える中、自身の昼食を殆ど空にしたクーフーリンが更に質問する。

 

 

「先ず浴場やろ、そしてリラクゼーションルームに自然公園エリア、暇潰し用の本とかCD・DVDの貸出ルームとそれに伴った多目的ホールってところかね。あぁ、後は食料生産用プラントも」

「また、凄い施設を増設するものね…」

「ふむ、私が厨房で料理をしている間に随分と増改築をしていたものだ」

 

 

 説明する優作の所へメディアと休憩に入ったエミヤが現れた。其々、タンシチューとバゲット、海鮮サラダのセットと牡丹鍋定食が載せられたプレートを持っていた。

 

 

「おぉ、メディ姉。魔術工房はどうだった?」

「道具も素材も文句無しよ。なんで現代の人間である坊やが此処迄揃えられるかが不思議だわ?」

「にゃはは、飽く迄も用意出来るモノを揃えだけに過ぎんべ?」

「そう簡単に答えられるのが逆に怖いわ…」

 

 

 優作の返事に肩を竦めながらタンシチューを口にするメディア。魔術工房の増改築には彼女も付き合っており、マジックポーション作成の為の醸造台やらエンチャント付与のスペース等、彼女も初めて知る事になる技術情報の説明を色々受けていた。

 

 

「そういえば、マスター。厨房も幾等か改造すると言っていたな?」

「せやで。まぁ、今は稼働してるから夕食が終わって後片付け後にする予定だけどね。今日いっぱいはエミヤんに料理を頼みっぱなしだけど良いんけ?」

「何、気にする必要は無いよ。それに心強い味方もいる事だしね」

 

 

 優作の言葉にエミヤは傍でクッキーを齧っていた妖精さんの頭を優しく撫でた。今回の増改築に於いて自身が厨房に居なくなる事を踏まえた優作は料理が得意な妖精さんをエミヤの補佐に廻していた。

 厨房以外でも妖精さん達は働いている。優作が行っている増改築の手伝いは勿論の事、発電施設やカルデアスの運営補助を行っており、職員達の負担を大きく減らしていた。

 

 

「今日、カルデア中を走り回ってるのを見かけてるけど、これも服の力かい?」

「せやで。敵は違えど、人類を守る為に現れた妖精さんさかい、今回も力を貸してくれる頼もしい存在やで」

「やぁやぁ、皆集まっているねぇ?」

「おや、ダヴィちゃんではありませんか」

 

 

 妖精さんについて説明していた優作の元へ新たに表れたのはカツ丼を載せたプレートを持ったダ・ヴィンチ。

 

 

「いやはや…増改築にずっと付いて回ったけど、あの発電施設には驚いたよ」

「まぁ、『ネザースター』はおいちゃんでなきゃ用意出来ない代物やし…」

 

 

 優作の隣に座ったダ・ヴィンチは今日感じた感想を色々と彼へと告げる。

 今日の朝食後、彼女は優作の増改築にずっと付き合っていたのだが彼の作業は彼女の理解を超える者であった。

 杖を振うだけでチェストからその容量を遥かに超えるブロックやら機材が飛び出しては隙間無く設置されていき、ツルハシやスコップを振うと、振り下ろされた個所から周辺数メートルが削られて消えていく。

 ワークベンチで資材を弄っているかと思ったら何時の間にか別の道具が出来上がっていた。

 最終的には是をやれば解かると『マインクラフト』のソフトを渡されたのだが…

 そんな優作がカルデアの発電施設に対して更に予備を設けておこうと用意した発電機が凄まじい発電力と蓄電量を秘めていた為に電力の問題が無くなってしまったのだ。

 

 

「まぁ、今日の夕方前には生活スペースの分は終わるさね」

「ふむ? その言い方だと他にも改装を行うのかね?」

「改装と言って良いのか分からないけど、カルデアの防衛機構案をマリーとかメディ姉達に確認して貰いたいさね。後で資料を纏めて渡すから感想を頼むべ」

 

 

:::::

 

それからどうした

 

 

「あ~~、生き返るわぁ…」

 

 

 広い湯船に肩まで浸かり、優作が感嘆の声を漏らす。

 大理石で作られた大浴場は広い湯船の他、水風呂、サウナは勿論。電気風呂や炭酸風呂、ジェットバスに檜風呂。更には中庭風のフロアに桜の木々が並んだ、露天風呂風にした離れ風呂まで揃っていた。

 夕食後に開放された大浴場は珍しさもあり、仕事を終えた職員達が挙って湯を楽しんでいた。

 

 

「ふぅ…こう風呂で一杯というのも中々に悪くない…」

 

 

 檜風呂に浸かり、浮かべたお盆に載せた酒をちびちびと引っ掛けながら小次郎がご満悦な表情でいる。

 

 

「くは~、こうたっぷりの湯に浸かれるってのは最高だな。しかし、よくもまぁこれだけの水を良く用意出来たものだな坊主?」

「『温泉ユニット』を下向きで設置してるから安心さね。まぁ、『無限水源』もあるし水に関してはモーマンタイ」

「温泉ユニット…無限…?」

 

 

 この浴場は一応は温泉である。優作が作成した『温泉ユニット』を設置し、それから湧き出るお湯に薬草やらポーションによる効能を加えてる為に温泉モドキになるのかもしれないが、水源である温泉ユニットからは滾々と止まる事無く湯が沸き続けている。

 尚、優作が言った『無限水源』は飲料用及び日常生活用に使われており、分けられてはいるが何れも飲料として利用しても問題無い清水である。

 クーフーリンの質問に答えた優作だったが、答えられた本人は良く解かっていない様だった。

 

 

「そういえばマスター、カルデアの防衛機構について書かれた資料を読んだのだが…」

 

 

 電気風呂にて全身を電気マッサージしているエミヤが昼食後に手渡された資料について話題を挙げた。

 

 

「おん? どうだった?」

「その……サーヴァントとして様々な並行世界で戦った身ではあるが、“絶対に挑みたくない”の一言に尽きるな」

 

 

 期待を込めた表情で問い掛ける優作に驚愕やら呆れやら入り混じった複雑な表情で答えるエミヤ。

 

 

「まぁ…だろうな」

「主殿の容赦無さには感極まったでござるよ」

 

 

 エミヤの言葉にクーフーリンと小次郎も同意の言葉を苦笑いで告げながら頷く。

 昼食後に優作はオルガマリー他、基本戦闘のプロであるサーヴァント達に彼自身が考えたカルデアの防衛機構案を纏めた書類を渡したのだが、その内容が凄まじかった。

 

簡単に纏めると…

 

・カルデアに侵入(転移含む)及び、施設内で敵対行動を取った敵性対象は優作謹製の特殊ダンジョンに強制転移される。

 

・ダンジョン構造はイニシエダンジョンをベースにした不思議なダンジョン形式の999階層。

 

・ダンジョン内を徘徊するモンスターは様々な作品から投入、最早闇鍋モンスターハウス。

 

・出て来るモンスターはサーヴァントでも余裕でブチ殺しかねない高レベルだよ、やったね!

 

・尚、ボス級モンスターも普通に徘徊している模様、嬉しいだろ? 笑えよ(ゲス顔)

 

・アイテム? 無ぇよそんなもん、着の身一つで踏破してみろや。

 

・侵入者が掛けるバフ効果は無効化。頼りになるのは己の肉体だけって、はっきりわかんだね。

 

・トラップも満載。尚、モンスターは決して引っ掛からず、侵入者のみ引っ掛かる安心設計。

 

・トラップ性能の凶悪化、地雷を踏んだら即死するのは当たり前だよなぁ?

 

・モンスター達は侵入者に対して連携して襲う様に教育済み。リンチされてくたばって下さい♪

 

・『風来のシレン』産の土偶を配置。尚、影響を受けるのは侵入者のみで階層全体に効果有。

 

・ダンジョン内では空腹速度や魔力消費量が倍になる(防御不可)。大丈夫、君ならできるよ(笑)

 

・サーヴァントが霊体化すると魔力消費量が更に倍ドン! 嬉しいダルルォ?

 

・同じ階層に一定時間留まると強制的に1階層目からやり直し。

 

・脱出? 喜べ、出来る訳無ぇだろ。

 

・壁堀、壁抜け? 甘えるな。

 

・尚、999階層を突破出来た方はもれなくもう一回遊べるドン!(以下ループ)

 

・助けて? 敵対したお前が悪い。だから、死ぬがよい(笑顔)

 

・このダンジョンのコンセプトは『いらっしゃい、死ね』です♥

 

 

「最後に書かれたコンセプトが全てを語っていたよ」

「モンスターやら罠の説明を読まないでも敵対した奴は絶対に抹殺するって良く解かったわ」

「いやぁ…サーチ&デストロイ(見敵必殺)を体現したと言っても過言では無いでござるなぁ…」

 

 

 ハハハと乾いた笑いを零す男性英霊3人。尚、女湯にてオルガマリー含む女性英霊達も似た様な感想を零していた事を此処に追記しておく。

 

 

「こんなダンジョン、何時どうやって用意したんだよ?」

「酔った勢いでデジョン空間に造った黒歴史にテコ入れしたヤツです。再利用出来て良かった」

「今後、攻めて来た侵入者は酔った勢いで造られた黒歴史に殺されるのか…(困惑)」

 

 

 優作が用意したこのダンジョン。自身のなりきり能力ついて色々と試していた時に魔が差して造った代物であった。

 

 

「ところで、施設外から攻撃された場合は如何するのかね?」

「施設外から攻撃すると、なんと…」

「なんと?」

「施設の外壁に施した呪術式に依って攻撃が倍になって反射します。因みにその場で攻撃した奴に即直撃するので避けれません(無慈悲)」

「…そうか」

 

 

 施設外の攻撃すら容赦無い対策を取っていて優作に質問したエミヤ含め他メンバーは遠い目をしていた。

 

 

 尚、この防衛機構は遠くない未来で実際に使われる事となる。

 カルデアに敵対した未来の大馬鹿共は泣いて良い(次、生まれ変わるなら真面な生き物になる事をお勧めします)

 

 

「クー兄、試しに挑戦しない?」

「しねぇよ!!?」

 

 

:::::

 

それからどうした

 

 

「やっぱ…自然がある環境ってのは、最高やな」

 

 

 風呂上り。優作はエミヤ達と別れた後、自然公園エリアにて芝生の上に寝転んで草の匂いを堪能していた。地下の中心部に位置する自然公園は様々な木々が並び、小さな小川や池すらあるので一瞬外にいるのかと錯覚する程である。

 今も遊歩道を自由時間の職員が歩いていたり、ベンチで休んでいたりしていた。

 

 

「浴場も皆が満足してくれていたし。万々歳さね」

「先輩」

 

 

 増改築の成功に満足していた優作へ声が掛けられる。体を起こし声の主へと首を向けると、浴場にて湯上り様に置いている浴衣を着たマシュが立っていた。

 

 

「ほぉ…ほわぁあ…」

「? どうしたんですか?」

「いやぁ…湯上り美人を目の前にしている訳だからつい感嘆の声が、ね?」

「び、美人ですか!?」

 

 

 優作の言葉に頬を赤くするマシュは風呂上りらしく、肌はまだ火照っていて赤みを帯びており、まだ湿り気を残している髪の毛は艶が際立っていた。

 そんな彼女の姿に優作は軽くときめいてしまった。

 

 

「浴衣姿、すっごく似合ってるよ?」

「そうですか? 有難う御座います…えへへ」

 

 

 褒める優作にマシュも嬉しそうな表情を浮かべる。

 

 

「散歩中においちゃんを見かけて声を掛けた系?」

「それもありますが、実はマイルームの装飾アンケートがまだ決められ無いから相談したくて…」

「あぁ、まだ決めれ無いでいたのか」

 

 

 昼食時の会話後、結局マシュはアンケートに自身の要望が浮かばず仕舞いでいた。

 此処カルデアで生まれて育ったマシュは変化する事の無い同じ環境でずっと過ごしてきた。この環境が普通であり、異なる環境をその身で体験する等、辛うじて体験VRや書物と云った資料で部屋のインテリアといった情報で知る事は出来ても“自身にとってコレ!”と云った部屋の様相を考える、求めるといった事をしてこなかった事もあり、案が浮かんでこなかった。

 

 

「配ったおいちゃんが言うのもなんだけど、別に直ぐ決める事じゃあ無いんじゃないかな?」

「え?」

 

 

 申し訳無さそうなマシュに対し、優作が返した言葉がそれだった。彼自身、カルデアを訪れた当日、中央管制室からマイルームへと彼女に案内された時、マシュの境遇について軽く聞いていた。

 

 

「マシュは年齢に対して圧倒的に経験が足りないもの。でもそれは今後増やしていけば良い」

「先輩…」

「これからもっと好きなモノや趣味を増やしていけば良いんだよ」

「………」

 

 

 そう言ってマシュの頭を優しく撫でる優作。一瞬、ほんの一瞬だけ彼女の目が泣きそうになったのは気のせいだろうか…

 

 

「さぁてと…メーちゃんに頼まれたヤツを持って行って、今日は寝ますかね」

「? メデューサさんに何を頼まれたのですか?」

「いやね、メーちゃん可愛いモノも好きらしいからさ。インテリアで縫いぐるみは如何かと聞いたら是非との事だったから」

 

 

 頼まれた用事を済ませようと立ち上がる優作にマシュがその用事の内容を聞く。

 作ってあるから渡すだけさ、と縫いぐるみを取り出す優作。片手サイズの可愛らしい動物の縫いぐるみであった。

 

 

「わぁ…可愛いです。これも手作りなんですか?」

「服を作っている以上、裁縫は得意だからね。縫いぐるみもお手の物さね。なんならマシュもいる?」

「良いのですか?」

「遠慮する必要は無いべ。どんなのが良い? 動物でも良いし、人物でも良いよ……まぁ、人物なら本人の許可がいるけど」

「人物……」

 

 

 優作からリクエストはあるかと問われ考えるマシュ。

 

 

「それじゃあ…」

 

 

:::::

 

 

翌日

 

 

「ん…ふわぁあ……」

 

 

 眠りから覚めたマシュは体を起こす。顔を洗い、寝間着から制服に着替えて身嗜みを整えると朝食を摂るべく食堂へと向かう。

 

 

「……」

 

 

 マイルームの扉が開き、廊下へ出ようとしたところでふと足を止めて部屋へ目を向ける。彼女の視線の先にあるベッドの上の棚にはあるモノ(・・・・)が並んでいた。

 

 

「…ふふっ、行ってきます♪」

 

 

 そう言ってマシュはマイルームを後にした。

 棚の上にはオルガマリーとロマニにダ・ヴィンチ、フォウとマシュ、そして優作のデフォルメされた縫いぐるみが並んでいた。




元ネタ(一部料理は省略)
>チーズ小倉トースト(出典:リアル)
作者が名古屋出張の際に食べた小倉トーストの一種。
チーズと粒餡がホットサンド風に挟まれており、餡子の甘さとチーズの塩っ気が実にマッチした。

>スティーブ(出典:Minecraft)
Notch氏及び彼の会社にて製作されたサンドボックスゲーム『Minecraft』にてユーザーが制御するキャラクターの事。
基本的に焦茶色の髪の毛に茶色がかった肌、青い瞳をしていて、水色のシャツと紺色のジーンズに、暗い灰色の靴を身に着けた姿である。
一般的に呼ばれているこの名前だが、原作の製作者であるNotch氏がジョークとしてほめのかしたものとのこと。

>提督(出典:艦隊これくしょん他)
ブラウザゲーム『艦隊これくしょん』にて艦娘達からなる艦隊を指揮するプレイヤーの分身的立場であり、ゲーム内における事実上の主人公とも言える存在。
尚、ちなみに『提督』とは将官以上の階級の海軍軍人が就任する艦隊司令官・艦隊司令長官・艦隊総司令官の敬称だが、ゲーム内では佐官として階級を割り振られているプレイヤーも普通に司令官として在籍しており、纏めて『提督』と呼ばれている。
プレイヤーの分身的立場もあってか、性別や出身地等明確な設定描写はされていないが、2次創作に於いては老若男女問わず、果ては人外までが提督になっている。
本作に於いては下記の妖精さんを視認出来、意思疎通が出来る特性を持った者を『提督』という立場にしている。

>妖精さん(出典:艦隊これくしょん)
ブラウザゲーム『艦隊これくしょん』にて登場する妖精。
軍艦を擬人化した艦娘達は史実を元した砲や艦載機、機銃、電探を装備するのだが、その装備イラストに共に描かれており、其の為ファンからは『装備妖精』と呼ばれている。
総じて少女の姿をしており、2頭身程にデフォルメされている為に小人のような印象も受け、似た様な見た目である羅針盤娘やエラー娘、図鑑やアイテム画面にいる妖精、工廠で艦娘の建造をしてくれる工廠娘と同類の存在であると推測される。
詳しい設定は無く、メディアミックスによっても様々である。

>プリンカレー(出典:九龍妖魔學園紀)
アトラスのジュブナイルRPG『九龍妖魔學園紀』に登場する料理。
カレーライスにプリンを合成する事で作れ、限りなくウニに近い食感を楽しむ事が出来るらしい。食べると加護効果が付与される。

>通称:おいしおいし(出典:テイルズオブデスティニー他)
『テイルズオブデスティニー』及び『イノセンス』に登場する料理で正式名称は『フィリア特製フルーツパフェ・ウィズ・チョコレートバナ~ヌおいしおいし』。
名前通りたっぷりのフルーツとチョコバナナ及びアイスクリームが盛られたフルーツパフェで、『イノセンス』では食べると取得経験値が+80%増える。

月草(ソーマ)バーガー、ラーメン(出典:九龍妖魔學園紀)
『九龍妖魔學園紀』に登場する料理。
月草にそれぞれハンバーガーとカップ麺を合成性する事で造れ、食べるとそれぞれ知性、敏捷が上がる。

>ネザースター(出典:Minecraft)
『Minecraft』で登場するアイテム。
ボスモンスターである『ウィザー』がドロップするアイテムで、ビーコン他様々な道具の材料となる。
本作に於いて、ネザースター発電機設置の為に利用された。

>温泉ユニット(出典:マインクラフト)
『マインクラフト』で登場する装置。
温泉が湧き出すユニットで横や下に向けて設置してお湯を放出すると塞き止める敷居を設置しない限り際限無くお湯が広がって行く。
温泉に浸かると体力が徐々に回復するが、染料を入れる事で他のバフ効果に変える事が出来る。但し、入れ過ぎると毒の温泉と化す。

>無限水源(出典:Minecraft)
『Minecraft』で登場するテクニック。
バケツなどで水を掬っても直ぐに水が再生され、無限に水を掬う事が出来る水源の事で、原作に於いて海や川は天然の無限水源状態になっている。

>土偶(出典:風来のシレン2)
チュンソフトのローグライクゲーム『風来のシレン2』に登場するギミック。
ダンジョン内に置かれており、種類によって様々な効果を置かれている部屋内限定で発揮する。
攻撃する事で破壊可能なので自分が不利になる効果の土偶は即破壊するのが吉。

>君ならできるよ(笑)(出典:虫姫さま)
CAVE社の弾幕シューティングゲーム『虫姫さま』の最終ボス、『アキ&アッカ』の台詞。
ゲームの主人公であるレコに試練を与えるアキ(と、彼が乗るアッカ)が、「君ならこの試練もきっと乗り越えられる!」というニュアンスで放った言葉であり、当然(笑)などついていないのだが、余りにも鬼畜難易度の弾幕をばら撒きながら応援してくる事にプレイヤーが悪意を感じた事から末尾に(笑)が付けられるようになった。

>死ぬがよい(出典:怒首領蜂シリーズ)
CAVE社の弾幕シューティングゲーム『怒首領蜂シリーズ』の最終ボス登場時のメッセージの一部。
最終ボスや真ボス画面を埋め尽くす圧倒的な弾幕量と共に、 シューター達の間で伝説として今なお語り継がれている言葉になっている。

>デジョン(出典:FFシリーズ)
『FFシリーズ』に登場する魔法で異次元や別の階層に対象を飛ばす効果が有る。
その特性から大半のシリーズ作品では即死魔法に分類される。
他即死魔法に対し、敵を異次元に消し飛ばすのでファイナルアタックを使われずに済む利点がある。

>湯上り美人(出典:リアル)
“そもそも湯上がりの時美しき女はまことの美人なり”と云う山東京伝の『賢愚湊銭湯新話』の中の一節から絵師達がその魅力に想像力を掻き立てられて書いた女性画の総称。
大体の作品が浴衣を開けさせたセミヌードが多い。
本作ではそう云ったエロさを例えた訳では無い。


Q、主人公君、遣りたい放題やね?
A、タグに遣りたい放題って有るダルルォ?

Q、ネザースター発電機ってヤバくない?
A、ネザーⅢ効果による周辺の被害は消してます、魔改造万歳!!

Q、優作の造ったダンジョンってクリアさせる気が有るの?
A、有る訳無いじゃん(当然といった表情)

Q、ダンジョン内にはどんなモンスターがいるの?
A、グランドセンチピード、女王グモ、オメガ、ダイアモンドドレイクなんかが1階層目からうようよしてるよ。

次回は11月18日投稿予定で英霊メンバー+α強化回。
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