フェイト / グランド なりきり オーダー   作:影鴉

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って事でオルレアン編開始


第1特異点 邪竜百年戦争『オルレアン』編 -人形聖女は何を見る-
空からワイバーン? EDFを呼んで来い!!


 夢を見た。

 

 辺り一面が炎に包まれており、その中で何本かの大きな火柱が立っている。

 

 火柱の正体は十字架に縛り付けられた人だった。

 

 殆どが炭化していたが、教会の僧衣らしいものを着ている事から教会関係者と推測できた。

 

 そんな燃える男達を一人の女性が高らかに笑いながら眺めている。

 

 ざまぁみろと言わんばかりのその笑いは、嘲りと憎しみが込められた笑いだった。

 

 しかし何故だろう?

 

 その笑いは何か空っぽに感じた…

 

 

  ・

 

  ・

 

  ・

 

 

「何じゃい、今の夢は…」

 

 

 奇妙な夢から覚めた優作はベッドから体を起こした。

 

 

「前回のクー兄の記憶はスカアハんとこに弟子入りしたトコだったが、全く関係無い内容だったな…」

 

 

 サーヴァントを召喚し、契約を結ぶとマスターはサーヴァント達の生前の生き様を夢として観る事が有るという。

 ここの所クーフーリンの人生を見続けていたのだが、全く関係の無い夢であった為に拍子抜け染みた感想が漏れてしまった。

 

 

「ま、いいや(適当)。そろそろ時間だし朝ごはん作りに行きますか」

 

 

 掛け布団の上で寝ているフォウを起こさない様にベッドを出た優作は着替えて食堂へ向かう。

 

 

「……しっかし、ぴっちりタイツが標準装備とか…TDN退魔忍じゃねぇか」

 

 

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 冬木の特異点を解決して約1週間。

 カルデアの復興や戦力の強化、サーヴァントメンバー達との交流と短い間ながらも濃厚な日々を過ごしていた優作達に集合が掛かった。

 

 

「遂に特異点の一つが明らかになったわ」

 

 

 中央管制室に集まった優作達へオルガマリーがそう告げる。改装、増築によってカルデアがリゾート化した事で士気が向上した職員達の頑張りで特異点の1つが判明したのだ。

 

 

「それで、発見された特異点は何時の何処なん?」

「見つかった特異点は西暦1431年、フランスのオルレアン」

 

 

 モニターに映るカルデアスが回転しながらヨーロッパを映し出し、フランスが拡大表示される。

 

 

「1431年のフランスで起きてた事と言ったら…イギリスとの間で行われた『100年戦争』だっけ?」

「そうだね、そして救国の聖女として名高い“『ジャンヌ・ダルク』が処刑された年”でもある。…正確には処刑後ちょっと経った時期だけど」

「100年戦争ね…『純潔のマリア』の舞台やん、原作漫画、アニメ版共に名作だったなぁ~」

「『純潔のマリア』ですか?」

 

 

 これから向かう場所及び時代が所持している漫画及びアニメの舞台である事に優作が軽い感動を覚え、作品自体知らない事から首を傾げるマシュに後で貸すと言葉を続けた。

 

 

『100年戦争』

イギリス(当時名:イングランド)とフランスの間で王位継承権を巡った争いから始まった戦争である。複雑化した結果、領土問題にまで発展したこの戦争は間に休戦が何度か挟まれながらも世紀を跨ぐ長い戦乱となり、両国を疲弊させるだけの結果となった。

 

『ジャンヌ・ダルク』

100年戦争にて登場する救国基、オルレアンの聖女。

農村に暮らす村娘であったが、ある日“神のお告げを受けた”と国の為に立ち上がり、戦場にて勝利の旗を掲げてフランスを何度も勝利へと導いた。

当時劣勢であったフランスはこれにより勢いを取り戻し、国内へと侵攻していたイギリス軍を追い出す事に成功。講和へと漕ぎ付く事が出来たのだ。

しかし、ジャンヌ本人はイギリス軍に捕らわれ、村娘に有るまじき戦果を立てた事から異端審問を受けた後、魔女として火炙りに掛けられ処刑されたのだった。

 

 

「ふ~む…場所がオルレアンとなると、特異点発生の原因はジャンヌ関連の可能性が高い訳だ?」

「そうね。魔女として処刑されたジャンヌ・ダルクを助ける為か、彼女の為に報復をしようとした信望者…あるいは戦争の結末に納得がいかなかった誰かが起こしたのかもしれないわ」

 

 

 芸術の国として名高いフランスだが、実は民主主義始まりの地でもあったりする。この地で生まれた法典は改正されながらも現代社会の基礎となっており、もしも法典が生まれなかったら大規模な改変が未来で起こるだろう。

 

 

「それじゃあ、改めて優作君達に特異点でやって貰いたい事を説明するよ?」

 

 

 特異点の確認を終え、ダヴィンチがそう言って2本指を立てながら説明を始める。

 

 

「やって貰う事は大きく2つ。1つ目は特異点の調査及び修正だね。特異点先の時代に於ける決定的なターニングポイントを調査・解明してこれを修正する事」

 

 

 ダ・ヴィンチはそう言って2本指の内の1本を指さす。

 レフ・ライノールとそのバックに存在しているであろう黒幕は人類史に於いて人理の礎となった事柄を聖杯をばら撒く事で改変し、その影響でカルデア以外に存在する人類は焼却されてしまった。

 故に優作達は特異点へと赴いて原因を解明し、異常を潰さなければならない。

 今回のレイシフト先であるフランスは“100年戦争”及び“ジャンヌ・ダルク処刑”といったキーワードがある為に調査は比較的楽であろう。

 

 

「2つ目は特異点の原因になったであろう聖杯を発見し、回収する事」

「えぇっと…聖杯はどんな願いを叶える事が出来るド級の魔導器で、それでないと時を渡ったり歴史を改変出来ないんだったっけ?」

「そう。若しくは“自力でそんな事象を起こせる術式を操れる存在”かなんだけど、冬木のケースを見る限りは聖杯かそれに類似する魔道具が原因の可能性は高いよ」

「正しい歴史に戻したところで聖杯が残っていたら、新たな特異点になってしまう。そうなったら元の木阿弥なの。だから聖杯を回収、或いは破壊しなければならないわ」

 

 

 立てていたもう一本の指をさしながら説明するダ・ヴィンチにオルガマリーが詳しい理由を付け加える。

 

 

「正直、胡散臭さが凄いから使うにしても魔力炉の電池にでも改造した方が良いと思う」

「まぁ、実際に願い叶うのか判らないならその方が良いだろうけどね? でも魔力は優作君が造ったネザー発電所から変換するだけで十二分だからね」

「ま、特異点解決の記念トロフィーとして回収してくるさな」

「……聖杯をトロフィー扱い出来るのは優作君位だよ…」

 

 

 実際に効果が有るのか判らない処かレイシフトした冬木での異常事態を引き起こした聖杯に対して優作は信用の『し』の字も持ち合わせていなかったので発見次第、素材として回収するか破壊しようと考えていた。

 

 

「そんじゃあ、出撃編成ですが…」

 

 

 レイシフト先で行うべき事を改めて確認した優作は連れて行くサーヴァントメンバーを選出する。

 特異点へレイシフトしている間、優作はカルデアにいないのでもしもの襲撃に備えて留守番役と分ける必要がある訳だ(充分過ぎる防衛機構を構築しているので問題無いと言ってはいけない)

 

 

「暴れたいオーラマキシマムなクー兄と小次郎さんは確定、後は後方支援担当でエミヤんを連れて行こうと思います」

「おう! そうこなくっちゃな、坊主!!」

「ふらんすか…100年もの間、戦をし続けたならばそれなりの強者に出会えそうだ」

「何が起こるかわからないからな、偵察や野営含めた支援等は任せたまえ」

 

 

 優作がレイシフト同行に選んだのはクー兄、佐々木小次郎、エミヤの男性陣。選ばれた3人の意気揚々とした様子で応える。

 

 

「メディ姉とメーちゃんは状況次第で入れ替わる形で基本、カルデアでサポート兼いざという時の防衛をお願いしますわ」

「解かったわ。…正直防衛に手を回す必要は無い気もするけど…」

「ダンジョンだけじゃ飽き足らず施設内にもモリモリ仕掛けを施していますからね…」

 

 

 優作の魔改造に依って敵対者は強制的に『難易度:Must Die』なダンジョンへ転移するようになっているカルデア。バトルジャンキーのクーフーリンすらも内容を読めば挑戦する気などミクロン単位も湧かない鬼畜難易度であるのだから当然だろう(自殺志願者なら挑戦するかもしれない)。優作は更に施設内を巡回警備する使い魔や戦闘用ドローン、多数のトラップを配置し、蟻一匹の狼藉すら許さない防衛機構を構築していた。

 

 

「後はおいちゃんとマシュ、そしてマリーの計6名。マシュとマリーは衣装はおk?」

「はい、大丈夫です! 」

「問題無いわ」

 

 

 エステルの衣装を着たマシュ(サブは千枝ちゃん)と凪の衣装を着たオルガマリー。2人も若干の緊張はあるものの不安な様子は感じられなかった。

 

 

「おいちゃんの衣装は…そうさな、行き先が中世のフランスなら…メインチェンジ、『剣聖:シドルファス・オルランドゥ』」

 

 

 私服を着ていた優作の姿は言葉と共に変わり、黒い光沢を放つ甲冑にフード付きの茶色いマントを羽織った正に騎士と呼ぶべき姿へと変わった。

 

 

「格好良いですね、有名な騎士の衣装なんですか?」

「雷神の異名を持つ騎士団長の衣装でね。彼の振う剣技はドラゴンだろうが魔神だろうが一撃で屠ったさな」

「その衣装の人物も規格外なのかしら?」

「まぁ、サーヴァントを余裕で消し飛ばせる力はあるさね」

(……剣聖と聞いて是非とも剣を交えたかったが、あの尖兵と同じ理不尽枠であったか…。いや、それでも…)

 

 

 なりきりした衣装の軽い説明を2人にする中、小次郎が戦いたそうにウズウズしていた。バトルジャンキーここに極まれりである。

 

 

「そういやダヴィちゃん、例のモノは?」

「勿論、完成してるとも♪」

「ッ!? そ、それは!!?」

 

 

 優作の問いに笑みを浮かべなら答えたダ・ヴィンチは懐からバイザーを3つ取り出す。それを見たエミヤが驚いた表情になっていた。

 

 

「優作君のくれたスペクタクルズを素材に作った『スカウター』だよ」

「名前も同じだとっ!?」

「エミヤさんが驚いていますけど、これは何なんですか?」

「DBのスカウターまんまやからね。これを装着して対象を見ると、対象の詳細なデータを知る事が出来るべ」

 

 

 マシュの疑問に答えながら優作はダヴィンチからスカウターを一つ受け取り装着、そしてロマニに視線を向けた。

 

 

「戦闘力36…普通だな!!」

「36!?」

「ロマニの戦闘力はどうでもいいとして、詳細なデータと云う事は相手がサーヴァントだった場合はクラスや真名を看破出来るって事?」

「そうさ! 素材のスペクタクルズは対象1体に使用する度に壊れる消耗品だけど、これは何度も使えるからね。これがあればサーヴァント戦を有利に進めていく事が出来るさ。序に此処カルデアのチェック機器にもこの機能を付与してるよ」

「…また相当な代物を作ったわね? 有り難いから使わせて貰うけど」

 

 

 計られた戦闘力の微妙な数値にショックを受けるロマニを尻目にオルガマリーが性能について問い掛けると、ダ・ヴィンチが放つ自慢げな答えに対し、彼女は呆れ混じりに驚いた。

 

 

「それじゃあ、準備は良いかな?」

 

 

 準備が整い、レイシフトの用意が完了した。

 クーフーリン達サーヴァントを封魔管に収めた優作とマシュ、オルガマリーの3人はコフィンの中に入り、レイシフトが開始される。

 

 

「コフィン起動」

「アンサモンプログラム、スタート」

 

 

 職員達の確認の声と共に自身の身体から光る粒子が浮かびだし、全身を包んでいく。

 

 

「レイシフト、開始!」

 

 

 身体が浮かびながら何処かへ引っ張られていく感覚と共に優作達はフランスへと跳んだ。

 

 

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「と、云う訳で到着したのですが…」

「のどかですね、オーバーワールドに連れて行ってもらった時みたいです」

 

 

 レイシフトが完了し、視界が明らかになった優作達から見えた光景は所々木々が生えている草原地帯だった。

 

 

「でも明らかに特異点になっているわね、上を見てみなさい」

 

 

 オルガマリーの指摘に上空を見る優作達。空には巨大な光の帯が輝きながら広がっていた。

 

 

「なんじゃい、ありゃ?」

「ロマニ、調べられる?」

【既に解析を開始しています。簡単な解析結果ですが、衛星軌道上に展開された何らかの魔術式である様です。範囲は北米大陸に匹敵します】

【光帯自体が非常に高い熱を帯びているようね】

「高い熱って…熱量はどれ程?」

【地球上では存在しえない熱量です】

「な~る、高熱の魔術で世界を焼き尽くす訳ね」

「人理焼却の正体がアレなのね…ロマニ、調査班にデータを回して詳しく調べて頂戴」

【了解です】

フォウ、キャーウ(やっはろ~)

 

 

 オルガマリーが光帯の詳しい調査をカルデアスタッフに命じ、移動を始めようとした時、優作のマントからフォウが出て来た。

 

 

「フォウさん!? 何時の間に?」

「何だ、付いてきたんか?」

【優作君のコフィンに入り込んでいたみたいだね。レイシフト対象が君と固定されている状態だから帰還する時に一緒にレイシフトして帰って来れるよ】

「ならモーマンタイさな。一緒に来たんやし、手伝って貰うさね」

キュウ(任せて)

 

 

 優作の言葉にフォウは返事をしながら彼の外していたフードへと潜り込んだ。

 

 

「それじゃあ、移動手段を用意しましょ」

「またあの戦車を呼ぶのか?」

「メタルスラッグは流石に現地人に怪しまれるさな。代わりに…」

 

 

 クーフーリンの言葉に優作は首を横に振りながら答え、指笛をピィーッと吹いた。

 

 すると…

 

 

「クェーッ」

「クェッ、クェ!」

「何か来るわよ!?」

「馬の様なモノが近づいて来ているが、君が呼んだのかね?」

「せやで、今回利用する移動手段は…」

 

 

 鳴き声と共に向こうから何かが数体駆けて来る。初めこそ赤い毛玉の様にしか見えなかったが、近づいて来るにつれてその輪郭がハッキリと認識出来る様になり、ダチョウよりも2回り程大きな鳥だと解かった。

 

 

「『赤チョコボ』です」

「クェエエエ」

 

 

 優作達の元に着いたチョコボ達は優作に擦り寄って来る。優作は彼らを優しく撫でながら懐から蕪の様な野菜を取り出すとチョコボ達に与える。

 野菜を受け取ったチョコボ達は嬉しそうにバリバリと食べ始める。

 

 

「この鳥達もポケモンなんですか?」

「モンスターの分類ではあるけど、違うべ」

「クェッ」

キュー、フォウ…(う~ん、このチョコボ臭…)

 

 

 一羽の赤チョコボが擦り寄って来たので撫でるマシュ。そのチョコボの頭にフォウが攀じ登って顔を突っ込んでチョコボの体臭を嗅いでいた。

 

 

「坊主の事だからこいつらもただのデカい鳥って訳じゃねぇんだろ?」

「せやで。赤チョコボはチョコボ種の中でも上位種で、一羽でサーヴァントと同等の戦闘力を持ってるさな」

「そんな存在が4羽も…」

 

 

 クーフーリンの質問に答え、エミヤがチョコボの戦闘力に対して困惑する中、新たに大きな幌馬車を取り出す。

 

 

「おいちゃん達は遠くの国から来た行商人という設定でチョコボにこの幌馬車を引かせて移動するべ。さぁ、乗った乗った」

 

 

 マシュ達を馬車の中に乗せた優作は御者台に座り、チョコボ達を奔らせる。

 暫く進み続けていたが、幌の上で周囲を警戒していたエミヤから声を掛けられる。

 

 

「マスター、暫く進んだ先に現地民を思われる兵士が見える」

【こちらでも反応を確認したよ。接触してみるかい?】

「もち。此処、オルレアンが今どうなっているのか詳しく聞きたいさな」

 

 

 優作は手綱を操ってチョコボに指示を出し、現地民がいる場所へと馬車を向かわせた。

 

 

「すみませ~ん」

「んおっ!? デカい鳥が馬車を曳いている!!?」

 

 

 隊列を組んで移動していた兵士達の元へ優作が声を掛けながら馬車を近づけると、兵士の一人が馬車を曳いている赤チョコボを見てギョッとした様子の声を挙げた。

 

 

「遠い東の方から旅をしながら行商をしている者です。この鳥達は地元で馬の代わりに使っているんですよ」

「お、おぉ…そうなのか?」

「この国に来て日が浅いので色々教えて欲しいのですが。勿論、お礼に欲しいモノを安くでお譲りしますよ?」

「それは有難いが、俺達は斥候部隊でな? 今、拠点にしている砦に帰る途中だったんだ。詳しくは砦に戻ってからで良いか?」

「分かりました」

 

 

 斥候部隊に案内され、優作達は砦へと向かう。

 到着した砦はボロボロであり、疲弊した様子の兵士達が集まっていた。

 

 

「戦の後ですか?」

「あぁ。俺達は元々“竜の魔女”の襲撃から街を守っていたんだが、多勢に無勢で敗走してな? 嘗ての戦で放棄されたこの砦迄撤退していたんだ」

「竜の魔女?」

「お前さん達も災難だな、こんな時にフランスに訪れるなんて。まさか蘇った聖z…「て、敵襲――――――ッ!!」…なっ!?」

 

 

 “竜の魔女”の単語が気になり尋ねようとすると砦の見張り台から慌てた様子の声が響き渡る。それと同時に空から甲高い雄叫びが響き渡った。

 

 

「ドラゴンが来たぞ―――ッ!!」

「弓兵は武器を取って迎撃しろぉっ!」

 

 

 砦にて兵士達が慌ただしく動く中、離れた上空では黒い点に見えていた翼竜達が徐々に迫って来ていた。その数は50はくだらないだろう。

 

 

「敵性生物確認! 竜種……外見的特徴から飛竜(ワイバーン)と思われますっ!」

「な、何で!? この時代に竜種がいたなんて聞いた事が無いわよっ!!」

【下級とはいえ幻想種の頂点の大群だなんて!? 流石は特異点、何でも有りだっ!】

「漸く暴れられるな、腕が鳴るぜ!」

「飛竜は初めて見るが…燕よりも斬り甲斐がありそうだ」

 

 

 マシュが冷静に観察し、オルガマリーとロマニが驚く中、クーフーリンと小次郎の2人は嬉々として得物を構え、戦闘態勢に入っていた。

 

 

「クー兄と小次郎さんは前衛、無理ない程度に突っ込んで暴れてちょ」

「おうよ」

「任された」

 

 

 優作の指示と共にクーフーリン達はワイバーンの群れへと突撃していく。

 

 

「マシュとマリーはお互いサポートをしながら2人に続いて」

「了解です、サポートはお任せくださいっ!」

「初の実戦ね…でも負けないわ」

 

 

 続いての指示にマシュとオルガマリーは気を引き締めた表情でクーフーリン達の後に続く。

 

 

「エミヤんは砦から兵隊さん達と遠距離サポートよろ」

「君のお陰で攻撃のバリエーションも増えた。援護射撃は任せたまえ」

 

 

 エミヤは頷き砦の一番高い場所へと跳躍し弓を構えた。

 

 

「フォウ君も離れ過ぎない程度に暴れてちょ」

フォーウ、キャーウ(よっしゃ、派手に暴れたる)!!」

 

 

 腰に下げた剣を抜きながら優作がフォウに声を掛けると、フォウは鳴き声を挙げながらポチタンクならぬフォウタンクを駆り、背中のバルカン砲(ポチバルカン)を撃ちまくりながら突き進んでいく。上空のワイバーン数匹がハチの巣にされて墜ちていく様を見ながら、優作も駆け出した。

 

 

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「す、凄い……」

 

 

 砦から少し離れた森にて、木陰から優作達が戦う様子を眺めていた少女がポツリと呟いた。

 50匹を超えるワイバーンの群れが砦へ向かう様子を目撃し、例え魔女と蔑まれ様とも故郷の民を守る為に現場へと向かおうとしていた少女。

 しかし、砦から飛び出した優作達が苦戦する様子無く撃破していく様を見て、取り敢えずは様子見に興じる事にしたのだった。

 

 

「もしも彼らが力を貸してくれるのならば、きっと…」

 

 

 自身が呼ばれた理由は未だ良く解かっていない。しかし、魔女と呼ばれているもう一人の自分が故郷で起こしている戦乱が繋がっている事は確かな筈だ。

 道中で魔女と蔑まれ、襲われた様な事態にまたなるかも知れない、それでもと少女は意を決した。

 

 

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「凄ぇ…」

「50以上いたドラゴン共があっさりと…」

「俺達全然、必要無いな…」

 

 

 森の木陰から様子見している少女が決意を抱くと同時刻、砦の兵士達も少女と同じ感想を抱いていた。

 

 

「オラオラ! ドラゴンの癖に弱ぇぞ!!」

「ふむ…図体が大きい分、斬り応えはあるが燕よりは遅いな」

 

 

 クーフーリンが縦横無尽に駆け巡りながら突く、斬る、払うと戦斧であるビーストランスで蹴散らしていき、一方の小次郎も咬み付こうと急降下してきたワイバーン達を一瞬にして切り刻んでいた。

 

 

「せいっ! はあっ! フォトン!!」

「来なさい、アークエンジェル!」

 

 

 近寄るワイバーンを抜いた剣で斬り裂きながらマシュは離れた場所から火炎を吐こうとしたワイバーンへ光の爆発を起こして吹き飛ばす中、オルガマリーも臆する事無くコルトライトニングで頭を正確に撃ち抜きながら封魔管から天使の悪魔を呼び出して嗾ける。

 

 

キューウ(ヒャッハー)フォウキュー(汚物は消毒だー)!!」

 

 

 バルカン砲から火炎放射器(ポチバーナー)に装備を切り替えたフォウが自身の周囲を飛んでいたワイバーンをウェルダンに焼き上げていく。

 

 

「流石に幾等かは抜けて来るか…ならば…」

 

 

 エミヤが青色のアーチェリー弓『アイスシューター』取り出し、戦線から抜けて砦へ向かおうとしている個体を射抜いて氷漬けにし、次々と墜としていく。

 そしてなにより…

 

 

鬼神の居りて乱るる心、されば人かくも小さき者なり 乱命割殺打!

 

 

 傍から見ても名剣と判る剣を構え、近づくワイバーンを斬り裂きながら詠唱と共に光の柱や巨大な剣を形成して消し飛ばしていく優作の姿に一騎当千の英雄の姿を幻視していた。

 かくして、ワイバーンの出現から30分足らずで事態は収束した。

 

 

:::::

 

 

「有難うなぁ! 商人さんよ~!」

「何か困ったら力を貸すからな~!!」

 

 

 砦の兵士達に盛大に見送られる優作達。

 ワイバーンを全滅させた優作達は砦の兵士達の為に炊き出しを行い、食事以外にも薬品や必要な物資を用意し、配っていく内にオルレアンの現状を兵士達から聞いた。

 

 ジャンヌ・ダルクが処刑された事でイギリスとの戦争が終結しようとしていたが、突如黒き衣を纏った姿で復活。フランス王シャルル七世やピエール・コーション司教といった教会関係者を殺し、無数のワイバーンと一騎当千の超人達を率いてオルレアンを初め、各地で虐殺を始めたという。

 

 

「どう考えてもオルレアンが特異点になった原因ですね…」

「聖杯の力でワイバーン及び、サーヴァントを召喚して私兵にしてる訳ね」

 

 

 砦から近くの街へと出発し、走る馬車内でマシュとオルガマリーが特異点の元凶について話していた。

 食事処か不足していた物資を格安で販売して貰えた事に感激した兵士達の感謝の声が後ろから未だに聞こえており、後ろを向けば兵士達が手を振って見送っていた。

 

 

「予想が正解した訳だし、後は復活したジャンヌをとっちめて黒幕が何かを突き止めれば良いさね」

「後は何処にいるかだが…マスター?」

「解ってるべ。ワイバーン襲撃時からおいちゃん達を伺っている奴がいるさな」

 

 

 エミヤからの警告に頷きつつ、優作はチョコボ達を奔らせる。砦にてワイバーンとの戦闘を開始してから離れた位置で自分達を見ている気配を感じていた。視線に敵意を全く感じなかったのでエミヤ達や悪魔を嗾ける事無く放置していたのだが、自分達に接触したいのか、その気配は動く事無く自分達の進行方向先で来るのを待っている様であった。

 

 

「お待ちください、旅の人」

 

 

 砦を出て数分、見送っていた兵士たちの姿が見えなくなった頃、行き先に立ちはだかる者が現れる。

 意を決した表情で立っていた少女。白銀の軽鎧に白と青のスリットスカートといった衣装で、その両手には大きな旗を掲げていた。

 

 

「貴方方にお願いがあります。どうか…私に力を貸して下さい…!」

 

 

 真剣な面持ちで願い出る少女であるが、優作達の表情はすぐれない。

 何故なら着けているスカウターに依って少女の名前が目的の人物である『ジャンヌ・ダルク』と表記されていたからだ。

 

 

「取り敢えず、乗ってくださいな」

 

 

 警戒を緩める事は無いながらも、優作はジャンヌに馬車に乗るよう指示した。

 

 

【マスター、良いのか?】

【復活したジャンヌは黒い衣を纏って暴れ回っているんやろ? この娘は白と青だし、ステータスが貧弱過ぎて抵抗されてもマリーだけで制圧可能だべ】

【ステータスは低くても宝具がえげつない可能性があるだろ?】

【いざという時はおいちゃんが時間でも止めれば良いだけさね】

【時間を止めるとかホント何でも有りだよな坊主…】

 

 

 エミヤやクーフーリンと念話で会話しつつ、ジャンヌが馬車に乗るのを確認すると再びチョコボ達を奔らせる。

 

 

「それで、力を貸して欲しいとは如何いった理由なのかな? オルレアンの聖女、ジャンヌ・ダルク?」




元ネタ
>スカウター(出典:ドラゴンボール)
『ドラゴンボール』に登場する道具。
見た相手の戦闘力を調べる装置だが、可能測定値以上の戦闘力を持つ者を見るとスカウターが壊れる。

>スペクタクルズ(出典:テイルズシリーズ)
テイルズシリーズにて登場するアイテム。
戦闘中に使用する事で対象に選んだ敵1体のステータスを調べる。
モンスター図鑑を完成するにはこれが無いといけないのでコンプを目指すには基本欠かせないアイテム。

>シドルファス・オルランドゥ(出典:ファイナルファンタジータクティクス(FFT)
FFTの登場人物。
FFT世界のシドであり、ゴルターナ公が擁する南天騎士団団長で『雷神シド』の異名を持つ。
『剣聖』と云う専用ジョブが凡庸ジョブ形無しの基本性能と成長率の高さを持っている上にアクションアビリティ『全剣技』の強力無比っぷりからバランスブレイカー扱いされており、FFシリーズ最強のシドとプレイヤーからは呼ばれている。

>赤チョコボ(出典:FFシリーズ)
FFシリーズに登場するマスコット的立場なモンスター。
FFTではチョコボ種の上位種で敵モンスターとしても登場し、圧倒的な機動力と強力な遠距離攻撃である『チョコメテオ』は驚異。
複数出現したらガチな編成でも壊滅しかねないヤバさ。

>ポチバルカン(出典:メタルマックスシリーズ)
メタルマックスシリーズに登場する武器。
犬専用の装備で通常属性範囲攻撃を行う。

>フォトン(出典:テイルズシリーズ)
テイルズシリーズに登場する魔術。
光属性の初級魔術で敵単体を対象に光を収束させた爆発を起こしてダメージを与える。

>アークエンジェル(出典:女神転生シリーズ他)
アトラス作品に登場する悪魔。
天使九階級で第8位とされる「大天使」で神の意志を人間に伝えるという役目を担っている。
彼らは天界の戦士でもあり、闇の軍勢との戦いでは天の軍勢を率いるという。

>ポチバーナー(出典:メタルマックスシリーズ)
メタルマックスシリーズに登場する武器。
犬専用の火炎属性範囲攻撃を行う。
人間用装備の火炎放射器より攻撃範囲が広い。

>アイスシューター(出典:イニシエダンジョン)
『イニシエダンジョン』に登場するユニーク弓武器。
低階層で入手出来るショートボウをベースにした弓。
使える技は『フロックアロー』で、複数の矢を一度に放つ。
固定プレミアムの『冷気ダメージ+32』及び『貫通+4』に依る妨害及び縦深攻撃力が優秀で序盤での殲滅力と支援力は優秀。

>乱命割殺打(出典:FFT)
FFTに登場する技。
『ホーリーナイト』、『ホワイトナイト』、『剣聖』が使用出来、対象1体にダメージと死の宣告を与える。


Q、シドになりきった時点で全特異点で勝ったも当然では…?
A、設定上、『暗の剣』を使うだけでサーヴァントは皆死ぬので事実そうだから困る。

Q、赤チョコボって強いの?
A、強い(確信)。

Q、フォウが戦っているのですが…?
A、なりきり動物枠のフォウ君が戦わない訳無いよなぁ?


次回は3月15日投稿。
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