リヨン戦闘回 其の壱
リヨン防衛戦の文量が3万字越えしたので分割!
しかし、仕事に入ったから執筆速度がガガガ…
「ロマン、敵は後どれくらいで街に着くかな?」
【ファヴニールの飛行速度から計算では後1時間程だよ。サーヴァントのクラスはセイバーとアーチャーにバーサーカー、そして何故かアサシンが2体】
「新たに召喚したようやね…。しかし、アサシン2体は厄介だな…時間も余り無いし」
「兎に角、街の人達を避難させましょう?」
「そうね、ラ・シャリテの時の様に出来るだけ街から離れた場所で迎撃ましょう。ロマニ、敵の侵攻ルートは常時報告してちょうだい?」
【了解です! 敵が本腰を入れている以上、無茶はしないでください!!】
オルガマリーの指示にロマニは頷くとホログラムが消える。敵戦力とその動きをスタッフ総出で調べ出したのだろう。
「さぁて、説明をする前にファヴニール含めた敵さんの軍勢からこの街を守らなきゃね?」
「ファヴニール!? やはりこの気配は奴かっ!!」
優作の言葉にジークフリートも拳を握る。既知であった強大な気配にもしやと思ったが、まさか嘗ての宿敵も甦っていたとは、と…
街の外で迎え撃つべく、移動を始めようとした時、再びホログラムが現れてロマニの焦った表情が映し出された。
【所長、優作君! 拙いぞ、敵は3手に分かれてリヨンに向かっている。我々の戦力を分散させるつもりだ!!】
「ほむ…そう簡単に迎え撃たせてはくれないか…」
「如何するの、ユーサク?」
ロマニの顔が消えて、敵の侵攻ルートが映し出される。
ホログラムの侵攻ルートには、ジャンヌ・オルタとファヴニール、そしてバーサーカーのサーヴァントがリヨンの北側から、東側からは先行してアサシンとアーチャーが、逆の西側からはセイバーとアサシンがワイバーンとモンスターを率いて進軍して来ている。
マリーの問いに優作は顎に手を当てながら考える。迎え撃つのは街の外が一番だが、今回のジャンヌ・オルタ陣営はワイバーンに加えてモンスターの軍勢を率いている。一騎当千のサーヴァントといえど、一人で対応出来る数には限度がある。対応策があるとはいえ、今回は3手に別れる以上、優作が直ぐに対応出来ない場所が2か所出来る訳だ。
「ラ・シャリテの時の様にエミヤんとフォウ君は街へ来るワイバーンの迎撃、これにヴラドさんも加わって下さい」
「む、我か?」
優作の指示にヴラド三世が意外そうな声を漏らす。
「ヴラドさんに渡したエドガーの服は機械を特技として使えます。キャンプの時に確認して貰いましたが、対多数の敵に効果を発揮するモノが多いです。なので3手に別れた敵に対しての足りない迎撃役をどうか…」
「ふむ…与えられた力を試す良い機会だな」
「! では…」
「竜の群れ相手は初めてではあるが、これでもワラキアを守護した身。この街には一歩も踏み入らせぬ」
そう言ってブラド三世はオートボウガンを取り出しながら不敵な笑みを浮かべる。
「有難う御座います。エミヤんは西側、フォウ君は北、ヴラドさんは東側をお願いします。街の外に出て迎え撃つメンバーは先ず、北側はおいちゃんとマシュ、ジャンヌちゃんとファヴニール打倒の為にジークさんの4名で行きます」
「任せて下さい!」
「分かりましたっ!」
「うむ、任せろ」
リヨンの外壁にて街へと進行しようとするワイバーン達の迎撃メンバーと北側から攻めてくるジャンヌ・オルタとバーサーカー、そしてファヴニールを迎え撃つメンバーを選ぶ。
選ばれたマシュとジャンヌは気を引き締めながらも強く返事をし、ジークフリートも頷く。
「西側はクー兄と小次郎さん、そしてマル姐。東側はマリー、姫さんとアマさんで迎え撃って欲しい」
「おぅ、任せな」
「今回も楽しめそうよな。なに、敵は一人も通さぬよ」
「竜の魔女を一発殴れないのは残念だけど、そうも言ってられないわね。任せなさい」
「解かったわ」
「うふふ、任せて♪」
「君のくれた力なら僕でも何とか出来そうだ、可能な限りは頑張るよ」
各々が優作の指示に頷き、移動を開始する。途中、ジークフリートが別の詰め所の見張り兵に敵が迫って来ている事を告げ、住民の避難を促すよう指示する。
兵士達の避難勧告に慌ただしくなる住民達を避けながら各々が迎撃場所へと散って行った。
新たな戦いがもう間もなく始まる…
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北、東、西の外壁では可能な限り敵の侵攻を抑えようと街の弓兵達が集まっていた。目の前には無数のワイバーン達が広く展開しており、その中央にはワイバーンを遥かに超える巨大な竜の姿が徐々に露わとなっていた。
「あんな化物にこんな弓矢が効くのかよ…」
「そもそもあの数のワイバーン共を抑え切るにはこの矢の数では…」
「それでも、住民の避難が終わってないんだ…俺達がやらなければ…」
「大丈夫だ、ジークフリート殿が来てくれる」
「でも騎士様でもあんなバカでかい竜を相手に勝てるのか…?」
優作が商会に売ったアルバレストは既に兵士達に行き渡っていたが、圧倒的な敵の数に兵士達の士気は低い。自分達は死兵だ、住民達を一人でも逃がす為の…
震える身体を腕で押さえつけ、覚悟を決める兵士達の頭上を赤い影が通り過ぎる。何事かと視線を向けると大きな赤い鳥に騎乗した騎士と少女達が城壁を越えて外へと降り立つ。
「フォウ君、城壁の防衛を頼んだよ?」
「フォウさん、頑張ってください!」
「
城壁を越える際に優作の肩にいたフォウが城壁へと飛び降りてフォウタンクを展開すると不敵な鳴き声を上げる。
城壁に降り立つは赤チョコボに乗った優作とマシュにジャンヌ。そして霊体化して後に続いていたジークフリートも姿を現した。
「おぉっ、騎士様だ!」
「騎士殿が来てくれたぞっ!!」
「ジークフリート様っ!!」
「騎士様ぁっ!!」
ジークフリートの姿に落ち気味であった兵士達が湧き上がる。
流石、この街を守護して来た英雄である。その姿を見せただけで下がっていた士気が高くなっていく。だが、士気向上にもう一手欲しい。
【メタトロン、手隙の天使はどれ程いるかな?】
【む、サマナーですか? 住民の避難は粗方完了してますから街の防衛の分を考えれば半分は抜けて問題無いと思います】
【分かった、召し寄せで呼びたいから手隙のメンバーを伝えてくれ】
【畏まりました】
フランスの民を護らせる為に放った仲魔達のリーダーとしていたメタトロンへ念話を送る。リヨンまでの移動中、状況報告を念話で受けており、手隙になった戦力をリヨンの防衛に宛てようと考えていた。優作の育成した仲魔は低級の天使であるエンジェルといえど、その実力はサーヴァントクラスに匹敵する。これにイニシエダンジョン産の使い魔を加えれば、戦力は十分足りるだろう。
ジャンヌ・オルタは優作達が立つ城壁下の100メートル程手前で軍勢を止めた。
ワイバーンを直ぐに嗾ける事はせず、ジャンヌ・オルタはファヴニールの頭上から優作達を見下ろしながら声を上げた。
「ハハッ、反吐が出る位の感動的な再開……と云っても一日ぶりね。残りカスの聖女様と忌々しい異邦人共?」
「ジャンヌ・オルタ…」
優作達を眺めながら見下した笑みを浮かべるジャンヌ・オルタ。
「はぐれサーヴァントがこの街の侵略を邪魔しているとジルから聞いたから来てみたら、まさかアンタ達までいるなんて…実に好都合ね、アンタが仲間にした異邦人共も含めて纏めて殺してあげるわ! ファヴニール、この愚かな奴らを灰にしてやりなさいっ!!」
ジャンヌ・オルタは改めて残酷な笑みを浮かべながら旗を掲げるとファヴニールが大気を震わせる咆哮を放つ。
その咆哮に士気を上げていた兵士達は忽ち縮み上がってしまう。
恐れを抱きながらもチョコボから降りたマシュとジャンヌが武器を構え、ジークフリートも仇敵の姿にバルムンクを抜く中、優作は外壁の方へ向いて大きく息を吸い込んだ。
「聴けぇ! リヨンを護る兵士達よっ!!」
突然、優作が高らかに大声を挙げる。
「目の前には竜の魔女が率いる巨大な邪竜にワイバーンとモンスターの軍勢がいる……だがこんなもの恐るるに足らずっ!」
【召し寄せっ!!】
優作が印を書くと共に城壁の上に召し寄せされた天使達が続々と出現していく。優作は更にエンジェルの契約書を取り出して追加戦力として召喚していき、忽ちの内に天使の軍勢が形成されていった。
「なっ! はぁああああ!?」
「我々には天より来た使者が味方しているっ!」
姿形は違えど、何れもが翼を広げて神々しいオーラを放っている。城壁の兵士の中には膝を曲げて祈り出す者も現れ出し、ジャンヌも立ちながらではあるが祈る為に両手を重ねていた。
「ふ、ふんっ! 幾ら天使を集めた所でその程度の数でこのファヴニールとモンスターの軍勢を抑えるなんて…」
「そしてぇ!! 邪竜が人を襲うならば、人を護る竜も当然いるっ!!」
現れた天使達を前に驚きながらも強気で迫るジャンヌ・オルタに優作は更に声を高くし、宣言する。
今回、ファヴニール相手にファフニールを出そうと思っていたが、ジークフリート本人がいる為に彼のテンションを下げる様な真似はしたくないので止める事にした。
なので竜の王を呼ぶ事にした。
「ファフニール、御免。今回は流石に出せないや」
【ソレハ無イゾ、さまなー?】
「埋め合わせはする。キャンプでいた青髪の槍兵との模擬戦は如何かな?」
【フム…奴ナラ我モ楽シメソウダナ……乗ッタ】
「有難うね」
今回、戦いに出せない事をファフニールに謝罪しつつ、優作は改めてファヴニールに乗るジャンヌ・オルタへ身体を向けて高らかに声を響かせた。
「兵士達よ、特と御覧じろ! 竜の魔女は邪竜と共に恐れるが良いっ!! これが邪竜を超える竜の王だっ!!」
優作の詠唱と共に魔力が自身の周囲で渦を描きながら吹き荒れていく。
「夜闇の翼の竜よ、怒れしば我と共に 胸中に眠る星の火を! バハムートォ!!」
晴れている筈の空が一瞬暗くなる。
何事かと各々が空を見上げたその先には…
ファヴニールと並ぶ大きさの黒龍が翼を広げて浮かんでいた。
「う…嘘でしょう…?」
優作に依って召喚された竜の王、バハムートは天高く咆哮を響かせた。
その圧倒的な存在感と咆哮にワイバーンとモンスター達は怯えだして慌ただしくなる。
だが、怯えたのはモンスター達だけではなかった…
「ど、如何してっ!? ファブニールッ!!? 貴方までが怯えるというの!?」
ファヴニールが震えていたのだ。
バハムートの放つ威圧に恐れ、その巨体を退けようとしていた。
「さぁて、第2ラウンドの始まりだっ!!」
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リヨン 街壁西側
「しくじるなよ、弓兵!!」
「ふん、貴様に言われるまでもない」
「背後は任せた」
「あ~、アンタについてはまだ良く分かってない身だけど、頼むわね」
街の外壁を1、2回の跳躍で飛び越えるクーフーリン達。クーフーリンと小次郎、マルタはそのまま街壁の上に残るエミヤに声を掛けながら外へと飛び降りて迫り来るモンスター達へと進んでいく。
「あ、アンタ達は…?」
「傭兵だ」
突然現れたエミヤ達に兵士達が困惑しながらも尋ねてくるが、エミヤは軽く返事をしながらサーモンピンク色の弓を取り出して矢を放っていく。先端に電光を纏わせた矢はワイバーンを射抜くと共に閃光と電撃を炸裂させ、周囲の他個体をも巻き込んで墜としていく。
「…まだあんなに離れているというのに…」
「なんという腕だ…」
未だ、弓兵の射程範囲に入っていないにも関わらず、矢を届かせた上で確実に当てているエミヤに周りの兵士達が驚愕の声を漏らしていく。
しかし、驚く対象はエミヤだけに当て嵌まらない。
「流石に多いな…」
「なら、先ずは派手に決めっぞ!! ファイアストームッ!!」
目の前に広がる軍勢に小次郎がその多さを零すと、クーフーリンが広範囲対象の炎術を放つ。
火炎の嵐が巻き起こり、地上のモンスターを含む軍勢の前列が瞬く間に焼き尽くされる。
「えぇと…これが良さそうね、ブリザードッ!!」
クーフーリンに続き、マルタがイメージ内に浮かんだ氷の上級晶霊術を唱えると猛吹雪が吹きすさび、残る敵軍勢を凍てつかせた。
リヨンに着く迄にマルタも優作から衣装を貰っていた。
彼女が得た服は氷の晶霊『セルシウス』の衣装であり、白いノースリーブのニットに水色のスリットスカートを纏った上で、下には長めのスパッツ、顔には顔半分を覆う仮面を着けている。
因みに彼女が着けている仮面は優作が顔バレしてややこしい事にならない様にと彼女とヴラド三世へ渡したモノであった。
「うむ、敵の動きが止まったな。ならば…サンダガ!」
動きを止めた敵の軍勢に向けて小次郎が雷の嵐を放つ。
凍て付き氷の氷像になったモノは砕かれ、雷に呑まれたモノは消し炭になっていく。
3人の放った魔術に依ってモンスターの軍勢は大幅に減少した。これに外壁の兵士達の士気が高まり盛り上がる。
「喜ぶのは早いぞ、敵はまだ残っている」
エミヤの言葉に兵士達は慌てて武器を構え直す。敵の軍勢は大幅に減ったが、まだ残っている。クーフーリン達はモンスター達と接敵しており、接近戦へ切り替えている為に僅かながらも彼らを抜けたモンスターやワイバーンが街壁へと向かって来ていた。
エミヤが矢を次々と放つ中、兵士達もアルバレストを構えて向かって来るモンスター達へと矢を放っていく。連射式のボウガンであるアルバレストから放たれる矢の雨のを前にワイバーンやモンスター達はハリネズミと化してバタバタと倒れていく。
戦況は良い流れであった。クーフーリン達3人が前線で敵を蹴散らし、彼らを抜けた少数を街壁の兵士達とエミヤが撃ち抜いていく。
クーフーリン達が暴れる中、新たな刺客が現れた。
「我が名は
「また辛気臭ぇ奴が来たな…」
現れたのは襤褸切れの様な黒い布を纏い、顔の半分を覆う髑髏の仮面を着けた仮面の男。その両手は皮を剥いだ様に不気味であり、巨大な異形の爪を着けていた。
「悲哀は失せぬ、怨嗟は潰えぬ、絶望は消えぬ。故に歌う、歌う、私は歌う。望みのままに。願いのままに」
「そうかよ、勝手に歌って、くたばってろ」
「そうはいかぬ。マスターである竜の魔女よりこの街を死の街にせよと命じられている」
「ほぅ、3対1の状況で私達に勝てると?」
「それはこれを受けてから考えるが良い、唄え、唄え、我が天使……
ファントム・オブ・ジ・オペラが演劇染みた仕草で両手を広げると、彼の背後に巨大なパイプオルガンが出現する。現れたパイプオルガンは無数の死骸で形成された禍々しいモノであった。
「さぁ、聴くが良いっ! クリスティーヌ、あぁ、クリスティーヌッ!!」
「ぐおっ!!? 耳が潰れるっ!!」
「これは…耳もだが頭が割れそうだ――――――!?」
パイプオルガンの演奏と共にファントム・オブ・ジ・オペラが歌い始めると呪怨に満ちた音響が響き渡り、クーフーリン達にダメージを与えていく。
「おい、ステゴロ聖女! アイツを知っているか?」
「ステゴロは余計だってのっ!! 奴は前から呼ばれていたんだけど、扱いが難しいって事で自由行動させてたのよ」
「成程、既にアサシンは多く呼んでいた訳か……むっ!?」
ファントム・オブ・ジ・オペラの宝具に因って動きを抑えられる中、突如クーフーリン達へ矢が降り注ぐ。
クーフーリン達は直ぐ様、矢を撃ち落とすがどの矢も急所を狙っており、相手の技量の高さが伺えた。
「この矢はアーチャーか?」
「真名はアタランテよ。監獄城で見張りとして待機していた筈だけど…どうやら連れて来られたみたいね…」
「敵も総力戦を挑んできたか…どちらも早い内に仕留めた方が良さそうだな」
敵軍勢の背後にある木の上で新緑色の髪を伸ばし、その髪から獣の耳が生えた女性が弓を構えていた。その表情は今迄出会ったバーサーク・サーヴァントと違い狂気に満ちていた。
「今迄会った連中より顔が大分ヤバくないか?」
「狂化に一番抵抗したのが彼女なのよ。だから他メンバーに比べて埋め込まれた狂化が大きいわ」
「なんと…狂気の沼に呑まれているのか…」
アタランテは再び矢をつがえると次々にクーフーリン達へと放っていく。複数相手の乱戦の中で襲って来る正確無比な狙撃は非常に厄介だ。
しかし、アーチャーはこちらにもいる。兵士達だけで壁へ迫るモンスターの対処は充分と判断したエミヤは弓をパニックメーカーに切り換えてアタランテの頭上へと矢を放つ。彼の放った矢は無数に分裂してアタランテに矢の雨をお見舞いした。
慌ててアタランテは立っていた木から離れるが、ハンターボウへ切り換え直したエミヤが彼女へ矢を次々と放っていく。
『ホーミング』プレミアが付いているハンターボウに依って放たれた矢はアタランテの後を追い迫っていき、堪らず彼女もクーフーリン達への攻撃を取り止めて迫る矢を迎撃する事に切り替えた。
「ふむ、アーチャーの攻撃は封じる事が出来たか。しかし、アサシンの攻撃は如何する?」
「…ちぃっ! 俺には似合わねぇが、やるしかねぇな…」
少し嫌そうな顔をしながらクーフーリンはアニマを自身に集中させる。
「『音』と『獣』そして『樹』…これぞ音術の奥義、清歌!!」
アニマを開放しながらクーフーリンが歌いだす。アンデットを鎮め大ダメージを与える清歌はファントム・ジ・オペラの宝具である屍のパイプオルガンを破壊し、周辺のアンデットモンスター達も纏めて成仏させていく。
「なぁっ!? 私のクリスティーヌがぁ……」
「今だ、いけっ!!」
「参る」
クーフーリンの声と共に小次郎が駆け出しファントム・ジ・オペラへと迫る。自身の宝具の崩壊に気を取られた彼は接近を許してしまい、小次郎の刀をマトモに受けることとなった。
「一陣っ!!」
「ぐはぁっ!?」
突進と共に放たれる斬り払いにファントム・ジ・オペラは胴体を真っ二つにされる。しかし、それだけで終わらない。
「これにて仕舞い」
「あぁ…クリスティーヌ…」
縦に回転する様に身体を捻りながら振り下ろされた斬撃で肩から股にかけて幹竹割りされるファントム・ジ・オペラ。4分割された彼は最後に無念の言葉を漏らしながら、金の粒子となり消滅した。
「フリーズランサーッ!!」
マルタが無数の氷の槍を正面へと放ち、ワイバーンやモンスター達が氷槍に貫かれて消し飛んでいく。彼女の正面にぽっかりと邪魔者のいない一本道が出来上がる。その道の先にはエミヤの放つ矢に追われるアタランテの姿があった。
アタランテへ駆け出すマルタ。
迫る彼女の姿にアタランテは矢を放つのだが…
「飛葉翻歩」
「なぁっ!?」
アタランテの放った矢はマルタを擦り抜ける様に外れる、そして彼女の背後にマルタは立っていた。
「飛燕連脚!」
「うぐぅ!?」
距離を離そうとするも遅く、3連続の回し蹴りをお見舞いしてアタランテを吹き飛ばすマルタ。吹き飛ばされながらも距離を離せたと態勢を立て直し、着地しようとしたアタランテだったが、目の前にはマルタが迫っていた。
「なぁ!?」
「まだまだぁっ! 無狼拳!!」
「がぁあっ!!」
瞬時に距離を詰められた事に驚くアタランテにマルタは掌底を放った後、氷狼の気弾を放つ。冷気を纏う気弾に曝されて凍てつくアタランテの身体はその場から離脱し様にも出来ないでいた。
「これでトドメ! 凍刃十連撃っ!!」
「あぐっ!? ウがあぁぁあアアアッ!!」
大きな隙を見逃す筈も無く、マルタの拳と蹴りがアタランテを襲う。9連続の連撃を放った後に両手に気を込めたマルタが獅子の姿を模した闘気を放ち、アタランテを吹き飛ばした。
「ガハァッ」
地面に叩きつけらる様に倒れたアタランテは武器である弓をも手放し、動けないでいた。
「…アーチャー」
「はぁ、はぁ…あぁ…ライダーだったのか…パスが切れたと聞いていたが、無事だったか…」
ボロボロのアタランテの元にマルタが近づく。ダメージの影響なのか狂化が薄まっていた彼女は理性が戻っており、衣装が異なりながらも近寄ってきた人物がマルタである事に気付き、話しかけてきた。
「いいえ、負けたわ。…負けたんだけど、その後パスやら狂化を解除されて契約を結んだのよ」
「そう、か…こうして私を倒したんだ…この国を護る者をマスターにしたのだな?」
「そうよ。契約した方のマスターは普通なんだけど、もう一人のマスターがねぇ…」
「ははっ……何だそれは…」
困ったような呆れた様な言い方をするマルタにアタランテはクスリと笑う。そんな彼女の身体は徐々に薄れ始めており、金の粒子が散り始めていた。
「あぁ…これで漸く解放される…」
「アーチャー、アンタ…」
「これで良い…これで良いんだ…無辜の民の血でこの手どころか全身が真っ赤に染まってしまった。…全く、厄介でどうしようもなく…損な役回りだった…」
今にも泣きそうな表情で笑うアタランテ。
「民を、子供達を私が殺したんだ、何もしていない者達を…だから、このまま消えるのが私には相応しい…」
「…あ~…気持ちは分かるし、このまま消えようと思っている所悪いのだけど、多分無理よ?」
「? ………それは如何いう…「失礼する」……へ? むぐぅっ!?」
遂には涙をポロポロと零しだすアタランテを前に申し訳なさそうにマルタの言葉を告げる。そんなマルタの言葉に呆けた声を漏らすアタランテの元に突如エミヤが現れて彼女の口にエリクサーとデスペルの薬が入った瓶を突っ込むと同時に投影した
「あぁ、やっぱりね……ところでアンタも其れを使えたのね?」
「解析した武具を投影し、具現化するのが私の十八番でね」
「宝具すらも使える訳? アンタも大概ね」
「見た目はそっくりでも所詮は劣化コピーだ。完全に本物の性能を引き出せる訳では無い」
マルタの指摘にエミヤが自身の能力について説明する中、薬を飲み終えたアタランテが咳き込みながらも倒れていた身体を起こす。マルタにボコボコにされた筈の体には傷一つ無くなっていた。
「ケホケホッ……怒りも憎しみも感じない…狂化が消えている…? それにパスすらも…どういうことだ!?」
「君に刺した宝具でパスを破棄した。そして飲ませた薬には回復に加えて狂化を解除する効果がある」
「そう、か……しかし、何故私を助けた?」
「マスターからの指示でね。そこのマルタと同じく“竜の魔女被害者の会”の一人だろうから可能なら仲間にしてくれと言われたのさ」
「「りゅ…竜の魔女被害者の会…」」
カルデアから各々が戦っている敵性サーヴァントの正体等について教えられていた為、優作からエミヤへ念話で仲間にするよう頼まれた事を語る。
“竜の魔女被害者の会”というワードにマルタと共に顔を引きつらせるアタランテであったが、続いてエミヤから自分達がジャンヌ・オルタ陣営と戦っている理由を説明され、その顔が真剣なモノに変わる。
「フランスどころか世界中が焼き尽くされたと云うのか!?」
「そうだ。此処で竜の魔女が起こした戦乱はその原因の一つに過ぎない」
「人は……幼子や子供達は…どうなったのだ?」
「世界が焼かれたのだぞ? 我々が属しているカルデア以外の人類は全て焼却されてしまった」
「何という事だ…」
エミヤの言葉で悲痛な表情へ変わるアタランテ。彼女が聖杯に望む願いの対象である子供達すらが未来で焼き尽くされた事に衝撃を受けていた。
「敵の正体は未だ解からず、持っている戦力も未知だ。だが、複数の聖杯をばら撒いて異変を起こしている以上は神に匹敵するかそれ以上の力を有していておかしくない」
「だから戦力が沢山必要だそうよ?」
「そうか…」
自身を仲間に引き入れたい理由は解かった。子供達が焼き尽くされる未来を放って置くなど出来ない上、アタランテが望む事を叶える為には彼等に就く事が最適解である事は理解していた。
「血で汚れきった身ではあるが…そんな私でも良いのだろうか…?」
「此処の特異点が解決されればこの時代で起きた異変は修復されて元に戻る。殺された者達も殺された事自体が無かった事になるからそう気にする必要も無い」
「…そうか、此処の異変を解決すれば皆助かるのか」
「それでも気に掛けるならば、人理修復に励めば良い」
「そうか、そうだな。まだまだ異変が起きている国がある訳だ、ならば落ち込んでいる暇は無い」
アタランテは暗かった表情を引き締め立ち上がる。彼女の瞳に濁りと悲しみは一切無くなり、凛々しく真剣なモノへと変わっていた。
「改めて、アタランテだ。純潔の狩人にしてアルゴノーツに乗って旅をした。人理修復の為にこの弓、存分に使ってくれ」
「アルゴノーツの船員ならば、メディアとも知り合いだったな。宜しく頼む」
「メディアを知っているのか?」
「彼女もマスターのサーヴァントになっている。詳しくはマスターと落ち合ってからだが、先ずは此処にいる残りを狩るぞ」
「! そうだな、援護は任せてくれっ!!」
クーフーリンや小次郎、そして優作が送って来たのであろうエンジェル達によって周囲に残る敵勢力はもう僅かだ。
エミヤ達は武器を構え、残党の殲滅を開始した。
元ネタ
>バハムート(出典:FFシリーズ)
『FFシリーズ』に登場する召喚獣。
元々は中世イスラムの世界構造の概念における世界魚(鯨)であり、最古の文献によれば本名は『ルティーヤー』でバハムートは渾名であったとされている。
サブカルチャーの世界ではドラゴンとして描かれており、FFシリーズに於いては竜の王という立ち位置で最上級クラスの召喚獣になっている。
使用する技は『メガフレア』で敵全体に防御無視の無属性ブレスを放つ。
上位種に『バハムート改』、『バハムート零式』が存在する。
>ハンターボウ(出典:イニシエダンジョン)
『イニシエダンジョン』に登場する弓武器。
使える技は命中した相手をスタンさせる矢を放つ『スタンアロー』。
スタンアローはモンスターや障害物などに着弾すると炸裂攻撃が発生し、多段ヒット及びスタン効果を発揮させる。
低階層から入手出来るにも関わらず、『かず+』と『かんつう+』が付くと深層でも敵の足止めに使える非常に優秀な武器となる。
>ファイアストーム(出典:サガフロンティア2)
『サガフロンティア2』登場する炎術。
『炎』+『獣』の組み合わせで発動し、敵全体に炎属性のダメージを与える。
>ブリザード(出典:テイルズシリーズ)
『テイルズシリーズ』に登場する氷系魔術。
氷属性の上級魔術で、指定した対象の周囲か、画面全体に吹雪を発生させてダメージを与える。
シリーズによってヒット数は異なり、凍結や睡眠の追加効果を与える。
>セルシウス(出典:テイルズシリーズ)
『テイルズシリーズ』の登場人物で氷の大晶霊(又は精霊)。
クールで誇り高い性格で他者に厳しく、それ以上に己に厳しい。大晶霊としての責任を生真面目に全うしようとする態度は、健気ですらある。
戦闘スタイルは氷の魔術と己の肉体を使った肉弾戦を好む。
相対する属性である炎の大晶霊『イフリート』とは仲が悪かったりそうでなかったりする。
因みに作者はシンフォニアのショートカットver.が好み。
>サンダガ(出典:FFシリーズ)
『FFシリーズ』に登場する雷系魔法。
下位互換に『サンダー』、『サンダラ』。上位互換に『サンダジャ』がある。
>清歌(出典:サガフロンティア2)
『サガフロンティア2』に登場する音術。
『音』+『樹』+『獣』の組み合わせで発動し、敵全体の音属性且つアンデット特攻のダメージを与える。
>一陣(出典:ディシディアファイナルファンタジー)
『ディシディアファイナルファンタジー』に登場するセフィロスの持ち技。
前に突進しながら2連続の斬撃を加える。
>フリーズランサー(出典:テイルズシリーズ)
『テイルズシリーズ』に登場する氷系魔術。
氷属性の中級魔術であり、発動者の正面に向けて幾つもの氷の槍を発射する。
氷の槍は貫通する上に2D時代のシリーズでは1画面半を射程にしていた為、非常に強力だった。
>飛葉翻歩(出典:テイルズシリーズ)
『テイルズシリーズ』に登場する技。
移動技であり、滑る様に前方へ移動しながら相手の背後を取る。
移動中は無敵である為、攻撃の回避にも使える。
>飛燕連脚(出典:テイルズシリーズ)
『テイルズシリーズ』に登場する技。
特技に部類する技で、宙へ向けて連続して回し蹴りをおこなう。
シリーズによって回し蹴りの回数や締めの技が異なる。
>無狼拳(出典:テイルズオブレイズ)
モバイルゲーム『テイルズオブレイズ』に登場するセルシウスの使用する技。
氷の上を滑る様に高速で移動して敵との距離を詰め、掌底を放った後、氷狼の気弾を放つ。
>凍刃十連撃(出典:テイルズシリーズ)
『テイルズシリーズ』に登場する技。
奥義に部類する技で、相手に拳と蹴りによる9連撃を加えた後、獅子戦吼を放って吹き飛ばす。
元ネタは同社の格闘ゲーム『鉄拳』に登場する三島平八が使用する『雷神十連撃』
Q、天使軍団+バハムートって容赦無さ過ぎィ!!
A、街の防衛戦なのに容赦する訳なんてないよなぁ? 因みに上位天使は他街の守護に当たっているのでいませぬ。
Q、マルタの衣装はセルシウス?
A、彼女も他に格闘系で候補があったり…(正直かなり迷った)
・新島 真(ペルソナ5)
・ティファ・ロックハート(FF7)
・紅 美鈴(東方project)
・レイ(LIVEALIVE)
Q、ファントム・ジ・オペラは仲間にしないの?
A、なんでTDN悪人を仲間にする必要があるんですか?
次回は5月3日投稿。
感想コメント、意見・質問お待ちしております。
カルデアで召喚して欲しいサーヴァントは?(上位2名が召喚されます)
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アストルフォ
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ケイローン
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キングプロテア