書く時間が碌に出来ないから本当に進みませんでした…orz
ガスタンカー船の装備妖精(機関部)になるとホント忙しいんやな…(隙自語)
今回は会話とテコ入れ回、地獄の釜の蓋が開くかな?
後、総合評価1000突破出来ました。
読者の皆様に感謝感謝!
因みに、次回投稿迄のアンケートを行いますので回答お願いします。
聖杯の力によってオルレアンへ転移して逃げたジャンヌ・オルタとジル・ド・レェの2人。
ジルが召喚した海魔を殲滅した後には敵影は無く、リヨン外壁から聞こえる兵士達が叫ぶ勝利の雄叫びが響いていた。
「決着はオルレアンってとこかな? でもおいちゃん達も直ぐ動ける訳では無いし…パワー!」
「何でしょうか、サマナー?」
優作は近くにいた能天使『パワー』に声を掛ける。
「リヨンの防衛に2体程残して、他天使達と共にオルレアンの包囲網を形成して欲しい。敵に動きが無いか常に監視して、連絡も頼む」
「畏まりました」
優作の指示にパワーは頷いて周りの天使達に伝達すると天使達はオルレアンへと飛び去って行く。その姿を歓声を挙げていた外壁の兵達やジャンヌは祈りながら見送っていく。
「取り敢えずは皆と合流しよう?」
「「はい」」
通信機や念話で連絡を取りつつ、リヨンの兵士や住民達に熱烈な歓迎を受けながら街中で合流した優作達だったが、南口から現れたフランス軍の面々が彼等に会いに来た。
「君達がリヨンを守護した傭兵達か?」
「はい、そうですが……貴方は?」
「うむ、私はフランス軍元帥のジル・ド・レェと云う」
彼の言葉に優作とマシュは目を丸くする。サーヴァントで無い、この時代で生きているジル・ド・レェなのだろうが、ジャンヌ・オルタを連れて逃げたキャスターのジルの姿を先に記憶している為にその姿や他の異なりっぷりに驚く。
(顔変わり過ぎだろ…)
「君達の御蔭でリヨンは救われた。我々も全速力で向かっていたが、あの竜相手では間に合わなかっただろう…」
「我々は商売目的で偶々訪れただけですので…」
「それでも、感謝を告げたい。それと、君達と話をしたいのだが、良いだろうか?」
「はい。それは構いませんが、他の場所で防衛を任せた面々がいますので、その後で構いませんか?」
「ふむ、そうだな。君達が今迄リヨンを護ってくれたのだ、今後の見張りは我々に任せて…まぁ、私が話を聞きに来るのだが…今日はゆっくり休んで欲しい」
「あぁ…それはお願いします」
「ところで…」
ジルからの感謝の言葉に飽く迄も偶々であると答える優作。詳しい話は仲間達が集まってからと話を付ける中、ジルがジャンヌへと視線を向ける。
「そこの彼女は…失礼だが竜の魔女と顔が似ている様だが…?」
「っ!」
「彼女は商人の娘でして、扱っている商品の管理責任者として同行しています」
「そうなのか?」
「この国に来るまでで旅人等から聖女と顔が似ていると聞いて訪れる事を楽しみにしていたのですが、竜の魔女の争乱で悪い意味で勘違いされる次第でして…」
「……そうか、時期が悪かったと云えど、大変な様だな?」
「いえ、慣れましたので」
ジルの問いに対し、若干顔をこわばらせるジャンヌだったが、優作が素早く説明をした為に怪しまれる事無く済んだ。
「ふむ…彼女の立場もあるだろうが…それでも少し時間を置いてからで訪れよう。色々と聞きたい事が有るが、其方だけで遂げた訳では無い様だしな? それでは失礼する…」
何を考えていたのか、ジルは少し間をおいてから優作達に再び会いに来ると伝えて部下と共に去って行った。
既に夕日が沈み始める時間帯であり、優作達は街の好意で用意してくれた宿に一泊する事にした…のだが…合流しようとした矢先、オルガマリーの元に多くの街の住民や兵士達が押し寄せる事となった。
理由は当然の事、彼女が天使使いとして名を知らしめてしまったからである。
結果、リヨンに戻ったオルガマリー達、東側防衛のチームは住民と兵士達に聖女の再来だと称えられるどころか祈られる始末であり、優作達とに合流にとてつもない時間を掛ける事となった。
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「皆お疲れ様…と、言うよりも各々を守ってくれて有難うと言うべきかな?」
「それなりに暴れる事が出来たから、良かったぜ」
「うむ、剣を交えた死合こそ出来なかったが戦の昂ぶりを楽しめた」
「アンタ達…」
「止めておけ、聖女マルタ。その2人は戦いを望んで英霊の座に残っている身だ。説教をした所で馬耳東風だ」
宿屋の一階は酒場となっており、ラ・シャリテの時の様に貸し切りになっている為にそこで優作達は集まっていた。
労いと感謝の言葉を述べる優作にクーフーリンと小次郎はそれなりに楽しめたと発言をし、其の事にマルタが眉間に皺を寄せるが、エミヤが宥める。
「ふふっ♪ 有難う、優作。本来なら私は碌に戦えないサーヴァントだけど、貴方のお陰でデオンを救う事が出来たわ」
「僕も改めて礼を言うよ、こんなクズな僕を騎士にしてくれたんだ」
「なりきりと云う力の強さ、此度の戦いで良く実感できた。我が祖国と世界の未来を救う為に改めて手を貸すと誓おう」
「……敵サーヴァントを3名も味方に引き入れる事が出来た…防衛も成功して犠牲 も無しなら今回の戦いも大成功ね」
マリーとアマデウスが優作に感謝を告げ、ヴラド三世が優作の能力の凄さを実感し、オルガマリーも今回の防衛戦は大成功であると告げる…何故か彼女の表情は不機嫌そのものだったが…
「オルレアンで相まみえた時が最後の戦いになると思います」
「次が最終決戦になるんですね…緊張こそしますが、負けません!」
ジャンヌは次の戦いがこの特異点での決戦になるだろうと己の予感を語り、マシュは気を引き締める。
「それで…なんでマリーはそんなにふくれっ面になってるん?」
「あぁ、それはね…」
オルガマリーに問い掛ける優作に対し、彼女でなくアマデウスが説明する。
「あぁ、だから集まるのが遅かった訳ね」
「ところで先輩、いつの間に天使の仲魔をあれ程呼び出していたのですか?」
「昨夜のマシュとジャンヌちゃんがおいちゃんに尋ねて来る前さね。あん時は街の守護を任せる為にミカエルなんかの上級天使もいたさかい、ジャンヌちゃんが早く来ていたら失神してたかも」
「み、ミカエル様ですか!?」
「あ、アンタ本当に規格外ね…」
マシュの問いに答える優作は昨夜に於いて、フランスの村や街を護る為に天使の仲魔達を呼び出して守護の任に就かせていた事を告げる。その時に彼の言葉に出た『ミカエル』の名前にジャンヌが驚愕の声を上げ、マルタは顔を引き攣らせている。主の使いである天使を従える優作に思う所があるのだが、邪龍を使役しているわ、その邪龍を超える竜の王を呼び出すわと余りにもぶっ飛んだ事を仕出かしている優作なので、何だかんだで納得してしまっていた。
「あれが襲撃前に言っていた案なのか?」
「そういう事です。ジークさんの代わりに天使達がこの街を守護しますので、安心してください」
ジークの問いに答える優作。低級天使もサーヴァント並以上の実力に育てている以上、彼の代理に足る戦力であるのは明らかだ。
「でもユーサク、オルガマリーが天使使いの聖女と噂されていたと聞いていたならこうなる事は解っていたんじゃないの?」
「え? まぁ、うん。ラ・シャリテで姫さんが言った時にピーンと来てね、結果はこの通りさね」
マリーの言葉に頷いた後、優作はオルガマリーへと向いて謝罪をする。
「あ~、マリー? 黙っていた事は謝るさかい、許して~な?」
「凄く…恥ずかしかったんだけど?」
「状況的にマリーが適任と思ったんよ。だから、ね?」
「………」
謝る優作に対し、未だ真っ赤な顔でプイッとそっぽを向くオルガマリー。そんな彼女にそれでも頭を下げる優作に彼女は小さく呟いた。
「デート…」
「へ?」
「食事以外にデートも付けて? そうしてくれないと許さないから」
「で、デート…それで良いん?」
オルガマリーの提案に少し不思議そうに問い掛ける優作。しかし哀しきかな、優作とオルガマリーとの間で「デート」の意味が食い違っているのだが、それを解かって指摘出来る者が此処にはいなかった。
「デートしてくれなきゃ、嫌」
「…別に良いんやけど…「本当っ!?」…ぬおっ!? いや、構わないんよ? でも、マリーはそれで良いん?」
「私は優作とデートしたいの!」
ふくれっ面で要求するオルガマリーのお願いに優作が頷くと不機嫌だった筈の彼女は忽ち御機嫌になる。余りの変わりようの速さに驚きながらも再確認する彼に彼女は笑顔で答えた。
「……なら夕食前にする事になるけんど…時間は良い訳?」
「問題無いわ、スケジュールは整えておくから♪」
「なら問題無いさね」
今朝方の再現であるのだが、当然ながら同じ事を再現する人物がもう一人いる訳で…
「むぅ…」
再び頬っぺたをぷっくりと膨らませるマシュ。レストランでの食事にデートも約束して貰ったオルガマリーに何故か嫉妬心を抱いてしまっている自分を疑問に思いながらも不機嫌になっている自身を止められない状況。
が、無駄に気配り上手な優作。朝方は敢えて気にしなかったが、オルガマリーばかりに構うのも良くないと解かっている訳で…
「えぇっと…マリーにゃ今迄の労いを兼ねているから当然なんやけど…マシュも、ね?」
「…え?」
そう言ってマシュにチケットを2枚手渡す優作。手渡されたチケットには『水族館 無料入場チケット』と書かれていた。
「前回浜辺を歩いたけど、マシュは海とかも実際に見た事が無いっしょ? だからお誘いしようと思っていたさね」
「先輩……有難う御座いますっ!!」
「ぬふふ~、おいちゃん謹製の水族館さかい、楽しみにしときや?」
優作から貰ったチケットを同じく大事そうに握るマシュは嬉しさを込めた感謝の言葉を優作に告げながら、オルガマリーへと視線を向けていた。
(先輩と水族館で2回目のデートです、これで一歩リードです!)
(そんなっ、マシュともデートするの!? これで並んだと思ったのに!)
優越感を感じる自分を疑問に思いながらもどうだ? と言わんばかりの表情のマシュにオルガマリーは悔しそうに唇を噛む。
そんな視線で火花を散らしている2人の様子を眺めていたマリーが声を掛ける。
「うふふ♪ オルガマリーとマシュはユーサクに愛されているのね?」
「ふぇ!?」
「マ、マリーさんっ!?」
笑顔で問い掛けるマリーに頬を赤く染めてしまうオルガマリーとマシュ、一方で優作が意外そうな表情を浮かべる。
「よしてぇな、姫さん。愛するとか愛されるとかそんな深い関係じゃあ無いさね」
顔を赤くしている2人に対し、有り得ないと言いたいそうな表情で優作が否定の言葉を漏らす。
「そもそも出会って、2週間も経っていないのに愛もへったくれも無いべ?」
「あら? ユーサクは私とアマデウスが出会った時の事を知っているのでしょう?」
「ま、マリア…」
優作の否定の言葉に対してマリーが意見を述べる中、巻き込まれたアマデウスが顔を赤くする。
「そりゃ、そうだけど恋愛ってのは時間を掛けながら相手の善し悪しを理解し、認め合いながら育むもんだどおいちゃんは考えてるさかいな?」
「あら? ユーサクは一目惚れとかは信じていないの?」
「う~ん、信じていない訳じゃあ無いけんど、付き合っていく内に良く解かっていなかったから後々で“このヒト駄目だわ”って別れるのは悲しいっしょ?」
「ユーサクは優しいのね?」
「優しいって言うのかなぁ? おいちゃんは唯の心配性なだけの気もするけんど…」
マリーと優作の会話を聞きながら顔を見合わせるオルガマリーとマシュ、恋愛方面を意識していない優作に何故か不満を抱きながらも彼の恋愛観を知る事が出来たのが嬉しかった。
(互いを理解し合って恋愛を育んでいく…今の状況は絶好の機会なのでは…?)
(これから一緒に人理修復をしていくのだもの、丁度良いわね)
そんな2人の様子にマリーが羨ましそうに…本当に羨ましそうな表情を一瞬だけ浮かべた後に微笑みながら語り掛ける。
「ふふっ、とっても素敵ね? 私は婚約相手は自分で決められなかったし、その後の私の人生を決める事は出来なかったから、羨ましいわ?」
「マリア…」
「アマデウス、貴方に告白された時に断って良かったの。あの時…私は恋に夢中だったのだから…だからこそ貴方は皆に愛される音楽家になって、私は愚かな王妃としてあぁなったわ…」
寂しそうな、悲しそうな笑みを浮かべながらマリーは言葉を続ける。
「私は恋に夢中だったんですもの……私はフランスという国に恋していた。国に恋していたばかりに、そんな思い上がりな小娘であったばかりに民へ愛を向ける事が無かった………だから私は、あぁなったのよ?」
彼女は告げる。自身が処刑された、フランス革命の中であった彼女の処刑は国だけを恋した故での結末であったと…しかし、その独白にアマデウスが言葉を挟む。
「…馬鹿だよ、君は」
「あら酷い、馬鹿なの私は?」
「あぁ、馬鹿だよ本当に。国に…フランスに君が恋した? それはとんでもない勘違いだよマリア、本当はね? 国が…フランスが、君に恋していたんだ」
「あら? だとしたら、私は愛してくれた国に…民に殺されたの?」
「…そうだね、人間は…ヒトはそういう生き物だから…時として愛情は憎しみに切り替わってしまう。君は愛されたからこそ、人々に憎まれたんだよ」
マリーとアマデウスの会話、愛情が憎悪へと変貌するという事例を聞いたマシュはその胸に複雑な感情を抱いていた。自身が優作に抱いた感情が何なのかは良く解かっていない。しかし、オルガマリーと競う様に感じている事から彼女と同じであるとは分かっている。
オルガマリーが優作に抱いている感情は自身が知る限り愛情なのではないかとマシュは考えていた。ならば、自身も優作に対して感じている感情は同じ、愛情だとしたらマリーとアマデウスが語った様に憎悪へと変わり果てる時が来るのだろうか?
だとしたらなんて悲しい事なのだろう…
「おいちゃんの国の諺で“可愛さ余って憎さ百倍”ってあるんよ」
「可愛さ余って…」
「憎さ百倍…?」
突如、優作がポツリと零した言葉にマシュとマリーが首を傾げながら彼の言葉を続ける。
「可愛いとか愛しいとか云う思いが強ければ強い程に一旦、憎しみの感情が沸いてしまえば、その憎しみは度も甚だしくなるモノだって云う意味なんやけど、姫さんの話を聞いていると正にそうだったんやなぁって思うんよ」
「…そっか、私は愛されていたからこそ、憎まれたのね…」
優作が語った話にマリーがアマデウスと交わした会話の要点が語られる。マリーがアマデウスと優作の話から理解した想いを理解しつつも、優作は言葉を続けた。
「正直、おいちゃんは嫌だな…」
「優作?」
「好きだった…愛した存在が…“あるきっかけ”で反転して憎み尽くすなんて…」
優作は笑みを浮かべていた。
しかし、その笑みは周りからは余りにも薄っぺらく見えた。
「……なんて悲しい事なんだろうって、思うっさ」
「先輩(優作)…」
薄っぺらい笑みの奥で今にも泣き出しそうな、苦しそうな表情を一瞬浮かべた様な気がした。悲しみや恐れ、怯えといった負の感情を含んでいたが、マシュ達の視線に気づいたか、すぐさまにその気配は消えてしまった。
「それで、おいちゃん達の陣営に引き込めたのが…」
「え? えぇ、こっちのアタランテ、デオン、サンソンの3名よ」
先程までの会話を気にする様子が無い優作の問いに、オルガマリーの紹介で傍にいた3人が優作の前に出る。
「メディ姉と共にアルゴノート号で冒険した狩人さんにフランスの宮廷騎士、そしてギロチンを生み出した処刑人…」
並ぶ三人を眺めながら優作も前に出て、3人に頭を下げた。
「話は聞いているとは思いますが、焼却された人類史を取り戻る為にどうか力を貸して頂けないでしょうか?」
頭を下げる優作の姿に3人は戸惑いながらもそれぞれ自己紹介を始めた。
「う、うむ。君が言った通り、アルゴノート号に乗船したアタランテだ。人理を、世界を救いたいのは私も同じ。宜しく頼む」
「王妃から話は聞いているが、改めて君に感謝したい。宮廷騎士のデオンだ、王妃含めて君を守護しよう」
「…処刑人であるのは知っているようだね、こんなボクを招いてくれたのは良く解からないけど…マリーの言葉を信じているよ」
各々の紹介を受ける中、店の外からノックと共に声が聞こえた。
「そろそろ宜しいだろうか?」
「! 来たか…それじゃあ、3人は暫く霊体化して待っていてくれるかな?」
「「「分かった」」」
3人が霊体化して消えた後、優作が了承の声を掛けると扉を開けてジルと連れの騎士達が入って来た。
「先ずは改めてお礼を言いたい。君達の御蔭でリヨンを護る事が出来た」
「この街は元々ジークさんがいたさかい、気にしないでください」
「済まない、俺だけではあの軍勢相手にしてこの街を護り切る事は出来なかった」
「だそうだが…?」
「じ…ジークさん…?」
「済まない…だが、嘘を吐ける性格でないから如何しようもない」
ジルの改めた感謝の言葉に謙遜の返事をした優作だったが、ジークフリートが告げた言葉にジルが突っ込まれて顔を引き攣らせるが、ジークフリートは謝るだけだった。
「それで…君達は旅を続けながら商業をしている傭兵と聞いているが?」
「はい、数日前にフランスに訪れたのですがこの通り竜の魔女の争乱に巻き込まれた立場です」
「それは申し訳無いと思っている。それで、だ…君達は今後如何するのだね?」
ジルの問いかけはシンプルだった。“このまま竜の魔女が起こした国内の争乱に関わる気なのか?”と、言いたいのだ。
「此処まで関わった身ですので、最後まで付き合おうと思っています」
「……他国から来ただけの君達が参加する必要は無いと思うのだが?」
「でしょうね。ですが、この騒ぎで苦しんでいる人がいる。そんな人々を助けたいのは間違っていますか?」
「…ふむ、間違っている筈が無いな。いや、下手に言葉を重ねる必要が無いか…」
優作の言葉に対し、ジルは改めて問い掛けるが彼の言葉に嘘偽りは無いと理解する。
「少し、席を外してくれ」
御付きの兵士達に退出を促し、彼らの気配が消えた事を確認したジルは優作達に深く頭を下げた。
「どうか、フランスを救う事に手を貸して欲しい」
「ジル…さん?」
突然、頭を下げてきた事から困惑の表情を上げる優作達。
「我々では戦力、移動力含めてフランスを護る事は不可能だ。だが、君達が力を貸してくれるならこの戦況はひっくり返る」
「それは構いません。元よりそのつもりですから」
「…有難う」
優作の返答にジルは改めて礼を告げる。
「ところで、竜の魔女はオルレアンへ逃げたと云う事で合っているのかね?」
「はい、今は仲魔達を使って包囲網を敷いて逃げない様に監視に当たらせています」
「ならば君達はオルレアンへ向かうのだな?」
「そうですね。村や街を守護している者がいると噂で聞いているので戦力として途中、スカウトに寄ろうとは思っていますが、決着を着ける為にオルレアンに向かいます」
「そうか…途中で街等に寄るとは云え、我々の馬では追いつく事が出来ないだろう…」
「貴方方もオルレアンの戦いに参加するつもりで?」
「当然だ。オルレアンの戦いはフランスの存続に関わる戦になるだろう。我々フランス軍が立ち上がらなくては意味が無い」
「ふむ…」
ジルの言葉に優作は考える。
自分達だけでオルレアンの攻略は可能であろう。しかし、それではこの国を護るジル達騎士の面子を汚す事に繋がる。
(ほむ…明日の移動は赤チョコボとバハムートを使った空の旅を予定していたけど、敵さんに時間を与えるのも駄目だしな…パパッといっちゃいますか)
「移動手段に関しては自分に任せて下さい」
「? 何か方法が有るのか?」
「言葉よりも実践ですな、メインチェンジ『Dr.ストレンジ:スティーヴン・ヴィンセント・ストレンジ』」
ジルの問い掛けに対し、優作が一言言葉を告げると彼の着ていた鎧姿が青の道着に赤いマントを羽織った姿へと変わる。
「!? それは…?」
「取り敢えずは実演を…せいっ!」
困惑するジルを余所に優作は両手で大きな円を描く様に振るうとオレンジの閃光と共に描かれた円の中に見知らぬ景色が映し出された。
「これは…?」
「簡単なデモンストレーションの為にこの酒場の2階にある宿泊室の一部屋に繋げました。本当かどうか通ってみて、どうぞ」
「う、うむ…」
優作に促される儘、ジルは彼が開いたゲートウェイを潜り抜けていく。彼がゲートウェイへ消えた数秒後、2階の一室の扉が開いてジルが現れた。
「これは…」
「この通り、自分は距離や位置に関係無く空間を繋げる事が出来ます」
「!? な、なら…我々の軍も…?」
「えぇ、大所帯だとしても即座にオルレアンへと繋げる事が可能です」
「なんと…」
2階に繋がる階段から降りながらジルが優作に問い掛け、彼は問題無いと答える。
何の事無く優作はやってのけているが、ジルは勿論の事、オルガマリー達も彼がやってのけた空間を繋ぐ術を見て改めてその規格外さを理解する。彼がやった行動は円を描く様な一動作のみ、それだけで何処へでも繋がるゲートを開く事が出来るのだ。令呪に依る転移でも移動には少し時間が掛かる上に、細かい指定をしない限りは目的の場所へは転移出来ない。しかも、軍勢レベルの大所帯をも移動させられるときた。
「凄い力だな…だがこれで我々も明日までにオルレアンへと向かえる。攻撃は君達が来てから行うとして、我々を先に送っては貰えないだろうか?」
「分かりました。では明日の朝、移動するとしましょう」
「そうだな、改めて宜しく頼む」
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オルレアン 監獄城
「異邦人の力があれ程とは思ってもいませんでした…」
「………」
「サーヴァントも、ワイバーンとモンスターの軍勢も、そして虎の子であったファヴニールすらも歯牙にもかけなかった…忌々しい…実に忌々しい」
聖杯の力で監獄城へと転移したジルとジャンヌ・オルタ。予想をはるかに超える敵の力を前に対策を考える彼に対し、彼女はずっと黙った儘であった。
「どちらにせよ、明日か明後日には攻めて来るでしょう…ジャンヌ、新たなサーヴァントの配備を…」
「…如何して?」
「ジャンヌ?」
先ずは戦力の補充であるとジャンヌ・オルタへと声を掛けたジルであったが、彼女は是迄で溜まっていた疑問が噴き出しかけていた。
「如何してワタシは戦う必要があるの?」
「何を言っているのです? 貴女様は国に、民に裏切られて殺されたのです。だからこそ復讐の為に蘇り、この国を竜と騒乱の国へと変えると決めたのではないですか!?」
ジャンヌ・オルタの問いにジルは慌てながらも答えて改めて目的を問い掛ける。
しかし、彼女の表情は晴れる事無く…
そして、その想いは爆発する。
「じゃあ何で!? ワタシがジャンヌ・ダルクなら如何して家族の顔を思い出せないの!?」
「!?」
悲痛そうな叫びと共に上げる疑問にジルの顔が歪む。
「私の記憶はジルと出会った時からしか浮かんでこない。それ以前の事が思い出せない…いいえ、朧気にすらも浮かんでこないの!!」
「ジ…ジャンヌ…」
血を吐く様な苦しそうに、辛く己の事を語っていくジャンヌ・オルタ。彼女の姿にジルは掛けられる言葉が浮かばなかった。
「ねぇ、ワタシは何なの? ジャンヌ・ダルクで無いのならワタシは誰なの!?」
最早自身にある記憶の何もかもが怪しく薄っぺらいモノに感じる。自身が感じていた筈の火炙りの苦痛や暑さが非現実的に思えていた。
「ワタシにある記憶は本物なの? ワタシの中にワタシの意志は存在しているの!?」
「…………」
ジャンヌ・オルタの問いかけにジルは答えられない。
当然だ、彼女は彼が聖杯に願って生み出した
「空っぽ…何も無い…あの天使が言った通り…ワタシはがらんどうの人形…」
答える事が出来ないジルを前にジャンヌ・オルタは言葉を続けていく。
「ワタシが唯の人形なら……」
ジャンヌ・オルタがジルを真っ直ぐ見つめる。
「如何してワタシは生きているの?」
「っ!? あぁ……嗚呼ァアァアァアアアアアアッ!!!」
ジャンヌ・オルタの問いにジルが悲鳴染みた叫びを上げる。
思い出すのは呼び出された時の自身の現状…
ジル自身は飽く迄もこの時代のフランスにて処刑されたジャンヌを呼びたいが為に聖杯に願った。
しかし、その願いは叶えられる事は無かった。
願っても彼女は現れる事無く、聖杯が浮かぶのみ…
なればと彼が願った…願ってしまったのは…
“我が復讐を共にしてくれる
つまり、己の願いを肯定する
互いが事実を無視するか、知らないでいた事が明らかになる。
今此処にいるのは恨みで動いていた
「そ、そんな…そんな事が……あってたまるものか…」
「ジル…?」
一瞬、修羅に染まる声を上げるジルにジャンヌ・オルタが怪訝な表情で声を掛ける。しかし、彼女の声を彼は聞いていなかった。彼にとっては己の願いが叶う事無く、追い詰められてしまった現状を打破する手段を見つける事が最優先だったのだから…
「これで終わるなど、救いが無いではないか!」
「彼女は戦った! なのに、称えられる事無く魔女と蔑まれて殺されるなど許されて堪るかぁ!!」
「力が足りないなら持ってくれば良い! 私には聖杯があるっ!!」
「聖杯の力を以って我が願いを叶えてくれるっ!!」
懐に入れていた聖杯を高く掲げながらジルは声を上げる。
「聖杯よ! “異邦人達に打ち勝てる力を”っ!! 奴らを滅ぼせる力をっ!!」
ジルの願いを受けて聖杯は輝き出す。
聖杯は考えた
彼の願いである“異邦人達に打ち勝てる力”とは何か?
初めは英霊を召喚しようと考えた
しかし、ジルの記憶から簡単に倒される英霊達の様子を読み取り意味がないと却下
次に幻想種を呼び出そうとした
だが、同じくそれ以上の存在に打倒されるだろうと却下
ジルの記憶からそれ以上の存在を探すが見付からなかった
新たに考えたのが…
しかし、その目論見は失敗に終わる
荒事確定な現状に於いて優作が対策を取っていない筈が無く、彼自身があらゆる手段を以って精神や魂、果ては運命等の干渉を出来ない様にしていた。
如何したモノかと他を探そうとした聖杯は干渉出来る丁度良いモノを見つけた。
それは優作が着ていた衣装だった。
こうして聖杯は
聖杯の輝きは更に増しジルの願いを叶えるべく魔力を集めていく、果ては霊脈や遥か上空に展開する術式に迄干渉して魔力を集める。
眩い光が収まった時、聖杯の姿は無く、代わりに7つの石が置かれていた。
「………これが…異邦人を倒せる力…?」
聖杯が消えて代わりに現れた石にジルは困惑しながらもその一つを手に取る。どの石も聖杯に匹敵する魔力を持っている事は判るが、如何使えば良いのかが全く分からなかった。
「これは…
自身の手に持つ石に⛎のマークが印されている事に気付く。よくよく見ると他の石にも星座を現すマークが印されていた。
「
何故7つだけなのか、これらから分かるのは13星座が関係している事だが、残りの星座が無いのが気になる。
思考を深めていく内にジルの持っていた蛇遣の石が輝き出した。
「なっ……(我を呼んだのは汝か?)…っ!?」
驚くジルの脳内に響いた問い掛けてくる声。
困惑する彼に謎の声は言葉を続ける。
(我が名は悪魔王『■■■■■■■■■』、汝は何を望む?)
「の、ぞみ…?」
再び問い掛けてくる聞き取れない言語で自身の名を名乗る声、しかも自身を『悪魔王』と名乗ってみせた。
「望み…だと? 貴様は…私の望みを叶えるとでもいうのか!?」
(我は異界の存在、汝の住む世界の理は大きく異なる。故に対価と共に望みを叶えてやろう)
「…な、ならば、我が肉体や魂を捧げても良い。力を……敵を屠れる力が欲しいっ!!」
(…良いだろう、ククク…我だけでなく他の者達もいるのだ、聖石の力を以って存分に暴れるが良い)
「聖石…? これが…う…グゥウオオオオォッ!?」
石から翠の輝きが放たれると共に周囲から怨霊の様な翠の影がジルへと集まっていく。輝きが強まり、ジルの絶叫と共にその姿が見えなくなるが、やがてその光が消えてジルが姿を現した時、其の手に握っていた石は無くなっていた。
「ジ…ジル……?」
「く、ククク、クハハハハハハハハハッ!!」
ジャンヌ・オルタが声を掛けるが、ジルは高らかに笑いだした。
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」
まるで狂ったかの様に大きく笑い続けるジルにジャンヌ・オルタは恐怖を感じる。
「す、素晴らしいっ! 何だこの力はっ!! 圧倒的、圧倒的ではないか!!」
「ジル…? ねぇ、如何したっていうの!?」
狂気染みた笑い声と共にジルから禍々しい魔力が溢れ出す。凍てつく様な、恐ろしい気配と共にその魔力を受けたジャンヌ・オルタの身体は震えだす。
「この力が有ればどんなサーヴァントも…否、幻想種が群れで押し寄せようとも負けない、負ける事など…まるで無いぞぉおおおおっ!! ハハハハハハハハハッ!!」
ジルの笑い声と共に5つの聖石が宙へと浮かび上がり、魔力を浴びて禍々しく輝き出していく。
ジルは床に残って置かれていた聖石を手に取った。
「ひぃっ!?」
「さぁ、聖処女よ…貴女様も使うのです!」
「い、嫌…」
「貴女様も生まれ変わりましょう、聖処女から万物をも超越し、真理から解き放たれた存在…聖天使へと!!」
ジルの言葉と共に彼の手から
逃げようとするも何故か身体が動かない。
「や…止めて…嫌…嫌ぁあああああああああああっ!!」
「アハハハハハハハハハッ! これで良いっ!! これで救われるぅぅうううううううううううっ!!!」
ジャンヌ・オルタが拒絶の悲鳴を上げるも聖石から放たれる光は尚も輝きを増して彼女を完全に呑み込んでしまった。
彼女の悲鳴とジルの笑い声だけが監獄城に響き渡っていた。
元ネタ(監獄城で登場した用語は次々回以降紹介)
>パワー(出典:女神転生シリーズ)
女神転生シリーズに登場する悪魔。
神学による天使9階級で第6位に数えられる中級天使。
『能天使』と表される。
名は『神の力』の意で、展開への悪魔の侵入を防ぐために常に前線に立ち、天の回廊を巡るとされている。
>ミカエル(出典:女神転生シリーズ)
女神転生シリーズに登場する悪魔。
聖書に記される偉大な四大天使の1柱。
『神の如き者』を意味する名を持つ最高位の天使で、キリスト教徒を守護する者として古くから崇敬を集めた。
軍勢を率いて魔王サタンを打ち倒したとされるのも彼とされる。
>スティーヴン・ヴィンセント・ストレンジ(出典:Dr.ストレンジ他)
『マーベル・コミック』の『ドクター・ストレンジ』シリーズに登場する主人公。
元、ニューヨークの病院で働く天才外科医であり、交通事故に遭った事で外科医としては致命的な、両手に麻痺が残る怪我をしてしまい、治療法を探した末にカトマンズの修行場『カマー・タージ』に辿り着き、魔術の存在を知る事になる。
魔術の道を究めようと修行に励んでいくうちに、闇の勢力から世界を救うために、魔術師として立ち上がる。
Q、キャスジルが聖杯に願って出て来た物体って…
A、解かる人には解かる。
Q、コレがテコ入れ…?
A、正直、メンタルボロボロの邪ンヌは戦闘なんか出来ないし、キャスジルが如何頑張っても即オチ2コマレベルの展開で消し飛ぶ運命しか考えられなかったので…
次回は6月7日投稿予定(低確率で5月31日)。
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