大嘘ぶっこいて申し訳ありませぬorz
仕事が辛い、つらたん…
2人のエリザベートから仲魔になる了承を貰った優作は、残った清姫の方へと向く。話をしていた間、ずっと聞いていただけの彼女であったが口を挟む事無く、優作の方を眺め続けていた。
「えぇと、大分待たせてしまったね?」
「全くですね…でも、そちらの赤トカゲ達の意外な一面が見れたので構いません」
「彼女達との話を聞いてるから分かっていると思うけんど、力を貸して欲しいさね」
「此処、フランスだけでなく世界の各地で発生している異変の解決を手伝って欲しい訳ですね?」
「そういう事。あの2人にも言ったけど、協力してくれるなら可能な限りの願いは叶えるっさ」
優作の言葉に対して思案顔の清姫…何故かその視線は優作の顔に向けられている。
「可能な限りの願い…ですか?」
「付け加えるなら周りの他人に迷惑を掛けない範囲での願いってなるけどね?」
「…嘘を吐いてはいないようですね。私も周りに迷惑をかける様な事は望んで無いので、それで構いません」
優作の提案に嘘では無いからとあっさり了承する清姫だが、その返事は上の空の様で且つ彼女は優作の顔をずっと見詰めたままだ。
「さっきから気になってるんやけど、なんでおいちゃんの顔をずっと見ているん?」
「…よくよく見たら…まさか、安珍様だったのですかぁ?」
「……は?」
突如の安珍呼びに困惑した声を漏らす優作。安珍といえば『安珍清姫伝説』に於いて清姫が恋した僧であり、彼女に対して嘘の婚約をした上で逃げた為にその恨みで竜と化した清姫に追われた挙句、寺の鐘の中に隠れていたらその鐘ごと焼き尽くされて死んだ哀れな男である。
“嘘を吐いてはいけない”、“女の恨みは怖い”と云った教訓を現した伝説なのだろうが、嘘を吐いた結果、焼き殺された安珍には聊か同情の念は浮かぶ。まぁ、伝わっていないだけで、本当は現代における結婚詐欺云々みたいな常習犯だったのならギルティであるが…
「何てことでしょう…この清姫、安珍様と気が付かずに赤トカゲと一緒に襲い掛かろうなどと思ったなんて…」
「おいちゃんは十 優作なんやけど…」
両頬に手を当てながらオロオロしだす清姫。
何故か安珍と同一視している様なので訂正する優作、先程から顔をガン視し続けているのだがそんなに似ているのだろうか?
「あぁ、申し訳ありません安珍様ぁ。まさかこの清姫が今の今迄気が付かないとは…」
「だから優作だっつぅの」
「おいたわしや、安珍様…転生されて私の事をお忘れになるなんて…」
(転生した身? ではあるけんど、前世から同じだっつぅの…)
訂正しても一向に安珍呼びする清姫に口元を引き攣らせる優作。安珍の転生体と思っているようだが、前世含めて生まれも育ちも先祖代々、九州である。
「ヘイ、お嬢ちゃん。おいちゃんの名前は十 優作と言っとるやろ?」
「安珍様は本当に覚えていらっしゃらないのですね…大丈夫です。この清姫、今度こそお傍を離れません」
「人の話を聞かんかい(この娘病みが入ってにぃか?)」
遂には優作に抱き着いてくる清姫。その様子に何故かマシュとオルガマリーの視線が厳しくなった気がするが、先ずはこの娘を何とかしなければならない。
クラスがバーサーカーだからなのかヤンデレ染みた様子の清姫に如何したものかと考える。自身を安珍扱いしている事以外、リヨンで戦ったバーサーカーとは違って会話はそれなりに通じているので何とか仲魔にしたい処だ(モデルセンサーにヒットしたからというのが理由の半分以上を占めていたが…)
「良ぇか、きよひー? おいちゃんの名前は優作や」
「安珍様ぁ」
「優作」
「安珍様」
「優作や」
「安珍様です」
「優作だっつぅの」
「安珍様で間違いありません」
(妄信っつぅのか…ヤンデレ確定やわコレ…こうなったら思考誘導して意地でも呼び方を変えたる。メンヘラ、ヤンデレ滅ぶべし)
“ヤンデレ”と云うワードを有名にした某アニメや某CDシリーズの如くNice boat展開が真っ平御免な優作は清姫の思考誘導を開始する。
因みに優作はメンヘラやヤンデレは大嫌いで自分好みに調教してしまいたい主義である(クッソ如何でも良い情報)
「優作」
「安珍様」
「優作~」
「安珍~」
「優☆作」
「安☆珍」
「優~作」
「安~珍」
「ゆうさく(デケデケデケデケ)」
「あんちん(デケデケデケデケ)」
「ゆ~う~さ~く~」
「あ~ん~ち~ん~」
「おい、遊び始めたぞ?」
「
優作・安珍の問答を繰り返しつつ、仲魔直伝の洗脳スピーチを混ぜて誘導を行う様子をクーフーリンやフォウ達が呆れた様子で眺めている。
「ゆ・う・さ・く」
「あ・ん・ち・ん」
「優作」
「安珍」
「安珍」
「優作」
「おいちゃんの名前は?」
「優作様ぁ……あれ?」
「はい、良く出来ました♪」
「あ、あの……はふぅ…」
遂には誘導に因って自身の呼び方を“優作”呼びにさせた優作。当然、言い間違いに気づいた清姫だったが、優作が喜びながら彼女の頬や頭を優しく撫で回す為に清姫は蕩けた表情でされるがままとなり、こうして貰えるならそのままで良いかと脳裏に浮かびだしていた。
異性からのスキンシップ耐性が皆無な清姫にとってこの思考誘導は効果覿面であった。
「それじゃあ、もう一度。おいちゃんの名前は?」
「あ…ゆ、優作様」
「良い子やぁ~!」
「ふにゅう~♪」
改めて優作呼びを続けた清姫に優作はムツ〇ロウ氏が動物を可愛がる時の様に彼女を抱きしめながら撫で回す。清姫は完全にトロ顔になっており、優作にされるがままとなっている。
「リピートプリーズ、おいちゃんの名前は?」
「優作様ですぅ~」
「良お~しよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよしよし」
「はにゃ~ん♪」
どこぞのキチガイ医者のナデナデラッシュを仕掛ける優作に清姫はトロ顔を越えたどこぞの“感度3000倍”世界で在りがちなヤベー面に成り果てていた。これにて洗脳完了である(ゲス顔)
「むぅ~(初対面の相手にあんなに…ずるいです)」
「………(何よ、あんなに抱き締めて撫で回して…)」
そんな2人の遣り取りを面白く無さそうに見ているマシュとオルガマリー。2人から黒いオーラがユラユラリと浮かび上がっている様が幻視され、近くにいたアマデウスとジャンヌが彼女達から離れて行く。
「おいちゃん、今世じゃ“十 優作”さかい、今後は気を付けてな?」
「はぁい♥」
「それじゃあ…と、契約対象に関してはエリザベート2人はマリーについて貰って、きよひーはおいちゃんね?」
「「分かったわ」」
「分かりました、優作様ぁ♥」
優作の言葉の後に各々が契約を結び終え、この街ですべきことが終える。
「そんじゃ、最後はボルドーやね」
「確か、聖人がその街にいるんでしたっけ?」
「せやで、おいちゃんの仲魔が来てからは街の人々と一緒に拝んでいるらしい」
「因みにボルドーに向かった天使って?」
「サンダルフォンやね」
「さ、サンダルフォン様…」
ボルドーへ繋がるゲートウェイへ向かう優作達。ふと気になった事を優作へ尋ねるマルタに答える彼だったが、またしても天使のビッグネームが出たのでジャンヌが顔を引き攣らせる。
「それじゃあ、イクゾー!」
「
ゲートウェイを抜けた優作達はボルドーの入口へと立っていたた。
そして入口には鎧を纏う長髪の男性とサンダルフォンが並んで待っていた。
「お待ちしておりました、天使使いと御供の方々」
鎧姿の男性が深々と頭を下げる。
「貴方がゲオルギウス?」
「えぇ、この街を守護しておりましたゲオルギウスと申します。この国ならばジョルジュ*1と名乗った方が良いかもしれませんね」
オルガマリーの問いに笑顔で答えるゲオルギウス。
ゲオルギウスはキリスト教の聖人伝説を纏めた『黄金伝説』に於いてドラゴン退治の物語の一つとして彼の逸話が挙げられている。
3世紀後半にパレスチナのリュッダでギリシャ系貴族且つキリスト教徒の家庭に生まれ、彼の父親はローマ軍人だった為に彼も小アジア(現在のトルコ)のニコメディアで軍人となったという。
カッパドキアを治めるセルビオス王の首府ラシア付近にて現れた毒を撒き散らす巨大な竜を、当時異教徒であった地元の民達がキリスト教へ改宗する事を条件に聖剣アスカロンを以って退治した逸話を持つ。
そんな彼は西暦302年に当時のローマ皇帝であるディオクレティアヌス帝がローマ軍所属のキリスト教徒を逮捕してローマの神々に捧げなければならないという政令を発した為に捕まり、拷問の果てに棄教を強要されるが、棄教せずに最後は斬首されて殉教したといわれている。
「話はサンダルフォン様から聞いております。天使様方が街を守護してくださるならば心配はありません、私も竜の魔女を倒す為に力を貸しましょう」
「有難う御座います」
先にサンダルフォンから事情を聴いていたゲオルギウスは快く優作達に協力すると答える。
ゲオルギウスはオルガマリーと契約し、これでフランスの異変で召喚されたカウンターサーヴァント達が全て出揃い、仲魔となった。
「さて、これで召喚されたカウンターサーヴァントのスカウトが全て終わった訳だしオルレアンへと向かいましょ」
住民達に見送られながら優作達は開いたゲートウェイ先のオルレアンへと向かった。
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「む、来たか」
「ジルさん、敵に動きは?」
「ドラゴン1匹姿を現していない、城も不気味な程に静かだ」
ゲートウェイを抜けた先ではジル率いるフランス軍がジャンヌ・オルタ達が逃げた監獄城を包囲展開していた。
囲まれた城は城壁や見張り台に人影は無く、ワイバーンすら一匹も見当たらなかった。
「布陣は整えている。君達の準備が整ったら何時でも言ってくれ」
「有難う御座います」
天幕の一つを借してもらい、決戦前の準備を行う事にした優作は監獄城を包囲している天使達やモニタリングしているロマニへと状況の説明を聞いた。
【ドミニオン、城や周囲に怪しい動きは無かったかな?】
【そうですね…動きは逆に怪しむ程無いですが、城の中では悍ましいマグネタイトが蠢いています】
「城の中か…ロマン、城内はヤバい感じ?」
【そうだね、サーヴァント数体分の魔力が集中している点が幾つか確認出来てるよ。それ以外でも幻想種ランクの高い魔力で溢れかえっているね】
「うぅむ…戦力を城から一気に解き放つつもりか…開幕ブッパで一気に敵戦力を削がないといかんな」
最終決戦の戦略を考えつつ、敵に動きが無い今が好機と考えた優作は新規加入のメンバーへなりきりの力を与えるべく英霊メンバーへ振り向いた。
「それでは最終決戦前に新規メンバー達はお着換えタイム…基、なりきりして頂きます」
「なりきり?」
「簡単に説明するとですな…」
リヨンで仲魔となった3名も昨夜は宴会の後は詳しい話はせずにさっさと休ませたので服を渡していなかった。
なので此処で纏めて力を与える事にしたのだが、改めて新規メンバー達に説明すると各々の反応は様々であった。
「着た服の職業や人物の力を使える様になる…?」
「は、ハハ…無茶苦茶だな…君の力は…」
デオンとサンソンは引き攣った笑みを浮かべ…
「着た服の職業や人物になりきれる…? な、ならば神にすらなれるのか!?」
「ん~まぁ、一応は可能。でも神なんぞになろうなんてこれっぽっちも思わないけどね~」
「そもそも勝てる相手じゃなかったのね…」
アタランテが驚愕の表情になる一方でカーミラが優作の規格外っぷりを理解しながら敵に回っていた時の自分達の約束された負け戦っぷりを理解した。
「…ならば貴方はその力を以って何を成そうと云うのです?」
「特に無いです」
「えぇ…?(困惑)」
最後に質問を投げかけたのはゲオルギウスだったが、優作の返答に困惑した声を零した。
「俺は普通の幸せを甘受しながら普通に生きて、普通に死ぬのが望み。過ぎた栄光も地獄の苦しみも本来は望む気は有りません」
「普通って…何でも出来る聖杯みたいな力を持っているなら世界征服みたいな事は思わない訳?」
「世界征服なんて、征服した後を考えれば面倒極まりないさね。一般的に幸せな日々を過ごすのがヒトにとって一番、だからそんな願いは不必要だってハッキリわかんだね」
「…気になっていたんだが、坊主は英雄願望は無ぇのか?」
「それは私も気になっていた。万人がそうでないとは分かるが、何でも出来る力を持っていながら人以上の事を為そうとは思わないのかね?」
「はっ! 自分が遣りたい放題の力を持ったとしても、そんな事を続けて何の意味有るさね?」
エリザベートの問いに対して答える優作に更にクーフーリンとエミヤが問い掛けて来るが、その問いに優作が馬鹿馬鹿しいと言わんばかりに答える。
「おいちゃんは普通に生きて普通に死ぬつもりさね。周りに迷惑が掛からない範囲で力を使い、余裕があるなら他者を助ける。周りから妬まれない程度に稼いで楽しく生きたい、そんな人生が望み」
「余り目立たない様に生きていくのが望みなのかい?」
「もち! なりきりのぶっ飛びっぷりは理解しているかんね、下手に知られたらおいちゃんVS全人類な展開も起こり得るさかい、目立つ気は更っ々無いべ」
「…優作の力が知られたら確実に聖堂教会が封印指定するわ。それどころか力量差を理解出来ない魔術師も狙うでしょうね」
【そんな事になったら間違いなく滅びますね……聖堂教会や魔術師が】
優作の能力が世間に知られた時に起こるだろう未来を軽く想像したオルガマリーとロマニが顔を引き攣らせる。冬木にて優作がレフに対してキレて彼を地獄絵図にしていたが、それが再び起こる様子が簡単に想像出来た。
「おいちゃんの話は此れ迄にして、最終決戦に向けてのなりきりに依る強化を行いましょ?」
一方の優作は新メンバー達になりきりをさせるべく、話を切り上げる。
「しっかし…揃いも揃ったり美男美女。これは着せ甲斐がありますわぁ…」
新たに仲魔となったメンバーを見渡しにがら優作は目を輝かせる。目の前にいるのはギリシャ神話の『アルゴノゥト号伝説』にて登場したアタランテとフランス革命の最中にて王宮のスパイと云う立場で動いていたデオン、そして革命末期にてマリーを処刑したサンソンに『安珍清姫伝説』の清姫。
吸血鬼伝説へと成り果てたエリザベート・バートリー、ヨーロッパ界隈にてジークフリートと並ぶ竜殺しの逸話を持つゲオルギウス。
「ではトップバッターは…アタラさん!」
「わ、私か!?」
第一号に指名されたアタランテが緊張気味で返事を返す。
「なりきりチェンジ『狩人の戦士:ナナリー・フレッチ』」
取り出した衣装が光の玉と変わり、アタランテへと押し当てる。
彼女の全身が光に包まれ、輝きが止むと黒のインナースーツの上にプレートメイルを装備した上半身に黒のスパッツとスリットスカート、そしてブーツといった姿となった。
「ふむ…動き易い衣装だし、悪くない」
「本来なら上はインナースーツ無しなんやけど、それじゃあ防御に心許ないし、恥ずかしいっしょ?」
「そ、そうだったのか? 確かに胸元等が丸見えなのは流石に恥ずかしいから助かる」
ナナリーの衣装になったアタランテが身体をくねらせながら動き易さを確認する中、優作がモデルの衣装にインナーを追加した事を説明する。
「んじゃ次は、デオさんです」
「わ、解った」
優作の言葉にデオンが緊張した面持ちで前に出る。
「なりきりチェンジ『心の怪盗団・ヴァイオレット:芳澤 かすみ』」
アタランテに続きなりきりの光を受けたデオンは腰に銀の薔薇を施されたチェーンを付けた黒のレオタードと女性用ロングコートを纏ってロングブーツを履き、顔に黒のドミノマスクを着けた姿へと変わる。
「こ、これは…少し恥ずかしい、な…」
ユニセックス染みた見た目だった騎士衣装から、女性らしいボディラインが強調された衣装へと変わった為かデオンは少々恥ずかしそうだ。
「あら? とても素敵よデオン。それに心の怪盗団って事は…」
「姫さんと同じ怪盗団メンバーの服さね。デオさんと姫さんとでW美少女怪盗やね」
「まぁ、素敵♪ デオン、2人で頑張るわよ!」
「お、王妃…」
「もう、今の私達は美少女怪盗なんだからコードネームで呼び合わないと! 私の事はノワールと呼んでね、良いヴァイオレット?」
「お……分かりました、ノワール」
戸惑うデオンにマリーが呼び方を指摘し、困った表情をしながらも応える。そんな彼女にマリーは笑顔を浮かべながら抱き着いた。
「次は~、シャルさんですな」
「ボクには何を着せるんだい?」
「シャルさんをモデルにしたネアポリスの法務官さね」
「ボクがモデル…」
「なりきりチェンジ『ボールブレイカー:ジャイロ・ツェペリ』」
自身がモデルの人物という言葉に惹かれながら光に包まれたサンソンはゴーグルを着けたテンガロンハットに、鉄球をモチーフにしたアクセサリが施されたカウボーイルックに変わる。彼の肩から下げられているガンホルダーには鉄球が入れられていた。
「こ…これが、ボクをモデルにした人物の服…?」
「アメリカでの大陸横断レースに参加していた時に着ていた衣装さかい、勘弁な。でも似合ってるで?」
「う、う~ん…?」
貴族服だろうと思っていたサンソンは思いもよらない衣装になった事に困惑している。更にアメリカの大陸横断レースに参加していたという情報に自身がモデルとなる情報が浮かばないのでますます困惑の声が出た。
「武器はこの鉄球……っうわぁ!?」
「脳内イメージでしっかり再現してな? ミスるとちょいとエライ事になるから」
「お、おぉ…中々難しいな…」
ガンホルダーから取り出した鉄球を弄くっていたサンソンだったが、突然の高速回転に驚きの声を挙げる。優作の言葉に戸惑いながらもイメージ内の指導を参考にしながら鉄球の回転を上手く使いこなしていく。
「そんじゃ次はダブルバートリーですが…」
(槍装備でアイドル希望…真っ先に浮かぶのはシンフォギアの奏ちゃんだけど、エミヤん曰く歌声がジャイアンクラスの音響兵器らしいさかい、歌いながら戦ったら味方が真っ先に全滅するだろうしな…槍と他は……吸血鬼ネタで行くか)
「先ずはエリちゃんから~、なりきりチェンジ『永遠に紅い幼き月:レミリア・スカーレット』」
所々に赤いリボンをあしらい、フリルが飾られた桃色のドレスにナイトキャップに似た特徴的な帽子を被った姿へと変わる…が、俗に“ZUN帽”と呼ばれるその帽子はエリザベートの片方の角に引っ掛かっていた。
「…子供っぽくない?」
「まぁ、その服の本人は500歳やけど肉体年齢はローティーン未満さかいな」
「500年生きてて肉体は子供のままなの?」
「吸血鬼の肉体成長なんて作品に依って様々やからね」
クルリと回りながら自身が着たレミリアの衣装の感想を言うエリザベート。
「可愛いし、悪くない衣装だけど…私には合わないかも…他は無いの?」
「なら儚月抄で着ていたドレスは如何かな?」
その言葉と共に白のネクタイを結んだ、両袖が短くふっくらと膨らんだ黒のシャツに上部に赤いレースがあしらわれた黒のフリルスカートへと変わる。
可愛らしい事には変わらないが、大人びた印象を与える衣装であり、アイドル衣装と言っても違和感ないドレスであった。
「あ、こっちはもっと好み。気に入ったわ♪」
「ほむ、確かに悪くないべな…良く似合っているべ」
「あら、そう? 流石私をプロデュースするプロデューサーなだけあって見る眼があるわね」
レミリアの別の衣装を着て改めてその衣装を気に入るエリザベートが満足した表情を浮かべるのを確認する優作。だが、それだけではモデルが満足しないのは理解している彼である。
他のアイドル系衣装を彼女の周囲へ浮かべ、他にも魅力的な衣装が有る事をアピールする。
「フランスでの動乱が解決次第、エリちゃんにはアイドル活動を本格的に行って貰うさかい。衣装や歌の準備は完璧さね」
「わぁっ! こんなに衣装があるの!? ならさっさとこの国の異変を解決してアイドルデビューしなくっちゃ!」
目を輝かせながらやる気を燃え上がらせる彼女は単純染みてはいながらもその言葉は本心から出ている事が解る。彼女を仲魔にしたのは間違いないことを確信し、優作はもう一人のエリザベート事、カーミラへと視線を向ける。
「エリさんの方はこっちで『闇の福音:エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル』」
ドレス姿だったカーミラは襟無しシャツにタイトスカート、そしてコートを羽織った姿へと変わる。大人の魅力を纏う彼女にとても似合っていた。
「……普通ね?」
「でもドレスよか動きやすいだろうし、良く似合っているべ?」
「…そう?」
コートを外して髪をアップにし、眼鏡でも掛ければキャリアウーマンに見えなくない衣装となったカーミラであるが、彼女が着た衣装は原作の『ネギま!』、『UQHOLDER』世界でも上位ランクに値する実力者である。
「エリさんの衣装は接近戦も可能やけど、一番は魔法に依る遠距離攻撃さかい。良く考えて利用してくれぃ」
「…幼い時に吸血鬼に変えられた少女なのね…私に対する当て付け?」
「スタイルが合ってると思って着せただけさかい、そのつもりは無いんやけど…不快に感じたなら謝るし、別の衣装に変えるべ?」
「……貴方が私の事を考えて選んだなら別に構わないわ」
「そっかいな? なら取り敢えずは出来る事を確認しくよろ」
共にモデルが吸血鬼である。若い方のエリザベートは気にしていないが吸血鬼カーミラと謂う扱いで召喚された方は若干の不満が見えた。
「次はきよひーやね」
「うふふ、ますたぁのお手製の衣装を戴けるなんて清姫、感謝感激ですぅ…」
次の清姫へと向く優作にうっとりした表情でいる彼女。
「なりきりチェンジ、『難攻不落の“黒”雪姫:天城 雪子』」
光と共に着物姿だった清姫は赤のブレザーが特徴的な女学生服へと変わる。
自身の衣装が変わった事に驚きながらも先ずは変えた本人に変えた意見を聞き出す言葉が出る様な中、衣装が変わった清姫はクルリと回って見せる。
「如何ですか、優作様?」
「ん…、黒要素は無いが悪くない。綺麗系で良く似合っているべ」
「本当ですか!」
「JKスタイルも悪くないさね、可愛い」
「はにゃ~ん♥」
誉めながら頭を撫でる優作に清姫は再び蕩ける様な声を漏らした。
そんな様子にオルガマリーとマシュが再び顔を顰めだしたので、優作は慌ててゲオルギウスへと顔を向ける。
「最後はゲオさんですね、此れをどうぞ」
「これは…騎士か貴族が着る普通の衣装に見えますが…」
最後となったゲオルギウスへと優作が取り出したのは騎士の衣装。
「なりきりチェンジ、『アークナイト:ザルバック・ベオルブ』」
そのまま騎士衣装となったゲオルギウスだが、元々鎧姿であった為に問題無く着こなしていた。
「ほむ、イケメンは何を着ても似合うさね~、うらやますぃ…」
「特別な衣装には見えませんが…ふむ、『破壊魔剣』ですか…名前こそ禍々しいですが、中々強力ですね」
「使用するには詠唱が必要ですが、範囲攻撃で対象の周囲も巻き込みます。更にサブで様々なアビリティを使えるので、上手く組み合わせて使ってください」
「分かりました」
自身に着せられた衣装の力を素早く理解するゲオルギウス。優作からの指示があったのもあるが、早速サブアビリティ等の編制を考え始め、そんな彼に満足しつつあった中、天幕外から声が響いたのだった。
「城門が開き出したぞぉー!」
「む、遂に敵が動いたか……は?」
知らせを聞いて城門が開きながら現れた異形の群れの姿を見た時、優作が大きく目を見開いた。
「っ!? な、な、なんで………」
「先輩?」
口をあんぐりと開く優作。
城門より来るは牛の様な角を生やした異形の怪物と正に悪魔と呼ぶべき魔物達。何より優作にとっては見覚えがあるその姿に驚きを隠せ無いでいた。
「あ、アパンダにアルケオデーモン…そしてアルテマデーモンだと……は?」
魔物達の軍勢の後ろから新たに現れる5体の異形達。
各々が異なる姿であるが嫌悪、威圧感を放つ化物達である。
「愚かな人間どもよ、我らルガヴィとその眷属達、そして我らが聖天使にその血肉と魂を寄越すが良いっ!!」
獅子の姿をした異形の宣言が響き渡る。
そして目の前の現実に限界に達した優作は悲鳴に似たツッコミを響かせた。
「アイエエエ!? ルガヴィ!? ルガヴィナンデ!?」
元ネタ
>サンダルフォン(出典:女神転生シリーズ他)
アトラス作品に登場する悪魔。
ユダヤ伝承の偉大な天使でメタトロンの双子の兄弟とされる。
彼は天界の書記官であり、人々の祈りを神へと届ける役目を持つ。
ヘブライ語の祈りを神の頭に載せる花飾りにする事も彼の役目とされている。
>ナナリー・フレッチ(出典:テイルズオブデスティニー2)
『テイルズオブデスティニー2』の登場人物でパーティーメンバー。
原作主人公達が暮らす世界の10年後の未来で仲間に加わるキャラクターで狩猟をして生計を立てている女戦士。弓に関しては百発百中の技量を持ち、姉御肌で面倒見が良く、パーティー内ではその腕前から料理を担当する事が多い。
過去に弟を亡くしているが、2人で一生懸命生きたから後悔は無いと明るく振舞っている。しかし、実際は救える命を救えなかった自分を責め続ける後悔の念があり、旅の途中で過去と向き合う事になる。
>芳澤 かすみ(出典:ペルソナ5ロイヤル)
『ペルソナ5ロイヤル』のペルソナ使いで心の怪盗団のコードネームは『ヴァイオレット』。
主人公の転入と同じ春に秀尽学園へ入学した1年生で中学時代から新体操選手として優秀な成績を収めており、その将来性を見越し秀尽学園からも期待されている。
とある重大な秘密を抱えており…
使う武器は近接武器はレイピアで遠隔武器はウィンチェスター銃。
>ジャイロ・ツェペリ(出典:ジョジョの奇妙な冒険 スティールボールラン)
『ジョジョの奇妙な冒険』のpart7、『スティールボールラン』の主人公の一人。
法治国家ネアポリス王国の医師・法務官。伝統ある死刑執行人の家系でもあるツェペリ家の長男(5人兄弟)に生まれる。高い才能を持ち、安定した人格で順風満帆な人生を送っていた。しかし、父グレゴリオの後継ぎとしての最初の任務は、無実だが法で死罪判決が下った『靴磨きの少年マルコ』の処刑であった。その事にどうしても納得がいかず日々不満を募らせていたところ、SBRレースと優勝による“国王の恩赦”を知り、マルコを救うためにレース参加を決意する。
戦闘のスタイルは自衛で正々堂々と打ち倒す。理不尽な暴力と殺人には否定的。優秀で強いが、甘さという欠点がある事は、作中でも指摘されており、極限の状況での黒さや飢えが他の物へと及ばず、ならばどう克服するかを己の課題としている。
>レミリア・スカーレット(出典:東方シリーズ)
ZUN作の弾幕シューティングゲーム『東方Project』の登場人物にして『東方紅魔郷』6面ボスで二つ名は『永遠に紅い幼き月』。
『東方紅魔郷』の舞台である紅魔館の主で、約500年以上の歳月を生きてきた吸血鬼の少女。
吸血鬼としては少食で人間から多量の血が吸えず、吸い切れない血液をこぼして服を真っ赤に染めるため『
初登場時こそその赤い月をバックにしたステージ演出と魅力的な台詞回しで高い人気を獲得したのだが、それ以降は再登場する度に幼い性格を露見してしまうことがあり、そのカリスマ性の急暴落ぶりは俗に“カリスマブレイク”とている。
彼女の本質は尊大且つ我儘で、非常に飽きっぽいという見た目通り少し幼い思考。
常日頃から退屈しており、気紛れで突拍子も無い事を思いついては周りを振り回している。
吸血鬼である為に幼い容姿に反してかなり強く、眼にも止まらぬスピード、岩をも砕くパワー、思い通り悪魔を操る魔法力と言った反則的な身体能力を持ち、小手先のテクニックを無視する。しかし、パワーファイターという訳では無く、武器としては矢と蝙蝠を扱い、蝙蝠は無尽蔵に湧く。
>エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル(出典:ネギま!、UQ HOLDER!)
赤松健作の漫画『魔法先生ネギま!』及び続編『UQ HOLDER!』の登場人物。
原作の主な舞台である、『麻帆良学園本校女子中等学校』の2年A組生徒であるが、その正体は中世生まれの吸血鬼の真祖であり二つ名は『
闇・氷系の魔法を使い熟し、魔法を使った固有技能として多くの人形を魔法ワイヤーで操作する『
『悪い魔法使い』を自称する最強クラスの化け物であったが、原作主人公の父によって『登校地獄の呪い』を掛けられた上に魔力を極限まで封じられ、生徒兼警備員として麻帆良学園に留められている。
日本文化や日本の景色を愛好しているらしく、囲碁部と茶道部に所属し、自宅には茶室を構えていたりする。
>天城 雪子(出典:ペルソナ4)
『ペルソナ4』のペルソナ使い兼主人公の彼女候補。
原作主人公のクラスメートで千枝の親友。全国的に有名な老舗高級旅館『天城屋旅館』の一人娘であり、次期女将である。
千枝から“似合う”と言われた赤色の衣装を好み、作中ではカチューシャやカーディガンなどを愛用している。
旅館の跡取りという縛られた人生に息苦しさを感じており、周囲の期待を振り切る勇気が無い自分に代わって誰かに連れ出して欲しいという他力本願な願望に陥っていた。
学内外を問わず男性から高い支持を得る程の美貌を持ち、はっきりものを言うタイプだが実際はかなりのマイペース且つ天然ボケである。後メシマズ。
使用する武器は扇。
>ザルバック・ベオルブ(出典:FFT)
『FFT』の登場人物。
ベオルブ家次男で『聖騎士』の称号を持つ北天騎士団の現団長である。
ベオルブの名に誇りを持っており、正義感が強い。厳格な性格で、良くも悪くも命令に忠実に行動するが、原作主人公であるラムザや妹のアルマには家族思いの良き兄の一面も見せる。
ラムザが家を出奔した際でも信頼していた人物であるが、あくまで違いの分かる特権階級出身故の高慢さと崇高さを持つ人物としても描写されていた。
Q、おめー、大分遅かったじゃねえか?
A、仕事が辛くて書く意欲が湧きませんでした…
Q、清姫を扱い熟しているだと…?
A、伝達力『言霊使い』+トークスキル『洗脳スピーチ』の賜物
次回は不明
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