フェイト / グランド なりきり オーダー   作:影鴉

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襲撃! シャドウサーヴァント

 竜牙兵を全滅させ、周辺の安全を確認した優作達は霊脈のポイントへと到達した。

 オルガマリーから此処でベースキャンプを設営する事を指示され、マシュの盾を触媒にして召喚サークルを設置する。すると、周辺の空間が霊子ダイブした際の様なヴァーチャル空間へと変化していった。

 

 

「はぇ~、すっごい。マシュの盾でこんな事が出来るんだ?」

「聖晶石が無いから英霊召喚は出来ないけど、これでカルデアからの補助を受ける事が出来るわ」

 

 

 説明を受けていた優作だったが、電子音と共に腕輪からホログラフが浮かび上がった。

 

 

【シーキュー、シーキュー。もしもーし!? 良し、通信が戻ったぞ!】

「はあ!? 何で貴方が仕切っているの、ロマニ! レフは? レフは何処!? レフを出しなさい!」

【うひゃああっ!? しょ、所長、生きていらしたんですか!? あの爆発の中で!? しかも無傷!? どんだけ!?】

「どういう意味よっ!? いいからレフは何処!? 医療セクションのトップが何故その席にいるの!?」

【…所長……その…言い辛いのですが、レフ教授はあの爆発の中心部に居たので……生存は絶望的かと……】

「そ、そんな…」

 

 

 ロマニの返事にオルガマリーはペタリと座り込んでしまった。一番信頼していた存在が居なくなったかも知れないのだ。

 更に凶報は続く。

 

 

【現在生き残ったカルデアの正規スタッフは僕を入れて20人も満たないです。僕が作戦指揮を任されているのは自分より上の階級の生存者がいないためです】

「ちょっと待ちなさい! 20人にも満たないって…それじゃあ、マスター適正者達は如何なったのよ!?」

【全員が危篤状態です。医療器具も足りませんので全員を助け出すのは……】

「ふざけないで! 直ぐに凍結保存に移行しなさい。蘇生方法は後回し、死なせないのが最優先よ!!」

【!? ああ、そうか! コフィンにはその機能がありました! 至急手配します!!】

 

 

 オルガマリーの指示にロマニは生き残りのスタッフ達に彼女からの命令を伝え、冷凍保存の準備に移った。

 

 

「……宜しいのですか? 凍結保存を本人の許可無く行う事は犯罪行為に当たりますが?」

「死んでさえいなければ後で幾らでも弁明できるわ。47人の命を私1人で背負いきれる訳無いじゃない……!」

 

 

 マシュの問いにオルガマリーは座ったままで返す。威厳を保とうとしているが、その声は微かに震えていた。

 

 

「ま、所長さんの言う通り生きていれば何とかなるさね。もしもの時はおいちゃんも力を貸すからさ? そんでロマン、カルデアは大丈夫なん?」

【現在カルデアはその機能の八割を失っている。残されたスタッフでは出来る事に限りがあるから大丈夫とは言えないな。現在は此方の判断でレイシフトの修理、カルデアス、シバの現状維持に割いています。外務との通信が回復次第、補給を要請してカルデア全体の立て直しを優先すべきかと……】

「結構よ。その方針で行くわ……。はぁ…ロマニ・アーキマン、納得はいかないけど、私が戻るまでカルデアを任せます」

【了解です。ところで優作君、あの雪だるまと南瓜頭の使い魔がいなくて、代わりに女の子と戦車が後ろに見えるけど何なんだい?】

「女の子は別の使い魔で、戦車は移動用に召喚しますた」

【…へ? 戦車を召喚?】

「おいちゃんの能力です」

 

 

 優作はロマニにも自身の能力について簡単に説明した。

 

 

【つ、つまり優作君は…た、例えばだよ? 条件を満たした英霊の服があったらその力や宝具を使えるって事かい?】

「サーヴァントの服はまだ着た事無いから判らんけど、ヒトガタなら理論上は可能さね」

【…服を着るだけでデミ・サーヴァントと同じ能力を持つ…無茶苦茶じゃないですか所長!!】

「言われなくても解ってるわ、封印指定モノのとんでもない能力よ。しかもこの能力、他人にも分け与える事が出来るみたいね」

「人に因っちゃ無理だったり、マシュみたいに2つの力を与える事も有るさな」

「…貴方の力に関してはこれ位にしましょう。レイシフトの修理が終わるまで戻れない以上、先ずはこの現状を打破する事が先決。これより十 優作とマシュ・キリエライトを探索員として特異点『F』の調査を開始します。とはいえ、現場のスタッフが未熟なのでミッションはこの異常事態の原因、その発見に留めます」

 

 

 話を優作の能力から今後の行動方針に移す事にし、都市『冬木(F)』が特異点になった原因を調べる事となった。

 

 

「しかし、発見だけで良いのですか?」

「解析・排除はカルデア復興後、第2陣を送り込んでからの話よ。それで良いでしょ?」

「まぁ、現メンバーだけで解決ってのは困難そうだし構わないさね。それで、此処が特異点になった原因て予想ついてんの?」

「先輩、この冬木と云う都市では嘗て『聖杯戦争』と呼ばれる戦いが行われていたそうです」

「は? 街中で戦争やってたの!?」

「戦争と呼ばれてるけど、実際は7人のマスターと7騎の英霊によるバトルロワイヤルよ。聖杯とは所有者の願いを叶える万能の力であり、あらゆる魔術の根底にあるとされる魔法の釜なの。その起動の為に7騎の英霊を召喚して戦わせて最後に残った者が聖杯を手にする訳」

 

 

 因みにカルデアが利用している英霊召喚システム・フェイトはこの聖杯戦争での儀式を原型としてる、とオルガマリーが付け加える。

 

 

「血生臭いドラゴンボールって事は良く解かったさね。しかし、その聖杯って本当に願いを叶える品物なん?」

「どういう事ですか、先輩?」

「だってさ、たかが6騎の英霊を生贄にしただけで何でも願いを叶えるって無理臭いし…。つぅか、過去に願いを叶えたヤツっていたの?」

【…過去の記録には残されてないよ】

「つまり、実際に願いが叶うかすらも判らない…それどころか生贄を突っ込んだら如何なるかすらも判らないモノを求めて殺し合いをしてたって事か…案外聖杯の暴走とかあるんじゃね?」

「……有り得るわね。令呪の説明でも言ったけど反英霊が呼び出されて好き勝手に暴れた可能性も考えられるわ。兎に角、調べない事には何が原因かは分からないし、捜索を開始するわよ?」

「了解です」

「そんじゃメタスラに乗っちゃって頂戴。モーショボーは周囲の警戒を宜しく」

「は~い」

 

 

:::::

 

 

 燃え盛るビル郡を抜けてメタルスラッグは火の少ない道のりである河川敷前を走っていた。途中、港のコンテナ街や教会へと足を向けたが手掛かりは見付からなかった。

 

 

「中々、見付からんね」

「生存者もいないし、出会うのは竜牙兵ばかり…でも大分戦闘に慣れてきたわね、これならもう怖いモノ無しなんじゃないのマシュ?」

 

 

 道中では時折竜牙兵と接敵し、マシュの経験値獲得の為のサンドバックとなった。

 

 

「それは流石に言い過ぎです。己のスペックは理解してきましたが、この活躍は大半が先輩の服の御蔭ですし…」

「でもその実力はマシュがしっかりと力を使いこなしてるからさね。マシュが力を付ければ服も成長するからもっと自信を持ちんしゃい?」

「先輩…有難う御座います。でもデミ・サーヴァントとして宝具は使えるようになりたいですね」

 

 

 現状、マシュは英霊の切り札たる宝具が使えないことが判明した。力は貸してくれた英霊が肝心の名前を教えてくれなかったので仕方ないのではあるのだが…

 カルデアではロマニが復旧作業の合間に盾で有名な英霊を探してくれているらしいのだが、中々見付からないとの事だ。

 そんなロマニからの通信が届く。浮かぶホログラフに移る彼の表情は何か切羽詰まっていた。

 

 

【3人共、今すぐその場を離れてくれ!】

「如何したロマン?」

【近くに反応があるんだ、しかもこれは…】

「きゃーっ!?」

 

 

 ロマニの言葉が終わる前に周辺を警戒していたモーショボーの悲鳴が響く。

 

 

【遅かったか!? サーヴァントの反応が優作君の使い魔のいる位置に急接近してたんだ!!】

「マジか!? マシュ、出るぞ!!」

「はいっ!」

「所長さんは車内で待機」

「き、気を付けなさいよ?」

 

 

 オルガマリーを車内に残し、優作達は飛び出していく。

 悲鳴が聞こえた場所へ向かうとモーショボーが怪我をしたのであろう、左肩を抑えながらも竜巻を巻き起こして素早く動き回る影を牽制していた。

 

 

「召し寄せ!」

 

 

 まだモーショボーとは距離が離れていたが、優作が印を結ぶと一瞬で彼の元に呼び出された。

 

 

「助かったわ、サマナー」

「後は任せろ、後ろに下がって所長さんを守っててくれ」

 

 

 回復用の金丹を渡し、モーショボーを下がらせた優作はマシュと共に影と相対する。

 影は見た目は人型だったが全身に黒い霧のような靄を纏わせており、詳しい容姿は確認出来ないが細身で長身の女性である事は判った。

 

 

「…サーヴァントってこんな正体不明な見た目なん?」

「本来は姿が見える筈なんですが…私と同じイレギュラーな様です」

【影の様に姿が判らないサーヴァント…一応、シャドウ・サーヴァントと命名しておこうか】

 

 

 目の前のシャドウ・サーヴァントはジャラリと鎖付きの短剣を構えた。

 

 

「フフ、先程ノ使イ魔モ可愛ラシカッタデスガ…知ラナイサーヴァントトマスター…ドチラモ初々シイ」

「さぁて…初となる対サーヴァント戦だけどいけるね、マシュ?」

「はい、任せて下さい!!」

「相手は1体、数の有利と云うのを見せちゃる…来いっ!! モコイさん! ツチグモ!」

「やあ、サマナーくん。こりゃ、どうも」

「っしゃあ、暴れてやるぜ!!」

 

 

 2本の封魔管を取り出して優作が呼び出したのはブーメランを持った緑色の人形のようなモコイと巨大な蜘蛛であるツチグモ。

 

 

「ナッ、別ノ使イ魔召喚!? シカモカナリノ力ヲ…「先ずは挨拶代わりだ、喰らいやがれ!!」…ッチ!!」

 

 

 仲魔の姿に驚くシャドウ・サーヴァントに向けてツチグモが口を開いてショックウェーブを放つ。それに対し、彼女は横に跳躍して避けるが、そこへ…

 

 

「避け方がダメダメだネ、チミ」

「行きます、トモエ!!」

「グッ!? グガァアアアアアアアッ!!」

 

 

 モコイが放ったブーメランが直撃し、バランスが崩れた所へマシュがトモエを呼び出して脳天落としを叩き込む。

 サーヴァントの弱点は頭と心臓部にある霊核である。シャドウ・サーヴァントは咄嗟に首を振って頭を潰されるのを回避するが、胴体に叩きつけられた一撃は彼女の身体を何度もバウンドさせながら吹き飛ばした。

 腰から刀を抜刀し、優作が追撃に掛る。瓦礫を巻き上げながら転がっていたシャドウ・サーヴァントだったが、態勢を立て直して鎖付きの短剣を投げ付けて来た。刀で弾くが、彼女は鎖を巧みに操り刀に絡みつかせる。

 

 

「おいちゃんの武器が刀だけと思ったか!! ブギウギを喰らえぃ!!」

 

 

 奪い取られようとしている刀を右手で掴んで抵抗し、左手で抜いたコルトライトニングカスタムでシャドウ・サーヴァントに発砲する。しかし、彼女は短剣を自分の手元に素早く戻しながらひらりひらりと弾丸を回避していく。

 

 

「初メコソ驚キマシタガ、マスターガ前ニ出タノハ失策デシタネ」

「っ! 召し寄せ兼隠し身!! マシュは防御!!」

「!? っはい!」

 

 

 攻撃を避けながらシャドウ・サーヴァントは顔に手を掛け薄っすらと見える眼帯を剥がそうとする。何かしらの攻撃と読んだ優作は仲魔を呼び寄せて隠れさせ、マシュに防御を指示する。

 

 

「喰ライナサイッ!!」

 

 

 眼帯を剥がし、目と思われる個所から怪しい輝きが放たれる。シャドウ・サーヴァントの魔眼は優作達を捉えていたが、変わった様子無く再び切り掛かって来る姿に驚愕する。

 

 

「ナ!? サーヴァントデナイ生身ノ人間ガ何故石ニナラナイノデス!?」

「ヴァカめ! 荒事確定の現環境で状態異常対策をしていないと思ったか!!」

 

 

 振り下ろされる斬撃を短剣で受け止める。

 

 

「そして受け止めた隙が命取りよ!!」

「!?」

「さっきは外しちまったが、これならどうだっ!!」

「ウガァアアアアア!!」

 

 

 いつの間にかシャドウ・サーヴァントの背後を取っていたツチグモがジオダインを放ち、彼女は雷撃に呑まれた。

 

 

「これも喰らってみてヨ。行きたいね、イスタンブール」

 

 

 痺れて動けないシャドウ・サーヴァントにモコイが追撃でブーメランを叩きつけ、遂にダウンを奪い。

 

 

「追撃続けます! はぁあああああっ!!」

 

 

 そこへ続いてマシュがシャドウ・サーヴァントの元まで駆け寄り、右脚を上げて身体ごと捻る。

 

 

「どーんっ!!」

 

 

 全力を込めた必殺の蹴りが直撃し、シャドウ・サーヴァントは星となった。

 

 

【サーヴァントの反応が消失…優作君と使い魔達の攻撃があったとはいえ、蹴り一発で消し飛ばすなんて…】

「まぁ、それが千枝ちゃんの追撃能力だし? 追撃が決まれば相手は星になって死ぬ」

【…その千枝ちゃんって何者なんだい?】

「地方都市の女学生、但し“伊邪那美大神を撃破したペルソナ使いの1人”って注釈が付くけど」

【…今、凄まじい単語が出なかったかい?】

 

 

 優作の言葉に頬を引き攣らせるロマニ、そこへマシュと仲魔達が戻って来た。

 

 

「先輩! 見事追撃が決まりましたっ♪」

「花丸モノの追撃だったネ。この娘スゴイ」

「中々頼りがいがある嬢ちゃんじゃねぇか」

 

 

 マシュの活躍に仲魔達も褒め称える。

 周辺に敵性反応が無い事を確認し、オルガマリーが待つメタルスラッグへ戻る優作達。取り敢えずモコイとツチグモを封魔管に戻そうとした時、モコイがナニカを手渡してきた。

 

 

「モコイさん、これは?」

「星になったお姉さんが居た所に落ちてたヨ。ミステリアスな力を秘めてそう」

 

 

 そう言葉を残して封魔管に戻るモコイ。

 手渡されたモノは虹色に輝く妙にイガイガした結晶であった。

 

 

「所長さん、この結晶物知ってる?」

「聖晶石じゃない、3つあれば召喚を行う事が出来るわ」

「ほぅ…あと2個あれば戦力を増やせると?」

 

 

 メタルスラッグに乗り込み再び走らせる中、優作はモコイから貰った結晶についてオルガマリーに尋ねる。新たな戦力補充の可能性に期待する彼に対し、サーヴァントが出るか、概念礼装が出るかは完全に運に頼るしかないので期待を持ち過ぎない方が良いとオルガマリーは補足した。

 

 

【盛り上がってるとこ悪いけど、さっきと同じ反応がそっちに向かってるんだ! 早くその場から離れてくれ!】

 

 

 ロマニから新たなサーヴァントの反応を知らされた優作は出来るだけ平坦で障害物が無い戦いやすい場所を探しながらメタルスラッグを走らせた。

 そして着いたのは『冬木大橋』と朽ち掛けた看板に書かれた橋の上。再びオルガマリーを車内に残し、念の為にモーショボーの他モコイを留守番させて、優作はマシュを率いて追跡してくるサーヴァントを迎え撃つ事にした。

 

 

「…しっかし、サーヴァントって基本魔力タンク代わりのマスターが同伴しないと現界出来んのよね? 何でどいつもこいつも単体でいんの?」

【特異点である以上、其処はもう“何かが狂った状態”なんだ。マスターのいないサーヴァントがいても不思議じゃない】

 

 

 程無くして優作達の前に現れたのは、河川敷で戦ったサーヴァント同様、黒い靄に包まれておりシャドウ・サーヴァントの様だ。

 見て判るのは片手が禍々しく、顔に髑髏の仮面を着けている事ぐらいだった。

 

 

「見ツケタゾ。新シイ獲物。聖杯ヲ、我ガ手ニ!」

【サーヴァント反応、確認! そいつはアサシンのサーヴァントだ!】

「新しい得物って…此奴シリアルキラーか何か?」

【サーヴァントの敵はサーヴァントだ、多分マシュの気配を追って来たんだろうさ】

「そんな……!? もしかして、私がいる限り狙われ続ける事に…「は~い、ネガティブ禁止~」…ふぇ!? しぇ、しぇんぱい!?」

 

 

 ロマニの言葉に自信が悪い影響を与えてると考えたマシュに対し、優作は彼女の頬を軽く引っ張った。

 

 

「襲って来るなら叩き潰せば良いだけの事。おいちゃんもマシュもそれが出来る力は持っているからモーマンタイ。後、ロマン! 戦闘初心者であるマシュのテンション下げる様な事言ってんじゃないの!!」

【も、申し訳ない…。御免よ、マシュ?】

「気にしないでください、ドクター。それと先輩、有難う御座います」

「おうさ。そんじゃあ、パパッとやっつけますかね?」

「舐メラレタモノダ、ナラバマスターカラ先ニ葬ッテヤル!!」

「殺れるものなら、な!!」

 

 

 敵を目の前にして会話を続ける処か挑発染みた発言をやってのける優作に対し、アサシンのシャドウ・サーヴァントは短剣を彼の心臓や頭目掛け投擲するが刀で全て打ち落とされる。

 

 

「我ガ攻撃ヲ防グカ、面白イ」

「余裕ぶっこく暇があると思ってんの?」

「何…「ヒホー!!」…ッグワアアアアアァ!?」

 

 

 前もって召喚していたジャックフロストの絶対零度を死角から撃ち込まれたアサシンは身体を凍てつかせながら吹き飛ばされる。7騎の中では対魔力が低いアサシンにとって凍った身体は中々溶けず、動けないでいた。

 

 

「マシュ、やっちゃって!!」

「はい! もう一度星にしてみせますっ!!」

 

 

 ダウンしているアサシンに向かって追撃を仕掛けるべく、マシュが走る。

 

 

「ググ…油断シタ。ダガ、念ノ為ニモウ1人呼ンデイテ正解ダッタナ」

 

 

 マシュがアサシンに辿り着く寸前、間を挟む様に新たな影が現れマシュに対して攻撃を仕掛けようとする。

 

 

「マシュ、下がって! ジャックランタン!!」

「分かりました!」

「焼きつくすホー!!」

「ッチィ!!」

 

 

 そこへ別で待機させていたジャックランタンが新たな影に向けてアギダインを放つ。影はマシュへの攻撃を中断し、アサシンを抱えて距離を取った。

 

 

【橋に着く迄にあった2体目の反応だ、クラスはランサー】

 

 

 ロマニの言葉通り、巨体の影はその手に槍を持っていた。

 

 

「大丈夫カ、アサシン?」

「済マナイナ、ランサー。ダガ、モウ動ケル」

 

 

 ランサーから離れたアサシンが立ち上がる。

 

 

「仕切り直しか…」

「先輩、ここは2手に分かれるべきかと」

「せやね、ジャックブラザーズはマシュを援護してやって」

「「任せるホー!!」」

「動ける様になったとはいえ、アサシンはダメージがデカい筈。マシュ、頼める?」

「良いのですか? ここは無傷のランサーを私が相手した方が…」

「なぁに、おいちゃんにはとっておきがあるから心配無用だべ」

「…分かりました、マシュ・キリエライトいきますっ!!」

 

 

 短剣を構え、再び此方へ駆け出したアサシンをマシュ達が迎え撃つ。

 一方のランサーの前には優作が対峙していた。 

 

 

「英霊デモ無イ貴様ガ、俺ノ相手ヲスルト?」

「試してみるかい? 代償はアンタの命やで?」

「ッ身ノ程ヲ知ルガ良イ!!」

 

 

 ランサーの売り言葉に買い言葉で返す優作。普通の人間と思っているランサーはその言葉に怒り、槍を構えて襲って来た。

 突っ込んで来るランサーに対し、優作は手元に金属製の大きな箱を召喚した。箱には大きく『H』と書かれている。

 

 

「折角メタスラ使ってるんだから武器の方も使ってあげないとね~?」

「!?」

「ヘヴィーマシンガン、取り敢えず喰らっとけぃ」

「グッ!? グオオオオオォォ!!?」

 

 

 箱が開くと中には大型の機関銃が現れる。

 優作はそのままヘビーマシンガンを構え、ランサーに向けて容赦無い弾幕を張った。ランサーは槍で防御しようとするがとても防げる数で無く、何発もその体に喰らっていく。

 

 

「ナ、何故只ノ銃器ガ効クノダ!?」

「普通の兵器だと思った? 残念、特別製でした!! 序にグレネードも貰っとけ!!」

 

 

 優作から離れ、懸命に回避するランサー。

 しかし、銃弾と爆弾の雨霰を避け切る事など無理がある。霊核こそ傷ついていないが、身体の彼方此方に銃弾を受け、どんどんダメージが蓄積していく。

 一方のアサシンもマシュ達に対し、攻めあぐねていた。

 

 

「ヒホーッ」

「必殺の炎を喰らうホー!」

「クゥッ…チョコマカト…」

「其処ですっ!!」

「グハッ」

 

 

 ジャックブラザーズの連係プレーに翻弄されるアサシンにマシュが的確にダメージを与えていた。

 先程からマシュを狙おうと動くのだが、ジャックブラザースが何処からともなく自身の近くに現れて強力な魔術攻撃を仕掛けてくる。更にはマシュもペルソナを使って攻撃を加えて来るので実質1対4の戦いになっていた。

 しかし、アサシンは耐えた。一撃でも喰らえば消滅しかねない攻撃を紙一重で躱しながら、確実に敵サーヴァント(マシュ)を仕留めるチャンスを待った。

 そしてその時が来た。

 ジャックブラザーズが放つ冷気や火炎、切り掛かるトモエの猛攻をギリギリで掻い潜り、アサシンはマシュへと殺到する。

 迎え撃つべく構えるマシュにアサシンは短剣を投げ付け、マシュがそれを盾で弾くがその一瞬でアサシンはマシュが自身を視認出来ない位置へ跳躍、黒い短剣を構えて彼女の首へと突き掛かった。大きく振ってしまった盾では防御が間に合いそうもない。

 

 

「貰ッタゾ、小娘!!」

「しま…「マシュ! 今こそもう1つの服の力を使う時だっ!!」…先輩!!」

 

 

 優作の言葉にマシュは自身に与えられたもう1人の力、津村 斗貴子の戦いをイメージする。

 そして空いている手に現れるは中心に『XLIV』と書かれた六角形の金属塊、マシュはそれが彼女(斗貴子)の武器である核鉄(かくがね)であると分かった。

 

 

「いきます、武装錬金ッ!!」

 

 

 決着は一瞬であった。アサシンの短剣がマシュに届く前に彼女の太ももに装着されたパーツから延びる4本の可動肢の先端に付いたブレードがアサシンの両腕と心臓部の霊核を貫いていたのだ。

 

 

「バ、馬鹿ナ…」

処刑鎌(デスサイズ)の武装錬金、バルキリースカート! ハラワ…いえ、霊核をぶち撒けなさいっ!!」

「ガハァアッ!!」

 

 

 マシュの言葉と共に霊核を切り刻まれ、アサシンは消滅した。

 

 

「ナ!? アサシンガ…「隙有ぃ!!」…グホォッ!!」

 

 

 金の粒子となって消滅するアサシンの姿に動揺したランサーに対し、優作は新たに取り出したロケットランチャーを容赦無く叩き込んで吹き飛ばす。

 

 

「ジャックフロスト、合体技いくぞ!!」

「ヒホー! 任せるホー!!」

 

 

 優作の呼び掛けにジャックフロストが己の力を彼の刀へと送り込む。凍気を宿した刀を構え、優作はダウンしたランサーを一閃した。

 

 

「カ…体ガ…凍ル……」

「奥義、極銀氷忠義斬…ってね?」

「ム…無念…」

 

 

 斬られた個所から全身が見る見るうちに凍り付いて行き、遂にはランサーは氷像となる。その氷像も徐々に罅が広がっていき、遂には細かい氷の破片となり散っていく。

 

 

【敵サーヴァント反応消滅…能力で優作君も只者じゃないと分かってたけど、サーヴァントを倒す程なんて】

「ま、人生何が起こるか判らんからね。もしもの為に鍛錬していた御蔭ってヤツ?」

 

 

 目を丸くしながら消えていくランサーの姿を眺めていたロマニが零す言葉に優作はニヤリと笑って返す。

 2体のシャドウ・サーヴァントが消えた後には聖晶石が転がっていた。これで召喚を行えると期待に胸を膨らませながら所長達が待つメタルスラッグへと戻って行く。

 

 

「モーショボー、モコイさん、何も無かったかい?」

此処(・・)には何も来なかったから詰まんなかった~」

此処(・・)に異常は無かったヨ」

「……な~る」

 

 

 仲魔達の言葉を聞いた優作は彼等が向いている方向へ視線を向ける。

 

 

「ロマン、近くに新しいサーヴァント反応有るんじゃない?」

【…御名答。丁度君達が見ている瓦礫の裏に反応がある。クラスはキャスターだ】

「キャスターか…」

「ちょ、ちょっと新たな敵なの!? 如何するのよ!?」

 

 

 キューポラから頭を覗かせたオルガマリーが焦った様子で尋ねて来る。自身は兎も角、マシュは連戦が続き疲れが見えるので何処かで休みたいところだ。

 優作は新たに金属製の箱を召喚する。箱には「G」と書かれていた。

 

 

「此処にあるのはスーパーグレネード、グレネード弾がカッ飛ぶ素敵な武器。因みに今まで戦ったサーヴァント程度なら1発でもモロに喰らえば木端みじ…「分かった、分かったからその物騒なモノをしまってくれ。出てくるからよ」…覗き見とは感心しませんな?」

 

 

 箱からグレネードランチャーを取り出し、キャスターが隠れている瓦礫に向けながらわざとらしく説明していると、観念したようにキャスターが出て来た。

 

 

「悪かったな。劣勢になったら助太刀しようと思ってたんだが…必要無かったし、お前さんの戦いっぷりが興味深かったもんでな? ついつい見入ってしまった」

「ロマン、こ奴くっきり見えるぞ?」

【どうやら彼はシャドウ・サーヴァントでは無いみたいだね】

 

 

 黒い靄に包まれる事無く立っているキャスターは杖を持ち、蒼いフード付きのローブを纏った正に魔術師といった風貌の男であり、フードの中からは青い髪と深紅の瞳が覗かせていた。

 

 

「改めて、俺はキャスターのクラスでこの地獄で唯一正気を保っているサーヴァントだ。お前さん達は余所者みたいだし、ここは一つ情報交換といかねぇか?」

 

 

 そう言ってキャスターはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。




登場人物
オルガマリー・アムニスフィア
解説・ツッコミ役兼魔改造候補。
出自及び設定は原作と変わらず、原作において再登場を期待している人も多いと思われるが本作では…?

ロマニ・アーキマン
ナビゲート・ツッコミ役のゆるふわ系ドクター。
オルガマリーと同じく出自及び設定は原作と変わらず。
優作とはマギ☆マリの衣装御関連で話が盛り上がり親しい間になる。


元ネタ紹介
>モコイ ツチグモ(出典:デビルサマナーシリーズ、ペルソナシリーズ)
アトラス作品に登場する悪魔。
モコイは『ガインくん』と呼ばれる変わった話し方をするので有名。

>津村 斗貴子(出典:武装錬金)
少年ジャンプの漫画『武装錬金』のヒロイン。錬金戦団所属の錬金の戦士で、任務中に主人公に庇われた事から物語が始まる。
過去にホムンクルスに襲撃され壊滅した小学校の生き残りで、ホムンクルスに対して激しい敵意と憎悪を抱いており、戦士として一般人と一定の距離をおいていたが、主人公や友人達との触れ合いの中で日常の世界にも居場所を見つけ、表情も刺々しさが取れて少女らしい柔らかなものになる。
扱う武器はナンバーXLIV(44)の核鉄を使った処刑鎌の武装錬金『バルキリースカート』で、生体電流で作動する四本の可動肢による精密高速機動が特徴。
戦闘時の口癖は「臓物(ハラワタ)をブチ撒けろ!」

>ヘビーマシンガン(出典:メタルスラッグシリーズ)
SNK(旧社)の横スクロール型アクションシューティングゲームの『メタルスラッグシリーズ』に登場するパワーアップアイテム。
連射力の高い細長い弾を斜めにも撃てるので、1番汎用性が高い武器。
アイテムアイコンは「H」で、コンティニュー時に必ず降ってくる。

>ロケットランチャー(出典:メタルスラッグシリーズ)
『メタルスラッグシリーズ』に登場するパワーアップアイテム。
軽い誘導性を持つロケット弾を発射し、敵や障害物に当たると爆風が発生する。
アイテムアイコンは「R」。

>極銀氷忠義斬(出典:葛葉ライドウシリーズ)
『葛葉ライドウシリーズ』にて仲魔と協力して発動する合体技。
太刀を持っているときに発動可能で、氷結系の合体技の中で最強の技。

>スーパーグレネード(出典:メタルスラッグシリーズ)
『メタルスラッグシリーズ』に登場するパワーアップアイテム。
メタルスラッグの主砲と同威力の弾を発射し、着弾すると巨大な爆風を巻き上げる。
アイテムアイコンは「G」。


Q、メタスラ兵器で英霊ブッ殺せるの?
A、邪神やエイリアンにダメージ与える兵器なのに殺せない筈無いだろ!


次回は9月16日投稿。
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