敵なので社会的弱者を虐待することにした。   作:重言 白

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前回書くべきだったおまけ

分類設定(カテゴリセレクト)、【◯◯】
触れている対象を、【◯◯】という分類の中で変換する。
理論上【物質】という分類も可能だが、範囲が広いほど精神を擦り減らすので、気絶してしまう。
昔は、【動物】という分類でも気絶していたため、【哺乳類】分類で友人を変換した。


虐待することを……強いられているんだ! (集中線)

 実に素晴らしい虐待を思いついた。

 

 これまでに誘拐し、残虐な虐待を重ねる事で従順になった一部の子供に、新入りや虐待初心者を虐待させるという虐待だ。

 

 虐待する側は自分がされて嫌だった事をする事で精神的に苦しみ、される側は虐待により肉体的に苦しむ。

 

 俺はそれを高みの見物をしながら、更なる虐待を考えるのだ。

 

 くっくっくっ……先ずは試してみるとしよう。

 

『あーあー。血吸 鬼姫、墨西 哥蛇の2人は俺の部屋に集合』

 

「……お待たせしました」

 

「私達を呼び出すなんて、珍しいね」

 

『したね』

 

 ……どうしてこの2人は放送中に、ここまで辿り着けるのだろうか?

 

 まあいい、そんなことよりも虐待だ。

 

 1に虐待、2に虐待、3、4無くて5に虐待と言うからな。

 

「さて……お前ら2人には、他の奴らに対して虐待をしてもらう。出来ないとは、言わないよな?」

 

「……御意」

 

「あんまり気は進まないけど……」

 

 やはり長年虐待をし続けた……墨西は割と最近な気もするが、この2人は俺の虐待を受けている子供達の中で、最も従順だ。

 

 リーダシップもあるらしく、この間のような虐待の時は他の子を先導していることも多い。

 

 しかし、そんな頼れるリーダーが突如、自分達に虐待を加え始めることによる驚愕と絶望!

 

 これまでに築き上げてきた信頼を壊され、悲嘆に暮れる2人を見ながら飲む酒はきっと、最上級に美味い事だろう……下戸だけど。

 

 

 

「……虐待を始める」

 

「ルールは前にあの人がやってたのと同じ、ハチマキを取られなければ良いだけ……だと前と変わらないので、ハチマキを取れれば復帰可能というルールを追加するよ!ただし、鬼が私達だけどね」

 

「……誰一人、逃がさない」

 

「はい、スタート!」

 

 ほう、前に俺がやったあの虐待を改良して行うとは、なかなかに筋が良い。

 

 俺がやったあの時は、ハチマキを取られてさえ仕舞えば後は罰に対する不安という精神的苦痛を与えるだけだったが、これなら最後まで肉体的苦痛を味あわせる事ができるだろう。

 

 しかもこのルールであれば、ハチマキを取られていない誰かからハチマキを奪う事も可能だ。

 

 既にハチマキを取られた数人が、ハチマキを取り返そうと奮起している。

 

 ……うむ、この虐待させるという虐待はとても画期的且つ効率的な虐待だと思ったが、たった1つ大きな欠点があったな。

 

 虐待は、自らの手で、やるべきだ。

 

 そっちの方が、とても楽しい。

 

 というわけで、ハチマキを一個作製して飛び入り参加をすることにした。

 

 奪えるものなら、奪ってみるが良い。

 

 俺の虐待を模倣し、「誰一人、逃がさない」と宣言した以上、一人でも逃がせば罰を与えるぞ?

 

「……罰、確定」

 

「時間いっぱいまでは粘るわよっ!」

 

 結果は言うまでもないだろう。

 

 今回ハチマキを守りきれなかった罰は、勉強1時間だ。

 

 俺からハチマキを取れなかった2人には、教師役をさせる。

 

 実は学校などでの椅子の座り方は、痔を誘発しやすくする姿勢なのだとか。

 

 勉強というわかりやすい精神的虐待に巧妙に隠された、先を見据えた長期的な肉体的虐待というこの妙案に、震えてくるぜ。

 

 もちろん2人に命じた教師役というのも、虐待の一環だ。

 

 教師というのは、生徒よりも賢くなくてはならない。

 

 更に1時間という長時間、本来なら事前にどういう授業を行うか決めてから行うところを、突然の命令だ。

 

 準備する暇など与えない。

 

 慌てふためき、準備不十分な状態で、他の子たち……それも今まで自分が虐待していた子の前に立って授業をするという緊張と不安によるストレス!

 

 そして何かミスをするたび、俺という監督役に教室の後ろから虐待的指導を行われるのだ!

 

 フーハッハッハッハッハーッ!

 

 

 

『あーあー。血吸 鬼姫、墨西 哥蛇の2人は俺の部屋に集合』

 

「……お待たせしました」

 

 あの人にしては珍しく、放送を使って私と……アイツを呼び出しました。

 

 私は身体を霧に変換し、いつもあの人の側に付けているコウモリを中心にして再構築。

 

「私達を呼び出すなんて、珍しいね」

 

『……したね』

 

 この間1秒。

 

 コイツよりも5秒早く、あの人の前に馳せ参じました。

 

 ハッ! (鼻で嗤いながら、見下す)

 

「さて……」

 

 おおっと、コイツなんかを気にしている暇はありませんでした。

 

 偉大なるこの人の言葉を、一言一句たりとも聞き逃すわけにはいかないのだ。

 

「お前ら2人には、他の奴らに対して虐待をしてもらう」

 

 この人のなす事と同じ事をさせてもらえる。

 

 つまりソレは、私達を1人前だと認めて下さったという事だろうか。

 

 そうだと思うと、あまりの興奮で気をやってしまいそうだ。

 

「出来ないとは、言わないよな?」

 

 もちろんです。

 

「……御意」

 

 例えこの命に代えましても。

 

「あんまり気は進まないけど……」

 

 何を言っているんだこの[自主規制]は!

 

 

 

「……虐待を始める」

 

 基本は前にやった通りのルールだが、今回はハチマキを取られても復活できるルールになっている。

 

 私は口下手なので、説明はアイツにやらせている。

 

 っと、説明が終わったようだ。

 

「……誰一人、逃がさない」

 

 今回鬼役は2人なので、2分間待つ事にする。

 

 2分経過した。

 

 先ずは全身から無数のコウモリを飛ばし、周囲の偵察を行う。

 

 うん、私の個性を知っているので、上から見てもバレないようにみんな隠れている。

 

 次はあからさまに隠れやすそうな、物陰や建物の中にコウモリを飛ばしていく。

 

 ここで数人見つけた。

 

 あとはあの人の前に現れた時と同じように、コウモリを中心に体を再構築。

 

 ハチマキを奪って、霧と消える。

 

 そんな事を繰り返しつつ、時折ハチマキを取り返しに現れる子をあしらっていると突然、長いハチマキをしたあの人が参戦した。

 

「……罰、確定」

 

 昔私は、とあるヴィランの配下としてあの人と戦った。

 

 あの人は個性を一切使わずに、身体能力だけで私を捕獲して誘拐したのだ。

 

 あの頃から成長したとはいえ、負け確なのは変わらないのだ。

 

 そして案の定、時間内にあの人からハチマキを奪う事は出来なかった。

 

 誠に……誠にッ! 不本意だったのに、アイツと協力したのにもかかわらず、ハチマキに触れることすら出来なかった。

 

 私達への罰は、他の子への授業の教師役。

 

 普段から勉強会のようなものを行なっているのを、見透かされていたのだろう。

 

 準備が必要か? と言われてしまえば、必要とは言えないのだ。

 

 今回の罰としての授業中、あの人は監督として1番後ろに座っていた。

 

 授業は滞りなく進んだ。

 

 あの人にずっと、嬲る様に全身を見られていると思うと……。

 

 授業が終わった後、こっそり自室で着替えたのは、墓まで持っていく私だけの秘密だ。




血吸 鬼姫(ちすい きき、もしくはおにひめ)
個性:吸血鬼の子

墨西 哥蛇(すみにし かじゃ)
個性:メキシコサラマンダーの子
流通名がウーパールーパーなので、卯春 葉魚(うはる はうお)という案も有った。

おまけ

生命とは連続性である。って何かで見た気がする。

1度死んだ人が蘇ったとして、同じ記憶と人格を持った別人である可能性があって、同一人物とは限らないとかどうとか。

ニコポナデポ的な洗脳の場合、元の人格をAとすればその記憶を引き継ぎつつも人格を好き勝手に弄くり回された、人格Bが生まれるのでは? なんて考えた。

つまり洗脳された人を助けるという事は、人格Bを殺すということで、しかも人格Aを救ったと思っていても、実際にはAだと確認する方法はなく、人格Bが演技をしている場合や、AもBも死んで生まれた新しい人格Cなのではないかとか考え始めると、最早何が何だかわからなくなった。

助けて偉い人。

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