人理定礎者が逝く(仮)   作:和ん子

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 今回、個人的な理由で内容の精査が終わらないまま予定していた投稿日になってしまいましたことをお詫びします。<(_ _)>
 
 英霊達を多数出せたので満足です。明記していないので読者の皆さんで自由に想像していただければ……
 あ、FGOですけどAUOお迎えしました。ありがとう10月の呼符!
 
誰か、デミえもんの自動翻訳機ください……...( = =) トオイメ


階層守護者一同「「「」」」

 

 

 法国の大幅な戦力低下を達成したリディ達はこのまま神都を滅ぼすことなくカルネ村に帰還することにした。

 もう数日後には他の国に法国が襲撃された噂が流れる。いや、潜伏するアサシン達に流させる。

 残る人間が幾ら連合を組んだところでアインズ・ウール・ゴウンに敵うはずもないが、評議会の竜王達だけが実力も情報も不透明だった為、神都襲撃に留める事にした。

 法国崩壊で評議会が出張って来たりすれば厄介どころの話では済まないからだ。

 世界級アイテムやさっきの巫女が持っていた〈叡者の額冠〉を回収し、置き土産に大量の海魔を放ったが、Lv30程度のもので増殖能力は控えめになっている。残りの漆黒聖典が出張れば大した被害は出ないだろうと踏んだ。

 

 「これで法国も終わり……あっけないものだな」

 『バックにギルドがあると安心感が違うだろうが、今回の様な』

 「はいはいわかってますよ先生」

 『わかってないから言っておるのだ!だのにお前という奴は!』

 

 カルネ村へ帰る途中、リディにとってもう恒例の様な各師匠からの批評タイムを味わっていた。実を言えば神都に来た時の様に転移の魔法で即帰還できたのだが、モモンガ達三名から〈伝言〉でお説教が待っているのが確定し、子供の様なせめてもの抵抗に地道を歩いて帰っていた。

 

 「あ、そういえば法国の陽光聖典って竜王国に支援してたっけ?獣人相手に」

 『む、そうだったか。どうするんだ?あそこの自爆魔法は強力なんだろう?』

 「一発で大都市を壊滅させる魔法は確かに脅威だけどさ……正直それを連発できるか不明だし……探りを入れるか」

 

 『ふん、悪い顔をする様になったな』

 『クハハハ!残酷なことだ』

 『フフ。我々の界隈に適応すれば自ずとそうなるサ。何せ人間の本質は悪だから、ネ?』

 『私が言うことでもないけれど、そこのアラフィフは黙ってなさい。私のマスターが闇堕ちとか……ごにょごにょ』

 

 突然、属性悪の英霊達が息を吹き返した。そんなに酷い顔をしていたか?と不安になるリディだが、頭に絶えず聞こえる英霊達の声に思考を止めた。

 

 『マスター』

 「ん?プニキどうしたの?」

 『さっきの獣がどうたらって話なんだが、俺のスキルに〈獣殺し〉があるだろ?役に立てると思ってな』

 

 プロトクー・フーリン。それが彼の霊基に刻まれた名だ。確かに彼なら獣人の大群も容易く蹂躙するだろう。冒険者として偶には表から堂々と入るのもいいかもしれない、などと考える思考力はなく、完全に思考停止状態の彼はプニキの提案に二つ返事で答えていた。

 

 

 

 普通なら法国の神都からカルネ村近くのエ・ランテルまで1週間はかかるが、この世界で他にいない高レベルな人間なリディは普通に移動するのも規格外だった。

 そもそものビルドで後方支援としてとにかく攻撃が当たらないのと支援が尽きない様MP量に気を使っていたから同じLv100でも上位に入る程だった。

 人間種になり種族の特性がなくなったとはいえ職業レベルは英霊達の協力もあり鍛え直されているので体の動かし方も矯正されより素早く感じる。

 何が言いたいかと言うと、思考停止した所為で重かった足は軽くなり半日で長い道のりを走破してしまったのだ。

 

 「あ、やば」

 

 気づいた時には夜は明け、カルネ村も起き出しては畑仕事や狩りに精を出していた。

 その周囲にはリディが知覚できる不可視の〈八肢刀の暗殺蟲(エイトエッジ・アサシン)〉が数体と、彼らに護衛されたピンクの肉棒の姿が……。

 

 「おかえり一香お兄ちゃん!」

 

 「チェンジで」

 「……藤丸さんくらいですよ、私の地声の方が好きだなんて言うのは。これでもロリ声担当では売れっ子だったんですからね?──それはそうと、何故あんな無茶を?」

 

 出迎えた時の渾身の演技はどうやらリディには不評だった様で、即行で却下されてしまい茶釜も一瞬惚けたがすぐに持ち直した。

 ユグドラシル時代にも似た様なことがあり、経験済みだったのがお互いに幸いした。前回はフレンドリーファイアが無効とはいえ視界いっぱいに広がる……これ以上は彼の名誉の為に伏せておこう。

 とは言え、演技の時よりもかなり、女性にしては低いくらいの声で凄まれ彼のトラウマが蘇り体が硬直する。

 

 「無茶って思わなかったから……ダメですね、はい。後顧の憂いを断っておきたかったからです」

 「なら、尚更私達全員でかかるべきでした。貴方ならメリットも全て理解してますよね?藤丸さん」

 

 それは彼女の言う通りで、リディは可能だったにも関わらず法国に配置していた山の翁を除く英霊を一人しか召喚しなかった。ただの慢心、何があってもアインズ・ウール・ゴウンが何とかしてくれるという安心からくるものだった。

 茶釜が言った時期や情報、双方の戦力など全てを考慮した上で油断なく確実に、神都を半壊させるぐらい徹底して叩くべきだったのだ。

 レベルがカンストしていない彼では単騎の戦力では絶対に法国最強、いや、人類最強の絶死絶命に勝てなかった。

 レベルに付随するステータスの低さを彼固有のスキル〈貴き幻想(ノウブル・ファンタズム)〉により英霊の宝具を借りることで彼の技量を錬鉄の英霊が如く憑依経験で限界まで上げることで何とか拮抗していたに過ぎない。

 

 ここで思い出してほしい。彼が持っていた朱槍は元々誰の物だったかを。そう、影の女王スカサハだ。アルスターに登場する女武芸者の一人だが、彼が弟子に教えたのは具体的に球の妙技、刃の妙技、平らに置いた盾の妙技、投げ槍の妙技、縄の妙技、胴の妙技、猫の妙技、大胆鮭跳躍の妙技、棒高跳びに障害物跳び、歴戦の戦車の御者だけに許された後退回転、必中必殺ゲイ・ボルグと真鍮の刃、車輪の妙技、八人の妙技、呼吸秘術、口唇憤怒、戦士咆哮、止め斬りの秘法、水切り失神突きの秘法、槍登りの妙技、槍のてっぺん棒立ちの妙技など多岐に渡る。

 FGO内でも最強の一角に数えられていた実力者だ。その実力を劣化再現できて彼女程度の格上に勝てないとなると、それは彼自身の怠慢だと容赦なく切り捨てられるだろう。

 

 さらに言えば、彼は彼女と対峙してから二度も必殺と呼べる宝具を開帳している。一度目は抑止力の暗殺者、もう一つは影の女王のもう一つの宝具である異界の門。

 そこまでしなくとも必中必殺の槍さえ投げれればとも思うが、そこは彼の慢心と油断が招いた結果だ。

 

 「は、い……」

 「なら、わかってますね?逃がさねえぞ」

 「「ヒッ!?」」

 

 どこからかエロ至高のバードマンの悲鳴も聞こえた気がしたが、恐らく幻聴だろう。

 

 

 

 あの後カルネ村でずっと待っていたモモンガは性懲りも無く顔を見せたリディに見敵〈火球(ファイヤーボール)〉をお見舞いした。

 予備動作なしに撃ち込まれた火球はリディを包み込み小さな爆発を起こす。

 

 「それで許したと思わないでください」

 「はい、ごめんなさい」

 

 魔法職最弱の〈火球(ファイヤーボール)〉では紙装甲のリディもあまりダメージを負わずに済み、今はギャグパートなのか金髪を爆発させてチリチリさせたまま謝った。

 

 「茶釜さんもお疲れ様でした。ペロロンチーノの方は」

 「ああ、あのバカなら大丈夫です。今頃メイド達に囲まれて幸せでしょうし……こちらこそすいませんウチの愚弟が、藤丸さんの広域捜索にニグレドと合わせて探していたと思えば藤丸さんの妹のとこに」

 「……あ?」

 「も、勿論!突撃する前に叩き落としていつもより厳しく折檻したんですが、アレの変態は死なないと治らないので……」

 

 リディにとって妹達は両親など比較にならない血を分けた家族だ。その二人が変態に狙われたと聞いてその場が凍り付いた。

 あくまで比喩だが、レベル差を物ともしないプレッシャーがアンデットのモモンガやピンクスライムの茶釜の耐性を上回ったのだ。

 恐るべしシスコン。

 

 「そうですか……茶釜さんありがとうございます。それから、本当にすいませんでした」

 「「わかってくれたらいいです」」

 

 落ち着きを取り戻し、素直に謝罪するリディに2人は手を振って許す。雰囲気が和らいだところでモモンガが〈転移門〉を出してナザリックに帰還する。

 

 「あ、村にしばらく帰らないって伝えといてくれる?」

 『わかったのじゃ。妾もそろそろお暇じゃからの。マスターの頼みごとを終えたら帰るとする。今回の召喚は実に有意義なものじゃった……次はマスターと一国を統治してみたいものじゃ』

 『女帝様の言う通り、久々に楽しめたわ。唯一不満があるとすれば、次はかわいい女の子がいいわね。フフ、冗談よ』

 

 王国騎士団に捕らえていた法国の騎士を引き渡すまで、捕虜で遊んでいた英霊きっての拷問技術を持つ彼らが座に帰還する。

 陽光聖典の生き残りは既にナザリックに送られて悪の組織に拘り抜いたメンバーによって作成された拷問官ニューロニストという〈脳喰い(ブレインイーター)〉の所に送られている。陽光聖典は六色聖典でも下位の部隊だ。そこまでいい情報はないだろう。

 

 

 

 「さあ、お帰りなさい。では早速行きますか」

 「あ、はい。あーやばい緊張するー!」

 「あはは。きっと大丈夫です。皆アルベドみたいに受け入れてくれますって」

 「うー、そうは言ってもですね。あ、おいでキャスパリーグ……よしよし、お前だけが癒しだよ」

 「グヌヌ、妬けますね」

 「素面で何言ってんですか。ほら!早く行きますよ!」

 「ですね。あ、その前にこれを」

 

 茶釜から渡されたのは指輪。決してそういう意味ではなくナザリック内で阻害される転移を問題なく行う重要アイテムだ。

 藤丸が死を悟った時にユグドラシルから離れる前にモモンガに当時の神器級装備と一緒に渡していたのだ。結局、サービス終了までしぶとく生き残ってしまったが。

 ゲートを抜けて景色がガラッと変わる。青年にとっては数年来の懐かしさすらあった。

 天井が物凄く高く、よく見ると〈八肢刀の暗殺蟲〉がいる。〈不可知化〉をかけている様だが〈聖杯〉を保有する彼は龍脈という大いなる力を感知する副作用で他人の生命力を感じ取れる為簡単に見つけてしまった。

 

 「改めて、おかえりなさい藤丸さん」

 「ただいまです、モモンガさん。さっ湿っぽいのはもう十分ですよ!この後守護者達に認めてもらえる様に頑張らないと……正念場だぞ、俺っ」

 「フフ」

 

 腕にキャスパリーグを抱えたまま片手でガッツポーズを取る彼を見て、以外に可愛いとこあるんだな、と小さく笑う。その仕草が精神年齢はともかく、今の若返った彼の姿ととても似合っていた。

 彼は余程緊張しているのか二人のそれに気付いた様子はなく、あっという間に10階層の玉座の間に着いてしまった。

 

 「ヤバい、震えが……」

 

 モモンガの隣でそんな声が聞こえるが、もう既にペロロンによって各階層守護者が集められているはずだ。

 予定ではまずモモンガと茶釜が先に入り、藤丸改めリディを呼んで入ってきてもらう、のだが、大丈夫だろうか?と心配になるレベルで目に見えてガタガタしていた。

 だが、彼には腹を括ってもらうしかない。

 モモンガは両手で玉座の間の大扉を押し開けてズンズン歩いて行く。それに茶釜も続く。床に敷かれたレッドカーペットの少し横に跪いている守護者達に目を向けることなく一直線に自分が座るべき玉座の前に立ち振り返った。彼の両隣には例の姉弟が挟む形で立っている。

 

 「それぞれ任務もあったろうが皆よく集まってくれた。感謝するぞ」

 「感謝ナドオヤメ下サイ」

 「そ、そうです」

 「私達は至高の御方々の忠実な僕」

 「いつ如何なる場合でも御身のご命令とあらば即座に」

 「我らの忠誠、確とお受け取りください」

 

 跪いたまままるで打ち合わせていたかすらすらと出て来る言葉にリディは戦慄していた。何あの忠誠心。何したのモモンガさん達……、といった具合に。

 

 「今日はとても良い日だ。何故かわかるか?」

 「「「……」」」

 

 モモンガの問いに守護者の誰も首を縦に振らない。

 

 「デミウルゴスもか?」

 「申し訳ありませんモモンガ様。私程度では至高の御方々の叡智に及ぶべくもありません。お恥ずかしながら無知な我々にご教授頂けないでしょうか?」

 

 場の空気が変わった。いつもならここでアルベドかデミウルゴスが、モモンガ達の深謀遠慮(笑)を読み解き、他の守護者に披露する流れなのだが、ナザリック屈指の頭脳を持つデミウルゴスもアルベドもわからないと言う。

 だが、その答えは他でもないモモンガの言葉によって明らかにされた。

 

 「そうかわからないか。よい、デミウルゴス。少し意地悪だったな。許せ」

 「滅相もございません」

 「では答えあわせだ。入って来て下さい!」

 

 至高の御方であるはずのモモンガが敬語を使ったことに全ての守護者が疑問を抱き、後方の扉に目を向けた。

 モモンガがギミックでギィィイ……と演出を凝らした扉の向こうに一人の青年が立っていた。

 

 「人間?このナザリックに?」

 

 一歩一歩確かめる様にレッドカーペットを歩く小さき人間。リディ・エモットその人である。

 彼には様々な視線が向けられている。嫉妬、猜疑、侮蔑、エトセトラ。殆どというか全て負の感情だった。異形種のパッシブスキルには威圧に似たものがある。現実になったことで改めてLv100との実力差を思い知らされたリディ。心なしか半ばからさらに一歩が短くなっている。

 やがて守護者達のさらに後ろの位置に自ら跪いた。

 

 「ナザリック地下大墳墓アインズ・ウール・ゴウンが末席、藤丸一香。無事、帰還しました」

 

 瞬間、リディの全身に寒気がして思い切り後ろに飛んだ。視線を向ければさっきまで自分がいた場所にシャルティアの拳があった。

 

 「ペロロンチーノ様の御友人であらせられるかのお方の名を騙るとは、さてはバカでありんすね?どうやって至高の御方に取り入ったか知りんせんが、もう少しましな嘘をつくべきだったでありんすえ」

 「シャルティア」

 「は、ハィッ!何でありんしょう?ペロロンチーノ様」

 「確かにお前を創造する時、吸血鬼のあらゆる知識を教えてくれたのは藤丸さんだ。それはつまりシャルティアの第二の創造主とも言える。お前が怒る理由もわかる」

 「は、はぁ……?」

 「だけどよ。もう少し周りをよく見ろ。彼の腕の中にいるあの獣に見覚えはないか?」

 

 創造主であるペロロンチーノに促され、もう一度シャルティアは人間を観察する。具体的に示された彼が抱き締めている白い獣。

 

 「ま、まさか……キャスパリーグ?」

 

 「そうだ。あれは偶然藤丸さんが捕まえ僕にした魔獣。あの魔獣が藤丸さん以外に抱かれてあんなに大人しくすると思うか?他の守護者もどう思う?」

 

 誰も声を上げることなく玉座の間に暫し静寂が訪れた。

 実は彼藤丸一香は現実のある理由からギルドでもかなりのお喋り好きで有名だった。

 例え自分がマシンガンの様に話すだけでも構わないらしく、キャスパリーグを当てた時も待機している各守護者の前に座って自慢したり色んな話をして回っていた。

 その時の影響が現実となった今ここで如実に現れていた。

 そんな、間一髪守護者の怒りの一撃を躱した彼はというと、もしかして初めからキャスパリーグを見せていれば三人も納得していたのかな?と呑気に考えていた。

 気を取り直し、モモンガが事前に考えたカバーストーリーを述べていく。

 

 「藤丸さん、彼は今人間に転生しリディ・エモットを名乗っているそうだ。彼は元々世界級アイテム〈聖杯〉を守護し英霊達を束ねる楔の役割を担っていた。その役目を終えたはずがユグドラシルとは違うこの世界に辿り着き、手放したはずの〈聖杯〉と同化した状態で転生してしまったらしい」

 

 「「「」」」

 

 「人間に転生してから彼はずっと我々の影を探していた。生き残る為に全てを使い、周辺国の情報も密かに手に入れ世界の知識を蓄えていった。そして今日、他国の兵士による襲撃を見事撃退したのを見ていた私達が、情報交換の為に村と接触を図ろうと〈異界門〉で現地に赴いたのだが。藤丸さんは一人、未知なる敵に立ち向かう為村を飛び出して来た」

 「そして私達は再会した。私達の姿を見た途端子供みたいに泣き出した姿を見せてあげたかったわ」

 「ちょ、それは勘弁」

 

 それを皮切りに至高の存在は周囲を忘れて楽しそうに談話し始める。転移直後で多少混乱があったのも含め、藤丸がいなかった時とは天と地の差だ。モモンガは唯一それを眺めており側から見れば魔王ロールのままだが、実際は昔を思い出し懐かしんでいた。

 

 「あ、ごめんな。話の腰折っちゃって」

 「……よい、実に良き時間だった。さて諸君。世界を変え名前を変え、種族を変えても帰還を果たした藤丸さんに反対の意を示す者は立ってその意を示せ」

 

 だが、暫くしても誰も立つ様子はない。

 

 「どうした?ここは異形種の支配するナザリック地下大墳墓。そして彼は今人間だぞ?本当にいいのだな?」

 「「「……」」」

 

 沈黙は是。この場にいる誰もが藤丸の帰還を喜んでいた。

 

 「よくわかった。藤丸さん、壇上へ」

 「あ、はい」

 

 モモンガの魔王ロールに未だ慣れない藤丸はおっかなびっくりといった風に守護者達の間を抜けて、卒業式の時の様な緊張感で階段を一歩一歩上がり壇上に上がった。

 諸事情で彼は今世では学校に行ったことないが。

 促されるまま玉座に座るモモンガの隣に立ち至高の存在四人が揃う。

 

 『藤丸さん、皆に約束してください。もう死なないと、どこにも行かないと。守護者も勿論俺達も貴方が心配なんです』

 『成程わかりました』

 

 〈伝言〉の魔法で視線を動かさず会話する。モモンガが骨なので眼球はないが。

 

 「藤丸一香だ。まず守護者の皆に最大の感謝を。こんな弱い人間になった俺を認めてくれてありがとう」

 

 デミウルゴスやコキュートス辺りが声を上げそうになるがモモンガが先制して手で抑えた。藤丸としてはさっきと態度が違い過ぎて吃驚している。

 

 「さっきモモンガさんが言った通り俺は転生した。それもユグドラシルとは違うこの世界に、〈聖杯〉と共に記憶やある程度の力を持ってな。で、この世界のことを調べ回った。周辺国の情勢や王族貴族の支配階級の事、何故ユグドラシルの魔法やスキルが使えるのか、他のプレイヤーの情報、世界級アイテムの脅威……そしてこのナザリックの事もな」

 「「「!?」」」

 「意外だったか?生憎だが俺はお前達を見捨てた覚えも置いて行くつもりもなかった!何度でも転生して帰って来てやる!今ここで藤丸一香改めリディ・エモットは宣言する!例えこの身が滅ぼうとも未来永劫何度でもお前達の前に蘇ろう!」

 

 「「「リディ様、万歳!」」」

 「「「至高の御方々、万歳!!」」」

 「「「ナザリック万歳!」」」

 「「「アインズ・ウール・ゴウン、万歳!!」」」

 

 暫く立ち上がった守護者達によるスタンディングオベーションが続いた。

 

 

 やがて拍手が疎らになる頃玉座のモモンガが片手を上げ再び静寂が訪れる。

 

 「リディは我らとは違い人間だ。人間は睡眠、食事、休養を必要とする種族。転生しレベルも落ちている彼は村の侵略者を撃退したのもあり疲れているだろう。プレアデス。交代で彼の世話を務めよ」

 「「「ハッ!」」」

 

 『あ、皆さん休むついでに俺の部屋でこれからのことを話し合いましょう』

 『わかった』『わかりました』『りょ』

 「そうだね。迷惑をかける」

 「ここに居らぬ者達にも藤丸一香さんの帰還を伝えよ!ご苦労だった諸君、持ち場に戻れ」

 「「「ハッ!」」」

 

 守護者の皆が玉座の間から出て行くがプレアデスの長女ユリがいる為リディは心の中でため息を吐く。

 

 『何ですかあの反応。忠誠心高過ぎて震えが止まらない』

 『これが現実だ』

 『藤丸さんはまだいいですよ。守護者達からすれば庇護対象なんですから。至高の存在としての魔王ロールは疲れるんですからね!』

 『それでも皆子供みたいなもんだし、俺はぶっちゃけ被介護者ですよ』

 『あー、なるほどそれは確かに』

 『いっそのこと人間辞めますか』

 『ゴースト化の転生アイテムありましたっけ?』

 『ゴミ倉庫になら、転生アイテムをコンプしたから記念に宝物殿に飾ってあるかも?』

 

 その時モモンガの全身が淡く光り、〈伝言〉でうんともすんとも言わなくなる。心配して〈伝言〉ではなく顔ごと向いて尋ねる。

 

 「モモンガさん?」

 「大丈夫だ」

 『え、俺なんか……ああ、なるほど。確か宝物殿にはアクターがいましたね。それでですか』

 『ギクゥ!』

 『モモンガさん、NPCは何よりも創造主を優先するみたいですよ?彼らにとって俺達は親も同然ですからね。俺の聖杯の英霊達も設定の通り振る舞いますが、奥底では俺達の影響を受けています。モモンガさんのギルドに対する愛情がそのまま創造主の貴方に向けられることだってあるんです。今度俺も付いて行きますから会いに行きましょ』

 『……はい、わかりました』

 『おお、流石藤丸さん。あのモモンガさんが即堕ち』

 『言葉に気を付けろよ?愚弟』

 

 「イタッ!?ちょ、フレンドリーファイア効くんだからね!手加減してよねーちゃん!」

 「黙れ愚弟。その羽根毟るぞ」

 

 

 「あ、ユリ。あれは姉弟のコミュニケーションみたいなものだから。別に止めなくていいしアウラ達に真似しないよう言っといて」

 「か、畏まりましたリディ様……」

 

 

 




 
 次回は少し投稿時間が遅れると思います。ご容赦を(今回の手直しと次回分)
 
 
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