人理定礎者が逝く(仮)   作:和ん子

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 前回のあらすじ
 
 なす「マシュマシュ!」
 トリ「リディ院」キリッ
 肉「リディさんお留守番ね」 (´;ω;`)ソンナ~……


卵頭「Wenn es meines Gottes Wille.(我が神のお望みとあらば)」

 

 

 

 楽しい茶会兼会議も終わり、解散となると全員が席を立つ。

 

 「じゃあ俺はこれから宝物殿に行ってきます」

 「俺も同伴で。毒無効スキルも持ってますから大丈夫ですよ」

 「じゃあ俺はシャルティア達の様子でも」

 「私は二人が戻ってくるまで自室の整理でもしてくるわね。部屋に双子を呼ぼうそうしよう」

 

 と言った風に解散し、各々が好きなように動き出した。

 

 転生してからはずっと取られないようストレージに仕舞いっぱなしだった〈リング・オブ・アインズ・ウール・ゴウン〉を指に嵌めてモモンガ同様宝物殿に跳ぶよう念じる。

 すると二人の見ていたスウィートルームの廊下から景色が変わり、空気に死に至る猛毒を含んだ金貨の山が視界に飛び込んでくる。圧巻の光景だった。

 その金色の山脈を越えて霊廟へと続く道を歩いていけば奥に明かりが見え、ソファーと長テーブルが置かれていた。

 

 「あれは……」

 

 そこに座っていた蛸の様な水死体の膨らんだ身体を持つ異形種。AOGの大錬金術師タブラ・スマラグディナがそこにいた。

 

 「パンドラズ・アクターよ。戯れはよせ」

 

 モモンガの言葉と同時に彼の姿が石を投げた水面の波紋の様に揺らぎ、その形を変える。足元から再構築されていくそれが全て形取ると、そこには黄土色のナチス軍服に身を包んだ卵頭の演者がいた。

 パンドラズ・アクター。その名の通り開けてはならない災厄の箱に準えてナザリックのギルメンの約八割の力を行使可能なAOGのチートの一つ。

 それでも特殊な職業であるたっち・みーなどの擬態はできないが、あらゆる状況に対応するほぼ万能なキャラメイクであることに間違いはない。

 モモンガは彼を創ってからずっとこの宝物殿に配置したまま閉じ込めていた。

 

 「ンンンン!我が麗しき造物主であるモモォンガ様!ご機嫌麗しゅう。息災の様で何よりです」

 「……あ、ああ。パンドラズ・アクター、お前も息災か?」

 「もぉぉぉちろん!でございます。私の敬愛するモモォンガ様ッ!」

 

 効果音が聞こえてきそうな程のオーバーアクションで応える彼の姿に同行していたリディも流石に絶句。以前に見たことはあったが、現実に動き出せばこうなるのかと。

 

 「モモンガさん」

 「言わないでくださ」

 「すっごくかっこいいじゃないですか!」

 「……は?」

 「オオ!貴方はもしや藤丸一香様!?随分と様変わりなされた様ですが……このパンドラズ・アクター、決して見逃しません」

 

 リディが更に驚く。このナザリックで階層守護者を含め名乗りもしない内に自分の正体を見破った者が皆無だったからだ。

 あまりの嬉しさに少し涙ぐんですらいた。

 

 「いっ如何されました藤丸一香様!?もしやお身体が?それとも私が何か粗相を……モモォンンガ様ァアア!?」

 「えぇい!二人とも落ち着けっ!藤丸さんはお前の忠義を喜んでいるのだ。決してお前が粗相をした訳でも異常があった訳でもない!」

 「ず、すみません……なんか最近涙腺が緩くて……ありがとうアクター。俺のことを覚えていてくれて」

 「感謝など!……いえ、滅相も無い。藤丸一香様は私めに造物主モモンガ様の様々なことを教え、この軍服やドイツ語の意味を教え頂いた恩がございます。忘れるなどナザリックに存在する守護者にあるまじきことでございます!」

 

 「「あー……そうだね」」

 

 「ん?如何なさいました?御二方。まさか……」

 「えーと、多分そのまさか、かな」

 「なんとも嘆かわしい。おいたわしや藤丸一香様……」

 

 同じ守護者でもここまで違うのか。二人の中のアクターの評価が反比例になる。

 人一倍ギルドに執着を持っていたモモンガが創造したこともあるだろうが、ギルメンに対する配慮が行き届いていた。初見で人間の彼を侮らず、更にその正体を見破ったのが最たる理由だ。

 

 「話は変わるがパンドラズ・アクター。藤丸さんの装備を取って来てくれないか?神器級のアレだ。それとここに来た目的をじっくり話そう」

 「ハッ!了解しましたモモォンガ様。ではこのパンドラズ・アクター、行って参ります。暫しお待ちを」

 「よろしく頼むよ」

 

 霊廟に向かったアクターを見送り、二人は先程彼が座っていたソファに座り、寛ぐことにした。

 サービス直前までナザリックにいた藤丸の装備が何故霊廟に保管されているのかというと、玉座の間の門前に脱げ殻のように落ちていたのだという。

 恐らくだが死亡したことで通信と転移が影響し分離したのでは?というのが四人の共通認識だ。魂は赤子に。服は聖遺物として墳墓に残ったと。

 

 服や装備を身に付けたまま生まれた英霊もいるにはいるが極めて特殊なケースだろう。

 寂れた農村で生まれた何の異常もない赤子にはそれが普通だった。

 

 「にしても良かったですね」

 「はい。〈ブラッド・オブ・ヨルムンガルド〉に対応できる毒無効装備は持ってなかったですし、キャスパリーグがいなくてもわかるって……流石アクター」

 

 リディの中でアクターへの尊敬の念が留まる所を知らない。優秀という意味ではナザリック最高の頭脳を持つ三賢者の一人であるので当然の評価だが。

 自分の黒歴史を褒められているモモンガとしては羞恥心やらで悶えたり複雑だが、自分の作品を純粋に評価してもらうのは嬉しいらしい。だが少しアクターに嫉妬していた。

 

 「お待たせしました。これが藤丸一香様の装備〈魔術礼装・カルデアス〉でございます」

 「おお!ありがとうアクター。おかえり俺の装備!」

 

 きちんと畳まれていたそれに早速着替える。この世界に来てからリディは何とかストレージに入っていた素材で魔術礼装のレプリカを作ることに成功していた。だが、この〈カルデアス〉は着替えることなく全ての魔術礼装にスキルを切り替えたりカスタマイズすることが可能になる。

 見た目は〈魔術礼装・カルデア〉と同じだが、変装や瞬時にマスタースキルを切り替えられる利便性、防御力も高く神器級としても申し分ない性能と自負している。

 

 「お似合いです藤丸さん。やっぱその白い服が落ち着きます」

 「そうですか?俺としてはアトラスの眼鏡も良かったと思いますが、まあこれでわざわざ着替える必要もなくなりましたね」

 「それにあれなんて言いましたっけ、防具なのになんで攻撃出来るんですか」

 「?ああ、戦闘服ですし、それに攻撃じゃないですよ。ガンドって言って生きてるなら神すら止める最強の足止め攻撃です。あ、でもテキスト通りなら人を簡単に殺せるから威力抑えなきゃな」

 「攻撃って言っちゃったよこの人……って予想より遥かに凶悪な麻痺攻撃ですね」

 

 北欧に伝わる魔術の一種であり西洋における「人に指をさすのは失礼である」というマナーの由来になった説もあり、指をさす事で相手を呪い、災いや病を引き起こす魔術というよりも呪術に近い。

 だが、精々が心臓麻痺かそこらで相手を即死させる程度。その効果から生きている相手にこそ有効なこの魔術は現代もノルウェーには魔術として残っており翻訳すると棒の意味を持つ。

 それも「フィンの一撃」と呼ばれる域に達したこれは心臓麻痺を待たずに無防備の人なら一撃で殺せる物理的な威力を持っていた。

 

 「確かこんな事書いたはず」

 「麻痺攻撃どころか即死攻撃じゃないですか……」

 「元々ユグドラシルも北欧の世界樹がモデルですからねぇ、相性は良かったです」

 「さいですか」

 

 彼の装備についてはこれくらいにして律儀に創造主達の談話に混ざらず待機していたアクターを少し防具の攻撃という矛盾に頭を悩ませたモモンガが呼び掛ける。

 

 「ではここに来た目的だが……藤丸さん」

 「あー、はい。パンドラズ・アクター、今ナザリックは未曾有の大事故に巻き込まれています」

 「ォオ、やはりそうでしたか。私がここの守護を任されてから幾星霜。永遠にこの平和が続くと思っておりましたが……私めに役が回ってくるとは」

 「はい。今俺達でチームを編成している、何のチームかわかるかな?」

 「ズバリ情報収集ですかな?藤丸一香様」

 「その通り。俺のアサシン達、ナザリックの〈影の悪魔(シャドウ・デーモン)〉を始めとする隠密系の魔物、セバスとプレアデスのチーム、俺達の誰か、そしてアクターお前だ」

 「ふむ……それぞれの役割、かなり多方面に行われるのですね?」

 

 暗殺者集団の英霊がそれぞれの国に侵入し、魔物視点で強者を炙り出し、ナザリックの良心のセバス率いるプレアデスの誰かに市井や貴族とパイプを作らせ、モモンガ達と護衛が冒険者として名声を手にし、行商人のアクターがナザリックの維持費や各チームに金銭と情報を伝達する。

 それぞれに繋がりはあるが決してそれを悟られない為にこれだけの布石を敷いておく。国家でもこんな贅沢で優秀な人材はそういないだろう。

 

 「Wenn es meines Gottes Wille.(我が神のお望みとあらば)」

 「パ、パンドラ……」

 「はいちょーっと失礼しますねー」

 

 使命に燃えるアクターが敬礼と共にドイツ語を高らかに叫ぶと、モモンガが発光しながらも彼に掴みかかろうとする前に、リディが間に割って入り部屋の隅に連れて行く。

 モモンガは脱力した様に再びソファに崩れ落ち抜け殻の様に偶に発光しながら動かなくなってしまった。

 それを尻目に初日から色々と詰め込み過ぎたとリディは反省する。モモンガも精神的疲労が振り切った結果がこれだ。暫くは人化させてゆっくりするのがリラックスに有効だろう。

 

 さて、壁際まで連れて来られたアクターは不思議そうな……卵頭は埴輪みたいな子供が黒で塗り潰された絵の顔なので表情はわからないが雰囲気を醸し出す。

 

 「モモォンガ様もお疲れのご様子、如何されました?」

 「モモンガさんはアンデットだから体に疲労はないが心が病んでいる。こればかりは治癒魔法で治すことはできない」

 「な、なんと……我が造物主の御心が!それは!」

 「ああ、だからアクター、君にしか頼めない。いや、彼の息子である君だからこそできることがある」

 「何なりと、この身は造物主モモンガ様に創造された、如何なる命令も我が主の為ならば」

 「うん。でもその前に……その誓いは例え自分がこうあれかしと定められた事でも破れるものか?」

 

 「Indem ich zu Gott fluche(神に誓って)」

 

 膠もなく、いやこの場合は違う。彼の脅しなど歯牙にも掛けずに即答したアクターに、リディも演技を止めて破顔した。

 

 「うんうん。流石だよアクター。君ならそう言ってくれると思っていた」

 「期待に添えて何よりです」

 「では作戦の第一歩だ。アクターには──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あ、帰って来た」

 「お待たせしましたー」

 

 モモンガの所へ戻ると二人を少し不満げに迎える骸骨魔法使い。

 だが、その表情は読み取れない。

 

 「モモンガさん、アクターには一通りこれからの行動を伝えてます」

 「そうですか。ではパンドラズ・アクター」

 「はっ!」

 「お前に宝物殿の領域守護者から外し、外部の情報収集を命ずる。異論ないな?」

 「了解致しました。貴方様に創造されたこの身、全身全霊を以ってその使命!やり遂げて見せましょう!」

 

 『アクター』

 

 モモンガからの辞令に最初の方は冷静に反応できていたが、やはり造物主自らの命令は違うもので次第にテンションが普段と変わらないものに。

 それを窘めたのにと〈伝言〉でモモンガに悟られずアクターへ短く注意する。

 

 「おっと……失礼しました」

 「は?いや、よい。お前は私が自ら創造した謂わば息子だ」

 「そうですよアクター。では俺は先に失礼して自室に戻ってますね」

 

 これで親子の時間ができるだろう。リディが気を利かせたのか逃げるように宝物殿から指輪の転移で出て行った。

 

 

 「あ藤丸さ……行っちゃったな」

 「藤丸一香様はお優しい方ですね、ち、“父上”」

 「!……ああ、そうだな。“息子”よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 各造物主と守護者が仲を深めている時、リディはというと。

 

 「スイートルームは全部回ったと思っていたけど現実になると発想の勝利だよなぁ」

 

 ユグドラシル時代にはただのデータでしかない生活空間がそのまま使えるのは非常に助かる。その名に相応しく石油王、いやコロニーの富裕層でも体験できないような施設を生身で使用できるのはリディにとっても転移後最高峰の体験にカウントされるだろう。

 ギルメンにしか使用を許されないスパや贅沢を湯水の如く使う娯楽施設。子供禁制のBARに併設されたクラブのゲームコーナーでよくギルドの高年齢組とビリヤードで遊んだ思い出がリディの中に思い起こされる。

 

 「デミウルゴスとかああいうの強そうだなぁ。でも趣味が日曜大工かぁ……今度誘うか。他はアルベド、コキュートス、セバスにプレアデス達のケアも必要かな」

 

 レッドカーペットの上をぶつぶつと物思いに耽って歩いていた。

 挙げた各守護者達とそうでない者達には明確な違いがある。造物主が、生みの親のギルドメンバーの有無だ。

 闇妖精の双子や階層守護者最強格の吸血鬼、そして演者にはあの三人がいる為何かあれば造物主達に丸投げができる。

 

 だが他は違う。彼らは希望するだろう。いつか他の至高の御方も帰って来てくれると。既にコキュートスなどはそう思っていてもおかしくない。

 リディの懸念はそこだ。社会人としての経験から思いつきそうだが部下のケアも上司の務めだ。

 だが、彼はモモンガの様に各守護者のテキストを詳しく覚えていない。だから先ずは彼らと接触する回数を増やして為人を知っていくことにした。

 

 「これは藤丸一香様。おはようございます」

 「あ、セバス。うんおはよう」

 

 ナザリックが地下だからか、思考の海に沈んでいたからか既に外は朝の様だ。全く気が付かなかった。

 リディはそれを自覚すると途端欠伸が抑えきれない。

 

 「ふわぁぁ……あ、ごめん少し寝不足で」

 「それはいけません!」

 「は?ちょっ皆どうした!?」

 

 セバスの背後でお辞儀をしていたプレアデスの皆が凄い形相で詰め寄り彼の体を持ち上げる。そして何故か六人で神輿の様に担ぎ上げられ茫然とし無抵抗のリディ。

 えっほえっほと笑いを誘う掛け声の割に全く揺れがないのはメイドの嗜みなのか……。チラと下を見ると他に比べて身長が足りないシズとエントマが万歳状態なのを見て少しホッコリする。

 

 「って!どこに」

 「藤丸一香様の自室でございます」

 「はい?」

 

 あっという間に自室に運び込まれたリディを中にいたマシュが驚きの表情で迎える。その反応は正常だ。

 

 「せ、せせせ先輩っ!?」

 「これは失礼。藤丸一香様が寝不足だということでこうして自室まで運ばせて頂きました」

 「は、はぁ……確かに先輩は昨日帰って来ませんでしたし」

 

 それは一人第九階層を回っていたからだが、セバスが告げてマシュがそう補足する。するとセバスの目が怪しく光る。

 

 「ヒッ」

 

 厳つい顔の鋭い眼光で射抜かれたリディは短い悲鳴をあげる。そしてプレアデス達によって甲斐甲斐しく世話されふかふかのベッドに寝かされた。

 

 「……えっとぉ」

 「ご自愛ください。御身は脆弱な人間の体。もし体調不良や病で倒れられたら……食欲がお有りならプレアデスに朝食を運ばせますので。ではマシュ様。至高の御方の看病はお任せしても?」

 「はい!こういうイベントは後輩や異性の家族が一番だとペロロンチーノ様にご教授頂きましたので!バッチリです!」

 

 ペロロンチーノォ!!と心中絶叫するリディ。はてさて、その叫びは怒りによるものか感謝なのか。

 

 「それは、なるほど至高の御方が言われるのであれば。良い事を教えて頂きました。では私共はこれで」

 「はい、ありがとうございました」

 

 お辞儀をして退出する家令の姿を見送り手を振っていたマシュが振り返る。

 

 「調子はいかがですか?先輩」

 「いや、ただの寝不足なんだが……流石にこれは予想外だ。本気であいつら俺を要介護者だと思ってやがる」

 『ところでマシュ、先程の看病には後輩や異性の家族が重要と聞きましたがそれはほんと──ブッ』

 『ハイハイ呼ばれてないけど皆のアイドルマーリンだよ。夢の事なら御任せあ──ブッ』

 『マスター、眠るなら母の膝で──ブッ』

 

 『なんだマスター、眠気作用と栄養を両立した料理がご所望なら今から私が厨房に行って作ってこようか?』

 「エミヤママ──!」

 

 「やはり恐ろしい。危険ですねエミヤさんの料理スキル……ブツブツ」

 

 マシュが何か呟いているが務めて視界に入れないよう現実逃避するリディ。座にいるエミヤもヤレヤレと遠い目をしていた。何かあったのだろうか?

 

 「と、とにかく!ナザリックのNPC達の意識改革を早くしないと……あ、料理はお願い。久しぶりにエミヤのご飯が食べたい」

 『了解した』

 

 念話を切ればMPを消費して遠くでエミヤが現界したのがわかる。間違いなく厨房だろう。人造人間の特性で大食漢な一般メイド達の朝食を用意するに料理長達や何人かのメイドがいるはずだ。突然エミヤが現れて驚いてるだろうが彼なら敵対する事なく厨房の一角で病人食を作っているのが簡単に想像できる。スケコマシだし。

 

 『マスター!?何かとても不名誉な呼ばれ方をした気が──ブッ』

 「カット。もう、嬉しいけど皆心配し過ぎ。夜更かしなんかこの世界に来るまではしょっちゅうやってたし大丈夫なのに」

 「でも彼らのこともわかります。先輩──いえ、一香様。私達は貴方様にもしもの事があれば自害したくなるほど自身を叱咤するでしょう。特に座を共にする我らですらこうなのですから、主人の居ない者達は」

 

 「そこまでにしてマシュ。何度も言うけど俺はそんな器じゃない。敬われるなんて窮屈だ。それに俺は君の偽りのマスター。それ以上でもそれ以下でもない。だから、やめてくれ」

 

 「わ、かりました……ごめんなさい先輩」

 

 テキストでこうあれかしと定められた口調や態度を払拭した彼女だったが、それは同じく仮のマスターとしてではなく造物主としての心境を感情を押し殺した冷たい声で吐露する。

 その声にビクンと体を震わせて怯えるマシュ。そして俯いてなんとかそう返した。

 そんな後輩の姿を見て激しく後悔するリディ。髪をガシガシ掻き乱して短く彼女を呼ぶ。

 

 オドオドした態度で枕元に立ち、顔を寄せる彼女にそっと頭へ手を置き優しく撫でた。枕元のシーツに水滴が落ちて濡れるが見て見ぬフリをする。

 彼ならこういう場合どうするのだろうか?どうすればこの愛らしい後輩や仲間達を笑顔にできるのだろうか?リディの眼には夢想に浮かぶ白い背中が浮かんでは消えた。

 その服は今彼が着ている物と酷似していた。

 

 

 

 「うまうま」

 

 少ししてエミヤがメイド達を伴い運んで来たお粥を一心不乱に掻き込む少年の姿が見られ、その尊さにその場にいた全員が鼻を抑えて悶えていたとか?

 

 

 




 
 なんか、書くごとに藤丸のキャラが……
 アホの子化が……
 
 個人的にアクターは大好きなので出せて良かったです。
 
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