Lyrical×Darkness   作:R0

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長らくお待たせして、すみませんでした。


漆黒の龍人

【Side 輝夜】

 

光城龍、俺の戸籍上の叔父としていた、こいつの正体は俺の匣アニマル、“漆黒ドラゴン(ドラゴーネ・ネーロ・コルヴィーノ)”のドレイクだ。前に言った俺が最も信頼しているのも当然だ。こいつは俺の半身みたいなものだからな。

 

こいつがこの世界にいるのは、クレアッツィオーネに頼んだからだが、こいつが人間の姿に変えられることや長時間、匣の外にいることができることは、クレアッツィオーネとは関係ない。俺のデバイス、S.C.F00を作った奴が匣の中にいたドレイクをさっきのアルフっていうオレンジ狼のような使い魔の技術を応用して、改造したのだ。

 

通常の使い魔とは異なり、俺の場合は死ぬ気の炎と僅かに魔力をドレイクに供給している。これは、前の匣アニマルのときの性質が残っているのかもな。それと異なる点といえば、俺の炎が切れそうなときは、前に使っていた匣に戻るらしい。特に不便な点は見当たらないし、本人いや本龍?も気に入っているみたいだから、あいつには感謝だな。………あいつが俺の許可も無しに勝手に弄くりやがったから半殺しにしたことは知らん。

 

「それで?あの小娘たちはどうだったんだ?輝夜」

 

なんとなく、そのときのことを思い出していると、龍がツインテール2人組について尋ねてきた。

 

「あいつらか……。はっきり言って大したことなかったな。高町なのはは最近、魔法を知ったみたいだし、戦闘経験も他の連中との訓練はあったとしても実践経験は俺たちがジュエルシードを発動する前から回収しているからほとんど無いだろう。フェイト・テスタロッサのほうはどこか手慣れている感じはあったがそれでもあの動きから見た感じ実践はほとんど無いだろうな」

 

「そうか。……ん?フェイト・テスタロッサ?」

 

龍もそこが気になったか。だが、それは帰ってからだ。

 

「龍。そっちのほうはどうだったんだ?例の転生者3人と戦ったんだろ?」

 

「あぁ。その3人と草食動物2匹と戦ったんだがーー」

 

雲雀恭弥かよ、その表現の仕方。フェレットも狼も一応肉食動物だろ。と頭の隅で考えながら、俺は龍の話を聞いた。

 

 

 

 

 

【Side 龍】

 

シュンッ!!

 

ユーノ・スクライアの強制転移魔法で飛ばされた俺たちは輝夜たちがいる場所から離れた場所にいた。まぁ、離れているとは言っても輝夜の炎の位置から把握するとその気になれば、すぐに駆け寄れる程の距離だな。おそらく、高町なのはの救援にすぐに行けるようにするためだな。どうやら、ちゃんと考えているみたいだな。だが、それは俺やアルフにもすぐに救援に行けることを示唆している。

 

まぁ、輝夜に救援はいらないか。どんな格下相手でも輝夜は舐めた真似をすることがあっても慢心は取らないからな。あんな小娘たちに負けるとしたら、輝夜の運が相当悪く、逆に小娘たちの運が相当良くなければ起きないな。

 

ブンッ!!

 

「ぐっ!?」

 

とりあえず、俺の尻尾で巻き付けていた潮田翼をお仲間のところに投げ飛ばした。

 

「翼!!」

 

「大丈夫!?」

 

「あ、あぁ……。だが、なのはと引き離されてしまった」

 

「う、うん。これはまずいよ……。なのは一人であの2人、特にダークネスを相手するには、荷が重すぎるよ……」

 

「ふん!!こっちもあんたたちに構っている暇はないんだよ!!早くフェイトのところに戻らなくちゃ……」

 

空中であいつらはそう話していた。どうやら、連中はことの深刻さを理解しているみたいだな。意外にもあのアルフっていう馬鹿そうな犬っころも。

 

「ムッ。今、あんた、あたしのこと馬鹿にしたかい?」

 

「グルッ」

 

ほぅ。獣だけあって、勘が良いな。それと、アルフの問いに関しては即答で頷いた。別に隠すことじゃないしな。それが原因か知らないが、アルフの額に青筋が浮かび上がった。

 

「馬鹿にすんじゃないよ!!」

 

そう言うと、アルフは狼の姿から獣人の姿に変わって、俺に殴りかかってきた。別に挑発したつもりは無いのだが、まぁ、この状況を利用しない手は無いか。俺は殴りかかってきたアルフの拳をかわして、懐に入った。

 

シュルルッ!

 

そして、俺は自分の尻尾をアルフの腹に巻き付けた。

 

「ッ!?離せ!!」

 

アルフがそう叫んでいたが、安心しろ。すぐにお望み通り離してやるよ。俺はそう考えて、アルフを巻き付けたまま、地面に向けて急降下した。

 

「なっ!?ま、まさか!?ま、待ってくれ!!」

 

アルフが何か言っていたが知らん。俺は地面の近くまで行くと……

 

「グオォォーーーー!!!」

 

「キャイン!?」

 

ズボッ!!

 

そのまま、前転してアルフを地面に叩きつけた。アルフは上半身が地面に埋まって、地面から下半身が出ているという無様な格好になった。うむ。意図した訳じゃないんだが犬っころには相応しい姿になっているな。たしか、『犬何とか』という作品ではこの態勢が有名らしいし。

 

「な、何ていうか……」

 

「その……」

 

「惨い……」

 

「う、うん……そうだね……」

 

潮田翼たちが何か引いていたが知らんな。これは一応、戦いなんだから惨くなるのは、仕方ないことだろ。

 

「ん……!ん……ブハッ!?くっ……何をするんだい、あんた!!」

 

……驚いた。思ったより頑丈だな。足をばたつかせたと思ったら、アルフの奴、地面から抜け出しやがった。……まぁ、いいや。俺は俺で本来やるべきことをやるだけだな。

 

「スゥーー。グオォォォォォーーーーーーーー!!!!」

 

『ッ!!?』

 

俺は息を吸うと、思いっきり咆哮を上げた。その咆哮の大きさに周りは思わず耳を塞いだ。

 

ブオォォンッ!!

 

『!?』

 

そして、それと同時に俺たちを取り囲むように周りに黒い結界が張られた。まぁ、俺が張ったんだがな。

 

「これは結界魔法か!?」

 

「私たちを閉じ込める気!?」

 

「……ッ!?ダメだ!この結界の中だと転移魔法が使えないみたいだ!」

 

「そんな!?それじゃ、なのはちゃんのところに行けないの!?」

 

潮田翼たちが慌てていた。この結界には輝夜(俺の主)の闇夜の炎の力が混じっている。力業で抜け出すにも攻撃が無効化されるから無意味だし、転移魔法でここから抜け出すのも不可能だ。

 

「ふん。なら、あんたを倒せば、この結界も解けるって訳だね」

 

ほぅ。やっぱり、思ったよりも頭が回るなあの犬っころ。いや、脳筋ゆえの短絡的思考か?でも、的を得ているんだよな。この結界は俺が倒されたら解けるようにできている。

 

「……やっぱり、あんた、あたしのこと馬鹿にしてるね?」

 

「グルッ」

 

「ブチッ! この蜥蜴がーーーー!!!」

 

また、俺の考えを読み取ったらしいな。それで、また俺が即答で頷くと今度は獣人型で青筋を浮かばせてキレたと……。だが、今度は突っ込んでは来なかった。潮田翼たちもアルフの言葉を聞き、狙いは俺に定めたようだな。……ふっ。予定通りだな。じっくりとお前らの戦力を分析させてもらうよ。

 

シュンッ!!

 

すると、潮田翼が俺の背後に回っていた。沢田綱吉と同じ大空の炎の推進力の高速移動か……。そして、潮田翼は拳を引いて、殴る態勢を取っていた。

 

「ハァアッ!!」

 

ドガッ!!

 

「ぐっ!?硬い!」

 

潮田翼の拳は俺に直撃したが生憎、その程度の拳じゃ、龍の鱗には通じない。

 

「グオォォ!!」

 

俺はそのまま振り返って、潮田翼を爪で攻撃しようとした。

 

「“マ・セシルド”!!」

 

ガキンッ!!

 

「大丈夫!?翼君!!」

 

「あぁ。助かったよ、花音」

 

だが、赤松花音が張った盾のせいで防がれてしまったな。

 

「“チェーンバインド”!!」

 

すると、今度はユーノ・スクライアが緑色の鎖のようなものを俺に絡ませた。

 

「はぁー!」

 

「これでも喰らいな!」

 

そして、それを見た途端、二宮葵とアルフが両側からそれぞれ槍と拳で攻撃してきた。どうやら、共闘を選んだみたいだな。

 

「グオォォォーーーー!!!」

 

ブチッ!!ブチッ!!

 

別に受け止めることはできるが、素直に受け止める気は無い。俺は体を捻って、バインドを引きちぎった。

 

「そんな!?」

 

ユーノ・スクライアが驚いている中、俺はバインドがちぎれたのを確認すると、二宮葵とアルフの攻撃が当たる直前で体を移動させてかわした。そして、そのまま俺は尻尾を振るって攻撃を仕掛けた。

 

「どいて!」

 

それを見て、二宮葵が前に出て自分が持っていた盾を構えた。

 

ドガンッ!!!

 

バキッ!!!

 

「キャーッ!?」

 

「ぐっ!?」

 

だが、盾はあっさりと砕けて、俺の尻尾は2人に当たって飛ばされた。……それにしても、何故二宮葵はあそこでアルフを庇ったんだ?共闘しているとはいえ、一応敵だろ?理解ができない。

 

「2人とも!大丈夫!?今、治すね!“サイフォジオ”!!」

 

赤松花音が2人に駆け寄るとそう言った。すると、羽と水晶を持った剣が出現した。そして、その剣は赤松花音の手の動きに合わせて……

 

グサッ!!

 

「「「!?」」」

 

2人をまとめて突き刺した。これには俺も驚いた。ユーノ・スクライアとアルフも驚愕の表情を浮かべていた。だが、転生者の2人は表情に変化は無かった。いったい、あの剣に何の効果があるんだ?さっきの赤松花音の言葉通りなら………。俺がそう考えていると……

 

「!?き、傷が治っていく!?」

 

「な、何なんだ!あの力は!?」

 

剣に突き刺された二宮葵とアルフが負った傷がみるみる回復していく。やはり治癒能力を持つ剣だったか……。そんな魔法は聞いたこと無いし、ユーノ・スクライアの驚き様からも十中八九、クレアッツィオーネとは別の神から貰った特典というやつだな。だが、赤松花音も敵であるはずのアルフを助けたな……。原作知識というやつから、恩を残しておくと後々に良いことでもあるのか?アルフも怪訝そうな顔をしているし……。そこだけは本当にわからない……。

 

「ありがとう、花音。でも、あのドラゴン、強いわ。アキレスシールドを一撃で破壊されるなんて…」

 

「うん。それで翼くんから伝言を預かっているけど……。アルフさんも聞いて……」

 

………赤松花音が二宮葵とアルフに何か、話しているな。潮田翼とユーノ・スクライアは何もせず、こちらを警戒しているな。

 

「………わかったわ。その手で行きましょう。アルフもいい?」

 

「………仕方ないね。フェイトの元に戻るためにはその方が早そうだね。だけど、それで大丈夫なんだろうね?」

 

「大丈夫!それは安心していいよ!」

 

「うん」

 

3人は話を終えたみたいで、潮田翼たちのほうを向いた。そしたら、お互いに頷いていた。そして、二宮葵が槍を掲げた。

 

「いくよ、カナデ!」

 

『わかったぜ!』

 

「『Croitzal ronzell Gungnir zizzl』」

 

二宮葵がデバイスとそう言うとそいつが光に包まれた。そして、光が晴れるとバリアジャケットが白い騎士のようなものからオレンジを基調としたボディースーツにどこかメカメカしい装甲を身に纏っていた。そして、側に巨大な槍があった。……なんだか、色々とツッコミたいところがあるんだが、そう考える暇もなく、二宮葵が攻撃を仕掛けてきた。

 

「♪~」

 

……はっ?仕掛けてきたのと同時にいきなり歌い出したんだが何でなんだ?そのバリアジャケットの能力か?どういう訳か、動きもかなりいいものになっているし……。

 

「はぁーーー!!」

 

そう考えているとアルフも攻撃を仕掛けてきた。どうやら、2人がかりでの攻撃みたいだな。二宮葵は巨大な槍を自由自在に操って、俺に攻撃してきて、アルフが拳や魔力彈で攻撃をしてきた。そんなのが続き、何発か俺の体に当たっているみたいだが、生憎、俺には効いてない。

 

「グオォォォーーーー!!!」

 

「「ぐっ!?」」

 

俺は翼と尻尾を用いて、2人を吹き飛ばした。

 

「くっ!やるわね……!でも!バン!」

 

『あぁ!必殺ファンクション!』

 

「“ライトニングランス”!!」

 

そう叫ぶと二宮葵は槍を片手で回転させた。すると、槍が光に包まれて、その光の槍を投擲してきた。なるほど、確かに強力だ。だが、俺も受け止めてやるつもりはない。

 

「グオァァァーーーー!!!」

 

俺は口から漆黒の炎、闇夜の炎を吐き出した。

 

ドカーーーンッ!!!

 

光の槍と闇夜の炎がぶつかると大爆発を起こした。だが、俺の炎のほうが1枚上手のようだったな。光の槍を飲み込んで、闇夜の炎が二宮葵に向かった。

 

「“マ・セシルド”!!」

 

チッ!どうやら、また赤松花音の盾のおかげで防がれたみたいだ。

 

「“チェーンバインド”!!」

 

シュルルッ!

 

すると、ユーノ・スクライアがまた、俺にバインドをかけたみたいだ。だが、無駄だ。この程度のバインド、いくらでも破れる。

 

「今だよ!翼!」

 

「あぁ!」

 

ユーノ・スクライアの言葉を聞いて、俺は潮田翼のほうを向いて、驚いた。潮田翼は右手を後方に回して、膨大な炎を出して、左手を俺のほうに向けていた。

 

「な、なんだい……!あれは……!」

 

アルフが信じられないものを見たかのように口を開いていたが、俺は知っている。あの構えは……

 

「“X(イクス) BURNER(バーナー)”!!」

 

輝夜の認めた男、沢田綱吉の代名詞とも言える技、“X(イクス) BURNER(バーナー)”。潮田翼の左手から膨大な炎が俺に向かって来た。なるほどな。二宮葵とアルフの怒涛の攻撃は“X(イクス) BURNER(バーナー)”の溜めを稼ぐための時間稼ぎ。ユーノ・スクライアのバインドも一時的でも逃げられないようにするためのものか。

 

ゴオォォォ!!!

 

俺がそう考えている間に炎が迫ってきて、そしてそのまま俺を飲み込んだ……。

 

 

 

 

 

【Side 翼】

 

よし!“X(イクス) BURNER(バーナー)”が直撃したぞ!葵に花音、アルフが時間稼ぎをしてくれて、ユーノが一瞬でも、あいつの動きを封じてくれたおかげだ!………だが………

 

「「「翼(くん)!!」」」

 

そう考えていると、葵たちがやってきた。アルフもブスッとしながらも俺に近づいてきた。今の段階ならば本来、俺たちは敵対しているはずだから、そうなるのも仕方ないな。

 

「これが翼の奥の手………。凄い、威力だよ………」

 

「たぶん、翼くん。あれ本気じゃないと思うよ」

 

「あぁ。あれで3割だ」

 

「!?あれで3割かい!?」

 

俺の言葉にアルフとユーノが驚いているみたいだ。俺が本気を出してしまえば、ここら一帯を更地に変えてしまうからな。皆を巻き込まないためには手加減はどうしても必要になるな。

 

「でも、まだ安心しちゃダメよ。()()()()()()()()()()()()ってことは……」

 

「「「!?」」」

 

葵の言うとおりだ。あのドラゴンが炎に呑まれたのに、周りの結界が解かれる気配ないってことは………。

 

「まだ、倒していないってことだ」

 

「グォオオオオオオーーーーー!!!!」

 

『!!?』

 

俺がそう言うと同時に、爆煙の中からドラゴンの咆哮が聞こえてきた。皆、それを聞いて、改めて気を引き締めた。

 

ブォンッ!!

 

すると、爆煙が吹き飛んだ。俺たちは爆煙から姿を現したドラゴンの姿見て驚いた。

 

「なっ!?無傷!?」

 

「そんな……。翼くんの“X(イクス) BURNER(バーナー)”は、なのはちゃんの砲撃よりも上なのに……」

 

そうだ……。全力じゃなかったから、倒せているとは思えていなかったが、それでも無傷は予想外だ……!!しかも………

 

「それに、あいつ燃えているよ!!」

 

あぁ。あいつの体が黒い炎で燃えているのだ。俺たちはあの炎が何なのか、わからない。だが、超直感があの炎がレアスキルや魔力変換のものでは無いって教えてくれる。いったい、何なんだ………。

 

「グルルッ……!!」

 

「ッ!?“武装色硬化”!!」

 

俺は超直感と神様からいただいた特典の1つである『ONE PIECE』の“三種の覇気”の見聞色の覇気でドラゴンが何かしてくるのがわかって、咄嗟にXグローブごと腕に武装色の覇気を纏わせて、構えた。そして、次の瞬間………

 

シュンッ!!

 

ガキンッ!!

 

『なっ!!?』

 

遠くに居たはずのドラゴンが俺の目の前にいきなり現れて、例の黒い炎を纏わせた爪で攻撃をしてきた。爪は覇気を纏わせた腕に衝突した。一瞬のぶつかり合いが終わると俺たちは1度、離れた。

 

「ッ!?」

 

危なかった………。今の攻撃、もし覇気を纏ってなかったら、俺はやられていた。だが……、覇気を纏っていても、あの攻撃は俺の腕を痺れさせた。そう何度も持たないぞ。

 

「グル……」

 

ドラゴンも今の攻撃の感触に違和感を感じているのか自分の爪を見ていた。違和感を感じるのは当然だ。覇気はこの世界には無い力だ。使えるのも俺だけだ。

 

「グルッ」

 

そう考えていると、ドラゴンが爪から俺たちのほうに顔を向けた。……って、不味い!!

 

「皆、防御だ!!」

 

あいつが何をするのがわかった俺は皆にそう呼び掛けた。だが…、遅かった。

 

シュンッ!!シュンッ!!シュンッ!!シュンッ!!

 

ドガンッ!!ドガンッ!!ドガンッ!!ドガンッ!!

 

「「キャアッ!!?」」

 

「「ガッ!!?」」

 

「葵!!花音!!ユーノ!!アルフ!!」

 

あのドラゴンが一瞬で皆のそばに何連続も移動して、それぞれ防御も回避もする暇もなく、攻撃を与えたのだ。しかも、その攻撃がどれも威力が高く、皆、一撃でやられてしまって気を失ってしまった。それを見て、俺は呆然とした。

 

…………そして、それがいけなかった。

 

「グオォッ!!」

 

「ッ!?」

 

俺が呆然とした一瞬の間にドラゴンが俺の背後に瞬間移動してきたのだ。そして……

 

ドガッ!!

 

「ガハッ!!?」

 

ドカンッ!!!

 

そのまま、防ぐ間もなく、俺は強烈な攻撃を受けてしまった。…………くそっ……!!……結局、……あのドラゴンに……傷1つ付けることができなかった……。なのは……、フェイト……、すまない……。どうか……、無事でいてくれ……。

 

そして、俺はそのまま、気を失った。

 

 

 

 

 

【Side 輝夜】

 

「…………で、全員、倒したのを確認して、お前は戻ってきた訳か」

 

「そう言うことだ」

 

「あっそ」

 

龍の話を聞いて、俺はあっちで何があったのか、だいたい理解した。ユーノ・スクライアやアルフに関してはこの世界の魔法の知識とあまり大差が無いからともかく、問題はやはり転生者か。龍の話を聞いただけでも、連中には気になるところが山ほどある。奴らの力の大半はおそらく、特典によるものだろう。それは俺たちの持つ常識に当てはまらない。……だが転生者たちだけなら、おそらく、このままでも問題は無かっただろうな。俺たちの持つ()()()。これを使えば、転生者たちや高町なのはを大人しくさせることは間違いない。前に月村忍も言っていたが一応、ジュエルシードを集める目的はある程度、同じだからな。……あまり、このやり方は好きでは無いが、つまらないプライドを守って失敗するぐらいなら、そんなものゴミ箱に捨てるな、俺は。

 

だが、フェイト・テスタロッサ。あいつは違う。あいつのジュエルシードは集める姿勢はまるで、任務を実行する者と同じものだ。それはつまり、あいつの背後に黒幕がいるってことだ。その黒幕が何のためにジュエルシードを集めているのか、それによっては切り札は逆効果でしかない。龍の話だと転生者たちがあいつの使い魔に対して、気にかけていたみたいだ。原作知識とやらであいつらの目的を知っているのか?だとしても、だから大丈夫だという楽観視は俺にはできない。遅かれ早かれ、時空管理局も関わってくるだろうし、やることは山積みだな。

 

「龍。帰ったら、ジュエルシードの回収と並行して、情報を集めるぞ。これは如何に先手を取ることが重要だ。少しでも出遅れたら、おしまいだと思え」

 

「Si,boss」

 

そう言って、俺たちは旅館で借りている自分の部屋へと戻った。

 

次の日、高町なのはたちが外で一夜過ごしていたことに、親たちから説教を受けていたみたいだ。連中は俺たちがダークネスとドレイクだと気づいた素振りを見せていなかったから、俺と龍は知らないふりをした。

 

フェイト・テスタロッサとアルフはどうやら、さっさとチェックアウトしたみたいだ。

 

3馬鹿?さぁ、知らん。興味もないしな。

 

あの後、特に大したことも起きず、こうして、温泉旅館での出来事は終わった。




ジュエルシード、所持数

輝夜サイド:?個(少なくとも6個以上)

なのはサイド:0個

フェイトサイド:0個

龍の正体が輝夜の匣アニマルのドレイクだと気づきましたか?

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