Lyrical×Darkness   作:R0

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今回は短めです。


プロローグ2

「あんたは俺よりも強い。下手すれば、俺たちが戦ったあの()()()()()()()()()()よりもな」

 

「……………」

 

「でも、だからこそ、納得ができないところもある。…………クレアッツィオーネ。なぜ、お前はあの戦いに参加しなかったんだ?」

 

「……………」

 

輝夜の有無を言わせない言葉にクレアは少し黙っていたが、意を決して口を開いた。

 

「………別にあなた方を見捨てようとしたわけでは、ありません」

 

そう言うと、クレアは立ち上がって、自分の胸に手を置いた。

 

「私は『創造』を司る女神。『破滅』を司るロヴィーノとは対極の存在であります」

 

(創造と破滅……)

 

「確かにあなたの言うとおり、あの弱体化した状態のロヴィーノなら私でも倒せたかもしれません。しかし、ロヴィーノは私が介入できないように()()()をしていました」

 

「小細工……?」

 

クレアの言葉に輝夜は眉をひそめた。

 

「あなたはまだ、《神々至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の邪神》と呼ばれているロヴィーノのことを甘く見ています」

 

「なに……?」

 

「私とロヴィーノは神々の中でも、最高峰の力があります。それこそ、()()()()()()()()()()()()()の力を。そして、それは弱体化していても同じでした」

 

「!?」

 

クレアの言葉に輝夜は驚愕した。そして、輝夜はなぜ、クレアが戦いに参加できなかったのか、その理由を察した。

 

「あんたはその破壊を防いでいたというのか……。その司っているという『創造』の力で……」

 

「理解が早くて助かります。本来、私たちが世界の中で存在するには、ある程度、力を抑える必要があります。しかし、ロヴィーノはそんなことお構い無しに力を世界を破滅に追い込むぐらい出してきました。私もそれを抑えるために全力を出しました。そのため、私にはロヴィーノと戦う余力が残っていませんでしたし、他の神々では、ロヴィーノに太刀打ちすることなんてできません。だから、あなた方人間に任せることにしたのです。……しかし、こんなのはただの言い訳です。すみませんでした……」

 

そう言って、クレアは頭を下げた。

 

「………いや、俺も責めるような言い方して、悪かった」

 

そう言って、輝夜も謝罪した。

 

「……他に聞きたいことはありますか?」

 

そこでクレアは輝夜に尋ねた。

 

「………最後に1つだけ」

 

「なんでしょうか?」

 

クレアがそう尋ねると、輝夜は真剣な眼差しでこう言った。

 

「9年前に死んだ光城聖輝とその妻、光城明夜。それから、元の世界で生きている光城明聖はどうなっている?」

 

輝夜が訊いたのは、このことだった。輝夜にとって、大事なこの3人の現状はどうしても気になることであったのだった。それに対して、クレアは優しく微笑んで、こう言った。

 

「大丈夫です。前者のお二人は新たな人生を謳歌していますし、光城明聖ちゃんは、最初はあなたが亡くなったことにショックを受けていましたが、沢田綱吉さんたちの励ましにより、幸せに過ごしています」

 

「………そうか」

 

クレアの言葉に輝夜は無愛想な顔から嬉しそうに微笑んでいた。

 

「それじゃあ、そろそろ行くよ」

 

そう言って、輝夜は穴のほうへ近づいた。

 

「あれ?穴から飛び降りるつもりですか?」

 

「は?何、言っているんだ?」

 

「いえ、先程、あんなに怒っていらっしゃったので……」

 

「それは、無理矢理、俺を落とそうとしたからだろ。それに他に移動する手段があったとしても、今度はどんな悪戯をされるか、たまったもんじゃないからな」

 

「あはは……」

 

輝夜にそう言われて、クレアは顔が引きつって、苦笑いした。そして、輝夜が穴の手前で止まると、クレアに声をかけた。

 

「クレアッツィオーネ」

 

「はい、なんでしょうか?」

 

「聞きたいことはあれで終わりだが、最後に言いたいことがある」

 

「それはいったい?」

 

そう言うと、輝夜は顔だけクレアのほうに向いて、こう言った。

 

「あんたが転生した先での世界で俺の何を()()()()()()()()のか知らないが…」

 

「!?」

 

「俺は誰かの操り人形になる気もないし、自由にさせてもらう。……それだけだ」

 

そう言うと、輝夜はクレアの言葉を待たずに穴へと飛び降りた。

 

 

 

 

輝夜が飛び降りた後、クレアはジッと穴のほうを見ていた。そこでポツリと呟いた。

 

「行っちゃったわね……」

 

そう言うと、クレアはクスリと笑った。

 

「私にあんな啖呵を言うなんて、とても、おもしろそうな子ね。せっかくだから、彼の1つ目の特典にオマケを入れようかしら?………そうね。入れましょう!特に的外れというわけでもないからね♪」

 

クレアは楽しそうにそう言っていた。今、クレアの口調が変わっていたがそれを指摘するものはこの場にいなかった。しかし、次の瞬間、楽しそうな顔をしていたクレアの表情が変わった。

 

「……それにしても、気づいていたのね。私があなたのことを試そうとしていることに……」

 

輝夜の言うとおり、クレアは輝夜に何かを試そうとしているようだった。

 

「それにこの私が背後を取られていることに気づけなかったなんて……。さすが、《人類至上サイキョウ(最強・最恐・最凶)の人間》と呼ばれていることだけはあるね。このことを言ったら、彼、怒りそうだけど………」

 

クレアは先程の出来事を思い出しながら、そう呟いた。

 

「光城輝夜……。あの時、あなたが言っていた、あなたが認めた人間……。そうなのよね?()()()()()?」

 

クレアはどこか、悲しそうな顔をしながら、()()()のことを思い出していた。

 

「ロヴィーノ……。あなたは、あの時こう言ったわよね?」

 

『あいつ、光城輝夜(ダークネス)()()()()()()()()()()()()()()さ』

 

「あの言葉が本当なら、私も()()()けど………。これ以上、私たちの問題を彼に関わらせるわけにはいかないわ。それに悪いけど、あなたの言葉も鵜呑みにはできないわ………。だから――――」

 

そう区切ると、クレアは意を決した顔つきをして、こう言った。

 

「最終的にどうするかは、光城輝夜()に任せるわ。でも、まず、その資格があるか、私が試すわ!」

 

クレアの言葉は澄みきった青空に響いた。

 

そして、輝夜の新たな人生が今、始まる。




次回から、いよいよ本編、始まります!
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