最初の事件
【Side 輝夜】
あれから、8年以上が経った。俺は、今、8歳児だ。………言ってるだけで何だか馬鹿馬鹿しくなってきた。聞いてのとおり、俺は今はガキの状態だ。8歳児となると、前世では、リヴォルッツィオーネという軍での訓練兵をやっていたな。まぁ、そんなことはどうでもいいか。この8年の間に関して知りたいという奴はいると思うが、悪いが詳しい話はまた、いずれするとして、今はこれからのことについて、考えるか………。
「輝夜」
そう考えていると、俺に話しかけてきたのは、赤目のウルフヘアーの黒髪を持った長身の20代の男だ。
「あぁ、龍か」
こいつは、光城龍。血の繋がりはあるような、無いような……、まぁ、戸籍上では、俺の叔父に当たる、俺がこの世界で最も、信頼できる男だ。俺が転生者ということも前世のことも知っている。俺は、こいつと今、住んでいる家に2人で暮らしている。は?この世界の親?知らない。そんなことはどうでもいいだろ。
「何か、考えていたみたいだが?」
「そんなの、もちろん今後のことについて、決まっているだろ」
「……それも、そうか。『魔法少女リリカルなのは』。この世界を舞台とした物語か……。それにしても、魔法……。そんなものがあるとはな……」
龍の言うとおり、俺もその存在には、驚いた。この8年の間にいろいろと調べてわかったことだが、その1つが魔法だ。リンカーコアと呼ばれる器官が魔法の元を作り出すみたいだな。だが………
「だが、その魔法っていうのは、おとぎ話に出てくるような生活に役立たせるものじゃなくて、ただの兵器としての使い方しか無いみたいだがな。それに、万人に使えるわけじゃない」
「リンカーコアが無ければ、魔法は使えないからな」
「あぁ。まぁ、今はそこはどうでもいい。それよりも、魔法少女って言うからには、争いの道具である魔法を使うってことだろ?ってことは、必ず、争いごとが起きる」
「輝夜はその争いごとに関わる気は?」
「……さあな。場合によるとしか、答えられない。それに俺たちはその争いごとがいつ、どこで起きるのかわからないからな」
クレアッツィオーネには、その物語に関する情報はいらないって、言った。そのことに関しては、別に後悔する気は無い。それよりも、問題なのは………。
「俺以外にいる6人の転生者についてだ」
問題は、ここだな。その6人はこれから起きることについて、知っている。そいつらが、その争いごとに関わるかは知らないが、ひとまず、そいつらの情報は知っておく必要はある。
「そいつらが、どう動くかは知らないが、今後のために警戒する必要はある」
「確かに……だが、その6人に関しての手掛かりは無いんだろ?」
「……あぁ」
そうなんだ。その6人には、関しては年齢、性別ともに不明だ。ほんの少しでも手掛かりがあれば、助かるのだが………。
「………まぁ、地道に探すしかないんじゃない?」
「それもそうだな……」
龍の言うとおりだ。焦ってもしかたない。転生者たちの情報もできれば欲しいという程度のものだしな。
「ところで、輝夜……」
「ん?どうした?」
「実は、醤油を切らしてしまってな。買ってきてくれないか?」
「………それは、今、必要なのか?」
「あぁ。今日の晩飯は肉じゃがだからな。無いと困る」
「………仕方ない」
面倒くさいが、晩飯ができないのはもっと困る。俺は財布を持って、玄関に向かった。
「それじゃあ、行ってくる」
「いってらっしゃい」
「さて、醤油も買ったことだし、帰るか」
スーパーで醤油を買った帰り、俺は路地を歩いていた。その路地は夕方という時間のこともあり、人通りが少なかった。俺が十字路の手前にさしかかると………
ビュウン!!
黒いワゴン車がもの凄いスピードで目の前を通り過ぎていった。………普通に危ないだろ。俺がそう思って、十字路を通り過ぎようとしたが……
バッ!!
俺は思わず、壁の裏に隠れた。その理由は………
「ちょっと、何よ!?離しなさい!!」
「うるせぇ!!おい!!こいつら、詰め込め!!」
「キャー!?」
黒服の男たちが今の俺と同年代の少女2人をさっきのワゴン車に詰め込んでいたのだ。そして、詰め終えると男たちはそのまま、ワゴン車に乗って、どこかに行った。
「誘拐か……。周りには誰もいないし、見かけた以上、放っておくわけにもいかないな」
俺はそう考えるととりあえず、携帯でこのことを龍にメールを送って、俺は自分の左手首につけていたブレスレットに言葉を発した。
「起動しろ。『
【Side ???】
私、月村すずかは何が起きたのか、わからなかった。友達のアリサちゃんとお稽古の帰りのときに、もの凄いスピードで車が走ってきて、私たちのすぐ近くで止まったら、男の人が降りてきて、私たちを無理矢理、乗せられて、どこかに連れて来られちゃった。私たちは、今、ロープで縛られて、知らない部屋の端っこに放ったらかしにされている。私たちの前にあるドアの近くでは、私たちを車に乗せた人とその仲間の人たちが何か、話している……。
「すずか、大丈夫?」
「う、うん……。アリサちゃんは……?」
「私もよ。それよりも、これって……」
「うん……、たぶん、誘拐だと思うよ」
私のお家もアリサちゃんのお家も家が裕福だから、身代金目当てでこういうことが起きる可能性があることはわかっていたけど……。すると、前にいる男の人たちのうちの1人が近づいてきた。
「ちょっとアンタ達!どうせ身代金目的の誘拐でしょ!?だったら私1人いれば十分の筈よ!すずかは解放して!」
「ア、アリサちゃん……」
アリサちゃんがその男の人に大きな声で叫んだ。だけど、その男の人もアリサちゃんの声が聞こえた仲間の人は、何がおかしいのか笑い出した。
「ハハハハッ!!確かに俺たちは金欲しさにてめぇらを攫ったが!!俺たちの雇い主の目的は、そこの紫髪のお嬢ちゃんだからな!!」
「!?」
今の男の人の言葉で、私はわかっちゃった。私のお家も裕福だけど、アリサちゃんのお家程じゃない…………。だから、私が目的ということは、もしかして…………。
「ちょっと、すずか!!顔色悪いけど、大丈夫!?」
「ア、アリサちゃん………、ごめんね………」
「何、謝ってるのよ!!確かに、私は巻き込まれたみたいだけど……逆に私があんたを巻き込んじゃうこともあるかもしれないから、気にしないでよ!!」
「ア、アリサちゃん……!!う、うん………!!」
アリサちゃんの言葉に私は嬉しくて、泣きそうだった。
「な、なぁ……。せ、せっかくだしよぉ~。こいつらで
すると、1人の男の人が周りの人に訊いていた。その人の目がおかしくて、もの凄く嫌な予感がする…………。
「なんだ?テメー、ロリコンかよ?まぁ、時間はまだあるし、いいか。だが、金髪のお嬢ちゃんだけだぞ。紫髪のお嬢ちゃんは無傷にしろって話だからな。あと、あまり犯り過ぎるなよ」
「へへ、あざ~っす♪それじゃあ、お嬢ちゃん♪お兄さんといいことをしようかぁ~♪」
そう言うと、男の人が私たち………というよりも、アリサちゃんに近づいた。
「いや!!来ないで!!変態!!」
「やめて!!アリサちゃんに何もしないで!!代わりに私が!!」
「ちょっと、すずか!?何、言ってるのよ!?」
隣でアリサちゃんが叫んでいるけど……、お友達のアリサちゃんが無事なら…………。
「残念だが、さっき言ったとおり、お前は雇い主から無傷で連れて来いって言われているのさ」
「そ、そんな………」
男の人の変な動きをしている手がアリサちゃんに近づいている。このままじゃ、アリサちゃんが…………
「へへへ~♪」
「い、いや……」
そんなの………嫌だ!!
「誰か………誰か、助けて!!」
ドカーーーーン!!!
「「「「「ガッ!!?」」」」」
「「「「「「「!?」」」」」」」
すると、いきなり、ドアが飛んできた。ドアの近くにいた人たちはそれに巻き込まれて、気を失ったみたいだった。私もアリサちゃんもアリサちゃんに近づいていた男の人もその男の人の巻き込まれなかった仲間たちもポカンとして、出入り口のほうを向いた。すると、誰かが入ってきた。
「誰だ!?」
男の人たちは部屋に入ってきた人に拳銃を突きつけた。そして、入ってきた人は薄暗い部屋だともの凄く見えにくいぐらい黒いローブを身に纏っていて頭に同じように黒いマスクを被った
「通りすがりの目撃者とだけ言っておこう」
【Side 輝夜】
大声で助けを呼ぶ声が聞こえたから、聞こえた部屋の扉を蹴破ったが、見た感じギリギリだったな。危ない危ない。………なぜ、俺が大人の姿しているのか、気になっている人がいるみたいだな。………はぁ。時間が無いから簡単に説明するけど、俺には実はリンカーコアがあってだな、S.C.F00は俺のデバイスという魔法を使うための道具だ。ちなみに今はローブに隠れて見えないが俺の左腕のダイヤル付きの大きめの籠手として装備されている。その変身魔法を使っている。ガキの体だと戦うのにいろいろと不便だからな。格好に関しては、訳あって、正体を隠しているからだ。悪いがその訳やデバイスを手に入れた経緯は言えない。
さてと、それよりも今はこの状況をどうするかだな。この部屋にいる誘拐犯は10人だったみたいだが、半分は俺が蹴破った扉の下敷きになって伸びているな。まぁ、手間が省けたからいいか。
「テメー!!見張りの奴らはどうした!?」
「あぁ。入口にいた奴らなら、今頃、全員、夢の中だ」
「何だと!?」
本当に入口にいた奴ら、たいしたことなかったな。逆に弱い者いじめしている気分だった。こいつら、裏の連中なのは間違いないが、俺が調べた限りだと、この世界には死ぬ気の炎の存在は知られていないみたいだからな。それにボンゴレやアルコバレーノ、
「チッ!!こいつを撃ち殺せ!!」
人が考え事しているときにこいつら、発砲してきやがった。まぁ、別にかわせるから問題ないが。
「くそ、なぜ、当たらない!!?」
「こいつ、何なんだ!!?」
なんか、言っているみたいだが長時間かける必要ないからな。
「ガハッ!!?」
まずは近づいて、1人腹に膝蹴りかました。この時点でこいつは気絶した。次にその状態から体を回転させて、回し蹴りでこいつの背中を蹴って、こいつの仲間の固まっていた2人のほうへ飛ばした。
「「うぉっ!?」」
「くそっ!!邪魔だ!!」
2人組はそいつを受け止めたが、邪魔だと思って、横へと捨てた。そこへすかさず、俺が2人組の頭を掴んで、床へ叩き付けた。
「「ガッ!!?」」
2人はそれで気絶したが、俺はまだ手を止めない。隙だらけの男へ移動して、腹を殴りつけた。
「ガハッ!!?」
そいつはそれで気絶して、倒れた。そこで俺は最後の1人のほうへ向いた。
「あとは、お前だけだな」
「ま、待て!!そ、そうだ!!良いことを教えようじゃないか!!」
「良いことだと?」
どうせ、ろくでもないことだろと俺がそう思っていると、そいつはべらべらと勝手に話し始めた。
「そこのガキ共を助けに来たみたいだが、金髪の嬢ちゃんはともかく、紫髪の嬢ちゃんは助ける価値なんてねぇぞ!!なんたって、そいつは――――」
「!?やめて!!」
「夜の一族っていう、吸血鬼の化け物だからな!!」
「いやーーーーーー!!!!」
男の言葉で紫髪の小娘が叫んだ。そして、金髪の小娘は信じられないという顔をして、紫髪の小娘の顔を見ていた。
「嘘よね……すずか……?あいつの言っていること………?」
「………………」
金髪の小娘が紫髪の小娘、すずかと言うのか、まぁ、そいつに尋ねたが青ざめた顔で黙っていた。それは言外に肯定しているようなものだが、まぁ、それよりも………
「それが、良いことか?」
「あぁ!!そうさ!!そいつを助けたところで何の価値も無いんだ!!金髪の嬢ちゃんは返すから、見逃してくれ!!」
要は命乞いかよ。まぁ、それよりも、すずかという小娘は吸血鬼ね………。
「………確かにいいことだな」
「「!?」」
「ハハッ!!そうだろ!!そいつは……「ただ……」……な、何だよ………」
「いいことはいいことでも、どうでも
「なっ!!?」
「「えっ!!?」」
俺の発言に何だか、全員、驚いているみたいだが、無視しよう。
「そこの小娘が人間じゃない?そんなこと、この部屋に入って、
「なっ!!?」
「「えっ!!?」」
俺の発言でまた、驚いているみたいだな。ロヴィーノやクレアッツィオーネっていう、人間とそっくりの人外を見たんだ。人間か人外の見分けぐらいつく。まぁ、吸血鬼だということはさすがにわからなかったが、そこは言う必要性ないな。
「俺は種族差別はしない主義なんだ。だから、吸血鬼だからっていうくだらない理由で助けないということはしない。だが、そこの吸血鬼の小娘が人を襲うなら、助ける気も起こらないが………」
俺は、そこですずかという小娘のほうを見た。小娘は不安そうな顔をして、こっちを見ていた。そして、俺は確信した。
「こいつの目を見る限り、そんなことは無さそうだからな。だから、こいつも助ける」
俺がそう言うと、すずかという小娘の目からポロポロと涙がこぼれていた。俺にとってはどうでもいいことだが、こいつにとっては本当に不安なことだったんだな。そこら辺は同情するよ。
「ふざけんな!!!そんな理由で――――!!!」
「黙れ」
俺がそう考えているときに誘拐犯がいきなり叫びやがった。やかましかったから、殺気を込めて、一言だけ言った。すると、面白いくらいピタリと止まった。まぁ、そんなことはどうでもいいとして、そろそろ終わらせるか。俺はそう思って、誘拐犯に近づいた。
「くっ!!?こうなったら―――」
バンッ!!!
「ギャーッ!!?」
本当、こういう小物の人間は読みやすくて、ある意味いいな。どうせ、そこの小娘2人を人質に取ろうとするだろうから、この誘拐犯の拳銃を持っている手をさっき、気絶したこいつの仲間からくすねた拳銃で撃った。誘拐犯はあまりの痛みに拳銃を落とした。
「く、来るな!!!」
誘拐犯は撃たれた手を押さえながら、後ろへと下がって行ったが、残念ながら、すぐに壁にぶつかるんだよな。
「もう終わりか?」
「く、くそっ!!!」
誘拐犯は壁と背中を合わせて、悔しそうにしていたが、そんなことはどうでも良かったから、俺は右拳を握りしめて、殴りかかった。
ドガンッ!!!
「「「………えっ?」」」
今の光景を見て、小娘2人と誘拐犯は驚いているみたいだな。まぁ、そうだろうな。顔面を殴ると思ったら、
「1つ、言い忘れていたが……」
「な、なんだよ………」
「世の中には
これが言いたかったんだよな。人外は化け物で人間はそうじゃないという考えは本当にくだらない。世の中には、化け物染みた人間など五万といる。俺の前世の仲間たちやそいつらを倒した沢田綱吉とその仲間たち、そして………
「俺とかな?」
ピキッ……ピキピキッ……ドガンッ!!!
「「「!!?」」」
俺がそう言うのと同時に俺が殴ったところを中心にヒビが入って、壁が崩れた。その壁は外に面していて、開放感に満ち溢れていた。
「わっ……わっ!!」
「おっと!」
危ない危ない。誘拐犯の奴、壁にもたれかかっていたのか知らないが、俺がとっさに左手でそいつの胸元を掴んだからよかったものの危うく外に落ちそうだったぞ。
「お前にはまだ、死んでもらう訳にはいかない。お前が知っている情報を吐くまではな?」
俺は小声で誘拐犯に言った。『夜の一族』っていう吸血鬼の一族の普通じゃおそらく知られることのないことを知っているところを見ると、こいつらは身代金目的の誘拐じゃなくて、どこかの誰かの依頼からの誘拐だな。
「だ、誰が、言うもんか!!!」
誘拐犯は、もう強情に叫んでいたが、ぶっちゃけ俺も別に興味は無いんだよな。ただの親切心からなんだよな。どうせ、そこの金髪のほうはともかく、吸血鬼の小娘の関係者は情報、欲しいだろうしな。だが、言う気無さそうだな。まぁ、別に予想外じゃないし、少しでも情報を吐きやすくするためとついでに
「S.C.F00」
俺はS.C.F00についているダイヤルを少しいじった。すると…………
「ひぃっ!!?や、やめろ!!化け物!!!」
誘拐犯はいきなり、顔を青ざめて、悲鳴を上げた。小娘2人は何が起きているのか、わからないという顔をしていた。まぁ、これ以上、怖がらせる訳にもいかないし、今回の実験も十分だし…………
「ガハッ!!?」
腹を殴って気絶させた。これで、終わりだな。………だが、まだ帰ることはできなさそうだな。俺は穴が空いた壁から下を見て、そう思った。そこには、同じようにこちらを見ている人物がいた。