Lyrical×Darkness   作:R0

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今回は少し、長くなりました。


秘密の共有

【Side 輝夜】

 

誘拐犯を全員、気絶させた後、俺はとりあえず小娘2人のロープを解いた。2人は俺に対して、何て言えば良いのか、わからないという顔をしていた。まぁ、無理も無いだろうな。今の俺の格好は怪しいという自覚もあるし。

 

「すずか!!アリサちゃん!!」

 

そう考えていると、扉の外れた入口から吸血鬼の小娘似の女と黒髪黒目の男と紫髪のそれぞれ短髪と長髪のメイドが2人、入ってきた。窓の外から俺を見ていた連中だな。……前者2人はともかく、最後メイドかよ。ってか、吸血鬼似の女も人外だな。おそらく、件の夜の一族の吸血鬼だろ。それにメイド2人も人間じゃないな。それ以前に生物なのかどうか。男は人間だが、かなりできるな。あっ。そう言えば、そこの金髪の小娘はアリサというのか。まぁ、どうでもいいか。

 

「「お姉ちゃん(忍さん)!!恭也さん!!ノエル(さん)!!ファリン(さん)!!」」

 

次々に来た連中の名前を知ることができたな。小娘2人は、安心して、今来た連中のほうへ走って行った。

 

「貴様、何者だ」

 

「ッ!?」

 

すると、恭也っていう男が俺のほうを睨み付けながら、声をかけてきた。別に、如何にも怪しい格好した奴がこの場にいれば、そんな態度を取ってしまうのは当然だから、気にしていないが……。こいつの声……。……いや、今はそんなことはどうでもいいか。

 

「そこに転がっている誘拐犯共にも言ったが、通りすがりの目撃者だ」

 

「ふざけているのか!?」

 

俺が問いに答えると、恭也っていう男は怒鳴りやがった。

 

「別にふざけてなどいないさ。事実、俺がここに来た理由はそこの小娘たちが誘拐されている現場を見たからな」

 

俺がそう言っても、納得できないという顔をしているな。別に気にしていないからいいんだけど。めんどくさいことになったな……。どうしようか……。最悪、そこの穴空いた壁から飛び降りて逃げるっていう手段も取れるが……。

 

「落ち着きなさいって、恭也。彼はすずかとアリサちゃんを助けてくれたんだから」

 

俺がそう考えていると、確か、すずかという小娘の姉の忍っていう女が間に入ってきて、恭也っていう男を宥めていた。そして、次に俺のほうを向いた。

 

「私は月村忍。妹とその友達を助けてくれて、ありがとうね」

 

俺のほうを向くと女、月村忍は微笑みながら自己紹介してきたが……。……ハァ。顔は笑っているが、目は笑っていないぞ。大方、夜の一族のことで警戒しているんだろうな。さて、相手が自己紹介してきたし、俺も名前、言うべきか……。だが、とある事情で正体を隠している俺が本名を明かす訳にもいかないし……。

 

「俺は『ダークネス』。そう、呼んでくれ」

 

……………………ハァ~~~~。…………我ながら、長いため息だな。…………いや、それよりも、本名を明かす訳にはいかないから偽名を名乗るしかないとはいえ、なぜとっさに思い付いた偽名が最も嫌いな呼ばれ方のこれなんだ?あれか?最も嫌いな故に、印象に残っているからか?…………まぁ、もう言ったものは仕方ないからこの格好のときはダークネスっていうことにしておこうか。だいぶ、憂鬱だが………。

 

「そう。ダークネスさん。悪いけど、少し私たちとお話できないかしら?」

 

俺が内心でそう考えていると、月村忍がそう言った。

 

「話か……。はっきり、言ったらどうだ?『夜の一族のことを知った俺を放っとくことができない』と」

 

『ッ!?』

 

今の俺の言葉で小娘以外の警戒心を高めたようだな。だが、俺は薄く笑って、こいつらにこう言った。

 

「安心しろ。別に話ぐらいしてやるさ。だが、場所の移動ぐらいしたら、どうだ?被害者のその小娘共をいつまでも現場に置いておく訳にはいかないだろ?」

 

「…………そうね。それじゃ、私たちと一緒に家に来てもらうわ。アリサちゃんも悪いけど、一緒に来てくれないかな?」

 

「は、はい。わかりました………」

 

そう言って、誘拐犯たちはおそらく、夜の一族に関係のある人たちに任せて、俺たちは月村忍の家に向かった。

 

 

 

 

さっきのノエルと言ったメイドの運転する車に乗って、俺たちは月村邸について、客間に案内された。かなり、でかい家だな………。今の日本には、貴族という文化が無いのは理解しているが……貴族嫌いの俺にとっては、どうにも居心地が悪いな……。

 

「――――――という訳なのよ」

 

どうやら、俺がそう感じている間に、月村忍の夜の一族についての話は終わったみたいだな。といっても、別に俺にとっては、だから何だっていう話だがな。生まれ持った力が強い?そんなの、さっきの誘拐犯にも言ったが、人間にもそんなの五万といるし。不思議な力も以下同様。定期的に血を飲まなくてはいけないといういかにも吸血鬼っぽいのも、輸血パックの血で十分みたいだし、本当にたいした話じゃない。

 

「それで私達、夜の一族にはある決まりがあるの」

 

「決まりですか?」

 

俺が知りたかったのは、ここからだな。俺にとってはどうでも良くても、こいつらにとっては重大なこと。秘密を知った俺とアリサ・バニングスをこのまま放置しておくということは無いからな。……あぁ。ちなみにこの客間に到着してから、全員の自己紹介をしているから、アリサ・バニングスや他のメンツの本名や月村忍と高町恭也が恋人などの簡単な関係性を知っている。

 

「ええ、私達一族の秘密を知ってしまった人には、今まで知った一族の秘密を知ったまま、一族と共に秘密を共有して生きていくか……秘密を()()()過ごすかを選択してもらわなくてはならないの……」

 

要するに、誰にも言わないと約束するか記憶自体を無くすか…か……。問答無用で口封じをするというのが、無いところを見ると、かなり優しいことだな。さて、俺はどうするか…………。

 

「…………私は、………忘れたくありません」

 

「アリサちゃん…………」

 

俺がどうするか、考えているとアリサ・バニングスがそう言った。

 

「すずか………。あなたが何者であろうとね、あなたは私の親友なのよ。だから、絶対に忘れたくない!」

 

「アリサちゃん………。ありがとう………」

 

アリサ・バニングスがそう言うと、月村すずかは涙を流して、アリサ・バニングスに礼を言った。

 

「アリサちゃん。私からもお礼を言わせて、ありがとうね。これからもすずかをよろしくね」

 

「はい!」

 

「ふふ。それで、ダークネスさんはどうしますか?」

 

月村忍がそう言うと全員が俺のほうを向いた。さて、どうしようか……。

 

「………仮に秘密を共有して、生きていくほうを選んだとして、お前らは俺のことを信用できるのか?」

 

俺がそこで1度区切ると、自分のマスクに手を当てて、説明した。

 

「俺は訳あって、他人に正体を知られたくない。このマスクとかの格好も他人に素顔どころか、髪の毛1本も知られたくないからだ。気づいていると思うが当然、ダークネスも偽名だ。そんな得体の知れない人物に自分たちの秘密を任せることができるのか?」

 

「それは………すみませんがさすがにどこの誰かがわからないというのは………」

 

だろうな。俺がその立場でも同じことを言う。

 

「となると、その秘密を忘れるってことになるが、それには問題点が2つある」

 

「問題点ですか……?」

 

「しかも、2つも?」

 

俺の言葉に月村忍と高町恭也が聞き返した。

 

「あぁ。1つ目は忘れたところで()()()()()()()()からだ」

 

「い、意味がない……?それは、どういうことかしら?」

 

俺の言葉に全員、どういうことかわからず、月村忍が聞き返した。

 

「月村すずかから聞いていないのか?俺は、一目見ただけで人間か人外ぐらいわかることを」

 

「「あっ!?」」

 

俺の言葉に月村すずかとアリサ・バニングスが思い出したように声を上げた。どうやら、その様子だと伝えていないみたいだな。

 

「それはつまり………あなたは、最初にすずかを見た時点で普通の人間じゃないことに気づいていたって訳ですか……」

 

「あぁ。もちろん、月村忍、お前が部屋に入ってきたときにも気づいたし、付け加えるならば一緒に入ってきたそこのメイド2人も人間じゃないよな?…いや、それ以前に血肉を持った生物ですらないよな?」

 

「ええーーー!?そんなことまでわかっていたのですか!?」

 

俺がそう言うと、ずっと黙っていたファリン・K・エーアリヒカイトが驚いた声を上げていた。無表情だったノエル・K・エーアリヒカイトも少し驚いた表情をしているな。他のメンツも驚いているみたいだ。

 

「えっ?えっ?どういうことなの!?」

 

ただ1人、アリサ・バニングスを除いて。まぁ、ついさっきまで夜の一族のことを知らなかった奴が知っているわけ無いな。

 

「…………ノエル。見せてあげて」

 

「わかりました。忍お嬢様」

 

月村忍がノエル・K………長いし、言いにくいな………。メイド姉でいいや。妹のほうはメイド妹でいいや。それでメイド姉に何か一言言うと、メイド姉は自分の手で反対側の腕を持つと………

 

スポッ……

 

引き抜いた。

 

「えっ……えぇーーーーー!!?ノエルさん!!腕!!腕が!!」

 

それを見たアリサ・バニングスはめちゃくちゃ驚いているな。

 

「アリサちゃん……。実はね、ダークネスさんの言うとおり、ノエルとファリンは人間じゃないの。夜の一族の失われた技術で作り上げたロボットなのよ………」

 

「ロボット………。ノエルさんとファリンさんが………」

 

アリサ・バニングスは今の話を聞いて、信じられないような顔をしていた。まぁ、ぶっちゃけ俺も驚いているよ。人間じゃないことには気づいていたが、それを差し引いてもこいつらはロボットの筈なのに、まるで人間のように振る舞っているからな。そんなの前世でも見たことも無い。豪の作る改造死体や地球のモスカというロボットもいたが、あれらは当然、今のこのメイド姉妹のようなことはできない。それに………

 

()()()()()()……か……」ボソッ

 

「ん?何か言ったか?」

 

俺の呟きが聞こえたのか、高町恭也が訊いてきた。良い耳してやがるな……。

 

「いや、なんでもない。それよりも話を戻すが、俺が言いたいのは仮に夜の一族に関する記憶を失ったとしても、再びお前らに相まみえたら、俺はすぐにお前らのことを人外だと気づく」

 

「だから、意味が無い……ということですか……」

 

俺の言葉に月村忍が顔をしかめて、そう言った。

 

「そして、もう1つの理由だが、根本的な話、『()()()()()()()()()()()?』ということだな」

 

「そ、それはどういうことですか………?」

 

俺の言葉に月村忍が今度は訳わからないという顔をしているな。まぁ、それは他のメンツにも言えることだが。

 

「質問に質問で返すようで悪いがそもそも、どうやって記憶を忘れさせるんだ?」

 

「そ、それは、私たちの魔眼で………」

 

「なるほど。一種の催眠術みたいなものか。…………それなら、悪いが俺にはそういうのには耐性があるから効かないぞ」

 

「えっ!?それは本当ですか!?」

 

「嘘だと思うなら、何か試せばいいだろ」

 

「そ、それじゃ……『そのマスクを外しなさい』!!」

 

「……断る」

 

「「「「「!?」」」」」

 

月村忍の魔眼を使った命令を断ったことにまだ夜の一族について、完璧に理解している訳ではないアリサ・バニングス以外が驚いていた。この記憶を忘れさせる方法が人為的に脳をいじくらせるとかならともかく、そういう催眠術や洗脳系は前世で受けたロヴィーノと同等かそれ以上のものじゃなきゃ効かないんだよな。

 

「…まぁ、そういうわけで俺は忘れることができないから秘密の共有しかない。だが、俺は正体を明かすことはできない。さて、どうしたものか………」

 

「そ、それは………」

 

月村忍たちは困った表情をしているな。まぁ、秘密を共有するしかないとはいえ、相手がどこの誰かはわからないときたものだ。………仕方ない。俺としては、このまま諦めてもらってほしかったが、こいつらとは()()()()()()()()()()()()()()()

 

「………仕方ない。素顔とかの個人情報以外の俺の秘密を明かす。それで手を打とうではないか」

 

俺のいきなりの言葉に月村忍が驚きながらも考えた。

 

「………わかりました。それで手を打ちましょう」

 

「いいのか、忍?」

 

「仕方ないわ。他に手がない以上、こうするしかないわ」

 

「賢明な判断だな。それで明かす秘密だが、お前らもあの時外から空いた穴を通して見た誘拐犯の発狂した種明かしだ」

 

「あれか……。……確かに俺たちも気になっていたが………」

 

「あれはこいつの特性だ」

 

俺はそう言って、S.C.F00を腕から取り外して目の前のテーブルの上に置いた。

 

「この機械が…………」

 

「あぁ。この機械についているダイヤルを操作して、あの誘拐犯に幻覚を見せた。それだけさ」

 

「そんなことが………す、すごい……」

 

…………気のせいか?心なしか月村忍の目が輝いて見えるのは?

 

「ね、ねぇ……」

 

「何だ?」

 

「この機械、調べてもいい!?」

 

「…………は?」

 

月村忍の言葉に俺はあっけにとられた。いや、言葉の内容自体は別にそこまでおかしいものではなかったが、こいつのこの態度。まるで……

 

「あぁ……。すまない。忍はメカオタクなんだ」

 

「そうだったのか。どうりでどこぞの変態マッドのような態度だと思った」

 

俺が思っていたことを察したのか、高町恭也が説明した。それに俺も納得して、そう言うと………

 

グサッ!!

 

「へ、変態……マ、マッド………」

 

俺の言葉の何かが月村忍に突き刺さったみたいだ。さっきの目を輝かせていたときとは打って変わって、ショックを受けたようだった。

 

「し、忍さん!!私たちはそんなことを思っていませんから!!そうよね、みんな!?」

 

「「「「…………」」」」

 

アリサ・バニングスが何とか励まそうとしていたが、妹、恋人、メイド姉妹という月村忍の身近な関係者が目をそらしていた。俺の言葉に否定できないということか。その事実に余計に月村忍はへこんだ。ハァ……。このままだと、話が進まないな。

 

「ハァ…調べられるものなら、別に調べても構わないが――――」

 

「ほ、本当!?それじゃあ、さっそく!!」

 

俺の言葉を聞くと同時に月村忍は再び目を輝かせて、S.C.F00を手にとって調べようとしたが、人の話は最後まで聞けよ。それは―――

 

ビリリッ!!

 

「キャアァーーー!!?」

 

『忍(さん/お嬢様)/お姉ちゃん!!?』

 

「それは静脈認証システム付きで登録者以外がばらそうとすると、象が気絶する程の電流が流れるから調べるのは無理だと思うぞ」

 

ついでにその静脈認証システムを登録しているのは俺と龍、それからこのS.C.F00の制作者とその助手の4人だけだ。制作者とその助手が誰なのかはまた今度だ。それよりも当然、登録していない月村忍は電流を浴びて、1人掛けのソファごと後ろに倒れた。それを見て、高町恭也たちは心配して月村忍に駆け寄った。一応、俺も倒れた月村忍に近づいて、覗いてみると……

 

「………そ、そう言うことは………先に……言って………」ガクッ

 

目を渦巻き状に回しながら、月村忍が気絶した。いや、そう言うことは先に言えって、言われてもな……。

 

「人の話を最後まで聞かなかったのはお前だろ」

 

俺の言葉に今度はアリサ・バニングスを含めた全員が頷いた。

 

 

 

 

10分後

 

 

 

 

10分経つと、月村忍が目を覚ました。早いな。象でも数時間は目を覚まさないはずだが………。俺がそのことを言うとどうやら夜の一族は回復も早いらしい。

 

「………それで、それがあなたが明かしてくれる秘密ですか?」

 

回復しても、まだ若干焦げている月村忍がそう訊いてきた。

 

「いや、これだけじゃ、お前らも納得しないだろうから、もう少し言ってやる」

 

「!?良いのですか……?」

 

「別に構わない。それでついでに明かす秘密だが、俺は他の人間と違うところがある」

 

「えっ!?」

 

「それはなんですか?」

 

俺の言葉に月村姉妹が妙に食いついた。まぁ、自分たちも夜の一族という周りと違うということを考えれば当然か。

 

「俺は魔導師。言い換えると魔法使いだ」

 

『えっ?』

 

俺の言葉に全員が呆気に取られていた。まぁ、当然の反応だな。

 

「魔法使いなんて……そんなの……」

 

「いるはずがないと言いたいのか?それなら聞くがアリサ・バニングス。お前はつい先程まで吸血鬼がいると信じていたか?」

 

「そ、それは………」

 

「俺たちは全知全能の神じゃないんだ。この限りなく広い世界には、まだ俺たちの知らないことが数え切れないほどある。幽霊や宇宙人とかもいないと完全に否定することはできない」

 

アリサ・バニングスが否定しようとしてきたが、俺の反論に言葉を失った。それは他のメンツもそうだった。

 

「まぁ、百聞は一見にしかず。証拠を見せるさ」

 

俺はそう言って、掌に黒い魔力光の魔力弾を作った。それを見て、全員が驚いていた。それを確認すると、俺は魔力弾を消して話しかけた。

 

「これで納得してくれたか?」

 

「…え、えぇ……」

 

「そうか。それは良かった。それで話を戻すがこのS.C.F00(機械)もデバイスと呼ばれる魔法の杖みたいなものだ」

 

俺がS.C.F00を示しながら説明した。全員、まさかS.C.F00が魔法の道具だと思っていなかったらしく、さらに驚いていた。

 

「まぁ、魔法と言っても、お伽話に出てくるようなファンタジーなものではない。プログラムなどの科学の延長線上に生まれたものだし、使用用途の大半も戦闘用のものだ」

 

「科学の延長線上………それなら、私たちも使えるというのは―――」

 

「残念ながらそれはない」

 

「……えっ」

 

月村すずかが自分たちも魔法が使えるのではないのかと思ったみたいだが、残念ながらそれはできない。

 

「魔法はリンカーコアと呼ばれる特殊な器官が魔法の元を作り出す。その器官は生まれつきのもので全ての人が持っている訳ではない。むしろ、持っているほうが少ない。少なくともこの場にいる者で俺以外にリンカーコアを持っているものはいない。それは持つ者なら感覚でわかるものだ」

 

「そうですか………」

 

そう言うと、月村すずかとアリサ・バニングスが残念そうにしていた。ファンタジーなものではないと言ったはずなんだが、それでも魔法に対する妙な憧れでもあるのか?まぁ、それはどうでもいい。

 

「これが俺の話せる秘密だ。どうだ?これで十分か?」

 

「はい、大丈夫です。わざわざ、2つも秘密を言ってくださって、ありがとうございます」

 

「さっきも言ったが別に構わない。それよりもこれでお互いの秘密を共有するということでいいな?」

 

「えぇ」

 

「そうか。………あぁ、それと俺のことは他言無用で頼めるか?」

 

「大丈夫です。妹とその友達の恩人に仇で返す真似はしません」

 

「俺も約束しよう」

 

「私も言いません!」

 

「私もです!」

 

「もちろん、私たち姉妹もダークネス様のことについては言いふらしません。ファリンもいいですね?」

 

「はい!もちろんです!」

 

「そうか、それは助かる。それでは、帰らせてもらってもいいか?」

 

「えぇ、もちろん。あっ!見送りましょうか?」

 

「いや、いい。玄関までの道も覚えている」

 

「そうですか」

 

そこで会話が終わると俺は帰ろうと扉のほうに向かった。

 

「「ダークネスさん!!」」

 

扉の前まで来ると、後ろから月村すずかとアリサ・バニングスが声をかけてきた。

 

「なんだ?」

 

「その私たち……まだ、ダークネスさんにお礼を言っていなくて……」

 

「私もすずかもダークネスさんのおかげで今、こうやって無事にいることができています。本当にありがとうございました!」

 

「ありがとうございました!」

 

そう言って、2人は頭を下げた。

 

「気にするな。それじゃあな」

 

そう言って、俺は今度こそ部屋を出た。

 

 

 

 

【Side 3人称】

 

輝夜が出て行った扉のほうを見て、アリサとすずかが話していた。

 

「行っちゃったね………、アリサちゃん」

 

「そうね……」

 

「………また会えるかな?」

 

「それは、どうかしら…?あの人、正体隠しているし」

 

「そうだよね……。でも、また会えるといいね」

 

「そうね……」

 

そう話し合う2人の頬は赤かった。そんな2人の後ろではそれを見て、忍はにやついていて、そんな忍を恭也とノエルが呆れた顔をしていて、ファリンは苦笑いしていた。

 

 

 

 

 

ところ変わって、月村邸から出た輝夜は人気のない路地に移動した。そこに入ると、輝夜は両手を被っていたマスクに当てた。

 

「ハァ……。やっと、終わった。それにしても、まさかあんなメンツと出会うことになるとはな………。一応、()()()()()()か」

 

そう言って、輝夜は被っていたマスクを脱いだ。マスクを脱いだ後に見せた素顔は8歳児のものではなく、18年成長させた前世の26歳の時の顔だった。




次回から原作に入る予定です。
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