Lyrical×Darkness   作:R0

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無印編
転生者、集合


【Side 輝夜】

 

帰ってから、龍には誘拐事件の顛末について、話した。まぁ、夜の一族のことは約束のことがあったために話していない。だが、龍は俺が連中に魔法のことを教えたことから、話せない連中の秘密があることを察して、深くは聞いてこなかった。だが、連中に関しては警戒する必要があることだけは伝えた。

 

「警戒する必要がある……か……。その内容に関しては教えてくれないんだな?」

 

「あぁ。悪いが口約束とはいえ、破る訳にはいかないからな」

 

「いや、いい。それで警戒するとは言ったがどうするつもりなんだ?」

 

龍がそう尋ねてきたが、俺も答えは思いつかなかった。

 

「わからない……。ただ、連中がどう動くのかわからないから。とりあえず、今は下準備するしかない」

 

「そうか……。まぁ、そうするしかないか…」

 

これがその日に話した会話だ。そして、あの誘拐事件から数日経ったある日の晩のことだった。

 

(………誰か……僕の声を聞いて……力を貸して………魔法の………力を…)

 

寝ていた俺は、起きて、こう呟いた。

 

「………念話。魔法技術のない、この地球でか……。チッ!面倒ごとが起きそうな予感がする…」

 

 

 

 

 

その念話が聞こえた翌朝、俺はさっそく、龍と朝飯を食いながら、そのことについて話をした。

 

「念話…。しかも、助けを求めるものとなると確かに面倒ごとが起きることだろうな」

 

「あぁ。だから、悪いが龍…」

 

「言わなくても、わかっているさ。俺が調べてみるよ」

 

「あぁ、頼む。………ハァ。俺も一緒に調べたら、良いんだが……」

 

俺がため息つきながら、そう言うと龍はニヤニヤとムカつく笑顔でこう言った。

 

「いやいや~。確かに変身魔法を使えば問題ないけど、輝夜は今は小学生なんだからちゃんと学校に行かなきゃ~♪」

 

「ムカつく笑顔でムカつく言い方するな。………ハァ。とりあえず、そっちは頼んだ。ごちそうさま」

 

「あぁ、任せた。あっ、片付けは俺がやっておくよ。そろそろ、時間だろ?」

 

龍に言われて、俺は時計を見た。確かに時間はギリギリではないが、そろそろ出たほうがいいな。俺はそう思うと、学校へ行く準備をして、玄関に向かった。

 

「それじゃあ、行ってくる」

 

「あぁ。いってらっしゃい」

 

お互いに挨拶をすると、俺は玄関を出た。ハァ……。憂鬱だ。だが、仕方ないか。とりあえず、向かうとするか、俺が通っている()()()()()に。

 

 

 

 

 

【Side 龍】

 

俺は光城龍。戸籍上の輝夜の叔父をやらせてもらっている。職業は私立探偵だ。他にも俺のことについて、気になる奴もいると思うが、それはまた今度な。それよりも、俺は輝夜に頼まれた昨晩の念話のことについて、調べに向かっている。あぁ、実を言うと、俺も魔法が使えるのだが、それもまた今度な。

 

「ん?」

 

俺が輝夜からあらかじめ聞いていた怪しい場所に車で向かっている途中、公園に人だかりやパトカーが止まっているのを見つけた。ただの事故なら無視したが、件の場所に近かったし、俺は近くの駐車場に車を停めて、徒歩で近づいた。

 

「あの、いったい何があったのでしょうか?」

 

「ん?あぁ、どうやら、この公園が酷く荒らされていたみたいでな。それで大騒ぎなんだ」

 

「そうなんですか」

 

俺は人だかりの中にいる通行人の1人は事情を聞くとそう答えた。うん。十中八九、何か関係があるな。だが、警察が見張っているし、調べようがないな。どうしたもんか……。

 

「あれ?もしかして、龍くんじゃないのか?」

 

俺がそう考えていると立ち入り禁止のテープの中にいた水色がかった銀髪のショートヘアの女性が近づいてきて、俺に声をかけてきた。

 

「リスティ刑事。お久しぶりですね」

 

「まったくだよ。ここ最近、会ってないからな」

 

女性の正体はリスティ・槙原。彼女は刑事をやっている。俺と彼女はお互いの仕事の都合で何度か会ったことがある。輝夜も彼女のことは知っている。

 

「龍くんがいるならちょうどいい。ちょっと、来てくれないか?」

 

「……いいのですか?俺は一応、一般人ですが?」

 

「あぁ。構わないさ。龍くんは私が最も信用できる名探偵だからな。それに、君は……いや、ここで言うのはやめておこうか。とにかく、入っていいぞ」

 

少し持ち上げている気がするが、調べることができるなら、ちょうどいい。俺は彼女の厚意に甘えて、現場に入った。……それはそうと、リスティ刑事、後半に言おうとしたことですが、言わないでくれて本当に助かります。

 

「そういえば、輝夜くんは元気か?」

 

すると、リスティ刑事が尋ねてきた。

 

「えぇ、まぁ」

 

「そうかそうか。あの子も頭が良いから是非とも意見を聞きたかったな」

 

「あいつは今、学校ですよ」

 

「そんなことはわかっているさ。たらればが漏れただけだ。……おっと、そう言っている間に着いたな」

 

リスティ刑事と会話していると、どうやら着いたみたいだった。その現場を見て、俺は驚いた。木はなぎ倒されていたり、ベンチは壊されていたり、電柱は折れ曲がっていたりした。

 

「これは酷いですね」

 

「あぁ。こんな惨状は僕たちも初めてだ。それで、これを龍くんはどう思う?」

 

どう思う…ね………。

 

「昨日までは何とも無かったのですよね?」

 

「あぁ。昨日までは至って平和だった」

 

「ってことは、たった一晩でこの惨状……。どう考えても、普通の一般人には無理ですね」

 

「まぁ、そうだな。重火器を使われた形跡も無いしな」

 

「えぇ。実はリスティ刑事。これから俺の言うことはオフレコでお願いしたいのですが………」

 

そこで、俺は昨晩、ここ辺りで魔法の反応があったことを伝えた。実を言うとリスティ刑事は魔法のことを知っている。彼女は読心術が使えて、それで知られたのだ。そのときの輝夜は珍しく失敗したという顔をしていた。

 

「ほう。魔法が関係しているのか………。よし、できれば、もっと教えてくれないか?」

 

「もちろんです」

 

俺はリスティ刑事の頼みに二つ返事で返して、お互いにこの惨劇に関して、話し合った。それは夕方までかかった。

 

 

 

 

【Side 輝夜】

 

「なるほどな。確かにその公園での惨劇は例の念話と関わっているだろうな」

 

俺は晩飯を食いながら、龍の調査結果を聞いていた。公園の被害はどれも普通の人間にできることだとは思えない。

 

「あの被害の状況を考えると、3メ-トル以上ある奴が暴れたと推測できる」

 

「聞こえた念話の内容から察すると、その怪物を押さえたいということだな」

 

「そうだな。だが、リスティ刑事の話だとそんな怪物の目撃証言は無かったし、公園以外に破壊された場所は無いみたいだ」

 

「ってことは、念話の主が対処した可能性が高いがまだ油断はできない」

 

「あぁ。リスティ刑事たち警察も近辺の警備を強化するらしい」

 

「そうか……」

 

リスティ・槙原か………。あの女は油断できない。悪い奴では無いと思うが、まさか読心術を使えるとは思わなかった。前世の裏社会では、別に珍しくなかったが、今世の表の刑事が持っていたことに驚きを隠せない。俺が転生者だということはばれていないからいいが、その時からリスティ・槙原と会ったときは閉心術を使って、悟られないようにしている。そのおかげで向こうからはおもしろい子供(ガキ)認定されているが………。まぁ、それはどうでもいい。とりあえず、今は何が起きても迅速に対応できるように用心しておこう。

 

 

 

 

そして、数時間後…………

 

 

 

 

(だれか!この声が聞こえている方!力を貸してください!)

 

 

 

 

昨晩、聞こえたものと同じ声の念話が聞こえた。

 

「………来たか。起動しろ。S.C.F00」

 

俺はそう言って、ダークネスの姿に変えた。

 

「それじゃあ、行ってくる」

 

「あぁ。気をつけろよ」

 

「あぁ」

 

俺は龍にそう返して、念話が聞こえた場所に向かった。

 

 

 

 

 

【Side ???】

 

私、高町なのははとてもピンチなの!今日の放課後に学校の友達と一緒に怪我だらけのフェレットを見つけたの。そのフェレットは動物病院に預けたんだけど……、さっき、フェレットを見つけたときのと同じ声が聞こえて、その声に呼ばれるまま動物病院に向かったの。すると、そこには逃げ回るフェレットと追いかけている黒いドロドロしたお化けのようなものがいたの。そのフェレットは喋るし、私はもう訳がわからなかったの。とりあえず、私はフェレットを抱えて逃げてるけど、お化けも追いかけてくるの!

 

「いったい何が起きているの!?」

 

私はこの状況に訳がわからず思わず、叫んだ。

 

「君には資質があります!お願い、僕に少しだけ力を貸して!」

 

すると、フェレットが私にそう話しかけてきた。

 

「資質!?」

 

それに対して、私は思わず聞き返した。

 

「はい、この魔法の力を!」

 

「えっ?ま、魔法?」

 

フェレットの言葉に私は思わず、呆気に取られたの。魔法……?童話だけだと思っていたけど、もしかして私、使えるの!?

 

「どうしたらいいの!?」

 

「こ、これを…」

 

私は勢いよくフェレットにその方法を聞いた。それを聞いて、フェレットは自分の首にぶら下がっている赤いブレスレットを差し出した。私はそれを受け取った。

 

「温かい………」

 

「それを手に、目を閉じて、心を澄ませて、僕の言葉を繰り返して」

 

受け取った宝石にフェレットがそう言った。そう言われて私は目を閉じた。そして、フェレットの言葉を繰り返した。

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「契約のもと、その力を解き放て」

 

「契約のもと、その力を解き放て」

 

「風は空に、星は天に、そして不屈の心はこの胸に」

 

「風は空に、星は天に、そして「GYAAAAAーーーー!!!」……えっ?キャアー!!?」

 

「しまった!?」

 

だけど、お化けはそれを最後まで待ってくれずに私に襲いかかってきたの。もう、間に合わないの!!私は思わず、目を瞑った。

 

「なのはちゃん!!“セウシル”!!」

 

ドカーーん!!

 

「………えっ?」

 

「これは………?」

 

お化けの攻撃が当たってこないことにおかしいと思った私はおそるおそる目を開けると、私の周りにドーム状のバリアが張られていて、お化けの攻撃を防いでくれていた。

 

「“X()()()()”!!」

 

ドカン!!

 

「GYAAAAAーーー!!?」

 

すると、今度は後ろからオレンジ色の炎が飛んできて、お化けに当たった。お化けは悲鳴を上げて、吹き飛ばされた。

 

「なのはちゃん!!」

 

「なのは!!」

 

「大丈夫か!!」

 

「えっ?」

 

誰かが私を呼ぶ声がして、振り返った。

 

「あっ!?花音(かのん)ちゃん!!(あおい)ちゃん!!(つばさ)くん!!」

 

それは、私の幼馴染みの赤松(あかまつ)花音ちゃんと二宮(にのみや)葵ちゃん。それから、小学校に入って、アリサちゃんとすずかちゃんと一緒に仲良くなった男の子、潮田(しおた)翼くんだった。だけど、3人の格好が少しおかしかったの。花音ちゃんは赤い服とピンクのスカートを着ていてそこまでおかしい格好はしていなかったけど、5つの円が直線で結ばれた模様が入った朱色の本を持っていた。葵ちゃんは大きな槍と盾を持っていて白い騎士の格好していたの。そして、翼くんはスーツを着ていて、赤いグローブと右太ももに同じように赤い足輪があって、いつも黒い目がオレンジ色になっていて、額にオレンジ色の炎が灯っていた。

 

「3人とも、どうしてここに……?それにその格好は………?」

 

私はいろいろと気になって、思わず訊いたの。

 

「今は、そんなこと気にしている場合じゃないわ!!」

 

だけど、葵ちゃんに怒られちゃったの……。

 

「なのはちゃん。葵ちゃんの言うとおりだよ。今はあの化け物を何とかしなくちゃ」

 

「そうだ。俺と葵があいつ押さえとく。その間にお前は――――「「「おい!!モブーーー!!!何、なのはたちに近づいてんだーーーー!!?」」」……チッ。()()()()、あいつらも来たか……」

 

翼くんの言葉を遮って、誰かの声が聞こえた。私たちはその声が誰のものなのか、すぐにわかったので、フェレット以外私たちは顔をしかめた。だけど、声が聞こえたほうを向くと、私は再び、驚いたの。

 

降魔(ごうま)神代(かみしろ)(すめらぎ)。お前ら、何しに来たんだ?」

 

やってきたのは、降魔彪牙(ひょうが)くんと神代大翔(ひろと)くん、皇翔琉(かける)くんだった。この3人はなのはたちのことを『俺の嫁』って言って、頭を撫でてきたり、近づいてきたり、翼くんたち他の男子を『モブ』とか言って、なのはたちに近づけようとしてくれないの。特に降魔くんは小学生になる前から言い寄ってきたから良い迷惑なの…。しかも、『嫌だ』って言っても、『照れ隠し』と勘違いして、全然直してくれないの……。だけど、そんな3人もおかしい格好していたの。降魔くんは赤いコートを着ていて、神代くんは黄金の鎧を着ていて、皇くんは赤いドラゴンを思わせるような鎧を着ていたの。皇くんの場合、顔も被っていたマスクで隠されていたので、翼くんに言われるまで気がつかなかったの。

 

「高ランクの魔導師がこんなに…!?ここは魔法文明が0の筈なのに………」

 

フェレットは何か別のことに驚いていたみたいだけど、私にはそれを気にしている余裕がなかったの。

 

「あぁ!?そんなもん、決まっているだろうが、モブ!!俺の嫁たちを助けに来たに決まっているだろ!!」

 

「おい!!ふざけんな、降魔!!なのはたちは俺の嫁だ!!」

 

「あぁ!?てめぇこそ、何言ってやがんだ!?神代!!なのはたちは全員、俺の嫁に決まっているだろ!!」

 

「てめぇら、2人ともふざけんな!!」

 

「あんたたち全員、ふざけないでよ!!今はそんなことしている場合じゃないのよ!!ほら!!あいつも今、起き上がろうとしているわよ!!」

 

降魔くんたちの喧嘩に葵ちゃんが大きな声で遮って、お化けのほうを槍で指して言った。その方を見ると確かにお化けが起き上がっていたの。

 

「はっ!!あんなの、俺がすぐに片付けるさ!!だから、安心しろよ、お前ら」

 

「てめぇじゃ、無理だ!!あいつは俺が瞬殺だ!!」

 

「いーや!!俺が倒す!!」

 

そう言って、3人はお化けのほうに突撃して行ったけど………

 

「GYAAAーーーー!!!」

 

「「「ギャッ!!?」」」

 

お化けが振るった触手で瞬殺だったの………。

 

「彼らはいったい、何をしたかったのでしょうか……?」

 

「「「「……さぁ?」」」」

 

呆れたようにフェレットが呟くと、私たちも呆れたように返したの。

 

「GYAAAーーーー!!!」

 

「ッ!?こんなことしている場合じゃない!!」

 

「そうね!!そこのフェレット!!早くなのはに起動パスワードを教えなさい!!」

 

「わ、わかりました!!君!もう一度、僕の後に続いて言って!!」

 

「わ、わかったの!!」

 

そう言うと、私はさっきと同じように目を閉じて、フェレットの言葉を繰り返したの。

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「我、使命を受けし者なり」

 

「契約のもと、その力を解き放て」

 

「契約のもと、―――「S.C.F00」S.C.F00……ってあれ?」

 

「それは起動パスワードじゃない!!って、今の声は……?」

 

フェレットの言葉を続けているときに聞こえた声に不思議に思っていると、

 

「!?皆、上!!誰か、落ちてくるよ!!」

 

花音ちゃんが上を指して、教えてくれたの。それに釣られて全員、上を向くと、黒いローブと黒いマスクを身につけた男の人が落ちてきていたの。落ちてくる男の人の先には、お化けがいたの。男の人は左手を前に突き出すと……

 

ドーーーーン!!

 

「GYAAAーー……!?」

 

パーーーンッ!!

 

『!?』

 

お化けを押さえつけたの。しかも、押さえつけられたお化けは弾け飛んで居なくなってしまったの!!私たち、それを見て驚いたの!!

 

「………これが、今回の元凶であるロストロギアか」

 

男の人が立ち上がると、そう呟いていたの。そして、お化けを押さえつけた男の人の左手には、青い菱形の石を持っていたの。

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