Lyrical×Darkness   作:R0

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敵対

【Side 輝夜】

 

あの後、俺はあの場であったことを龍に全て話した。物語が始まったこと、転生者6人、なのはという小娘、変身魔法を使っていたフェレット、ジュエルシードというロストロギア、公園の惨劇もジュエルシードによるものだということを。ジュエルシードは回収した実物を実際に見せた。しっかりと封印しているため暴走することは無い。そのジュエルシードに“XXI”って書かれていることから、他にも最低、20個あることももちろん、話した。

 

「その6人の転生者は全員、デバイスを持っているんだよな?」

 

「あぁ。全員、バリアジャケットを身に纏っていた。しかも、2名は普通の服やスーツの格好だったが、他の4人は鎧とか、『お前らコスプレの趣味でもあるのか?』って言った格好だった」

 

「うん。格好に関しては、ダークネスのあの格好で人のことは言えないと思うのだが?」

 

「安心しろ。自覚はしている。だが、マスクとローブを除けば、普通の服だからな」

 

正体を隠すためには、どうしてもあんな格好になってしまう。すなわち、不可抗力だ。

 

「………まぁ、いいや。それよりも、全員、デバイスを持っているってのは、早めに何とかしておかないと、()()()()()()()()()()ぞ?」

 

「………お前の言いたいことはわかっている。だが、今、()()を持ち出しても、あいつらは誰1人絶対に納得しない。だから、しばらく放置しておく。あれは最も効力があるときに使う」

 

「やれやれ、また、遠回しなことするな。まぁ、お前がそう言うなら、俺も特に何も言わないさ」

 

「そうか」

 

そんな感じで、その日の夜の話し合いは終わった。そして、今、俺が何をしているのかと言うと……

 

《輸送中に事故が起きて、この世界にジュエルシードをばらまいてしまったんだ》

 

《そうなんだ……》

 

学校で授業を受けながら、サーチャーと読心術で昨日のガキ共の念話を盗聴中だ。実は、昨日、帰る前にサーチャーだけは置いて、あいつらのことを監視していた。しかも、闇夜の炎で気配を無効化したサーチャーをな。だから、沢田綱吉の超直感が無ければ、絶対に気づかないようにしている。現に誰も気づいた様子は無い。こういうのは、リリスとスロウスの得意分野だが、まぁ、なんとかなるものだな。それにしても、潮田翼は容姿と武器が沢田綱吉とそっくりなくせに、超直感は持っていないってことになるな。もしくは、持ってはいるが、そこまでレベルが高くないということだろうか?まぁ、どっちでもいいか。それよりも、昨日は時間が遅かったこともあって、詳しい話をしていなかった。だから、引き続き、今日も監視していた。おかげでかなりの情報が手に入った。

 

・フェレットの名前はユーノ・スクライアと言って、ジュエルシードは自分が掘り起こしたものである。

 

・そのジュエルシードを輸送中に事故が起きて、ジュエルシードを海鳴市(この町)にばらまいてしまった。

 

・ジュエルシードは全てで21個、そのうちの1つは既にユーノ・スクライアが回収した。

 

・俺以外の転生者やなのはという小娘は聖祥大学付属小学校に通っていること。

 

とまぁ、大雑把にまとめれば、こんな感じか。それにしても聖祥に通っていたのか……。海鳴小に通っている俺と会わない訳だ。近い、学費が安いという理由で海小を選んだが、ある意味正解だったかもな。あいつらは、物語に関わるために聖祥に行ったに違いない。だから、まさか同じ転生者である俺が海小に通っているとは思わないだろう。もちろん、用心はしておくがな。それと他にも驚くことがあったが、まさか、以前会ったアリサ・バニングスと月村すずかがあいつらと同じ学校の同じクラスのしかも、友人だったとはな……。それになのはと言う小娘のフルネームは高町なのは。高町恭也の妹だったとはな……。世界って、案外狭いんだなって、思ったぞ。

 

そういえば、向こうの朝のホームルーム前に連中、くだらない茶番していたな。高町なのはとアリサ・バニングスと月村すずか、二宮葵、赤松花音が降魔彪牙、神代大翔、皇翔琉に『俺の嫁』とか言い寄って、それを潮田翼が庇って、それにさっきの3人が難癖をつけるって言ったものだ。これを見て、俺は呆れた。あれを毎日やっているのか?それなら、さすがの俺も同情するぞ。まぁ、同情するだけで、それ以上のことは悪いができないが。

 

ちなみに、それぞれの転生者の容姿だが、潮田翼は黒髪黒目だ。(ハイパー)死ぬ気モードのときに目の色が変わるのは、沢田綱吉と同じだな。二宮葵は青髪青目のポニーテイルで、赤松花音は茶髪茶目のセミロングだ。あとは、降魔彪牙は銀髪に赤と青のオッドアイ、神代大翔は金髪赤目、皇翔琉はあの時は全身装甲の鎧でわからなかったが、茶髪茶目だった。

 

ホームルームというと、こっちのホームルームで昨日のことについて、話していたな。槙原動物病院の壁などが大破したというものだった。動物病院が破壊されたのは初めて知ったな。俺が見たのは、道中だしな。ってか、槙原動物病院って、たしか、リスティ・槙原刑事の義母の勤める病院じゃなかったか?……ご愁傷様としか言えないな。

 

とにかく、いろいろと情報が集まったし、これからの方向性もだいたい決まったな。多少は面倒なところもあるがこれが1番確実だ。俺は、マルチタスクで授業を聞きながら、そんなこと考えた。

 

 

 

 

【Side ?】

 

初めまして、私は二宮葵よ。実は、私、転生者なのよ。前世で大きな交通事故が起きて、私を含めて6人が死んだのよ。そして、気がつくと神様を名乗るお爺さんがいて、その神様の話だと、本来、起きるはずの無かった事故だったんだけど、自分のミスで起きてしまったみたい。神様はその事について、謝っていたけど、正直に言ってあまり気にしていなかった。もちろん、家族と別れることとかは、悲しかったけど、前世の私は体が弱くて、寝たきりの生活が多かったから、特に生きる意味を見出だせなかったわ。それに、いくら神様でもミスの1つぐらいあるし、ちゃんと謝ってくれたからね。だから、私は許したわ。

 

それで神様は私たちにお詫びとして、よく二次小説とかでもある転生させてくれるみたいだったの。まさか、自分がそうなるとは思わなかったわ。しかも、転生先は『魔法少女リリカルなのは』の世界だった。ベッドでの生活でやることが無かった私が見ていた好きなアニメの1つだったわ。私はすぐにそれに了承した。その際に特典を何するのか訊かれたけど、1つは健康な体にしたわ。もう、ベッドで寝たきりの生活は嫌だったから。あとの2つは、『ダンボール戦機』の『アキレス』の力と『戦記絶唱シンフォギア』の『ガングニール』の力にしたわ。なぜ、それにしたかというと、まぁ、この2つも好きなアニメだからというところもあるけど、実は私、自他に認める槍マニアなのよね。長い棒を振り回して、敵を倒す。小さい頃、そんなシーンを見て、感激したのよね。だから、響の『手を取り合うために武器を必要としない』っていう考えも嫌いじゃないけど、それでも槍を使っている奏のガングニールにしたの。アキレスに関しては1番好きなLBXだからってのもあるけどね。そして、私は転生したわ。

 

転生した先で、すぐに驚いたわ。なぜなら、なのはの家と私の家がご近所で幼馴染みという立場にいたからよ。しかも、私と同じ転生者の花音もいたのよ。私たちはすぐに仲良くなったわ。なのはのお父さん、士郎さんが原作通り、大怪我を負って入院したときは花音と一緒になのはを寂しがらせないように励ましたわ。だけど、他人に迷惑をかけないようにいい子であろうというところは変えられなかったわ。あっ、それでちょっと嫌なことを思い出したわ。まぁ、今も続いているけど、士郎さんが入院中のときになのはの気分転換にと花音と一緒に公園に遊びに行ったけど、そこで、私と花音にとって2人目の転生者の降魔と会ったわ。あいつの姿を見て、すぐに転生者だと思ったわ。『銀髪オッドアイなんて踏み台転生者みたいな姿にする奴なんて本当にいるのね』って、私が思ったぐらいだからね。だけど、あいつ、なのはの気持ちも考えずに好き勝手なことを言ってきたのよ。だから、私は文句を言ったけど、あいつ何をどう勘違いしたのか知らないけど、私や花音にも言い寄ってきたわ!ときどき、私たちの頭を撫でようとしてくるし、本当にあのときはムカついたわ!!

 

それから、小学校に入ったわ。小学校はもちろん、聖祥よ。ついでに降魔もそこに入ったわ………。入学して、すぐに私たちはアリサがすずかのカチューシャを取って、苛めていたところを見たわ。なのははそれを見た途端、飛び出してアリサを殴り飛ばしたわ。原作で知っていたとはいえ、生で見て、さすがに私も花音も顔を引きつらせたわ………。その後、いろいろとありながらも、アリサとすずかと仲良くなったわ。………これだけを聞くと、どこの熱血漫画なのかしら?…まぁ、話を戻すけど、入学して知り合ったのは、アリサとすずかだけじゃないわ。花音と降魔以外の3人の転生者と出会ったわ。この3人は降魔とは違う意味で転生者だと思ったわ。翼は髪と目の色は違ったけど『家庭教師(かてきょー)ヒットマンREBORN!』の『ツナ』と、神代は『Fate/stay night』の『ギルガメッシュ』と、皇は『ハイスクールD×D』の『イッセー』と同じ姿だったからね。翼は良い奴ですぐに仲良くなれたけど、神代と皇は降魔と同じタイプの人間だったみたいで、降魔と同じように言い寄ってきたわ。ギルガメッシュはあの傲慢な態度が嫌いだったからともかく、イッセーに関してはスケベでも、熱血で芯のあるところが好きだったからなんだか穢された気分になったわ。それで、あの3人に関してはいつも翼が庇ってくれているけど、おかげで翼以外の男友達はいないのよね…。本当にあいつら、迷惑だわ!!

 

………まぁ、それは少し置いといて、転生者6人集まったことで転生する際に神様が言っていたことを思い出したのよ。この世界には私たち6人以外にも、あともう1人、一緒に転生するみたいだったのよ。詳しい話は聞けなかったけど、あのときの私は『原作に関わる気は無いのかな?』とか考えて、特に気にしていなかったわ。……でも、今では、ちょっと後悔しているけどね……。

 

それは何故かというとね、昨日のことが原因なのよ……。昨日、原作が始まった。私も花音も翼もついでにあの馬鹿3人も、ジュエルシードの反応を確認したわ。急いで、反応がしたほうに行くと、なのはがジュエルシードの暴走体に襲われているところだったわ。花音と翼のおかげで、ひとまずどうにかなったけど、問題はそのあとよ。なのはがレイジングハートを起動させようとしたときに、全身黒づくめの男がジュエルシードの暴走体を押さえつけて、さらにジュエルシードを封印したのよ。そのジュエルシードをユーノかなのはに渡してくれるなら良かったけど、彼、私たちがパトカーのサイレンに気を取られている間に持ち去ったのよ。原作には登場しなかったキャラだから、転生者の可能性が高いけど、何を考えているのかわからなかったわ。それに、あの人、ジュエルシードのことを知らなかったみたいし、転生者なのかどうかですら、正直わからないわ…。

 

《昨日の黒づくめの人のデバイスは、あんたたちみたいな、神様特性のデバイスじゃないのよね?バン、カナデ》

 

私は、自分のデバイスであるバンとカナデに念話で声をかけた。ちなみに私のデバイスには、2つの人格があって、アキレスを使っていた山野バンとガングニールを使って天羽奏の人格があるわ。待機状態はシンフォギアのあのペンダントよ。

 

《あぁ。昨日の黒づくめの男が使っていたデバイス、S.C.F00だっけか?あれは、あたしたちのような、神様のじいさんが用意したデバイスじゃないぜ》

 

《葵を含めた6人の転生者が持っているデバイスは皆、神様が用意した特別なインテリジェントデバイスだけど、あのデバイスはおそらくストレージデバイスだったはずだよ。作りからしても、全然違っていたよ》

 

《そう……》

 

あの黒づくめの人のデバイスが私たちと違うってだけで、決めつける訳にはいかないけど、違う点があるだけに、あの人が転生者なのかどうか、わからないわね……。……ってか、カナデの声で『黒づくめの男』って言うと、某バーローの名探偵を思い出したわ……。

 

《なぁ、それより良いのか?たしか、葵の前世の記憶通りだと、そろそろジュエルシードがーーーー》

 

キーーーーン!

 

カナデが、そう言うのと同時にジュエルシードの反応がしたわ。

 

「今のって!?」

 

《ジュエルシードの反応だよ!!》

 

同じように、ジュエルシードの反応を感じたのか、なのはとユーノがそう言った。ちなみに、今は下校中のために、近くになのはと花音、翼がいる。

 

「とにかく、急いで行くぞ!!」

 

「「「えぇ/うん!!」」」

 

翼の言葉に私たちは頷き、ジュエルシードの反応がしたほうに走った。

 

 

 

 

 

原作通り、神社のほうからジュエルシードの反応がした。石段の前で合流して、私たちは駆け上った。

 

「バン!」

 

「ティオ!」

 

「ジョット!」

 

「「「セットアップ!!」」」

 

私たちは、それぞれ自分のデバイスを掲げて、バリアジャケットを身に纏った。ちなみに私はアキレスをモチーフにしたバリアジャケットを着ているわ。武器もアキレスランスとアキレスシールドよ。デバイスはシンフォギアのように胸元にあるわ。花音も『金色のガッシュベル』のティオの魔本のような色と模様がしたカードを掲げて、ティオのような格好になったわ。デバイスもティオの魔本そのものになったわ。翼もツナのVG(ボンゴレギア)をモチーフにしたデバイスを掲げて、チョイスのときのようなスーツの姿になって、さらに(ハイパー)死ぬ気モードになったわ。

 

「起動パスワード無しで起動させた!?」

 

それを見て、ユーノが驚いていた。だけど、私たちはそれを気にしている余裕は無いため、急いで上へと駆け上った。

 

「グルルルルルッ!!」

 

石段を上り終えると、境内に4つの目を持った黒く大きい犬が鋭い牙を向いて、唸っていた。

 

「原住生物を取り込んでる!」

 

それを見て、ユーノが焦った声で言った。

 

「ど、どうなるの?」

 

そんなユーノになのはが尋ねた。

 

「実体がある分、手強くなってる!」

 

「大丈夫だよ…」

 

そう言って、なのはは一歩、踏み出した。

 

「なのは!レイジングハートの起動を!!」

 

「へっ?起動って何だっけ?」

 

続いて戦闘の準備をするようにユーノはなのはに声をかけたけど、なのはの言葉にユーノは呆気に取られた。原作で知っていたけど、実際にその立場になると焦るわね……。

 

「えっ!?『我は使命を』から始まる、起動パスワードをだよ!」

 

「ええっ!あんな長いの覚えてないよ!それに、あれ最後まで言えてないよ!!」

 

そういえば、昨日は馬鹿3人とマスクの人に起動パスワードを唱えるのに中断されていたっけ……?

 

「グオォォォォーーーー!!」

 

そんなことを考えていると、ジュエルシードの暴走体が私たちに飛びかかった。

 

「キャーーッ!?」

 

「私に任せて!!第3の術ーーーー」

 

花音が暴走体の攻撃を防ごうと、魔本を開き、呪文を唱えようとした。そんなときだった。

 

「“ダークベルト”」

 

シュルルッ!!

 

「「「「「!?」」」」」

 

「グオォッ!?」

 

突如、暴走体の背後から黒い帯状のようなものが暴走体に巻き付き、動きを封じたわ。私たちがそれに驚いて、黒い帯状のようなものが飛んできた方向を見た。そこには………

 

「まったく、何しているんだ?」

 

昨日のマスクの男が、左手のデバイスから暴走体の動きを封じている黒い帯状のようなものを出しながら、呆れたような感じで、そう言った。

 

 

 

 

 

【Side 輝夜】

 

昨日と同じジュエルシードの反応がしたから、とりあえず人目のつかないところでダークネスの格好になってから、反応がしたほうに向かった。そこには、既に昨日の連中がいたが、目の前に暴走体がいるにも関わらず、高町なのははバリアジャケットを身に纏っていなかった。まったく、なぜ戦闘の準備をしていないんだ。他の連中も連中だ。そういうことを指摘しとけって話だ。そう考えていると暴走体が連中に襲いかかった。はぁ……。とりあえず……

 

「“ダークベルト”」

 

俺はS.C.F00から闇の炎を織り混ぜた帯を出して、暴走体に巻き付きた。

 

「まったく、何しているんだ?」

 

俺は、向こうの緊張感の無さに呆れながら、そう言った。さてと、連中が俺に話をしたがりそうな感じを出しているが、先に……

 

「グオォォォォ!!」

 

暴走体を何とかするか。暴走体はダークベルトを引きちぎろうとしているが、無駄だ。そのベルトは、闇の炎の無効の力で、お前の力は極限に下がっている。犬っころには、首輪がお似合いだな。違うだろというツッコミは受け付けない。

 

グイッ

 

「グオォッ!?」

 

俺は、空いていた右手でベルトを掴み、思いっきり引っ張った。暴走体は引っ張られて、俺のほうに向かってきた。俺は昨日と同じように、掌に闇の炎を纏わせて、暴走体に当てた。

 

パンッ!!

 

暴走体はジュエルシードと暴走体の面影も無い子犬になった。左手はジュエルシードを掴み、右手は子犬を抱えた。

 

「ジュエルシード、封印」

 

俺は、ジュエルシードをS.C.F00に収納した。

 

「待て!!また、お前か!!」

 

そんな俺の行動を見て、潮田翼が噛みついてきた。

 

「またとは何だ?この危険物を放置しておくわけにもいかないだろ?」

 

「あの……。それ、こちらに渡してくれないでしょうか?」

 

すると、赤松花音が恐る恐ると俺に訊いてきた。それに対して、俺は即答した。

 

「断る」

 

「そんな!?それはユーノくんの大切なものなの!!」

 

高町なのはが何か言っているな。だが……

 

「この危険物が大切なもの?いったい、どういうことなんだ?そのユーノくんは、ジュエルシードを集めて、何する気なんだ?世界の破滅でも考えているのかな?」

 

俺は思いっきり馬鹿にしたように、そう言った。普段、君づけしない奴が君づけしたら、滅茶苦茶馬鹿にされている気分になるからな。案の定、ユーノ・スクライアは憤慨した。

 

「なっ!?ふざけるな!!僕はそんなことなんかしない!!ジュエルシードを回収したら、預けるべき場所に預けるだけだ!!」

 

「……ふぅん。その預けるべき場所がなんのことだか、知らないが……。それなら、別にそいつの大切なものでも、何でもないということじゃないのか?」

 

「そ、それは……」

 

「それに、茶髪ツインテ」

 

「茶髪ツインテ!?それもしかして、なのはのこと!?」

 

「他に誰がいる?」

 

「にゃっ!?私は高町なのはなの!!」

 

高町なのはが何か叫んでいるが、本名を言ったら、『なぜ知っているんだ?』ってなって、めんどくさいことになりそうだからな。あと、そう易々と自分の名前言うんじゃねぇよ。既に知っていたとはいえ、もし知らなかったら今ので情報が手に入って、いろいろと不利になっていたかもしれないぞ。ついでに『にゃっ』って、猫か。

 

「そんなことはどうでもいい。それよりも、なぜお前はバリアジャケットを身に纏っていないんだ?これから、危険なところに行くにも関わらずだ」

 

「うっ!?そ、それは……」

 

「他の連中もそうだ。なぜその事を指摘しなかったのだ?自分たちはバリアジャケットを身に纏っていたのだから、茶髪ツインテの準備不足には気づいていた筈だろ?」

 

「うっ……」

 

「そ、それは……」

 

「その……」

 

「お、お前たちが昨日、なのはの変身の邪魔をしなければ、良かったんだ!!それがあったから、なのはは起動パスワードを全部、覚えきれていなかったんだ!!」

 

ユーノ・スクライア、二宮葵、赤松花音が言葉に詰まって顔を反らしたが、潮田翼がよくわからないことを言い出したな。あぁ……、何か苛つくな。

 

「とんだ言いがかりだな。俺が昨日、邪魔したからデバイスの起動パスワードを覚えていない?そんなこと知るか。だいたい、いくら邪魔されたとはいえ、後でそれを確認する時間ぐらいいくらでも、あっただろ?」

 

「そ、それは……」

 

「それなのに、この様……。お前たちが楽観的に考えていたからこうなったと認めることだな」

 

「くっ……!!」

 

そう言うと、潮田翼は悔しそうにしながらも、黙ってしまった。そんなときだった。

 

「「「ヒャッハー!!」」」

 

上空からアホな声が聞こえてきた。降魔彪牙、神代大翔、皇翔琉の3人だった。

 

「テメー!!変なマスク着けて、何俺の嫁たちを困らせているんだーーー!?」

 

「とっとと、ジュエルシードを渡しやがれ!!(ここで、ジュエルシードを奪い返せば、なのはたちはますます、俺様に惚れるな♪)」

 

「待ってろよ!!必ず、俺様が奪い返してみせるからな!!(こんなの、俺様の力があれば、簡単なことだぜ!!)」

 

頭の中がお花畑のこいつらは、俺に噛みついてきた。高町なのはたちもこいつらが出てきて、嫌な顔をしているな。特に降魔彪牙の『俺の嫁』発言で。

 

「行くぞ!!エミヤ!!」

 

俺がそう考えていると、降魔彪牙が何も無いところから剣が出てきて、それらを両手に持ち、俺に斬りかかった。まぁ、余裕でかわせるけどな。

 

「くそっ!!当たりやがれ!!」

 

降魔彪牙が何か言っているが、知るか。

 

「ハッハッハッ!!やっぱり、テメーじゃ無理だな!!これでも、喰らいやがれ!!“王の財宝(ゲートオブバビロン)”!!」

 

すると、今度は神代大翔の後ろの空間がいくつも歪んで、そこから剣などが射出された。

 

「なっ!?いったい、あれらは何のレアスキルだ!?」

 

ユーノ・スクライアが先程の降魔彪牙と神代大翔の攻撃を見て、驚いていた。まぁ、おそらく転生の際の特典だろうな。俺も詳しくは知らないが。それと、飛んできた剣は降魔彪牙の後ろから飛んできたものだった。だから、それに気がついて、代わりに剣を弾いてくれた。

 

「おいっ!!神代!!テメー!!このマスク野郎じゃなくて、俺に当たりそうだったじゃねぇか!!ちゃんと狙えやがれ!!」

 

「ふんっ!貴様がそこにいるのが悪いだろう。それに、俺はちゃんとそこのマスク野郎を狙っていたぞ?」

 

「嘘つけ!!違うところに行っていたぞ!!このノーコン野郎が!!」

 

なんだか、仲間割れしているみたいだが、降魔彪牙の言う通りだな。神代大翔の剣は別に俺がかわす必要がないほど、違うほうに行っていたからな。

 

「よそ見している場合かーーーー!!」

 

すると、俺の死角から皇翔琉が殴りかかってきた。ってか、皇翔琉って、どこぞの俺の知り合いの傲慢野郎と声が似ているな。まぁ、声だけで、実力は天と地ぐらい違いがあるがな。俺は、皇翔琉の攻撃をかわした。もう、この茶番も飽きたから、終わらせるか。

 

ゲシッ!!

 

「がっ!?」

 

俺はかわしたのと同時に皇翔琉をまだ、喧嘩している降魔彪牙のほうへ蹴飛ばした。

 

「「ぐっ!?」」

 

当然、2人は衝突した。だけど、それで終わりじゃない。俺は、2人に近づいて、神代大翔に向けて、さらに蹴飛ばした。

 

「「「ガハッ!?」」」

 

神代大翔はかわすことができず、3人は衝突した。そして、とどめに、俺はそこまで飛んで蹴落とした。

 

ドカーーーーンッ!!

 

3人は木にぶら下がっていたり、地面に上半身埋まっていたりなど、なっていたが、まぁ、戦闘不能の状態にした。

 

「「「「「………」」」」」

 

高町なのはたちは、今の戦いを見て、呆然としていた。だが、俺はとりあえず、そいつらに声をかけた。

 

「邪魔が入ったが、ジュエルシードは俺らが回収しておく。お前らは、おとなしく勉強でもしてろ。もし、邪魔するなら……」

 

俺はそこで、声を一段階低くして、言った。

 

「容赦しないぞ」

 

「「「「「!?」」」」」

 

俺の声を聞いて、連中はビクッと震えていたが、俺は気にせず、帰ろうと背を向けた。

 

「ま、待って!あなたのお名前は!?」

 

そこで高町なのはが訊ねてきた。別に答える理由も無いが、いつまでもマスクの男とかめんどくさいからな。俺は顔だけ、後ろに向けて答えた。

 

「ダークネス。俺のことはそう呼べ」

 

俺はそれだけ言うと今度こそ、その場から離れた。高町なのはたちは、呆然としていて、追いかけようとはしてこなかった。




ちなみに、作者が1番好きなLBXはオーディーンMk-2です。

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