幼馴染が彼氏作ったから俺も彼女作りたい   作:仮面

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初めまして。作者です。
なんかよくわからないモノを書いてたらノリノリになってしまってそのままのテンションで投稿までしたら後に引けなくなりました。

宜しければ作者のテンションにお付き合いください。


モテたい。

「卵焼きよこせよ」

 

「無理」

 

 俺の昼休みは二パターンに分かれる。

 コバと須田と三人で教室で食べるか、中庭で一人で食べるかの二パターン。で、今日はコバと須田と食べるパターンである。

 

「お前の姉ちゃんの卵焼き美味いんだよ」

 

「だから?」

 

「よこせ」

 

「無理」

 

 俺の弁当は姉ちゃんが作ってくれる。たまに自分で作ることもあるけど。中学生の時からずっと姉ちゃんが作ってくれる。……よくよく考えたら俺の姉ちゃん、超ハイスペックなのでは?

 

「大体な、晴人。お前の周りは色々と恵まれすぎなんだよ。両親は出張?転勤?知らんけどどっちも県外。一緒に住んでるのは美人のハイスペック姉ちゃん。昔から一緒にいる可愛い幼馴染。エロゲーかっての」

 

 何言ってんのこいつ。

 でも確かに言われてみればラノベの主人公みたいな生活してるのな、俺。

 

「なのになんでこんな色々とダメな子になったんだろうねー」

 

「いっぺん死ね」

 

 たまーになんで須田と仲良くしてるのか解らなくなる。

 

「日高は寝取られたしな」

 

「殺すぞ」

 

 たまーになんでコバと仲良くしてるのか解らなくなる。

 でもなんか、寝取られたって言い方。すとんと落ちてきた気がした。別に付き合ってたわけじゃないのにな。

 夢のことを思い出しても、やっぱり気にしてたんだろうな。多分、勝手に小さい頃から一緒だったから、小さい頃のままでいるんだー、とか思ってたわけだ。もう高校生なのに。

 

「でもさ、マジでやばくね?」

 

「何が」

 

「こいつは姉ちゃんいるとはいえ、俺ら位だぜ?彼女いたことないですみたいな奴。もう高二だぜ?もうすぐ夏休みだぜ?来年は受験だぜ?ここで彼女出来なかったらいつ出来るんだよ?」

 

 なんか訳分からんこと言い出した。

 

「確かにー……よくよく考えたらそうだねー」

 

 いや乗るな。

 ……いやでもそうなのか。そうなのか?

 

「おい振られてナイーブなのは解るけどな、晴人。俺達このままでいいのか?このまま女の子と遊ぶこともなく童貞のまま夏を終えていいのか?」

 

「暑さで壊れたか?」

 

「お前にだけは言われたくないわ。で?どうなんだ?」

 

 どうなんだ、と言われましても。

 まあでもどうせならモテたいしチヤホヤされたい。高見みたいにバスケが上手くてイケメンだったらそりゃーチヤホヤされるだろうし、男だったら誰でも一度はそういうの憧れる。男だったらモテキの映画見て「俺にだって……!」とか思う。そういう風に出来てるんだ。

 つまり答えとしては。

 

「そりゃあ良くねえけど」

 

「だろ!?俺達童貞チーム、この夏休みで頑張ってモテようじゃねえか……!」

 

 何言ってんのこいつ。

 

「てかー、コバ氏はルックスは悪くないんだからエロゲ趣味無くしたら普通にモテそうだよねー」

 

「エロゲーは俺にとって人生だから絶対に外せない」

 

 そういうとこだぞ。お前が女子からドン引きされてるの。

 ぶっちゃけ「抜くためにエロゲーやってないから」とか言われてもそもそもエロゲーな時点で非ゲーマーやライトゲーマーからは総じてドン引きされるの解ってんのかなこいつ。しかもお前普通にそれで致してるし。学校にエロ本とか同人誌持ってくるし。

 

「モテたくないのか!?」

 

「そりゃー」

 

「モテたい」

 

「彼女欲しくないのか!?」

 

「そりゃー」

 

「欲しい」

 

「イエス!それこそ男子!正常な!」

 

「なんなのこれー?」

 

「知らん」

 

「俺達はモテる為に戦うのだ!」

 

 こいつ一人で意味わからんヒートアップしてるな?弟に彼女でも出来たか?

 

 ……でも、正直少し興味はあった。

 なんで付き合ってもない、ただの幼馴染なだけの詩織に彼氏が出来ただけで俺はこんなに気にしているのか。ダメージを受けているのか。

 逆に、俺が彼女を作ったらアイツにダメージを与えられる気がして。やられっぱなしっていうのは、なんか嫌なわけで。

 

「……乗ってやるよ、コバ」

 

「流石晴人、傷心のバツイチよ」

 

「殺すぞマジで」

 

「え?じゃあ僕もー」

 

 こうして俺達童貞三人の、モテる為には何をすればいいのか考える会が発足された。

 

「童貞共がなんかやってる」

 

「うるせービッチ」

 

 あ、やべ。声に出てた。

 

 

 

 〜〜〜

 

 

 

 

 六限目の体育も終わり、終礼も終わらせたら放課後。俺は特に部活とか入ってるわけじゃないし、このまま帰ってしまってもいいのだが、今日は姉ちゃんの帰りも遅いし家に帰ってもやる事ないし、はてさてどうしたもんか。

 

「ねえ、神崎」

 

 女子の声。俺に声掛ける女子なんていたっけ?姉ちゃんと詩織位では?……やばい。冷静に考えるとそれってやばい。涙出てきた。

 もうガラッガラで人が殆どいない教室で俺を呼んだのはビッチ集団の一人でありサバサバ系女子、織田香澄だった。赤っぽい髪をショートカットにしており、左耳にはピアスを空けている。あの髪色は校則に引っかかりそうなもんだが。

 

「アンタ、詩織が付き合う前になんか言われたりしなかったの?」

 

「は?何が」

 

 呼び止められたから股間でも蹴り上げられるかカツアゲでもされるかと思った。

 

「いや、別に言われてないならいいんだけどさ。正直あたしもアンタと詩織が付き合ってると思ってたから」

 

「付き合ってねえよ。てかそれと付き合う前になんか言われたとどういう関係があるんだ」

 

 俺は今日その話題に関しては虫の居所が悪いぞ?なんてったって悪夢にうなされるくらいだからな。

 織田は髪を指で弄りながらちょっと考えた表情をしてからストラップがジャラジャラ付いた鞄を背負って歩きだした。

 

「いや、いいや。ごめん神崎、あんま触れてほしくない話題だった?」

 

「パンツの色聞かれる方がまだマシなレベルの話題だな」

 

「何それ?……あたしは今日は薄緑だよ」

 

「えっマジ?見せて」

 

「嘘だよ。死ね童貞」

 

 なんで今俺罵倒されたの?絶対先にパンツの色言ったアイツが悪いじゃん。クソビッチが。

 

「なあ織田」

 

「何?」

 

 あれ、俺今なんで呼び止めた?

 

「……彼女ってどうやったら出来るの」

 

 咄嗟に出た言葉がそれ。コバのせいだ。

 別に織田とは仲が良い訳じゃない。というか多分、クラスの女子ほぼ全員に嫌われてるし、俺。

 だけど、声を掛けてくれたから、こんな早くに話が終わってしまうのがなんか寂しくて。どうでもいい話でも繋がっていたい。陰キャかよ。陰キャでした。

 

「何、アンタ彼女欲しいの?なんで詩織取られる前に告白しなかったの」

 

 織田は振り返ってバカを見るような目でニヤニヤしていた。化粧で作られたつり目はその表情にマッチしており、ドSの女豹みたいだ。

 

「なんならあたしと付き合う?貢いでくれるなら付き合ってあげてもいいよ」

 

「奴隷の間違いじゃねえの?」

 

「パンツも見せてあげるよ?一分千円」

 

「援交じゃねえか」

 

 無茶苦茶言ってやがる。やっぱこいつビッチだわ。

 

「どーするの?」

 

「俺はお金じゃ買えない愛が欲しいの」

 

「キモっ。じゃ、あたし帰るから。……まあそんな気にするなって」

 

 ヒラヒラと手を振って教室を出ていく織田。結局あいつは何が言いたかったんだ。

 

「……あいたっ」

 

 織田が教室を出ようとした瞬間、ドアに躓いてこけた。

 あいつのスカートはビッチらしく、かなり短めになっている。具体的には太ももが見えるくらい。

 そんな奴がこける。俺は真後ろにいる。つまり。

 

「薄緑、嘘じゃねーじゃん。ラッキー」

 

「死ね童貞」

 

 見える。

 思ったより普通のパンツだった。どうせならもうちょいエロいの履いててくれたら嬉しいのに。

 

「ごちそうさまです」

 

「マジで死ね」

 

 多分こんなこと言ってるから俺は女子から嫌われるんだと思う。でもしょうがない。すぐに声に出てしまう体質なんだもの。

 

 ……あ。結局どうやったら彼女が出来るか聞けなかった。取り敢えず金を払えばそれっぽい関係にはなれるらしい。いやアホか。

 

 

 

 

 〜〜〜

 

 

 

 

「その曲、聴いたことある気がする。あれだろ、俺らの世代じゃないだろ」

 

「お母さんがアタシを産んだ頃くらいに流行ってたやつ。大室哲哉は天才だね」

 

 俺が風呂から上がると、姉ちゃんはCDを聴いていた。なんかのアニメのエンディングとかじゃなかったっけか。働いてる服屋で仲良くしてる先輩に貸してもらったらしい。

 

「言われてみれば小室哲哉っぽい気もするな。その曲、前誰かカバーしてなかったっけ」

 

「色んなアーティストがカバーしてる。……あんた小室哲哉っぽさとか解るんだ」

 

 そりゃあ姉ちゃんが小室哲哉の曲よく聴いてるからな。なんかそれっぽいなー、って思ったりはする。

 こういう曲が昔は流行ったんだなー、とか考えてみると面白い。正直俺は最近の流行りとかよりもちょっと前の曲の方が好きだ。それこそ、宇多田ヒカルとか。宇多田ヒカルは今も活動してるか。

 

「なあ姉ちゃん」

 

「何?」

 

「どうやったらモテる?」

 

「あんた引きずりすぎじゃない?」

 

「そうらしい」

 

 朝はごめん。見栄張った。気にしてました。

 

「で?なんかモヤモヤするから俺も彼女作ってやるー!ってわけ?」

 

「エスパーかよ」

 

 伊達に俺の姉貴を十六年やってない。

 

「朝も言ったけどね、別に気持ちがわからないわけじゃないよ」

 

 ハードボイルドなミュージックが流れ続ける。俺この歌好きかもしれない。

 

「詩織ちゃんはあたしにとって妹同然みたいなとこあるからね。そりゃあ彼氏出来た!って聞いた時には……なんだろ、お父さんの気持ち?あー、詩織ちゃんが大人になっていくー、遠くなっていくー!とは思ったわけよ。昔は「お姉ちゃーん!」ってはしゃいでた子がいつの間にかそんなになってんのねー、って思うとね」

 

 親戚のおじさんみたいなこと言い出したぞ。

 でもなんとなく言いたい事はわかる。

 

「あんたなんか同い年だしさ、双子みたいに育ってきたわけじゃん、お風呂ではしゃぎ過ぎてあたしに怒られたりさ。あんたにとって詩織ちゃんって半分、自分みたいなもんなんだよ。それが自分のところからどっか行っちゃった気がしたから、そりゃあ引きずらないわけないじゃん?自分の半分がどっか行ったんだよ。下半身が引きちぎられたようなもんよ」

 

「なんで下半身限定なんだよ、上半身かもしれねえだろ」

 

 詩織が俺の下半身みたいな存在ってなんかエロい。

 

「まあ、そりゃあ祝福してあげるのが一番いいんだけどね。あんたはガキだから釈然としないわけよ」

 

「誰がガキだクソ姉貴」

 

 自覚あるけど。大いに自覚はあるけど。

 高校生にもなって彼女でもないやつに彼氏が出来たくらいでダメージ受けてるアホはガキとしか言えねえ。ガキで陰キャって最悪じゃね?

 

「で、どうせなら詩織ちゃんにもその自分のモヤモヤをぶつけてやる!って思って彼女作ろうとしてる辺りも最高にガキ」

 

 うっ。

 

「いいんじゃない?それで。あたしはそういうやられたらやり返せ精神は嫌いじゃないし」

 

「えっ」

 

 えっ、今の流れ俺絶対「バカじゃないの?」って蔑まれるか怒られるかのどっちかだと思ったんですけど。

 神崎雨という人物が俺の姉貴であることを忘れていました。この人俺と割と似てるんだった。

 

「まあ、あたしでもあんたかバスケ部のイケメンどっちか選べ!って言われたらバスケ部のイケメンを選ぶけどね」

 

「泣くぞ」

 

 思ったことがすぐ声に出てしまうのは姉も同じらしいです。

 だけどムカつくことに姉ちゃんの言葉は割とすとんと心に収まった。今まで当然のようにあったものが、いきなり別のものに流されてしまった感じ?昼にコバが言ってた「寝取られた」って表現もあながち間違っちゃいないのかもしれない。

 

「で、どうやったらモテるのかだっけ。あんたは思ったこと全部言わなけりゃ割とマシになると思うけどなぁ」

 

「姉ちゃんに言われたくねえんだけど」

 

「悪かったわよ。……ハードボイルドになればいいんじゃない?この曲をかっこよく歌えるようになる、とか」

 

「何言ってんの?」

 

 まあ確かにこの曲カッコよく歌えたらちょっとかっこいいかもしれないけど。

 

「ちなみにこの曲、名前なんて言うの」

 

「Get Wild」

 

 やっぱり名前も聞いたことありました。もうしばらくCD借りてるだろうし聴き込んでみるか。一応割とモテる姉ちゃんの意見だし全く効果ないとは思えない。

 

「まああんたはガキだし精々ハーフボイルドってところかなー」

 

「俺は姉ちゃんと二人で一人前だから」

 

「あたしは一人で一人前だから。フィリップは別の子を探して」

 

 先に振ってきたのは姉ちゃんなのに冷たくあしらわれた。

 姉ちゃんの中の地球の本棚からモテる方法を検索した結果、ハードボイルドになるとモテるらしい。一応コバにそうやってスマホでメッセージ送っておくか。

 

 五分もしたら返信が返ってきた。

 

 

『お前何マジになってモテようとしてんの』

 

 

「死ねっ!!マジで死ね!!!」

 

「うわびっくりした!何、発作?」

 

 姉ちゃんに心配された。




適度に続きも書いていきます。
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