幼馴染が彼氏作ったから俺も彼女作りたい 作:仮面
ちょっと目を離した隙に10万UA超えてました。
すげー……10万UAってことはあれですよね、10万UAを達成したってことですよね(?)
本当にありがとうございます。これからもゆるゆるとお付き合いください。
『もしもーし!勝ったよー!』
「お疲れさん。見てたから知ってる」
夜ご飯も食べ終わり、自室で適当に課題を進めていたら電話が掛かってきた。石黒だ。
あの後試合が終わったら俺はすぐに帰った。多分後片付けとかその他諸々色々とあるだろうし、別に試合観たらあとはそれで良かったし。一応家に着いてからラインで「お疲れさん。すごかった」とだけ送信はしておいた。
「てか、お前マジで凄かったのな。ワンゴールワンアシストって大活躍じゃねえかよ」
『ふっふっふー。実は私、結構凄いのです』
一切謙遜せずに言い切りやがった。でもまあ実際凄かった訳だし、あまり嫌味にも聞こえないし。素直に自分の実力をありのままに捉えてるんだろう。……こいつがアホだから謙遜という言葉を知らない可能性はあるが。
『前半の最後の方で一回だけ叫んでるの聞こえたんだよねー。ハルくんって意外と熱くなるタイプ?』
「意外もクソも、俺はいつだって全力ですぐ思ったことが口に出るだけだぞ」
そのせいで終わってる、って言われたりするんですけどね。直す気は無い。というか多分直らない。
『あんな応援されたら頑張っちゃうよねー。やけにマークが強いから前半はずっと大人しくしてようと思ってたけどついやっちゃったじゃん』
応援されると力が湧くってのはマジなのだろうか。いや、こいつに関しては応援されたからちょっと調子に乗ってみた、って感じか?今の話を聞いてる感じだと。
思った以上にゴリ子のマークが厳しかったから、前半は体力温存と「それだけマークされていたら何も出来ませーん!」ってアピールしていたらしい。そして後半から攻め方を変えつつ、隙を見て飛び出して前にボールを運んだり、あわよくば自分でゴールを決めようと狙っていたんだとか。
「てか他県の学校なんだろ?なんでそんなマークされてたのお前」
『あー、一月にも一回練習試合したの。その時は引き分けだったんだけど、その時にゴール決めたり決定機作ったりしてたからかな』
割と交流あるんだよね、あの学校と。石黒はそう続けた。
一月ってことはまだ一年の頃か。当時の三年は時期的に引退してるだろうとは言えど、すげえな。その時も決めてたのかよ。なんでこいつもっとすげえ所に居ないんだよ。絶対我が校以外にも引く手数多だっただろ。
『いやー、でもこうやって勝てたー!って喜べるのも試合に出れたのもハルくんのおかげだよ。ホンットにテスト期間ありがとね』
「おう。俺も過去最高点取れたし問題ねえよ」
試合も勝ってたしそれなりに楽しかったし、まあ良かったのではないだろうか。
『じゃ、お風呂入ってくるねー!ばいばい』
「あいよ」
通話が切れた。
さて、俺も風呂入りますかねー。
少し前に何の気なしに脱衣所に入ると半裸の姉ちゃんと出くわした一件以降、風呂に入る時は先にリビングに行って、姉ちゃんに「風呂入ってくる」と一言置いてから入るようにしている。リビングにいなかったら基本的に風呂に入ってるからそのままリビングで待機だ。
というわけで今日もリビングに入って姉ちゃんに一言かけてからいこうと思ったのだが。
「……何?その格好」
「んあー?」
ビックリするくらいだらしない格好でテレビを見ていた。タンクトップに下はパンツしか履いていない。その状態でクッション二つにもたれかかって大口を開けてテレビを見ているのだ。……この姿が晒されたら多分当分はこの人彼氏できない。
「風邪ひくぞ」
「あー……そだね」
なんか様子がおかしい。飯作ってた時とかは割と普通に見えてたんだが……なんか顔赤くね?
「……酒飲んだ?」
「飲んでない」
姉ちゃんは酒にすこぶる弱い。一口飲んだら顔が赤くなるくらいには弱いのだが……今日はそういう訳でもないらしい。
まさかとは思うが。
「熱計った?」
「計ってない」
「体温計何処だっけ」
「大丈夫だって」
「何が大丈夫なんだよ」
「んあー……ちっ」
本当に大丈夫な人はいきなり体温計って言われたら「なんで?」とか聞くだろ。「大丈夫だって」って先に保険かけるってことは大丈夫じゃねえんだよな。
さて、体温計何処にしまってたかな……多分この箪笥の絆創膏とか置いてる……あったあった。
「はい、計る。んで服着てズボン履け」
「あんたは私のオカンかよ……」
「しんどくても勝手に一人で溜め込む姉ちゃんが悪い」
「それ言っとくけどブーメランだから」
そう言いつつも素直に体温計を腋の間に挟む姉ちゃん。風邪ひくぞ、じゃなくてマジで風邪ひいてる説があるな。風呂は一旦後回しにするか。
ピピピ、と体温計が計測を終えた音を鳴らす。腋から体温計を抜き出し、姉ちゃんが表示されている数字を見る。そして溜め息をついた。
「何度?」
「八度六分」
「高熱じゃねえか……いつからしんどかったの」
「んあー?……朝」
全然気付けなかった。その状態で仕事行って飯まで作ってたのかよ。そりゃ今そんな格好しててもしょうがないわ。……いやしょうがなくない。悪化するわ。
「取り敢えずあとで濡れタオル作るから今日は風呂我慢して。んでパジャマに着替えてさっさと寝ろ。オッケー?」
「大丈夫だって……だから嫌だったんだよ熱計るの」
「アホか。大丈夫じゃなさそうだから熱計らせたんだよ」
「あー、はいはい……悪い、迷惑かける」
こういう時に変な所で自分を責めるのが姉ちゃんである。俺に迷惑かけないために勝手に自分で背負いこんでしれっと壊れるのが姉ちゃんである。
取り敢えず濡れタオル作るかー。明日以降どうするかはまた考えるとして。
〜〜〜
姉ちゃんが熱を出すなんて本っ当に久々のことだ。多分一年ぶり位だと思う。
明日は流石に仕事を休むらしい。有給を消費するのが勿体ないー!とか叫んでたけどしょうがないと思うよ。
で、明日はもうずっと姉ちゃんの部屋で寝てて貰うわけだが、家事は俺も一通り出来るから問題ない。飯も別に俺が作れるから問題ない。
問題は「姉ちゃん、俺の作る飯超絶嫌い」という一点のみだ。
俺の飯が不味い、とかそういう訳では無い。自分で作って食ってみても普通に美味いし、詩織に食わせた時も美味しい美味しいって言いながら食べていたから間違いは無い。だが、姉ちゃんだけは本当に「まっず!」しか言わず、最悪リバースする。
出来合いのおかずを買いに行ってもいいのだが(どちらにせよ食材を買う為にスーパーには行かねばならんし)、まぁ、気が強い人程、弱っている時は弱々しいというか。
姉ちゃんは風邪を引いたりすると途端にすっげえ泣き虫になるのだ。情緒不安定レベルで。
だからあんまり外に長時間出るのもなぁ……。
スマホのライン通話ではなく、電話番号からかける方の通話ボタンを押し、アドレス帳を開く。
なんだかんだで、遠くの親戚より近くの他人。こういう時に頼りになるのは母ちゃんよりも……
『もしもーし、どうしたの?雨ちゃんじゃなくてハル君が電話してくるの珍しいね』
「あ、理恵さん?ごめん夜に。ちょっとハプニングで」
こういう時は家が近くの幼馴染マザーがとても頼りになったりする。
『ハプニング?雨ちゃんになんかあった?』
「うん、熱出した」
『うっそ、マジで!?あっちゃー……美和は仕事で家いない……んだよね?だからハル君から私に電話来てるんだもんね』
「察しが良くて非常に助かります」
去年に姉ちゃんが熱出した時も理恵さんの力をちょっとだけ借りた気がする。あの時は昼ご飯作って貰ったんだっけ。昼からは郁也さんが来てくれたから大丈夫だったんだが。
『雨ちゃん、ハル君のご飯食べられないもんね。二人ともご飯は食べた?今から作りに行こうか?』
「食べた。明日の昼と夜、お願いしたいんだよね。材料あんま無いから買いに行きたいんだけど熱出してる時の姉ちゃんを家に一人にさせときたくない」
『甘えんぼさんになるもんねー。おっけー、明日の十一時位に材料買ってそっち行くわ』
「ホント助かる。ありがとう理恵さん、材料代はちゃんと払うから」
『いらないわよ材料代とか。あんたホントそういうところ大人だよねー、詩織に見習わせたいわ』
いや、流石に申し訳なくね?パシってご飯作ってもらって材料代まで払ってもらうのは。
『いいのよ。アンタら姉弟は頑張り過ぎだから。……雨ちゃんが食べやすいものの方がいいよね?暑いけど、おうどんとかにしとく?』
「……あざっす。多分理恵さんの作るもんならなんでも食べると思う。食べやすいものの方が嬉しいけど」
『りょーかい。ハル君も変に気負って熱出したらダメよ、それすると雨ちゃんまた気苦労増えちゃうから』
「あいよ。んじゃ、明日宜しく御願いします」
『任せな!じゃ、切るよ。雨ちゃんにお大事にって言っといて』
「うっす」
電話が切れた。
酒飲んで無かったら基本的に頼れるよなぁ、理恵さん。
風呂場に小さめのバスタオルを持ち込み、水をぶっかけてよく絞る。風呂に入るという行為は人間が思っている以上に体力を使っているらしく、今の姉ちゃんが風呂に入るのはちょっとアレな気がするので濡れタオルで身体を拭いていただくことで我慢してもらおう。
「ほい、濡れタオル。ちゃんと拭いとけよ」
「んあー?ありがと」
「明日は理恵さん来てくれるから。んじゃ、俺風呂入る」
「あいよ」
声に覇気がない。熱がある、って自覚してしまったら急にしんどくなるもんなぁ。解るぞ、その気持ち。まあ俺も滅多に熱出さない人間だけども。
風呂上がったら食器洗うかー。
〜〜〜
風呂も上がり、食器も洗い、姉ちゃんを(半ば無理やり)部屋に帰らせて布団に寝かしつけ。部屋に戻るとスマホにラインが届いていた。開けてみると詩織からだ。まああれだな。理恵さんから色々聞いたんだろう。
『お姉ちゃん、大丈夫なの?』
「あんまり大丈夫じゃなさそう」
『珍しいね』
「ホントにな」
夏風邪みたいなもんなのだろうか。薬とか家にあったっけかな?理恵さんに風邪薬も頼んどけば良かった。
「理恵さんにさ、明日風邪薬も買ってきて欲しいって言っといて貰っていい?」
『オッケー。なんかこれ!ってやつある?』
「無い。俺薬とかよくわかんないし笑」
『だよね笑 伝えとく』
薬局で買える薬って第二類医薬品までだったっけ?よく知らないが、飲み合わせとかそういうのも無いから風邪薬ならなんでもいいはずだ。
さて、何となくではあるのだが姉ちゃんが熱出すと落ち着かない。身近な人が、家族が熱出したりするとなんとなく忙しなくて、それであって夜とか意味もなく眠くならなかったりする。俺は割と早寝するタイプでこの時間には眠くなっていてもおかしくはないのだが、なんとなくまだ起きていたかった。
課題でも進めるか?……やだな、そんな気分ではない。ゲームでもやるか。机の上に置いてある3DSを手に取り、電源ボタンを押す。……うわ、充電切れてやんの。スリープモードで放置してたか。充電器何処にやったっけ。
灰色のプラグを挿しながら、ベッドの上に寝転がってどうぶつの森をプレイする。DSが発売された頃のやつ。たまーにやりたくなるんだよな。起動した瞬間リセットさんに怒られた。そっか、前充電切れで落ちてたのか。
このゲームが発売された頃って、多分俺は小学生にもなってない位の話で。姉ちゃんが「もうあんまりゲームしないし」って俺に譲ってくれたんだっけな。何が「もうあんまりゲームしないし」だよ。めちゃくちゃPS4でドラクエやってんじゃねえか。今でもたまーにテニプリの学園祭の乙女ゲーとかやってんじゃねえか。ブレイブリーデフォルトとかやってんじゃねえか。
昔は姉ちゃんって、歳も離れてたから本当にすっごく「お姉さん!」って感じがしてて、なんというか遠かった。なんで今はこんな軽口叩きながらスマブラとか出来るようになったんだろうな。まあ、良いことだからいいんだけども。
釣り竿を構えて釣りをする。シーラカンスとか釣れねえかなぁ。あれって雨の日しか釣れないんだったっけか?そもそもシーラカンスってこんな浅瀬にいていいのだろうか?まあゲームだし許容範囲?
眠たくなってきた。
〜〜〜
「何してるの」
後ろから声を掛けられた。何って……
「犬を撫でてんだよ」
「ハル、動物そんなに好きだっけ?」
「まあ、人並みには」
おお、よしよし。可愛いワンコだなぁ。
「そのわんちゃん、可愛いね。どこの子?」
「んあ?」
後ろから声を掛けていた詩織が俺の隣にしゃがみ込む。
確かに。このワンコは首輪を着けている。つまり飼い犬なのだろう。しかしリードが無い。まさか見えない革紐で繋がっているのだろうか?……んなわけないか。飼い主さんは何処にいるんだ?
「言われてみれば、飼い主さん見当たらねえな」
「探してみる?」
「んー……俺が新しい飼い主になるとか」
「バカかな?」
そもそもここは何処だ?なんか見覚えがあるような無いような、多分あっちの方に俺の家はあるんだけど、ここが何処かは解らない。
ワンコが吠えた。
「うわびっくりしたぁ」
「ハル、ビビりすぎ」
くすくすと笑う詩織。その手にはリードが握られていた。
「あれ?お前犬飼ってたっけ?」
「え?あ、うん。可愛いよ。見に来る?」
いつの間に……。どうしようか、ちょっと気にはなるのだが。でもその前に、
「その前にこのワンコの飼い主を……あれ?」
ワンコは居なくなっていた。あれ?何処行った?
「どうしたの?」
「さっきまでいたワンコが消えた」
「え?わんちゃん居たっけ?」
「居た。絶対居た」
なんでなんだ……?
〜〜〜
目が覚めた。
よくわからん夢を見ていた気がする。
これで計20話になるんですかね。番外編を抜いたらまだ19だけど。
丁度10話だった時も言ったし、折角なので今回も言わせてください。
感想、評価等、宜しく御願い致します。