幼馴染が彼氏作ったから俺も彼女作りたい 作:仮面
ちゃんと生きてます。
こいつ久々に書いてるのにサブタイトルひでえな。
「……マジでどうしようかな」
「何が?」
「大学のオープンキャンパスのレポートだよ。俺特に大学でやりたいこととか無いんだけど」
「あそこ行きゃいいじゃん、えっと……なんとか大学。近くにあるやつ」
「上井大学な。いやそこでもいいんだけどさ」
課題はさっさと終わらせてしまいたい系人間である俺は、ただ一つの課題を残して全て終わらせた。八月もまだ上旬、後はぐーたらしたり遊んだりするだけである。
ただ、大学のオープンキャンパスレポートだけは手がつけられずにいた。俺、マジで将来とかあんまり何も考えてないんだけど。なんなら高卒で働いてもいいんだけど。
「……あ、そうだ。明後日から母ちゃんと父ちゃんが帰ってくるって」
「え、珍し」
「珍しくもないよ。盆休みだし」
……あー、そういや盆休みとかあったな。
母ちゃんと父ちゃんが帰ってくるのか。なんというか、嬉しいような、そうでもないような……というか姉ちゃんだけじゃなくて俺にもそういう連絡はして欲しいな?
「あんたさぁ、将来がイマイチ決まってないなら母ちゃんと父ちゃんに相談してみたら?ほら、一番近しい大人でしょ」
「理恵さんの方が近しい気はする」
てかアンタも大人でしょうが。何しれっと「あたしは相談に乗らない」みたいな感じで話を進めてるんですかね。……まあ、姉ちゃんに相談しても今更なー、って気はするけど。多分お見通しだろうしさ。
「理恵さんには相談出来ないこともあるでしょ?なんだかんだ言ってこういうのは家族が一番頼りになるのよ」
「言いたいことは解るけどさー……」
ぶっちゃけ俺、母ちゃんとも父ちゃんともどう接したらいいのかわかんないんだよなー。姉ちゃんはこう、歳も近いしずっと一緒だったからそれでいいんだけど、姉ちゃんと母ちゃんはちょっと違うから、同じ感覚で話すことは出来ないし。
皆、どうやって進路とか決めてるんだろうな。詩織……は絶対まだちゃんと決めてない。と思う。コバはどうなんだろうか、あいつ適当に就職してコミケとかに同人誌とか持っていきそうなイメージあるな。須田はなんかよくわからん。織田も決まってそうにないよな……。
そういや織田も割と家族仲良さそうだよな。郁也さんと絡んでる所しか見たことないけど。……母ちゃんとかとどうやって話してんだ?聞いてみるか?
ラインを開いて文字を打ち込む。
「お前、家族仲良い方だよな?」
返事は意外にもすぐに返ってきた。
『え?悪いけど笑』
『兄貴とは仲良いけど親とは別に。お父さんと三日くらい話してない』
え、マジで?三日も話さないとかあるの?冷戦?
「マジで?」
『まじ笑 あんまり素行の良くない娘にイライラしてると思うよ笑笑』
笑笑、じゃねーよ。てかこいつ素行があんまり良くないことを自覚してるのかよ。
まあ、普通に考えたら校則ギリギリアウトみたいな赤い髪してて、実際何回か皆川ちゃんに注意されてるのに上手いこと躱してそのままの髪色だし、男子から冗談半分で「ビッチ」って呼ばれてる娘にはもうちょいこう、普通にしてて欲しいわな。……あと、まあ流石に擬態してるだろうが重度のオタクだし。オタクが悪いとは言わないけども。
「進路とかお前どーするの」
『考えてない』
『お前オーキャンのレポートまだやってないだろ笑』
バレた。そりゃバレるか。
『アタシ、明日上井大学見に行くけど』
お前も上井かよ!?……あいつの学力じゃ厳しくね?
『一緒に行く?』
「えっ」
えっ……そうなります?
〜〜〜
「待った?」
「別に」
集合時間から五分遅れてきやがった。なのに詫びの一言も無く待った?ってコイツ……。まあ俺も寝坊して遅刻ギリギリだったから本当にそんなに待ってないんだけども。
大学のオープンキャンパス(というか学校見学?)に行く為、俺も織田も制服だ。特にこう、見慣れないあれがある訳じゃない。だが、ひとつだけ気になることがあった。
「……お前、髪伸びたな」
「切るのめんどくさいんだよね」
織田の髪が、ちょっと伸びてる。今日はオープンキャンパスってこともありピアスは付けていないらしく、穴を隠すために耳は髪で覆っていた。穴隠しても髪の毛赤いからあんまり意味ないと思う。
「てか、そういうのちゃんと気付けるんだ。童貞なのに」
「うっせービッチ」
変化に気付けなかったら姉ちゃんにボコボコにされた小学生の頃を思い出す。女性の髪の毛の変化とかに気付けるようになったのはまあ、そのせいというかおかげというか……。
「言っとくけどこの髪色って大変なんだからね。金髪だったらプリンっぽく見えるけど赤で根元黒かったら何?みたいになるから結構染め直すんだから」
「めんどくせえなそれ。髪切る方が楽なんじゃねえの?」
「アンタは根元の黒い部分だけ切って毛先の赤を残せるの?」
……おお、確かにそりゃ無理だ。どっちにしろ染め直しはしないといけないのか。
そう思うとあの由紀さんも大変そうだな。金髪にグラデーションカラーも入れてたから……プリンになったら三色?やばいな。髪の毛ボロッボロになりそう。
「てか、お前の学力じゃ上井普通に無理だろ」
「何でアタシの学力知ってんだよ。この課題が一番面倒だから適当に近くの大学選んだだけ」
「俺と同じか」
「最悪高卒でもいいし」
それはどうなんだ。やりたいことがちゃんとあって高卒ならいい気もするけど、何も考えてないんだろ、お前。
「……着いたけど」
「……アレだよね。大学ってマジでかいよね」
「それな」
うだうだ喋っているうちに着きました、上井大学。
大学のキャンパスってマジででかいよな。高校の倍はあるんじゃねえの?って思ってしまう。学校内で暮らせそうなレベルだもんな。えっと、学校内見学の案内はどっちだ?
「……お前、オープンキャンパスのパンフレットみたいなのとか持ってないの」
「持ってないけど」
俺、こいつと来て大丈夫だったのだろうか……?
〜〜〜
オープンキャンパスに来たっぽい高校生達を見つけて、上手いことしれっと後ろをついていくと、ちゃんとそういう受付がありました。学校名、学年、名前、今後のオープンキャンパスや入試情報等の資料請求をするか否か、みたいな簡単な書類を書かされて、そのままなんか担当の人の案内の元、講義室みたいな所へ連れて行かれた。あれか、学校説明みたいなあれだ。
「……やば、アタシメモ忘れた」
「お前何しにここに来てるんだよ……」
宿題やる気無さすぎだろお前。
取り敢えずなるべく目立たないように後ろの方の席に着き、メモと筆箱を取り出す。しゃーない、織田にも貸してやるか。
「ほら、メモとペン」
「あー、サンキュ。助かります」
何かさっきから目線を感じるのはあれか。隣に赤髪の女の子がいるからか。周りの制服着てる人皆真面目そうだもんなー、普段姉ちゃんというドギツイ女性を見てるから逆にここまで真面目そうな人ばかりだと怖くなる。大丈夫?俺ら浮いてない?
ビクビクしつつもメモは取る。これちゃんとメモ出来てなかったら課題出来ないからね。今日の目的はこの大学に入学するかどうかを決める事ではなく、課題を如何にして終わらせるかなのだ。
〜〜〜
「学食うめえ」
「アタシらの高校より美味しい……アタシここに進学する」
「頭足りねえだろ」
学食体験、実際の講義体験。講義は言ってること意味不明過ぎてダメだった。一応メモ取ったけど隣にピカチュウとか落書きしてた。
学食はマジで美味い。え、これ大衆食堂とかでやっていけるんじゃね?普通に金出して食べたいくらいには美味いぞ?この味もメモしておきます?食戟のソーマだったら今頃俺と織田は全裸にされてると思う。
……学食の味は兎も角、まあ、精々オープンキャンパスな訳だし、講義の内容だったり、その他諸々も「来てもらうこと」を前提に内容を組んでるはずだから、それなりに楽しく出来るようにしているんだろう。実際このキャンパスで四年を過ごす、となると絶対にしんどいことだらけで、大変だとは思う。
それでもやっぱ、大学生って少し憧れるな。
姉ちゃんが大学生してた時はやっぱ楽しそうだったし。人生の夏休み、とか言われてるし、それはもしかしたらパリピだけなのかもしれないが、それでもやっぱり夢を見てしまう。
勉強しないとなぁ。
「メモ、うまい具合に埋まったね」
「そうだな」
学食体験が終わったら、最後に最初の受付の方に戻って解散らしい。あとは学校内を適当に歩いてみるもよし、帰るもよしらしいが……
「どうする?」
「帰る。アタシ浮いてるし」
「りょーかい」
まあ、別に俺も特に見たいもんとか無いし。
これだけ色々見れたら、課題を埋めるのは充分だろう。
「んじゃ、帰るか」
〜〜〜
時刻は午後四時前位。だが流石は夏、空はまだまだ明るい。クソ暑い。二人で自販機で炭酸飲料を買い、うだうだ言いながら喉に流し込む。夏の方が炭酸飲料は美味いと思う。
「思った以上にさ、早く終わったじゃん」
「そーだな」
「暑いじゃん」
「そーだな」
「ゲーセンで涼んで帰らない?」
「は?」
何言ってんのこいつ。暑さで頭イカれたか?
「神崎ってさ、クレーンゲーム得意?」
「……あんまり。てかアームの強さにも拠るだろ」
「そうなんだけども」
……成程。さてはこいつ、
「お前欲しいフィギュアあるけど取れる気がしてないんだろ」
「……そういう事。絶対他の奴にはバラすなよ。ミカとか、楓とか。勿論詩織も」
「バラさねーし……なんのフィギュアだよ」
「えっと……ルビィちゃん」
女性キャラかよ。こいつの事だから刀剣乱舞とかそういう感じかと思ったわ。……刀剣乱舞がフィギュア化されてるのかどうかは知らんが。ねんどろいどとかはありそうだな。
てか俺もクレーンゲームはあまり得意じゃないんだがなぁ……金ないからあんまりゲーセンで遊ばないし。でも暑いし何処かで涼んで行きたい気はする。あと久々にゲーセンには行きたい。
「……取れるかわかんねえけど、乗った」
「ラッキー!期待してるぜ、童貞クン?」
こいつぶん殴ってやりてえ。
〜〜〜
「だァァクソ!腹立つな!」
「まだ三クレしか入れてないじゃん……」
ちょっとしか動かねえ!織田の出せる予算は千円らしいので一応あと七クレジット分はあるが、これマジでいけるのか……?アームで持ち上げるよりアームで押し出した方が良さそうだな。
四クレ目。結構ズレた気はする。あと二回くらい押したら行ける気が……いや、絶対そう考えたらそれにプラス二回くらいは必要になる気がする。けどここまで押したし、あと六クレだろ?行けんじゃね?
五クレ目。かなりいい感じにアームが入った気がする。
「お?」
「え、まって?いけんじゃね?」
ゆっくりとアームが伸びて、思い切りルビィちゃんのフィギュアが入った箱を押す。そのままガタンと下に落ちて、するすると下の受取口へ……。
「きたっ!いけたっ!!」
「やったぁぁ!お迎え出来た!神崎サンキュー!」
やばい、喜び方がガチなやつだ。ちょっと発狂してるぞこいつ。……こいつ履修済みジャンル多くね?結構なガチオタじゃねえか。
「やばい、当初の予定より五クレ分も浮いたじゃん!神崎、折角だし遊んで帰ろ!」
織田のこんなに嬉しそうな顔は初めて見たかもしれない。こうして普通に笑っていると、ビッチだのヤンキーだの髪が赤いだの関係なく、普通に女の子で普通に可愛いな。但しガチオタで拗らせてる腐女子。……人のこと言えないけど。
「ほら神崎ィ、ホッケーでもやろうぜ?アタシに勝てたらおっぱいくらいは揉ませてやるぜ?ルビィちゃんのお礼も兼ねて」
「そんなこと言ってっからビッチ呼ばわりされるんだぞお前」
「何言ってんの。ビッチでも「誰でもいい」って訳じゃないんだけど?」
「……は?」
「アンタはまあ、及第点。見返りがあるならちょっと位は許してもいいかなー、って」
こいつマジで何言ってんの?
「……ほら、ホッケーやるよ。チャンス与えてんだから、頑張って勝ちな、童貞クン?」
クレジットが投入され、パックがステージに投入された。
……ちょっと待て、頭が追いついていない。どういうことだ?織田は俺に何を言ったんだ?ビッチだからといって誰でもいい訳じゃない?それはそりゃあそうだろうけど?
「頭パンクしそうになってる神崎にわかりやすく説明してあげようか?」
ホッケー台を挟んだ先で、赤髪の少女がニヤリと笑う。
「……全部嘘だから」
マッハで一点目を決められた。
……こいつ、童貞をからかって遊んでやがるな?
「……上等じゃねえか!マジで勝ってお前のおっぱい揉み尽くしてやる!!」
「……や、だから揉ませないって……でも全力で叩き潰してあげる!童貞がアタシに勝とうなんざ百年早いことを教えてあげる!」
少年漫画のように叫びながらパックを打ち合う、闇のゲームが始まった。
結局、ボロ負けした。あいつ強過ぎだろ。
童貞がビッチに勝てないのは世界の心理らしいです。
言い訳をさせてください。
私大学行ったことないからオープンキャンパスがどんなのかわからなかったんです。(言い訳)