日が昇る空を見る………激戦を繰り広げた後だが、私はフラフラとまた安宿に向かうのを見て薫が心配したような表情をする、そして言葉を吐いた。
「…………また、今度はさ驕るからちゃんと休んで。酒屋いや公園で会おう。」
そしてうつ向く、何処か悲しげに見えた。
「何かあるのか?」
と思わず口に出してしまった、本当ならばそのまま帰った方がいいのであろう理性と好奇心が別々なように口と思考が相反して動くように。
「いや、なんでも……一つ言うなら無理し過ぎないで、イリカちゃん何か追い詰められてるような気がするんだ。僕たちはマモノ狩りだけど、人でもあるよ。」
とそれだけいって薫は走り去って行ってしまう。
そしてまた安宿を借りて止まった、固いベットの上で消し飛んだ左腕の指をひとつずつ折り曲げしなんにも問題が無いことを確認する。元々の腕のように何の違和感もなくそこに存在する、さっきまで消しとんでいたのに……
「…………マモノ狩りも人。」
とぼやいた、私は私が人である実感が持てない。人であるなら先程死んでいたであろう。化け物を殺せる者は果たして化け物ではないのか……?そんな淀んだ思考と共に事切れるかのごとく眠りに着いた。
また朝が来る、鶏の無く声が一つ減っている。絞められたようであるがこの安宿にでは食事は出ないので関係のないことだ。ぼんやりとした覚めきらない頭で先日の待ち合わせ場所を思い出す。
「公園か……」
軽くよっただけだがここの国の公園は案外整っている、都市開発が進んでるがゆえの自然保護野性動物保護の意識であろうか?
「……そういえば、どうするか。このままだと不便だ。」
昨日の戦いで服が破れてしまったことを、唐突に思い出すまぁ軽い買い物でも付き合ってくれるであろう。と予備に着替えた、いくら予備で済むとはいえな……
軽く髪を整える、長い髪は不便であるが止血とかにも使えるあってそれなりに意味はある…水でよく流したからか血は残っていないようだ。
「待たせ過ぎるもの悪いしな………向かうとするか。」
私は日が照りつける、明るい世界へと歩みをすすめた。
そこには公園のベンチに腰を掛けまるで死んでいるかのように安らかに出店で買ったような焼きそばを食べかけで置き居眠り、している薫がいた。よくこんな堂々と眠れるものだとも思いながら近づき軽く日本刀の柄でこずいて見る……
「…………すーすー……」
ベンチを強めに蹴ってみる………ガコンと何処かが曲がり壊れそうなほどの大きな重低音が響く。
「うわっぁ………てっイリカちゃんかビックリしたよ、思ったより乱暴だなぁ…あっ」
そして薫は飛び起きたが……手で焼きそばのあまりをはらってしまい地面に無慈悲にも重力に従うように落下する。
「そうか……?」
「焼きそばがっ…焼きそばが…肉多目により分けて残しておいたのに………」
「うん、理由はわかったすまない。所で要件はなんだ重要なことか?」
とてつもない速度で落ち込み始める薫に若干の罪悪感を覚えながら要件を聞く、実際に私はそのために来たのだから。
「うーん、イリカちゃんにとってはそこまで重要じゃ無いかも知れないけどさ……多分僕が言ったのって予言終わるまでのタッグでしょ?」
と薫はうつ向きながら、問いかける。
「うん、そうだなそれがどうした?」
何で当たり前であることを聞くのであろう?と疑問に思いながら答える、一時的な共闘者それが今の私たちの関係である。
「…………あの予言が終わってもこれからも一緒に……いや何でもない、奢るって言ったし何か買おうか?出店沢山あるし…」
と薫は途中まで何かを言うが途中でブツリと諦めてしまうように途切れた、そして首をふり出店へと向かおうとする……
「いや、私は出店苦手なんだがそもそもお金あるのか?」
「じゃあまた酒場で……お金ならここに…うんっえっ何でっ何でっぇぇぇ」
と薫はズボンのポケット財布を取り出そうとまさぐるが本来あるべきものがないとでもいうかのようにあせり始める、それから私は結論を察する。
「盗まれただろ………」
そりゃあんなに熟睡していたらポケットに入れただけの財布は盗人にとっては楽勝な獲物だと、言うかカモがネギ背負って更に鍋引き摺って来たようなものである。
薫は更に落ち込み、首をぐたりとしたに下げ地面を見る。
「今日は厄日かな?」
「いや薫が、こんな人が多い場所で不用心にも睡眠をとっていた油断のせいだな。」
「手厳しいね………でどうしよう。」
と軽く絶望した表情で相談を持ちかけてくる、元々はこっちが早めにこなかった責任と焼きそばが落っこちたこともあるので………
「………盗人見つけるの手伝うから、そんな顔するな。公園内に目撃者いるかもしれないし、この公園広いからまだ中にいるかもしれない…後あの戦いで大分世話になったからな多分一人だったら 死んでいた(諦めていた。)」
と自然に心からの言葉を返す、あの時の言葉が無ければ私はあそこで燃え尽きていたであっただろう。
「ありがとう。」
と彼も答え笑みを顔に浮かべた。
彼女は困り果てていた、モノクロに彩られたまるで夢の中で少女たちが着る服纏い大きな紫色を目に腰ほどまでに伸びた白髪を持つ美しい容姿をしている。名前はアリスフィア・クレシェンドと言った。
なぜ困り果てていたのかと言えば……
「(コソドロから取り返したんですけど、肝心の本人がいません、なぜか焼きそばが地面におちてますし……)」
袋に硬貨が入った財布をじゃらじゃら鳴らす、ずっしりとした重さが手に伝わる。
薫が寝ていたころ、コソドロに財布を取られたのを目撃し追跡そしてちょっと棒で叩いて取り返したのだ。
だがタイミングが悪く、ちょうどイリカと薫が財布を取り返すために盗人探しにベンチの近くから出たあとだった。
「(コレ、本当にどうしますかねネコババはまず論外として……またベンチに置いておく、いや盗まれるな……やっぱり自分から探しに行って無理だったら交番ですかねっ)」
と彼女はいくつかの思案をして覚悟を決めたように財布握り締め、この広い公園内を散策する。こう内心思いながら……
「(あ づ い)」
この服は熱に対してはかなり弱いのだ。
一方そんな彼女タイミングの悪さも苦労も知らず、盗人を探していた二人は店も何もないのに人だかりが集まる所があった。
「ここに目撃者いるかもしれないっ」
と薫は盗人探しか、只の興味なのかわからないがそこに向けて早足で走っていく。
人混みの中ちらりと見えたそれは組立式のセットで行われている人形劇であった………そこの舞台を司るのは。
「ワタァシの名前はドグゥマ・ソラァーリオォ。いつもご覧の皆様ははじっめましてぇぇ、ご贔屓の方は毎度どうもサテサテ今回は誠に残念ながら最後の舞台っ是ぇ非ご観覧あれぇ!」
と長身の口と目が割けた仮面をつけ、感情が見えないシルクハットまでつけまるで紳士ともいいたげだがその実は人形のように冷たいものに見えた。
集まった観客たちは彼のショーの合図に拍手喝采をあげる、そこだけが公園と言う場所から切り取られたかのように雰囲気が変わる。
その表情が見えぬ仮面の男は人形を動かす、今日の演目は男女の悲哀……身分による叶わぬ恋、そして犯した罪は数知れず。
女の人形は綺麗なドレスを見に纏い、優雅にまるで足ともに花がさくかのごとく。対する身分の低い男の人形は汚れている、歩く姿もよぼよぼでまるで別の世界の住人のような動かしかたである。
女が真に愛するのは他の男、しかも貴族………だが身分の低い男は愚直にも彼女を想い続ける。
そして男は貴族を刺し殺し、想い人である彼女に貴族を指した血のついたナイフを真の愛の印に差し出した。
彼女は酷く混乱する慌てる、恐怖する目の前のみすぼらしい男の姿をした殺人者に身勝手な愛に溺れた悪魔にっそして彼女は悪魔から逃げるために血のついたナイフで自決をした。
そして男は 彼女 を手に入れ幸せになった。
「コレにてぇぇ幕は、終幕とあいなります。」
観客はその動きに感動するものや、結末に文句のあるもの、泣き出してしまうもの様々いるが。
その男はお捻りを頂戴する。
私は何故か急に気分が悪くなった、人形があまりにも 命 があるかのように動いているからだ、ずっと同じ結末を繰り返すように……確かに技術やセンス才能もあるかも知れないが別の恐ろしい ナニか を感じた、舞台の支配者として君臨するあの男に。
「凄かったねぇ……ちょっと内容アレだけどハッピーエンドとかもあるのかなぁ……って大丈夫イリカちゃん、もしかして熱中症……?」
薫も劇に目を奪われていたようだが、突然座り込む私を心配したようだ、何で気分が悪くなっかは熱中症だと思っているようだ。
視界が暗くなる、薫の声が聞こえるが最後に見たあの男は仮面の下で笑っているような気がした。
今日お借りしたのは、
クレーエ様のアリスフィア・クレシェンドさんと
強欲な右翼様のドグマ・ソラーリオさんです
今回はほのぼの回、今度は合流回です。