「………」
目が痛い、腫れてしまってるようだ。予知書を確認した……ずっしりとした重みを感じる、安心した。
「腹へったな……結局財布探しで何も食ってねぇ…、水飲んで誤魔化すか…」
そうやって宿の下に降りた、あの女性が主に止まっているのか……私が普段使っている安宿とは部屋質が違う。働いてる奴に軽く話しかければ水ぐらいは出してくれるだろう……
「霧!?まさか……【いずれ燃え逝く定めの鳥は今災いをもたらし、森を焼き町を焼きすべてを無に還すであろう。】」
私はすぐさま、予言書を取り出す。随分と濃い霧が急に出たものだ。
刀身が紅く紅く焔が立ち上っていく。霧の中に一つ灯りがついた。
「災厄の予言の今来たかっくそっ。」
まずは合流をしなければ、マモノにとっては餌が大量にある場所だ。そのままにしておけば、被害は恐ろしいことに確実になる。
外に出ようとかけ降りる、すると……
「誰か助け……助けてくれ……」
女性が足を引きずってすがってくる、だがマモノになりかけている。いやマモノだ、最弱のマモノ。
「私には無理だ……ここは全滅か……」
まだこの段階なら、すぐ楽にしてやれる。喉元に剣を突き刺し火をつける。
「何で何で、助けて。助けてよ、化け物。化け物から助けてよ。痛い痛い。」
女性の目から手から足から、血ではない黒い液体が出てくる。マモノの毒に似ている、苦しくように再度這いずってくる………今度は本性を表したように。
スピードが明きからに違かった。
「………お前らを助けるために動いているんじゃない。マモノを殺す為だけだ。」
足を切断した、マモノは再生能力を持つものがいるが。こいつには無いことはもうわかっていた。
「オ マ エ ガ バ ケ モ ノ ダ」
「勝手に言ってろ。」
どうせ、ここの宿は全滅だろう。さて火葬だ、マモノごと火葬だ。この火は物があるかぎり燃えつ続ける、私が止めない限りはずっと。
「イリカちゃん!?あの予言だよねっこれ!」
薫が予言書を展開した物を持って、駆け寄ってくる。服に大きく汚れがついており交戦をしたんだろう。
「あぁそうだ。ここの宿に生存者は居ない、全てのマモノごと燃やし尽くすつもりだから。早く出た方がいい、私とお前もな。」
「わかった、早く始末してこないとね!」
薫が宿から出たのを合図に、調理室にすぐさま向かった………彼処なら油があるはずだ。焼き尽くすのなら火力でなく。
火の回るスピードが勝負、マモノは一匹足りとも逃がすな。
「邪魔だどけっ。」
群がるようにする、バを焼き払いながら進む。たしか酒場で見た油は樽だったはずだ。酒でも濃いならば代用は効く。
「見つけたっ!」
樽を見つけた端から、叩き切っていく。水で火が消えると言う心配はしない………消えないのだからこの火は。
酒を切れば青に燃え、油を切れば赤に燃えた。水を切ってしまえば油が弾け火が飛び散る。
あっという間に、宿が業火に包まれていく。どんどん火が移っていく……
「もう、ここには用はない。」
宿を出た際に見たものは、水溜まり……そして朱。そしてマモノ達の群れ。
薫が一人で大群相手に応戦をしていた。
足や顔等に無数の切り傷が、ついてそこから血を垂れ流している。
「普段より、桁が違うっ!!」
「焼くぞ、我慢しろ。」
私は止血の為に、傷口を焼き付けた。肉体は頑丈だが流れるものは抑えた方がいいのは、明確だ。
「えっ!いたッ何で……あっ。」
薫にすこしだけ刀身をつけた、火が燃え移る。燃え広がりはしない、傷口だけ移りしばらくすると消えていく。
「ちょっとだけ、ふさいだ。不格好だが今は許せ。血流したままだと寄ってくるぞ。」
焼いて塞いだ傷はお世辞にも綺麗とは言えない、だがマモノ狩りだ、すぐに剥がれるだろう。
「……わかったけど、急にしないでよ!ビックリするじゃん!」
「すまない、薫マモノ来てるぞ。」
「わかってるよ、イリカちゃんもお願い。」
お互いに背を合わせ、マモノに向かい合う。
そこにあるのは、見る目を奪うのは、マモノの恐怖ではなく……水と火の狂宴。
冷たい霧でなく、熱された水蒸気が立ち上っていく。二人の狩人が戦えば、戦う程に攻撃の激しさは増していく。
薫の力は、周囲の水分を操る。
イリカの力は、消えない火を生み出す。
薫が生み出した水を、そしてマモノの水分をイリカが蒸発させる。そして出来た水蒸気をまた薫が利用する……
お互いに戦えば戦うほど、マモノの死骸から水分が取られていき……濃い水蒸気が漂う空間へと変貌していく。
「しつこいなッコイツら。」
一閃を通せば、肉が焼き焦げる音がした。体液が返り肉が溶けそうになるがすぐに蒸発させる。
一体一体は大したことないが、何せ数が多い。戦闘において数は暴力だ、体力が削がれる。
「纏めて倒さないと、切りがないよ……」
そうぼやきながら、槍を振り払い水滴でマモノ達に風穴を開けていく。
「大技とかないのか!?」
私は火力を高めることは出来るが、大勢の相手はその火が相手に燃え移るのを待つのみ。短時間で大量には倒せない。
「一人にぶつけるやつならあるけど……」
あぁ……あの時の大きな水弾か。
「なら水を集めてくれ!?後ちゃんと服とか執念で掴んでろ!?」
あれほどの水を集める力があるならば、この濃い水蒸気の空間ならば………私は手に持つ武器の温度を上げる、限界などは知らない……この考えは私の力に掛かっている。
「えっえー!わかってたよ、イリカちゃんを信じる。ありったけの水をかき集めて。」
空気が急に乾燥しはじめる、マモノ達も気づくほどに。そこにあるのは、膨大な量の水……操らずそのまま落としたら。二人とも溺死してしまいそうなほどだ。
「………下を見るなよ?薫。逃げるからな。」
私は薫の腕をつかみ、なるべく上に行くように飛んでから………
膨大な量の水の塊に、限界以上に熱した刃を突き立てた………
起こるのは水が一気に水蒸気に変換させることにより引き起こる、爆発。
二人はその膨大な力に、抗えず吹き飛ばされていく。皮膚が膨大な熱量をもつ水蒸気により焼きただれるが、マモノ狩り特有の耐久により。命を保った。
「えっ?ぇぉぇぇぉえええ。」
薫はあまりの高さに気絶仕掛けている。
「大丈夫か?薫。」
「だっ大丈夫に見えるののおおぉ?」
「ダメそうだな。」
再生していく感覚を感じながら、これからどうするか考えた………実は出ることだけ考えていて降りる為にどうするか全く考えていなかったのだ。
「……………あのさ、いつまで上がっていくの?」
どんどん高度が上がっていく、降りる方法を考える時間が無くなっていく。
「さぁそろそろじゃないか?」
星が綺麗だ。
「一応聞く、降りる方法考えてるの?」
同じく飛んでいる気絶しかけの相方が、こちらに問いを投げ掛けた。
「無い、後止まったからこれからまっ逆さまに落ちていくだけだ。」
重力に従う、空気抵抗を少しでも減らそうと服を広げた。
「イヤァァァァァ。」
あっ気絶した。
そして……そのまま墜ちていく、地面にぶつかる前に………脚に木の枝が絡まっていった。
エキサイティング