ファフニール VS 神   作:サラザール

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どうもサラザールです。今回は第7世界の世界神 八重さんが出てきます。それではどうぞ。


接近

「八重さん、もうすぐです。それと水です」

 

「亮ちゃんありがとう」ぎゅー

 

「ちょっ、抱きつかないでください」

 

僕達は第7世界にある要塞に向かっていた。世界を滅ぼそうと企む科学者ドクター・チャンが機械生命体を作りだしたと聞き、向かっていた。

 

今回は僕と八重さんが任務に当たっている。

 

「八重さん……どうでもいいですが、どうして僕を誘ったんですか?」

 

「えっ?」

 

「八重さんの時飛ばしなら今回の仕事は楽勝じゃないですか。それなのに僕を誘うなんて……」

 

「ん〜何があるか分からないからね。亮ちゃんがいてくれれば頼りになると思って」

 

「そうですか……まあ、僕も暇でしたのでね。たまにはいいですよ」

 

「ありがとう」

 

八重さんは計画を立てて行動しているため、今回の仕事は最初から誰かと向かうつもりだったのかもしれない。

 

「……ホントは少しでもいたいからだけど」ボソッ

 

「何か言いました?」

 

「うっ、ううん、何も言ってないよ。それより着いたよ」

 

八重さんは顔を赤くして要塞に着いたことを教えた。

 

要塞には何十人の見張りがあり、レーザー砲が無数にあった。

 

「じゃあ亮ちゃん、行くよ」ギュッ

 

「分かりました……って、なんで抱きつくんですか!手を繋ぐだけでいいじゃないですか!」

 

「いいじゃない別に。それとも嫌?」むにゅ

 

「うっ」

 

八重さんは僕の腕に抱きついた。八重さんの胸が当たり、心拍数が上がった。ただでさえ胸が大きくて無防備なのに抱きついてくると理性を保つことができない。

 

「それじゃあ行くよ」

 

そう言って八重さんは時飛ばしを使った。

 

時飛ばしは自身以外の時間を止めることが出来る。ドラゴンボール超のヒットは約0.1秒間ほど止めることが出来るが、八重さんは5秒間止めることが可能である。

 

さらには跳躍した時間を貯めることでその貯めた時間を使って別空間(パラレルワールド)を作ることで自由に移動することもできる。

 

別空間にいる間は敵は視認できたとしても触れることが叶わず、また別空間にいる間は八重さん自身も相手に触れられない。

 

また、物体をすり抜けて人体にだけ影響を与える透明の気弾を使い、正拳突きのように放つ。

 

たとえ時飛ばしが通用しない相手でも、八重さんは僕と同等の強さのため、実力はある。

 

僕達は高速で移動して要塞の中に入った。

 

兵士達は時間を止められていたため、動いていなかった。

 

僕達は時飛ばしの時間が過ぎる前に誰もいない部屋に入った。

 

「亮ちゃん、あそこがエレベーターだから最上階にドクター・チャンがいるよ」

 

「分かりました。あと抱きつかないでくださいね」

 

「え〜いいじゃない」

 

「ダメです」

 

八重さんは頬を膨らませた。

 

「そんな顔してもダメです。仕事なんですからちゃんとしてください」

 

「……分かった」

 

頬を膨らませながら渋々承諾してくれた。僕達は再び時飛ばしを使ってエレベーターに乗って最上階に向かった。

 

エレベーターに設置された監視カメラに細工をして僕達が見えないようにした。

 

「亮ちゃんってホモ?」

 

「……いきなり何を聞くんですか?」

 

「だって仕事の時は義晴君といるじゃない。しかも息ピッタリじゃない。もしかしたらと思って……」

 

「そんなわけ無いじゃないですか。僕は普通に女の子が好きですよ」

 

「ふ〜ん、じゃあわたしは?」

 

「えっ?」

 

いきなり聞いてきて僕は戸惑った。

 

「……それは……その……可愛いとは思ってますよ」

 

好きとは言えなかった。恋愛感情はないが素直な気持ちを伝えた。

 

「……ありがとう」

 

八重さんは頬を赤くしてお礼を言う。僕も恥ずかしくなり、顔を背ける。

 

確かに八重さんは可愛いけど好きって程じゃない……と思うと何故か心拍数が上がる。好きじゃないと思うと何故か心が痛い。

 

すると扉が開いた。

 

「「あっ」」

 

そこは12階で兵士がボタンを押してエレベーターを止めたらしい。

 

僕達は時飛ばしで時間を止めてその階に降りた。

 

幸い兵士は気づくことはなかった。

 

僕達は階段で向かうことにした。

 

「焦ったね。わたしも気を抜いてたよ」

 

「そうですね。ここからは慎重に行きましょう」

 

「わかった。あと……」

 

「何ですか?」

 

「その……できればさん付けはやめてくれるかな?わたし達同い年だから」

 

「えっ?」

 

「そっ、その仕事の時にさんまで読んでたら時間の無駄じゃない?だから……お願い」

 

八重さんは上目遣いで言ってきた。

 

「……じゃあ、八重」

 

「……」

 

僕達は顔を赤くした。気まずくなり、八重さんが言ってきた。

 

「やっ、やっぱり無しにしよ。恥ずかしくなってきた」

 

「そっ、そうですね。いつもの呼び方がいいですね。でも……敬語はやめます。いや……やめようかな」

 

「それがいいよ。わたしの時だけでいいよ」

 

八重さんも賛成してくれた。僕も敬語はあまり得意ではなく、普通に話せる人が増えて安心した。

 

「じゃあ亮ちゃん。いこ……あっ」

 

八重さんは階段を踏み外して後ろに落ちそうになった。

 

「やっ、八重さん」

 

僕は助けようとして手を差し伸ばしたが、八重さんは舞空術を使って宙を浮いた。

 

僕も舞空術を使ったが間に合わず、八重さんに当たった。

 

むにゅっと音がした。顔には柔らかい感触が包んでいた。それは八重さんの胸だった。

 

「りょっ、亮ちゃん……」

 

八重さんは顔を真っ赤にして僕の名前を言った。

 

「……」

 

このあと、八重さんにビンタされた。ちなみに仕事は成功して、神界に戻って行ったが、一週間は話せなかった二神(ふたり)であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミッドガルに来て一週間。試験が終わった日の夕食は、普段と少し違っていた。

 

「これは———?」

 

皿があらかた空になったタイミングでオートメイドが運んできた物を目にした俺は、テーブルの向こうに座る深月へ問いかける。

 

「見て分かりませんか?デザートですよ」

 

「デザート?何で今日に限って……」

 

焼きプリンの上にクリームを乗せ、さらにチョコチップが綺麗に散らされたデザートを眺めて呟く。

 

「補欠ではありますが、テストに合格したご褒美です。努力には報奨が与えられるべきだと思いますので」

 

深月はこちらを見ずに淡々と声で答えた。

 

「いや、美味そうでありがたいけど……もしかして、深月が作ってくれたのか?」

 

「なっ……ななな、何でそう思ったんですか?」

 

フォークを取り落とし、動揺しながら問い問い返してくる深月。

 

「リーザが言ってたんだよ。深月の作るスイーツが美味しいってさ。だからこれも深月の手作りなのかなって」

 

「そっ、それは……」

 

「その反応だと、当たってるんだろ?」

 

「…………はい」

 

深月は体を小さくし、微かな声で認める。

 

「どうしてそう言わなかったんだ?俺はすごいありがたいのに」

 

「だって……もし兄さんの口に合わなかったら恥ずかしいですし、率直な感想も聞けなくなりますから」

 

視線を逸らし、頬を赤くしながら深月は言う。

 

「ったく……生徒会長になって度胸が付いたかと思ったら、変なところで臆病なままなんだな」

 

俺は苦笑し、デザートをスプーンで掬って口に運ぶ。まろやかな甘みが舌の上に広がった。

 

「———うん、めちゃくちゃ美味い」

 

「ほ、本当ですか?」

 

「ああ。っていうかもう既に全校生徒のお墨付きを貰ってるんだろ?もっと自信もっていいと思うけどな」

 

「目の前の人が美味しいと言ってくれなかったら、多数意見など意味はありません」

深月は真顔でそう言い切る。

 

「……何か、深月が生徒会長になれた理由が分かった気がしたよ」

感嘆の息を吐いて、俺はデザートを全て腹に収めた。

 

「ごちそうさまでした。デザート美味かったよ。ありがとな、深月」

 

「はい、お粗末様でした」

 

その時に見せた深月の表情は、三年前を思い出させる———とても自然で、力の抜けた笑顔だった。

 

食事を終え、自分の部屋へと戻った俺は、自分のノート型端末のランプが点滅していることに気が付いた。

 

見てみるとイリスからのメールが来ている。この端末には通話・メール機能も備わっているのだ。もっとも現在登録されているアドレスは深月とイリスの二件だけなのだが。

 

『砂浜で待ってます』

 

本文にはそれだけ書かれていた。

 

俺は端末画面の端に表示されている時間を見る。

 

「七時二十七分か……外出禁止になるのは八時からだからまだ大丈夫だな」

 

端末を持って部屋を出る。歩きながら深月にメールを打った。

 

『少し外に出てくる。八時までには戻る』

 

宿舎の出入りは深月がチェックしているはずなので、一応連絡しておいた方がいいだろう。

 

宿舎を出て、砂浜沿いの道を歩く。

 

何となくだが、彼女がいるのは最初に会った場所のような気がする。あまり時間はないため早足で先を急ぐ。

 

深い藍色に染まった夜空には、数えきれない星たちが瞬いていた。

 

白い砂浜を撫でるように寄せては返す波が、規則的な潮騒を響かせている。

 

俺の勘は当たっていたようで、イリスはまさに初めて視線を交わした波打ちに立っていた。制服は着ているが、靴とストッキングは脱いで裸足になっている。

 

白い足を波に晒し、イリスは彼方の水平線を見つめていた。

 

ざっ、ざっ、と砂を踏みしめて近づいていく。その音に気付いたイリスは俺の方に顔を向けた。

 

「あ———モノノベ、来てくれたんだ」

 

「まあ、待ってるって書いてあったしな」

 

イリスの数メートル手前で足を止め、俺は言う。

 

「ごめんね、こんな時間に呼び出したりして。ミツキちゃん、怒ってなかった?」

 

「八時までは外に出てもいいはずなんだが……もしかしたら帰った後、怒られるかもな」

 

「ふる、ミツキちゃん厳しいもんね」

 

笑うイリスの顔に心臓が跳ねる。星の光を浴びる銀髪の少女は、普段以上に浮世離れした美しさを宿していた。

 

「……それで、何の用なんだ?」

 

多少声が上擦るのは自覚しながら問いかける。

 

「ああ、えっとね、まず、その……モノノベにちゃんとお礼が言いたくて」

 

「礼ならテストの後、数えきれないぐらい言ってもらったよ。もう十分だ。それに俺はそこまで感謝されるようなことはしてない」

 

「そんなことない!モノノベがいなかったら、あたし今回も落ちこぼれのままだったもん。だから—-ありがとうっ!」

 

イリスは勢いよく頭を下げる。長い銀の髪がふわっと広がった。

 

「ただ一緒に練習してただけなんだけどな……まあ、どういたしまして」

 

譲り合いをしても時間の無駄になりそうだったので、俺は素直に感謝を受け入れる。

 

「あ、あの、それでね……モノノベに聞きたいことがあるんだけど……いい?」

 

ぎこちなく顔を上げたイリスは、上目遣いで訊ねてくる。

 

「別に構わないが……」

 

俺が頷くと、イリスは俺のすぐ傍まで近づいた。

 

「モノノベは———どうしてあたしを助けてくれたの?」

 

「え?」

 

「あんなに親身になって、真剣に、一緒に頑張ってくれたのはモノノベが初めてだった。クラスの皆は自分にも他人にも厳しい人たちだから頼れなかったし……ミツキちゃんはよくあたしの面倒を見てくれたけど、やっぱりそれは生徒会長としてだったと思う」

 

イリスはさらに俺に近づく。もう体が触れそうな距離だ。

 

「だから、知りたいの。モノノベの気持ちが」

 

じっと至近距離から見つめられて、心臓の鼓動が速くなる。

 

「そ、それは……」

 

「それは?」

 

「それは…………たぶん、似てたからなんだ。昔の深月に」

 

理由の一つを、俺は口にする。

 

俺が勝手に感じている借りはとても個人的なもので、説明しようとするとニブル時代の話をしなければならなくなる。だからそちらについては語らない。

 

「あたしが、ミツキちゃんに?うそ、あたし全然ミツキちゃんと違うよ?」

 

「昔は、イリスみたいなところもあったんだよ。そしてこれは今もだけど、イリスと同じように一生懸命だった。だから……放っておけなかったんだと思う」

 

俺の答えを聞いたイリスは顔を伏せて、小さな声で呟く。

 

「そっか……そういうことだったんだ。ちょっと、残念。でも……いいや。ここからは、あたしが頑張ればいいんだもん」

 

「イリス?」

 

よく聞き取れずに俺は声を掛けると、イリスは勢いよく顔を上げた。

 

「モノノベ!」

 

「な、何だ?」

 

「あのね、あたし……もっとモノノベと仲良くなりたいの。だ、だからその……もしよかった、お、オトモダチに———」

 

ウゥ—————————————……。

 

と、そこまでイリスが言った時、突如として辺りにサイレンが鳴り響いた。

 

『緊急警報、緊急警報———警戒レベルC、タイプ・ホワイト。繰り返す、警戒レベルC、タイプ・ホワイト!』

 

続いてアナウンスが警報の概要を説明する。

 

「ホワイトって———"白"のリヴァイアサンだよな……亮の言う通り生きていたのか……警戒レベルCってヤバいのか?」

 

俺はそう訊ねるが、イリスはこちらの声など聞こえていない様子だった。

 

「リヴァイアサン……」

 

表情を強張らせて、ドラゴンの名を呟くイリス。

 

そうだ———イリスが家族を失ったのは、リヴァイアサンによる竜災が原因だった。

 

『竜伐隊・ミッドガル防衛部に選抜されている生徒は各自持ち場に着いて準備戦闘待機。それ以外の生徒・職員は屋内か近場のシェルターに避難。特に沿岸部にいる方は早急な退避をお願いいたします』

 

「おい、退避しろって言ってるぞ?」

 

「……近くにいるんだ……あの、ドラゴンが……」

 

「しっかりしろ!とにかくここから離れるぞ」

 

呆然としているイリスの腕を摑み、防波堤の上まで引っ張っていく。

 

低い音と振動が足元から伝わってきた。

 

沖の方を見ると、静かだった夜の海から巨大な四角い物体が次々と浮上している。そしてそれは島を取り囲むように円形に展開した。

 

押し上げられた海水が砂浜に大波となって押し寄せる。防波堤まで届いた波頭は、弾けて白い波しぶきとなった。

 

「あれはまさか……環状多重防機構(ミドガルズアルム)?」

 

「そうだよ。ここから見えるのはほんの一部……最終防衛ライン。第一次から三次までの防衛ラインはもっと沖合にあるの」

 

ようやく我に返ったのか、イリスが淡々とした声音で教えてくれる。

 

「イリス、平気なのか?」

 

「あ、うん、大丈夫。ごめんね……ぼうっとしちゃって。早く避難しなきゃいけないよね。そうじゃないと、みんなの足を引っ張っちゃう」

 

イリスは真剣な顔で言うと、防衛提の上に置いておいたらしい自分の靴を履き、夜空を見上げた。

 

武器を持った制服の少女たちが上空を通り過ぎ、海へと飛んでいく。

 

あれはミッドガル防衛部に選抜された竜伐隊なのだろう。風を生み出すことで、高速で飛翔している。

 

「確かに、こんなところにいたら邪魔にしかならないな」

 

「うん、すぐに宿泊へ———っ……」

 

駆け出そうとするイリスだったが、急に腹部を抑えて蹲った。

 

「なっ……どうしたんだ!?」

 

「きゅ、急にお腹が痛くなって……あはは、合格祝いに食べ過ぎちゃったせいかな……あ……だんだん収まってきた……」

 

額に脂汗を浮かべながらもイリスは立ち上がる。

 

「……歩けるか?」

 

「平気……急ごう、モノノベ!」

 

腹部は一過性のものだったらしく、イリスは俺の手を引いて早足で歩き始めた。




いかがでしたか?リヴァイアサン生きてましたね。お楽しみにしてください。
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