ファフニール VS 神   作:サラザール

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どうも、サラザールです。あの方も登場します。それではどうぞ!


改名

「僕……"絶対神"ゴッドから、全王に改名するね」

 

沈黙が一分間続いた。突然"絶対神"ゴッド様は全王に改名すると言い出した。

 

「……ぜっ、"絶対神"ゴッド様。改名するとは、どういう事ですか?」

 

第三世界の"世界神"、ルドルフさんが理由を訊ねた。

 

「理由?だって呼びにくいでしょ?"絶対神"ゴッドって。だから全王の方が短いからいいと思って」

 

"絶対神"ゴッドは当然かのように理由を述べた。

 

さらに周りは沈黙に包まれた。

 

「「「「「「「「「「「ええええーーー!!!」」」」」」」」」」」」

 

沈黙が続いたあと、僕を含めてみんなは驚いた。

 

「"絶対神"ゴッド様が改名!?」

 

「そんな!急に!」

 

「いいのかしら!?」

 

「師匠!改名なんて出来るんですか!?」

 

「わっ、わたくしも知りませんわ!?」

 

「どっ、どうなってしまうんだ?」

 

「ワシにも分からん!?しかし、改名なんて……」

 

"世界神"たちは信じられない様子で周りと相談していた。

 

本来、神が改名するのは上の神に昇格するときで、こう言ったことは初めてである。

 

「ごめんね、急にこんなことを言い出して。でも、大丈夫だよ。改名しても地位が変わることはないから」

 

"絶対神"ゴッド様は付け加えてきた。

 

それを聞いて僕たちは安心した。

 

「なっ、なんだ。神をやめるかと思ったよ」

 

エドワードさんが安心して息を吐いた。

 

「ん?エドワード君?僕が神をやめるって?」

 

"絶対神"ゴッド様は低い声でエドワードさんに言った。

 

「!?、いえ、決してそんなことは……」

 

エドワードさんは慌てて否定した。

 

「エドワード君?そんな態度だと、消しちゃうよ?」

 

「もっ!?申し訳ありません!?」

 

エドワードさんは土下座をし、"絶対神"ゴッド様に謝った。

 

「ふふ、冗談だよ。だから顔を上げて」

 

"絶対神"ゴッド様は笑顔で冗談を言った。あの神(ひと)の冗談は笑えないのだ。

 

「理由はそれもあるんだけど、本当は別なの。そのことをこれから話すね」

 

"絶対神"ゴッド様は真剣な表情になり、神々は教壇に注目する。

 

「みんなの頑張りを見ていると僕もこのまま頂点に立つ存在として、示しを付けるために変わろうと思ったの」

 

この五年間、神々の実力も上がってきており、"絶対神"ゴッドは自分も変わらなきゃいけないと思ったようで、改名することを伝えるために僕たちを召集したようだ。

 

「だから僕も特訓をしてね、今まで一つの世界を一瞬で作り出すことしかできなかったけど、十個の世界を一度に作れるようになったのね」

 

"絶対神"ゴッド様はさらっと凄いことを言った。

 

「改名する理由はさっき説明したけど、みんなみたいに実力を上げようとするのは本心だから、明日から"全王"だからね。これからよろしくね。じゃ、解散。キュッ!!」

 

"絶対神"ゴッド様は手を広げると握りしめた。すると部屋から消えてしまった。瞬間移動をしたのだろう。

 

神々は緊張が解け、一気に息を吐いた。

 

「焦ったよ。まさか本当に改名するなんて」

 

「ああ、でも"絶対神"ゴッド様が決めたことだ。仕方ない」

 

こうして緊急召集は終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ティアは俺の左手を小さな右手でぎゅっと握っている。

 

歩幅をティアに合わせ、ゆっくりと昇降口へ向かう。だが一階エントランスに来た時、校内見取り図の前で立ち尽くしている女子生徒が目に留まる。

 

長い黒髪を三つ編みのおさげにし、眼鏡を掛けた大人しそうな雰囲気の子だ。

 

(あれ? あの子は確か……ティアと一緒に転入してきた———)

 

「ユウ?」

 

足を止めた俺に、ティアが怪訝な視線を向ける。

 

「悪い、ティア。ちょっとだけ付き合ってくれ」

 

俺はティアの手を引いて彼女に近づく。

 

何か困っているのであれば、力を貸すべきだろう。ミッドガルというのは、そういう精神で成り立っているのだと、俺はリヴァイアサン戦でリーザたちから学んでいた。

 

「———どうしたんだ?」

 

俺は彼女の後ろから声を掛ける。

 

「……え?あ———」

 

振り返った彼女は、こちらを見て目を丸くした。俺が男だったので驚いたのかもしれない。

 

無用な警戒をされぬよう、俺は笑顔を作って話しかける。

 

「君、確か今日転入してきた子だろ?名前は、立川……だったっけ?」

 

実を言うと、ティアのインパクトが大きかったため、彼女のことはあまり印象に残っていない。名前もうろ覚えだ。

 

「えっと———はい。私、立川穂乃花です。あなたは……物部悠さんですよね?」

 

彼女は頷き、確認するような口調で訊ねてくる。

 

「俺のこと、知ってるのか?」

 

「学園で数少ない男性ですから、噂はすぐに聞こえてきます。それに朝の全校集会でも、二人の顔はお見かけしました」

 

そういえば、今朝は激昂したティアを止めるために俺は壇上へ躍り出したのだ。亮はその間にみんなを守るために防壁を作っていた。

 

あれだけ派手なことをした以上、今日はどこも俺や亮、ティアの話題で持ちきりだったに違いない。そうなれば嫌でも俺たちの名前は耳に届く。

 

「……じゃあ俺たちの自己紹介はいらないな。ティアのことは、もう知っているだろうし」

 

何故か俺の腰にぎゅっとしがみ付き、無言で彼女を睨んでいるティアを視線で示す。

 

「はい、お会いしたのは全校集会が初めてで、まだ挨拶もしていませんが……生徒会長さんのご紹介は聞いていました」

 

そう言うと彼女はぺこりと頭を下げる。

 

「悠さん、ティアさん、よろしくお願いします」

 

「ああ、こちらこそよろしく」

 

俺は笑顔で応じるが、ティアは仏頂面で返事をしない。

 

「悪い、ティアは何ていうか……俺以外には大体こんな感じで」

 

慌ててフォローを入れると、彼女は優しい表情で笑った。

 

「大丈夫です、気にしていません」

 

「ありがとう、助かるよ———立川」

 

「呼び方は穂乃花でいいですよ。私も名前で呼びます」

 

彼女は気安い感じで言う。

 

「あ、ああ……分かった、穂乃花」

 

多少、緊張しながら言い直す。外見からは内向的な雰囲気に見えたが、意外と気さくな性格なのかもしれない。

 

「ところで、大島亮さんは一緒ではないのですね」

 

穂乃花は亮がいないことに聞いてきた。

 

「あいつは用事があるって言ってたから宿舎にいると思うぞ」

 

亮は神としての仕事があるようで"神界"に戻ったが、俺は嘘を言った。

 

「そうですか。いつも一緒だと皆さんが噂してましたので」

 

「いつもって訳じゃないが、大抵は一緒に行動している」

 

そういえば亮が学園に転入してからほとんどを俺と行動していたことを思い出す。ミッドガルは俺と亮以外女子のため、同じ同性としてつるんでいる。

 

「そうですか。大島亮さんにもよろしくとお伝えください」

 

「分かった、伝えておくよ。……それで穂乃花は、ここで何をしてたんだ?どこか行きたい場所があるなら案内するけど」

 

俺は、先ほどまで穂乃花がじっと見つめていた見取り図に目をやる。

 

「いえ、大丈夫です。これからここで生活するので、どこに何があるかを頭に入れておこうとしていただけですから」

 

「そっか、迷っていたわけじゃなかったんだな。それなら別にいいんだ。邪魔して悪かった」

 

要らないお節介を焼いてしまったなと、俺は頭を掻く。

 

「そんなことはありません。声を掛けてくれて嬉しかったです。親切な方がいると分かっただけでも、これからの励みになります」

 

礼を言う穂乃花だったが、その台詞には少し引っかかる部分を感じた。よく考えれば、学園案内などクラスメイトが率先してやることだ。彼女が配属された教室には、あまり親切な人間がいないのかもしれない。

 

「……何か困ったことがあれば、いつでも声を掛けてくれ。俺のアドレス、教えておくから」

 

「あ……ありがとうございます」

 

表情を綻ばせる穂乃花。アドレスを交換してから俺たちは別れ、昇降口から校舎を出る。

 

その間、ティアはずっと不機嫌そうな顔で、俺の手を強く握りしめていた。

 

「転入生同士なんだから、もうちょっと仲良くしてみてもいいんじゃないか?きっと友達になれると思うぞ?」

 

校門に向かいながら声を掛けると、ティアはぶんぶんと首を横に振った。

 

「や。あの子、なんか近づきたくないの」

 

「近づきたくないって……」

 

リーザたちの時よりも明確に拒絶を示すティアに、俺は戸惑う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「亮、終わったぞ」

 

「ありがとう、義晴。こっちも終わりそうだ」

 

デスクで仕事をしながら僕は義晴の返事に答えた。

 

河本義晴、第一世界の"世界神"で同期である。蹴りの達人で、ONE PIECEの六式、覇気、ドラゴンボール超の"蹴り"のバジルと同じ技を使う。

 

第一世界は僕が生まれた世界で、第十二世界と対となる世界だ。

 

「そういえば、八重はどうした?一緒じゃないのか?」

 

「自分の世界に行ってるよ。もうすぐ帰ってくるとは思うけど……よし、終わった」

 

書類仕事を終わらせ、帰る準備をする。

 

「じゃあ居酒屋に行くか」

 

「そうだな、みんなは先に行ってるぞ」

 

「了解」

 

今日は"世界神"全員で飲む約束をしていた。第五世界の八代さんが席を予約してくれたので、早く切り上げて向かう。

 

「そっちの世界はどうだい?」

 

義晴が僕が担当している世界について聞いてきた。

 

「まあまあかな。前より資源は増えたみたいだけど、戦争は減らないね」

 

「どの世界でも戦争は起こるもんさ。今更言ってもしょうがない」

 

「そうだな。……そういえば、父さんと母さんはどうだい?」

 

僕は両親のことを聞いた。突然死んでしまったからどうしているか気になっていた。

 

「大丈夫だ。一ヶ月は悲しんでたが、お前の妹がしっかりしてたから今は元気にやってるよ」

 

「そっか……冬美には感謝しなくちゃな」

 

僕の妹、大島冬美はしっかり者で、家事を毎日して、いつも助かっていた。あれから六年が経ち、今は中学三年生になったようだ。

 

「願いが叶うなら、冬美の料理を食べたいな」

 

「行けばいいじゃないか。僕たちの存在は知られても問題ないからたまにはいいんじゃないか?」

 

僕たち神は人間に存在を知られても特に問題はない。

 

「やめとく。死んだのに元の世界にいたら大変なことになるから」

 

「それもそうだな。でも、杖で家の状況を見ればいいじゃないか?」

 

「いや、恋しくなるからやめとくよ。それよりもうすぐ着くぞ」

 

「はいはい、分かったよ」

 

僕たちは居酒屋に着き、中に入っていった。




いかがでしょうか?次はティアが深月の宿舎で過ごします。お楽しみください。
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