それでは第4話をご覧ください!
第六世界、特殊な能力を持つ人間がたくさんいる世界である。第十二世界の"D"の能力である物資を創り出す生命体は存在しないが、魔術や超能力を持つ者が多いと言われている。
「アンジェリカさん、分析が終わりました」
「ありがとう、あとはあの町の調査ね」
森の奥にある泉で亮と茶髪のポニーテールの九歳の少女がいた。この世界の"世界神" アンジェリカである。亮より三つ歳下だが、神歴は一年先輩である。神の中でも洞察力が優れており、人を見る目がある。
今日は第六世界で自然や町の調査をするため来ている。神は一人で仕事をすることがほとんどだが、たまに他の世界の仕事を手伝うこともある。
「亮さんは仕事慣れましたか?」
「はい、最初よりは楽になりました」
「それは良かったです。あと、何で私のほっぺをぷにぷにしてるんですか?」
「なんとなくですよ」
アンジェリカの歳は小学校低学年に見えるため、他の神達は可愛くてついほっぺをぷにぷにと突いてくる。本人は嫌がっているが、顔は赤くなっている。
「いい加減にしてください。それより変装しますよ。この姿じゃ怪しまれます」
「そうですね。では……」
ニ神(ふたり)は杖を地面に突くと服装が変わった。亮は赤と白のチェック柄に青のジーパン、アンジェリカは白いフードを被った怪しい格好をしている。
この町はアンジェリカのように白いフードを被った人が多く、超能力や魔力が強い人がいる。商店街に入って周りを見渡すと、住民の顔が元気が無い事に気付く。アンジェリカも気付いたようで亮に話しかけた。
「最近この町に魔物が現れたみたいで、夜中になると暴れ出すそうよ」
「でも超能力を使って追い払えばいいんじゃないですか?」
「それが出来ないの。この町には掟があって夜の十時から五時まで超能力を使っていけないみたいなの」
「どうしたですか?」
亮は首を傾げて聞き、アンジェリカは周りを見渡しながら答える。
「何でも二百年以上も前にこの町の人が暴れ出して町を壊滅寸前までにしたみたいで当然その人は追い出されたんだけど、また起きるかもしれないから当時の町長が超能力を封じる腕輪を創り出したそうよ」
「なるほど。掟があるからから戦えないわけですね。でもそこまでしてまで守らなければいけないんですか?」
「もし掟を破れば家族全員ギロチンで処刑されるみたいですよ」
「残酷ですね」
「仕方ないよ。それがこの町のルールなんだから。それより私たちがここに来たのは仕事しに来たんじゃない?」
「そうでしたね」
亮達は話しながら町を歩いた。途中、アンジェリカは亀のぬいぐるみを買ったり、レストランで食事をしたりと寄り道をする羽目になった。
◇
「着きました。ここですよ」
付いたのは町から少し離れた洞窟の入り口にいる。この中に例の魔物がいる。
「アンジェリカさん。力が全く感じられないんですが、本当にここですか?」
「そうですよ。でもおかしいですね。気配が感じ取れないですね。……ん?」
アンジェリカは洞窟の壁に傷がある事に気付く。
「この傷……まだ新しいですね。それに気配が全く感じ取れない……まさか……」
アンジェリカは最悪の事態に気付く。すると、町の方から爆発が起きる。
「「!!!」」
ニ神(ふたり)は町を見た。煙が上がっている。亮は杖を取り出し町の映像を見る。すると緑色のドラゴンが町を荒らし、火を吹いていた。
「遅かったですね」
「ええ、でもおかしいですね。まだ昼なのに町を襲うになんて」
亮達はドラゴンが暴れているところを見た。町の人たちは超能力を使って戦っているが全然効いていない。すると亮は森の方に気配を感じ取る。
「アンジェリカさん!森の方に怪しい気配を感じます!」
「っ!? 本当ですか!」
亮は森の泉を写した。そこには黒いフードを被った男が水晶に向けて手を動かしていた。
「なるほど、この者がドラゴンを操っていたのですね。亮さんはこの男をお願いします。アタシはドラゴンをなんとかします」
「分かりました!」
亮は森へ、アンジェリカは町へ向かった。
町は半壊しており、白い軍服を来た軍隊達がドラゴンに攻撃をしていた。後方に立っていたのは軍隊長のオーロット将軍、この町最強の超能力者である。
「くそっ、なぜ奴に効かないんだ!」
「将軍、町の人たちを非難させました!」
「そうか、あとはこの怪物だけだが、なんなんだあの生き物は!?」
この世界はドラゴンという存在をほとんど知らない。火を吐く生き物はサラマンダーだけで、この生き物を見るのは初めてである。
「このままでは持ちこたえられません。我々も非難するべきです」
「馬鹿者!我々は軍人であり、この町を守る義務がある。怪物の思う壺になるぞ!弱点は必ずあるはずだ!頑張れ!」
オーロットはそういうが、本人も奴には敵わないと分かっていた。しかし、軍人としての誇りがあり、引くことができなかった。
ドラゴンは暴れ続けた。建物を壊し、敵意を向ける者に火を吹いた。そして破壊尽くすと今度はオーロット達に目を向け攻撃を仕掛けて来た。すると、青い玉が飛んできてドラゴンに当たると爆発し、そのまま倒れた。
「「「「「!!!!」」」」」
オーロット達は驚いた。何が起きたのかわからない。オーロットは青い玉が飛んできて方向を見るとまた驚いた。見たこともない服を来た少女が宙に浮いているからである。その少女はレーザービームを放った。ドラゴンは打たれ、消滅した。
「彼女は……一体……?」
オーロット達は唖然としていた。それもそのはず。自分達でさえどうしょうも無い敵を簡単に倒したからである。
その少女ドラゴンを倒したのを確認すると森の方へと飛び去った。
◇
「くそっ!何者なんだ!」
森の泉には黒フードを被った男が水晶で一部始終を見ていた。その男の名前はアランドロン。二百年前にこの町を破壊した男の子孫である。彼は先祖の復讐のため、ドラゴンを召喚し、町を襲っていた。本当なら夜中に襲うが生き物をパワーアップする術を覚え、ドラゴンにかけて昼間から町を襲いに向かわせたのだ。
「せっかく魔術を習得してドラゴンを呼び出したのに!復讐計画をまた練り直さなければ!」
「残念だがそうはさせない。」
「!!!」
後ろから声が聞こえ振り向くと亮がいた。
「誰だ!」
「僕は神だ」
「神だと?フンッ!笑わせるな!その服装……俺様のペットを倒した奴の仲間だな。これでもくらえ!」
そう言って黒フードの男は岩を持ち上げ亮に向かって攻撃した。だが、亮は人差し指からビームを出して岩を粉々にした。
「なんだと!」
男は驚き、剣を作り出し襲いかかってくる。亮は気を上げて暴風を起こし、黒フードの男を巻き込んで飛んで行った。
亮は杖を取り出して地面に突き、森を元に戻した。すると上からアンジェリカが降りて来た。
「亮さんお疲れ様です。やりましたね」
「ええ。アンジェリカさんもお疲れ様です!」
そういうと亮はアンジェリカの頭を撫でた。
「ちょっ……ちょっと!やめてください!」
「すっすいません」
アンジェリカは顔を真っ赤にして亮の手を払った。
「全く、あなたって神(ひと)は……それより早く戻りますよ。町の人たちに見られますよ」
「そうですね。では」
亮は杖を地面に突き、光になって神界に向かった。
「お疲れ様。ニ神(ふたり)とも。お茶でもどうだい?」
「ありがとうございます」
「いただきます」
神界の休憩室で、亮とアンジェリカは髪をオールバックにした神(ひと)からお茶を貰った。この神(ひと)はパトリック。第八世界の"世界神"で気遣いができる神である。更にこの人はからかうのが好きで亮はよくからかわれていた。
「パトリックさん。もうすぐ奥さんの誕生日ですね」
「そうなんだよ。プレゼント何がいいか迷ってるんだよ」
パトリックの妻、メアリーさんは第二世界の山の神であり、十二の世界の山の神達を仕切ってる。
「髪飾りはどうですか?」
「十四年前にプレゼントしたんだ」
「花がいいですよ?」
「それは六年前にプレゼントしたよ。ああ〜なんにしよう」
僕とアンジェリカさんが提案してもすでにプレゼントしているからと却下した。パトリックさんは新しい物をプレゼントしようと考えてる。この人結構優柔不断で仕事にも影響している。
「それじゃあ一日仕事を休んでデートに行ったらいいんじゃないですか?」
するとスーツ姿でブリーフケースを持った少年がやってきた。第一世界の"世界神" 河本 義晴である。亮とは同期で知的なことが好きな神である。
「それいいな!義晴ありがとう〜」ギュ〜
「抱きつかないでください。てか苦しい〜。亮にアンジェリカ、助けてくれ」
「さてと仕事に行きますか」
「そうですね」
そう言って亮とアンジェリカは休憩室を出た。義晴は同期の頃から仕事は助けてくれるが、こういったことには助けてくれなかった。
「待ってくれ!助けて〜〜」
義晴の声が"神界"中に響き渡った。
設定
アンジェリカ ブラック 9~14歳
趣味 チェス 特技 スケート 一人称 私
第6世界の世界神。神々の中で洞察力があり、人を見る目はある。神歴は亮より1年先輩である。皆から可愛がられ、妹扱いされている。
第6世界出身でかつて世界の全ての魔術を習得した魔術師とされている。
河本 義晴 11~16
趣味 読書 特技 掃除 一人称 俺
第1世界の世界神。亮とは同期で、ライバルでもある。知的なことが好きで、いつもブリーフケースを持ち歩いている。中身は本や書類が入ってる。
パトリック ホワイト 36~41歳
趣味 釣り 特技 神経衰弱 一人称
第8世界の世界神。からかうのが好きで、亮や義晴をからかっている。その反面、空気を読み、周りに気遣える。
どうでしたか?次回は悠と深月が登場します。