カリブ海にあるイギリスの領地 セントマーティン島、二十年以上も前にドラゴンが現れたことでニブルの基地となった。作戦司令室に座っているのは基地長のホープ准将、彼はコーヒーを飲みながらパソコンでドラゴンの資料を見ていた。
(ん〜、甚大な被害が出てるね。どうしたものか)
彼はコーヒーカップを置き、新たな資料を見た。
(この者が"青"のヘカトンケイルを倒した少年だな。あれから姿を見せないがどうしているのだ?イタリアのインド洋に現れてドラゴンを倒し、そのまま去って行った。……。)
ホープ准将は口に手を加えて考えていた。
突如扉からニブルの将校が慌てて来た。
「ホープ准将!一大事です!」
「どうしたアラン大尉?何事だ?」
「大変です!"紫"のクラーケンがこっちに向かって来ます」
「なんだと!?」
ホープは思わず立ち上がった。それもそのはず、"紫"のクラーケンはセントマーティン島を訪れるのは二回目だからである。
一度目は二十年前に現れ、この島を半壊して去って行った。それ以降、セントマーティンはニブルの基地となった。その怪物が再びこの島に来るのだから驚くのは当然だろう。
「基地内の兵士達に伝えろ。作戦司令室に集めろと。そして軍艦の準備をしろ!」
ホープ准将はアラン大尉に指示を出した。
「ハッ!」ビシッ
アランは敬礼し、駆け足で作戦司令室を後にした。ホープはコーヒーカップとパソコンを手にして基地長室に向かった。
(まさか"紫"のクラーケンが再びここに来るとは……目にもの見せてやる!)
ホープそう思い、顔を凄ませた。
◇
セントマーティン島の浜辺にある洞窟は大島 亮がいた。
「この辺りだけど、もっと奥か?」
そう呟いて、奥に進んだ。
彼はこの島に空間の歪みを感じて来ていた。
(しかしこの島は杖で調べたが、"紫"のクラーケンに半壊させられてからニブルの基地になったのか。住民達は今、ロンドンで暮らしているそうだしな。基地を作るだけじゃなくて町を元に戻せばいいのに)ハァ〜
亮は息を漏らして、思っていた。すると歪みを見つけた。
「今までよりちっちゃいな」
そう言い、歪みに神の気を注いだ。神の気を注がれたことによって、歪みはなくなった。
「仕事はこれで完了っと。あとはニブルの奴らに見つからないように逃げなきゃな」
そう言って亮は身体を透明にし洞窟を出て行った。
「あと会議まであと六日か。まだ時間はあるな」
亮は杖でスケジュールを確認した。そこには仕事内容が書かれていた。洞窟から出ると海の向こうに気配を感じる。
「なんだ?この気は?」
亮は杖で気配の感じる場所を見た。すると、クラーケンがこちらに向かって来ていた。
「色が紫?まさか"紫"のクラーケンか?」
そう言うと、杖で"紫"のクラーケンの資料を映し出した。
紫のクラーケン。"黒"のヴリトラや"青"のヘカトンケイル同様、突如姿を現したドラゴンの一体である。クラーケンはカリブ海をテリトリーにして島に行っては町を荒らしているドラゴンだ。
クラーケンの能力は絶対矛盾(アブソリュート)で、触手はミスリルでできており、目から放たれる反物質弾はどんなものでも破壊し、防御を固めても破壊される能力。
(なるほど。そういえばそうだったな。これは超サイヤ人で迎え撃つか)
そう思うと基地の方から警報がなり、基地を見た。
「緊急警報、緊急警報、紫のクラーケン!!兵士達は軍艦の準備を!将校は作戦司令室に召集を!」
ニブルも気づき、戦闘態勢に入っているようだ。
「ニブルも大変だな。ここは奴らよりも先に仕留めるか」
亮は再び杖を見てクラーケンが映った。
「結構早いな。ニブルの連中にはバレるが仕方ない。迎え撃つか」
亮は杖を仕舞い、クラーケンのいる場所に向かった。
◇
「諸君!ここでクラーケンを仕留めるぞ!いいな!」
「「「「「ハッ!!!!」」」」」
作戦司令室ではホープ准将が指示を出していた。ホープはなんとしてでもクラーケンを仕留め、ニブルの功績を上げようと考えていた。
「しかし大丈夫でしょうか?クラーケンには全てを破壊するミスリルの触手と反物質弾を放ちます。我々に太刀打ちできますか?」
アラン大尉は不安を口にした。
「心配はないよ。奴は一体だけだ。数ではこちらが有利だ!隙をついて攻撃すれば奴にも効くはずだ!」
逆にホープ准将は自身があった。彼はクラーケンを倒すべく、データを集め、人員と軍艦を増やしていたからだ。
彼の両親は二十四年前、クラーケンを倒すため、立ち向かったが、敵わず死んでしまった。若かった彼は復讐のため、ニブルに入り、今の地位を手に入れた。
(いつでも来い!紫のクラーケン!!)
ホープ准将は闘志を燃やしていた。すると作戦司令室に一人の将校が入ってきた。
「報告します。准将、準備ができました」
「いよいよか!よし!向かうぞ!」
「ハッ!!」
ホープ准将はアラン大尉と将校とともに軍艦へ向かって。すると、
『ズゥゥゥゥゥゥゥゥン!!!!』
海の向こうから爆発音が聞こえた。
ホープ達は海の向こうを見た。
「何が起きた!?」
さらに通信機から連絡が入った。
「どうした!?」
『准将!大変です!"紫"のクラーケンが何者かによって攻撃されてます!』
「なんだと!!」
ホープ准将は驚いた。それもそのはず。ドラゴンは厄介な相手であり、倒すどころか傷をつけることすら不可能とされ生き物だ。それを攻撃するなど軍隊以外考えられなかった。
「そいつはどこの船だ?」
『船ではありません!人です!人が手からレーザーのようなものを放って攻撃しております。しかもその者は宙を浮いてます!!』
「なんだと!?どういうことだ?」
ホープ准将やアラン大尉達は驚いていた。するとホープはあることに気づく。
(まさかあの男か?二年前ヘカトンケイルを倒したあの男なのか?)
ホープは考え込んでしまい、しばらくして通信機に向けて軍人に指示を出す。
「分かったわたしも行く。準備をしろ」
『ハッ!!』
ホープ准将は通信を切った。
「お前たち!クラーケンのところへ向かうぞ!!」
「「ハッ」」ビシッ
アラン大尉と共に軍艦へ向かった。
◇
数分前…亮は"紫"クラーケンを見つけた。
「見つけたぞ!"紫"のクラーケン!」
亮は気を上げ、片手をクラーケンのほうに向け、気功波を溜めた。
"紫"のクラーケンは何かに気づき、その場に止まった。
そして亮は気功波をクラーケンに打ち込み、爆発が起きた。
ところがクラーケンはミスリルの触手で防いでいた。
「やっぱり超サイヤ人にならないといけないようだな」
亮は気をさらに上げた。すると海は大きな波を起こし、亮の周りは揺れていた。そして力を解放した。
「ハァ〜〜〜〜〜!!!!!」
亮は超サイヤ人になった。髪の毛は金色になり、力が溢れていた。
クラーケンはミスリルの触手で攻撃をしたが亮の気の壁により、弾き返された。さらに目から反物質弾を繰り出したが、亮は気円斬で真っ二つにし、そのまま触手を二本切った。
『ウォォォォォォォォォォォン!!!』
"紫"のクラーケンは悲鳴を上げた。
「くらえっ!!」
亮はさらに気功波で攻撃して、クラーケンは傷ついていた。
それもそのはず、超サイヤ人は戦闘力を何倍にも上げる変身であるため、パワーやスピード、そして気功波も威力が上がっている。
クラーケンは亮を見るとすぐに海に潜って行った。クラーケンは敵わないと知り、逃げたのだ。
亮はクラーケンの後を追わなかった。彼は逃げて行く相手は無闇に追わないようにしている。それがたとえドラゴンでも。
(逃げたか、当分は現れないだろう…っん?)
亮はニブルの軍艦を見つけた。
(見られたな。早く逃げるか)
亮は杖を取り出し、空中に突き、光となって神界に向かった。
◇
「なんて奴だ。クラーケンを圧倒するとは……」
ホープ准将は映像で亮と"紫"のクラーケンの戦いを見ていた。
「ホープ准将、どうなさいますか?」
「至急にクラーケンの触手を確保せよ。アスガルへはわたしが連絡する!」
「「「「ハッ!!」」」」
ホープ准将は指示を出し、軍艦の何隻かはクラーケンの触手を確保しに向かい、他は基地に戻っていった。
(しかしあの少年は何者なんだ?まぁ我々の敵では無いとは思うが……そのうち人間に敵意を向けるのでは無いだろうか?)
ホープ准将は悩んでいた。
そして今回の事もアスガルやミッドガル、そして世界の各国首脳達に知れ渡った。
いかがでしょう?次は神界の神々たちが登場します。楽しみにしてください!