血界戦線 ~Documentary hypothesis~ 作:完全怠惰宣言
今回登場した桃色の物体は「ライツ、カメラ・アクション」にてレオの頭に浮いていた物体です。
あれの登場した瞬間の可愛さに騙されたクチです。
HLにて異界人界問わず話題になっている店がある。
それが、「茶寮 翡翠庵」。
HLにおいて空前の「日本ブーム」の火付け役となってしまったこの店は異界人界問わず”万人”が飲める茶葉を取り扱っており、しかも購入するためには30分間隔でとれる予約を必ずしなければならないという変わったシステムではあるが、故郷が懐かしい異界存在やかねてから日本茶を好んでいた元ニューヨーカーたちから絶大な支持を受けており、店主の人柄も手伝ってかかなりの黒字を出しているとの噂もある。
また、HL一の極上のサービスと美食を提供する「モルツォグァッツァ」総支配人が店主の類稀なる味覚にほれ込み態々本人が来店して茶葉の仕入れを行うこともあるらしい。
そんな噂の店には今日も常連が来ており、店主はにこやかに応対していた。
「・・・・・というわけで、ご注文いただいておりました京宇治抹茶と金沢ほうじ茶それぞれ1000g、ヴァンニュマフォルカッツア産緑茶200gのお買い上げでよろしいでしょうか”フェムト”さん」
「ふむ、実に素晴らしい。注文通りだよ悠月」
そう、その常連が例えHLで知られる人類の領域をはるかに超えたとりわけはた迷惑で厄介な13人の1人であっても。
異界都市の店主と(厄介ではた迷惑だけどある程度節度を保った)常連
「しっかし、いつ来ても代り映えの無い店だね」
今日も今日とてマイペースを貫く堕落王フェムトは新作として出されたほうじ茶ラテを楽しんでいた。
店外で会えば殺し合いに発展しかねない関係であっても店の中では互いを尊重しあう間柄である二人は今日も代り映えの無いやり取りを行っていた。
「代り映えがないと言っても商品は定期的に交換していますからそうとも言えないはずですよ。それに、この前アリギュラさんをお連れになったせいで6週間入店禁止になったことお忘れですか」
そんな超絶自己中なフェムトも悠月の品物に対する姿勢と客を選ばないスタンスを気に入り周囲に気を使うという彼では珍しい行いをしてまで態々自分で買いに来るほどには気に入っている。
「しかし、暇だね。何故に世界はこうも暇なのかボクは検討もつかないよ」
そう言ってグラスに僅かに残っていたラテを飲み干すフェムト。
「なぁ、店主・・・いや××××、いい加減にボクら側に来る気は無いかい?術師として、こと時空間に作用する術式を使役する事においてボクですら敗けを認めざるを得ない腕を持っていながら君は未だに“そちら側”に居続けられるんだい?」
空になったグラスで遊びながら身体中の力を抜ききってだらけるフェムトは本当に解らないと言う雰囲気を出しながら問いかける。
暫しの間、二人の間に静寂が訪れる。
フェムトにしても答えを得られないのは解っているし、何より予想はついている。
だからこそ、今の関係性が堪らなく面白いし、こうして世間話がしたいがために自ら店に赴くことを辞めない理由となっていることを理解している。
「・・・・・ま、君の気が向いたらボクらはいつでも歓迎するから、その時は、好きに声をかけてくれたまえ」
返答がないこともフェムトには解っている、でもやはり誘ってしまうのは、フェムトを含めた多くの13王がこの店主を気に入っているからだろう。
そして、彼の答えは変わらずNOであることも解っている。
そんな、高貴で気高い魂の持ち主の集団に属する彼だからこそ自分たちは気に入り仲間に引きずり込もうと画策するのだろうから。
「そういえば、今度のディスカバリーチャンネルは・・・・・」
今日も今日とて彼らの当たり障りない日常会話は時間の許す限り続くことになる。
数日後、人狼局
本日のチェイン・皇は誰がどう見てもご機嫌だった。
ここ最近目障りな銀髪の糞猿は女遊びが祟り2カ月半の重傷で入院中だし(と言ってもあと数日もすれば退院させられるだろう)
溜まりに溜まった書類整理は全て片付いたし(決してやり終えたとは言ってない)
朝から一切の諜報任務もないし(2日後から泊まり込みの諜報任務が待っているが)
飲み屋の数十万に及ぶツケは全て払い終えたし(その間恋人が他人行儀に接してきたため何回か自殺を考えた)
何より仲直りのお詫びに彼氏の特製弁当が今日はあるのだから(職場の皆さんでどうぞと言われたが一人で食べてはダメとは言われていない)
無意識にスキップしながら鼻歌を歌い正午5分前にはデスクに座り渡された5段御重を蓋は開けずに机に並べた。
そして、ふと気が付いた。
一番上の蓋を除きすべての蓋に丸い穴が開いていた。
そして無事な蓋が乗せられた御重は先ほどからガサゴソと動いていることに。
ものすごく嫌な予感がして正午を告げる鐘が鳴るのと同時に蓋を全て開けると楽しみにしていた彼氏特性のお弁当は全て食べつくされ無事だった蓋が乗っていた御重には以前見たことがある桃色の物体が入っていた。
「クキュ~」
その桃色の物体はチェインに気が付くとどこからともなく手紙を取り出し彼女に手渡した。
拝啓 つまらない君へ
君の彼氏がペットが欲しいと言っていたのを思い出して以前作った魔獣を改造してそのサイズのまま成長しない魔獣を作ったよ。お礼なんかいらないから彼の手製弁当をこの魔獣と一緒に全て頂いといたよ。
いや、彼の手料理も中々美味じゃないか。
アリギュラも卵焼きが気に入ってたし今度リクエストしてみようかな。
―(以下100行近く全く意味のない文が続く)-
その魔獣には彼に対する絶対服従と彼の近しいものに対する攻撃性減退を刷り込んであるから愛玩動物として飼ってくれたまえ。
最後に弁当のお礼に君が行く予定だった任務をボクらで片づけておいた。
あぁ礼には及ばないから今度はもっと唐揚げの量を増やすように彼に伝えといてくれ。
つまらない君たちの愉快な隣人 堕落王フェムト
追伸
―(以下1000行近く全く意味のない文が続く)-
律儀に読み終えるとチェイン全身から怒りのオーラを吹き上がらせながら魔獣を睨み付けようとした。
すると件の魔獣の姿が無く新たにメモが御重の中に貼ってあった。
「ご主人のところ一人で行くます」
この時チェインは冷静にあることを考えていた。
「あ、意思の疎通はできるんだ」と
その数秒後、彼女の意識を失うのと同時にフェムトがクシャミをしてHLに大量破壊術式を展開してしまうのと、それを留めるために件の魔獣が活躍して悠月とクラウスに気に入られてしまう未来はこの時誰も予想しなかった未来である。
今後も不定期になりますが完成次第上げてくスタイルで進めていきたいと考えていますので気長によろしくお願いします。